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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(財政) 印刷 Eメール

 

argaiv1545

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  3
目標設定(10点)  4  0
達成時期(8点)  2  0
財源(7点)  3  2
工程・政策手段(5点)  4  0
合計(40点)  18  5
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  10  0
課題解決の妥当性(20点)  5  0
指導性と責任(20点)  5  10
合計(60点)  20  10
合計(100点)   38点  15

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①高齢化社会に備えた社会保障の財源の確保を国民に訴えているか
②政府債務残高の累増を食い止める枠組みや道筋を描いているか
③財政再建と支出拡大の両立をいかにして図るのか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら

<今回の選挙で問われる論点とは>

土居丈朗
慶應義塾大学経済学部教授

今の日本の財政の問題は、いかに政府債務の累増を食い止めるかということと、高齢化に備えてどう財源を手当てするかの2つです。「高齢化に備えて」というのは社会保障ですが、少なくともお金がなければ社会保障はできないので、いかに国民の納得を得るかたちで、かつ、経済活動を阻害しないかたちで財源を負担するか、問わなければいけません。少なくともその2つについては国民に責任を持って説明する必要があります。
⇒全文を読む

<政策にかかる現状と課題>
   2030年には65歳以上の人口が30%を超える超高齢化社会に突入する日本の財政に関して、この数年間に問われていた最大の課題は、増大を続ける社会保 障費の財源をどのように確保するのかということだった。この問題に対して、福田内閣は財源確保のための消費税の引上げの議論を始め、麻生内閣は「中福祉― 中負担」を打ち出すことで負担を明言するようになった。しかしこの間、民主党からは「無駄を削減する」という政策以上のものは提示されていない。今回のマ ニフェストで両党がどのように国民に説得的に訴えるのかが第一の評価のポイントとなる。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 18点/40点 【形式要件についての評価】 5点/40点
   マニフェストにおいては、「財政再建」という大項目の下、「財政健全化」として「骨太の方針2009」の財政健全化目標とほぼ同じ内容が書かれ、次に「無駄使いの撲滅」として既存予算の徹底的な見直し、独立行政法人や公益法人への支出抑制などを掲げている。「財政の持続可能性を確保する」という目的のもと、「骨太の方針2009」とほぼ同じ財政健全化目標が記されている。(5点/10点)
   この目標にはいくつかの前提がある。景気の順調な回復、消費税率の段階的な引上げ、平成22年度の予算編成では今年度のような大型の経済対策に伴う大幅な財政支出を想定しない、経済成長あるいは消費税の引上げ幅の拡大によるプライマリー・バランス(以下、PB)達成の2年前倒し、である。PBに関しては、「(達成を)目指す」という表現となり、目標に対するコミットメントの度合いは以前の「達成する」という財政健全化目標と比較すると低くなった。(4点/10点)
   達成時期に関しては、「2010年代半ばにかけて安定化させ20年代に引き下げる」との中期的な目標と、より短期的で経済成長を前提とした「今後10年以内のPB達成」と、当面の目標としての「5年を待たず」との段階的な目標が組まれている。(2点/8点)
   財源の裏付けの前提となっていた消費税率の引上げに関しては、税制抜本改革として、(3点/7点)また実現のための工程表や政策手段としての消費税も、ともにマニフェストの要約版で言及されている。(4点/20点)
   財政健全化目標について、マニフェストに言及はない。予算の効率化によって新しい財源を生み出すと書いているものの、それは新規の政策の財源としてであり、財政健全化には何ら寄与しない。
   上記のようにマニフェストに財政再建への言及はないが、民主党の政策集(インデックス2009)には「財政健全化のために国・地方のPBの黒字化を図り、債務残高GDP比を着実に引き下げる」との言及がある(3点/10点)
   目標設定と達成時期についての記述はない。(0点/10点、0点/8点)
   財源の裏付けについては、「ムダづかいを根絶する」とのみある。(2点/5点)
   財政再建のための工程や実現手段はない。(0点/10点)
   
【実質要件についての評価】 20点/60点 【実質要件についての評価】 10点/60点
「課題抽出の妥当性 10点/20点」
  課題抽出の妥当性としては、「財政の持続可能性の確保」(視点①)や、要約版での社会保障の負担と消費税との関連付け(視点②)などがみられる。特に、景気回復後において消費税を引き上げるという点につき、時期までは明示できていないが、財政再建の道筋をつけたという点は評価できる。
「課題解決の妥当性 5点/20点」
    しかし、自民党マニフェストでは「引き続き大胆かつ集中的な経済対策を実施」「あと2年間、経済対策に全力を尽くす」など、経済対策を重視することを明示しており、この経済対策と財政再建の道筋の間の優先順位や整合性についての説明が足りない。そのため、平成22年度の経済対策の規模によっては、財政再建の道筋が狂う可能性がある。それは、上記の財政健全化目標における、来年度予算では大規模な財政支出を行わないという前提からの逸脱を意味する。
さらに、マニフェストで掲げている「無駄の撲滅」は財政健全化のための政策と理解できるものの、幼児教育の無償化、中小企業対策、地域活性化などの新規の施策に関する財源に言及していない。来年度以降の経済対策としてこうした施策が予算に盛り込まれた場合、国債増発によって賄わなくてはならない。
「指導性と責任 5点/20点」
自民党のマニフェストでは景気対策が優先されているが、来年度における景気対策の規模の明示はない。そのため、財政再建に対するコミットメントは理解できるが、その道筋に基づいて財政再建を実現するという指導性は感じられない。

「課題抽出の妥当性 10点/20点」、「課題解決の妥当性 0点/20点」、「指導性と責任 0点/20点」
   そもそもマニフェストが上記の日本の財政の課題を解決するための約束になっていないため、課題抽出の妥当性は0点となる。「ムダづかいの根絶」は歳出削減による財政再建ではなく新規施策の財源の捻出という点から書かれており、財政再建という点からは評価できない。ただし、政権交代が実現した場合には鳩山代表が総理大臣として財政運営を指導する、という指導性は自民党より明確に表れている。
   なお、民主党の掲げる「ムダづかいの根絶」による財源捻出については、実現可能性に乏しい点と、過大な期待を抱いている点が問題である。自民党と異なり、しがらみにとらわれずに既得権益と結び付いた無駄を削減できる可能性があるという点では期待できるものの、小泉内閣化で相当程度の歳出削減を行ったので、大きな削減幅は見込めない。そもそも、「ムダづかいの根絶」の上位の目標が、日本の財政を健全化させるためではなく、新規の施策を通じて国民に資金を配分することであるのも妥当性を欠く。また、「子ども手当」の支給など、国民に対する直接の現物支給という手法が所得制限なしで行われることも、政策目的の効果的な実現という点から問題がある(親が「子ども手当」を余暇に投じた場合、教育費の補助という目標を達成できない)。この場合、納税者番号を整備したうえで、給付付き税額控除などで対応した方が望ましい。政策目的と手段の整合性が不明確な政策が多いといえる。

 

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