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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(年金) 印刷 Eメール

 

argaiv1007

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  7  8
目標設定(10点)  5  0
達成時期(8点)  7  5
財源(7点)  5  3
工程・政策手段(5点)  0  2
合計(40点)  24  18
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  7  8
課題解決の妥当性(20点)  5  3
指導性と責任(20点)  0  0
合計(60点)  12  11
合計(100点)   36点  29

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①少子高齢化が加速する中で、制度の持続性をどう確保するか
②基礎年金が最低保障機能を果たしていない問題にどう答えを出すか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<今回の選挙で問われる論点とは>

西沢和彦
(日本総研調査部主任研究員)

社会保障政策について、政治が国民に説明しなければならないことの、ひとつは人口減少・少子高齢化モードに変わっているということを前提に、負担増についてきちんと説明することだと思います。
⇒全文を読む

<政策にかかる現状と課題>
   年金分野において問われる課題は、少子高齢化の中での年金制度の持続可能性の確保と、基礎年金が最低保証機能を果たしていない問題への対応である。
   2009年5月に社会保障審議会年金部会で示された財政検証の結果によると、国民年金の受給額について、1940年生まれの人については負担額に対して 4.5倍(2004年計算時は4.3倍)、1985年生まれの人は1.5倍(2004年計算時は1.7倍)という結果になった。5年前と比較すると、 1940年生まれの人がもらえる年金額は増え、1985年生まれの人がもらえる額は逆に減っている。高齢世代への給付が過剰になる一方で、今の若い世代が 将来もらえる給付額はどんどん減っている。さらに年金財政を見ても、積立金は取り崩しと運用の失敗によって目減りを続けている。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 24点/40点 【形式要件についての評価】 18点/40点
   年金制度については「年金制度が将来にわたって国民の老後の生活を支える柱となるよう、年金制度を安定させ、充実させる」ことが目的として掲げられた。現行制度は不安定であり、これを国民の老後生活を保障する基盤として安定させていくという課題認識が読み取れる。記録問題への対応については、本来掲げるべきである「年金行政への信頼回復」という目的が明記されていない。(7点/10点)
   基礎年金の最低保障機能を強化するために無年金・低年金対策を3年以内に実施する、制度の抜本改革を検討するため超党派の「社会保障制度改革国民会議(仮称)」設置を急ぐなど、明確な目標数値はないものの、目標設定自体ははっきりしている。(5点/10点)
   また、2011年から社会保障番号・カードを導入してサービスの信頼性と透明性を高める、来年末を目途に年金記録問題を解決するなど、達成時期については明確に記されている。その他のものについても、特に記載がない限り4年とされている。(7点/8点)
   財源については、消費税を社会保障政策に特化させるとし、国民に「適度な負担」を求めたことは「制度の安定」との目的にも沿っており、評価できる。消費税を含む税制の抜本的改革については、「経済の回復を前提に2011年までに実施」とし、今後の増税による安定財源の確保については一応の道筋を示したといえる。(5点/7点)

   「不安をなくし、誰もが安心して暮らせるようにする」との大きな理念のもと、それぞれの政策について目的が書かれている。記録問題解決、年金保険料の流用禁止については「制度に対する信頼を回復する」との目的が掲げられている。年金制度設計については、信頼回復の他に「透明でわかりやすい制度をつくる」こと、「高齢期の生活の安定、現役世代の安心感を高めること」が目的とされた。総論部分には「高齢化社会の不安を解消する第一歩は、国への信頼を取り戻すこと」だと書かれており、制度や行政への信頼回復には特に重点を置いていることがわかる。受給者の負担軽減については「高齢者の生活の安定を図ること」、歳入庁創設については「ムダづかい一掃」と「未納を減らす」ことが目的とされている。(8点/10点)
   数値目標は特にないものの、新たな年金制度創設のための法律案を2013年までに成立させるとしており、2011年までの2年間は記録問題に重点的に取り組み、2013年から新制度への移行を本格的に進めるとの工程が示された。(0点/10点)(5点/7点)(2点/5点)
   財源については、予算の組み替えによって財源を捻出すると主張しているが、組み替えがどの程度実現可能なのかがいまだ不明確である。「最低保障年金」については消費税を財源に充てるとしているが、この部分の「所要額」は示されていない。(3点/7点)
   
【実質要件についての評価】 12点/60点 【実質要件についての評価】 11点/60点
「課題抽出の妥当性 7点/20点」
    マニフェスト全体の中で、社会保障・年金制度の充実は「安心な国民生活の構築」の中に位置づけられている。現行制度の維持を前提としているため、制度が抱える諸課題に対して、一部解決につながる方向性は打ち出しているものの、包括的に答えているとはいえない。特に与党として問われるはずの、2004年の年金改革後の5年間、改革時に想定したシステムが機能していないことについての総括や検証は行っておらず、これが国民の「安心」や信頼に結びつくとは考えられない。
   一方、無年金・低年金対策は、基礎年金の最低保障機能を補強するための対策であり、基礎年金がシャビーであるという課題に答えを出そうと試みている。ただ、受給資格となる保険料納付年数を短縮すると、その分受給額も減るため、与党は最低受給額の引き上げなども検討中である。また、超党派の「社会保障制度改革国民会議(仮称)」の設置を掲げたことで、今後は抜本的な制度改革が必要になるとの認識を示した点は評価できる。
「課題解決の妥当性 5点/20点」
    「将来とも安定した」制度構築のためには避けて通れない、世代間ギャップの問題についてはマニフェストの中で触れられていない。格差是正のためには給付抑制を行うより他に方法はないが、この点について答えを出しているようには見えない。結果として、今の高齢者の「生活の柱」「老後の安心」にはなるかもしれないが、現役世代の「安心」にはつながらない。また、「社会保障番号・カード」の導入とあるが、むしろ必要なのは納税者番号であり、所得捕捉を一体的に行う仕組みによって所得再分配を効率化していかなければならないはずである。
「指導性と責任 0点/20点」
    非正規労働者への厚生年金適用拡大については、「非正規で働く方への年金保障に向けた見直し」とのあいまいな記述にとどまり、実現に向けた姿勢が以前よりも消極化したように見える。この「非正規労働者への厚生年金適用拡大」は「被用者年金の一元化」とともに、先の国会で関連法案が廃案となっている。実際問題、人件費削減といった観点から、サービス業界などによる反発も強く、達成が難しい状況にある。また、年金記録問題の来年度解決については、日本年金機構がその役割を担うとされているが、実現可能性は極めて低いと言わざるをえない。2004年に改革を行った与党として、以後5年間の総括が問われたが、この点については言及がなく、制度の抜本的な見直しに対する意気込みがどの程度あるのか、疑問が残る。

「課題抽出の妥当性 8点/20点」
  年金分野の各政策は「年金、医療、介護の不安をなくし、誰もが安心して暮らせるようにする」との理念のもとに位置づけられており、マニフェスト全体の中のプライオリティはかなり高いといえる。制度への信頼回復や、わかりやすい新制度の創設は、この理念に合致したものであるといえる。だが、制度設計のきめ細やかさという点では不十分なところが多い。
「課題解決の妥当性 3点/20点」
   党としてのカラーを出し、これまでの政府与党による枠組みを抜本的に見直す政策を打ち出しており、特に制度体系について、税と保険料の役割を明確に分けた点は評価できる。現行制度が税と保険料の「水割り」でわかりにくいとの課題認識は妥当であるが、これに対して具体的な解決策を示す段階にまで至っていない。「時代に合った、わかりやすい制度をつくる」ことを目的としているが、目指す制度が基礎年金税方式なのか、スウェーデン方式なのかが明確になっていない。民主党は「基礎年金」方式ではなく「最低保障」だと言っているが、そうであるなら中所得者にまで税の恩恵が及ぶような仕組みにする必要はない。また、世代間ギャップの問題について言及がない。「受給者の負担を軽減する」との目的のもとに示された「公的年金控除の最低補償額140万円」「老年者控除50万円」は結局のところ、高齢世代の安心にはつながるが、若年世代にツケを回すことになるので、「誰もが安心して暮らせるようにする」との理念とは合致しない。「税と社会保障制度共通の番号制度」は納税者番号にあたるものであり、行政のムダ削減という観点からも評価できる。しかし、本来求められるはずの住民税との徴収一元化にまでは踏み込んでいない。
「指導性と責任 0点/20点」
   マニフェストで掲げられた制度体系(所得比例年金の上に最低保障年金がある仕組み)が以前の民主党案(最低保障年金の上に所得比例年金がある仕組み)と異なっており、党内での意見集約がスムーズに行われていないように見受けられる。
   また仮に政権を取ったあとは、新しい制度の設計が完了するまでは現行制度に従うことになるが、マクロ経済スライドによる給付抑制が機能していないといった事態にどう対処するのかなど、その間の取り組みについて全く説明がない。さらに、基礎年金の国庫負担割合の問題がある。これは今年度から1/2に引き上げられているが、その財源は当初予定されていた税制抜本改革ではなく、財政投融資特別国会の積立金から充てられている。この積立金は来年度使えば尽きてしまうが、マニフェストの「工程表」では民主党の年金制度が動き出すのは平成25年度以降となっている。この間、政権与党としては国庫負担の1/2に相当する金額を支出しなければならないが、その具体的な措置はマニフェストに記されていない。さらなる「無駄の削減」で対応するのか、国債発行なのか、説明はない。

 

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