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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(介護) 印刷 Eメール

 

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  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  5
目標設定(10点)  7  5
達成時期(8点)  8  2
財源(7点)  5  2
工程・政策手段(5点)  0  3
合計(40点)  25  17
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  7  2
課題解決の妥当性(20点)  7  4
指導性と責任(20点)  5  0
合計(60点)  19  6
合計(100点)   44点  23

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①介護従事者の量的確保
②介護施設の拡充
③安定財源の確保

 
<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<政策にかかる現状と課題>
   介護問題について問われている課題は、まず、国民の老後の安心を確保するために、いかにして介護サービスの提供体制をいかに持続可能なものにするかであ る。そのためには、介護従事者の量の確保と、介護施設の不足問題の解決、安定財源の確保が必要であり、このために各党がどのような政策をマニフェストで示 しているかが評価の視点となる。
   2000年の介護保険制度の創設によって、介護サービス事業に民間事業者が参入できるようになった。これによって介護サービスの供給量は増えたものの、介 護サービスの需要量も制度創設時の予想を上回るほどに高まり、その結果として保険財政そのものが危うくなった。そこで、過去二回に渡る介護報酬の引き下げ など、給付費を抑制する政策がとられたが、この給付費抑制政策によって、元々脆弱であった介護サービスの提供体制はさらに危うくなった。麻生政権下の 2009年4月から介護報酬が3%プラス改定されたものの、現在の介護サービスは、依然として介護従事者の数が足りておらず、また、重度の要介護者のため の施設が都心を中心に不足しているという問題を抱えている。その結果、サービスの量だけでなく、質も確保できなくなっている。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 25点/40点 【形式要件についての評価】 17点/40点
   自民党のマニフェストでは、「少子高齢化社会への対応」という大項目の下、「介護サービスの改善と職員の処遇改善」が掲げられている。その内容は、「今後3年間で特養、老健及びグループホームの約16万人分の整備を目標に取り組む」「専門性と職務の重要性に応じた賃金体系の普及・定着を目指す」「介護職員の研修、キャリアアップの支援、介護労働者の職場環境の改善」「平成24年度の介護報酬引き上げ」「療養病床再編成への適切な取組み」である。なお、「介護報酬の3%アップ改定」と「職員の処遇改善に取り組む事業主に対して職員の給料一人当たり月平均1.5万円の引き上げに相当する金額を助成」については、すでに取り組みが行われている施策である。
   理念に関しては、マニフェスト要約版に「医療・介護サービスをもっと身近に。安心と満足が全国どこでも受けられる健康長寿社会へ」と書かれている。(5点/10点)
   目標設定に関しては、「今後3年間で、特養、老健及びグループホームの約16万人分の整備を目標に取り組む」などが記されているが、その他に明確な目標設定は見当たらない。(7点/10点)
   達成時期に関する記載はないが、マニフェスト末尾の「特に記載が無い限り4年」を達成時期とみなす。(8点/8点)
   財源の裏付けに関する直接の言及はないが、要約版にて「消費税の社会保障・少子化対策への特化」と書かれているが、景気回復が条件であり、明確とは言えない。(5点/7点)
   「今後3年間」の間の具体的な取組み内容や、「介護保険料の上昇」をどのように抑え、介護報酬をどれほど引き上げるのかなど、具体的な工程や政策手段についての記述はない。(0点/5点)
   民主党のマニフェストでは、まず「介護の不安をなく」して、「十分な医療・介護サービスを提供し、ひとつの生命を大切にします」と書かれている。政策各論においては、「年金・医療」の大項目のなかで、「介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる」と書かれている。その内容は、「政策目的」として「全国どこでも、介護の必要な高齢者に良質な介護サービスを提供する」「療養病床、グループホーム等の確保により、介護サービスの量の不足を軽減する」とされ、具体策としては「認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げ」「当面、療養病床削減計画を凍結し、必要な病床数を確保」と記されている。所要額は8000億円程度となっている。
   「年金、医療、介護の不安をなくし、誰もが安心して暮らせるようにします」「十分な医療・介護サービスを提供し、ひとつの生命を大切にします」との理念・目的が書かれている。(5点/10点)
   目標設定に関しては、「月額4万円引き上げ」のほかに、明確な目標設定はない。(5点/10点)
   達成時期、財源については、冒頭の「工程表」で「介護労働者の待遇改善」が「医療・介護の再生」のなかに盛り込まれているが、介護に関する政策の達成時期や財源は不明確である。(2点/8点、2点/7点)
   具体的な政策手段としては「介護報酬加算」「賃金月額4万円引き上げ」「療養病床削減計画の凍結」などがある。(3点/5点)
   
【実質要件についての評価】 19点/60点 【実質要件についての評価】 6点/60点
「課題抽出の妥当性 7点/20点」
    上述の評価の視点の第二点につき、介護施設の整備について「約16万人分」という具体的な目標が書かれていることについては評価できる。しかし、第一点の介護従事者の確保については、「介護労働者の研修やキャリアアップの支援、職場環境の改善を進める」と書かれているが、それは現在の人材が意欲とやりがいを持てるように、という目標のためであり、数を確保するための政策とは言えない。介護サービス全体の持続可能性を確保するために必要な施策のうち、自民党のマニフェストは施設の確保と現在の職員の環境改善に限定されており、介護の仕事そのものを魅力あるものにして多くの人材を呼び込むという方向性は見えない。
「課題解決の妥当性 7点/20点」
   「地域の介護ニーズ」につき、地方や都市近郊での16万人分の介護施設の充実を意図していると考えられるが、下記の【課題】で述べているように、介護施設、特に重度の要介護者のための施設の不足が深刻化しているのは地方よりむしろ都心である。今年3月に発生した群馬県の高齢者入所施設の火災事故で、犠牲者の多くが都内から入所した高齢者であったことは、この問題が最悪の形で顕在化した例といえる。介護施設の拡充に関しては、むしろ都心における拡充を目指すことが必要である。また、介護報酬の3%アップと事業主に対する助成は、すでに実施済みの施策であるが、現在の介護従事者の処遇改善に向けた取組みを引き続き課題として設定したことは評価できる。
「指導性と責任 5点/20点」
   要約版において、「今後3年間で施設の充実と介護報酬のさらなるアップ」を「実現」と踏み込んではいるものの、療養病床再編成の問題について「適切に措置」とのみ書き、介護報酬の引き上げ幅についても明言を避けるなど、重要な課題については曖昧なものが多い。また、安定財源の確保についても、消費税が社会保障と少子化対策に充てられることは「中期プログラム」で決まったものの、経済好転後を消費税引き上げの前提としており現在には実現の目処がたっていない。「平成24年度の介護報酬改定では保険料の上昇を抑制しつつ引き上げる」としているが、消費税がこの時までに引き上げられなかった場合に保険料の上昇をどう抑制するのか、もし抑制するのならば結局、介護報酬は適切な水準にまで引き上げられないのではないか、という問題がある。介護分野での問題解決に向けた指導性や責任が十分に示されているとは言えない。

「課題抽出の妥当性 2点/20点」
  介護サービスの充実のためには、介護士の数の確保、施設の拡充、安定財源の確保という三点と、持続可能性の確保が必要である。しかし、三点のうちの後二点はマニフェストから全く欠けている。賃金の引き上げは、それによって介護業界への人材の引き込みを狙ったものと考えられるが、それのみで介護サービスが「十分」「良質」になるとは考えにくい。「政策目的」にあるように、「全国どこでも」介護サービスを提供する、あるいは「療養病床、グループホーム等の確保により介護サービスの量の不足を軽減する」のであれば、介護施設の拡充は不可欠であるはずだが、その手当は「療養病床削減計画の凍結による病床数の確保」のみであり、全国規模の施設の広がりやグループホームの確保をどのように実現するのか定かでない。その意味で、マニフェストには介護保険制度の持続可能性の確保という観点が不足している。
「課題解決の妥当性 4点/20点」
   課題解決の妥当性に関しても、単純に月給を4万円引き上れば介護に人材が集まるとは考えられない。介護従事者の賃金については、決して十分とは言えないまでも、介護報酬3%引き上げと事業者への助成金によってある程度の手当てはなされている。むしろ今後は介護分野におけるキャリアアップのシステムを描くことで介護という仕事のキャリアパスを明確化し、魅力を高めることである。「療養病床削減計画の凍結による病床確保」が「政策目的」に述べられているような施設の拡充に結びつくわけでもない。
「指導性と責任 0点/20点」
   課題解決に向けた指導性と責任という点では、約束の実現が明確に位置付けられているかと考えた場合、やはり財源の確保がネックとなる。マニフェスト冒頭の「工程表」では、医療政策と抱き合わせで平成23年度までに1.2兆円、平成24年度から25年度に1.6兆円の支出が記されている。しかし、その先はどうなるのかという点が全く不明確である。超高齢化社会に突入しつつある日本において、介護は間違いなく規模が拡大していく政策分野であり、安定的な財源、人材、施設の確保が必要であるとともに、厳しい財政状況を考えれば民間企業の参入の促進も不可欠である。「十分な介護サービスの提供」が将来にわたってなされるような設計を示すことが必要だが、このマニフェストからは読み取れない。読み取れるのは、療養病床削減計画を「当面」凍結して「必要な病床数を確保」といった、将来に向けた担保のない曖昧な政策のみである。

 

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