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評価基準 評点
現時点の到達点についての実績評価(40点) 形式要件(20点) 5
実質要件(20点) 5
実行過程(30点) 0
説明責任(30点) 0
合計(100点) 10

評価の視点

   地方分権は、地域の自己決定権を中央政府から身近な自治体に移すことであり、その手段の一つとして権限や財源の移譲を行うことである。霞ヶ関に一極集中してきた権限や財源を地方自治体へ移し、地方自治の充実を図るものである。しかし、それが単なる団体自治の強化であっては意味がない。国の持っている権限や財源の移譲による地方自治体の強化にとどまらず、最終的には主役である住民がそれぞれの地域の将来に責任を持ち、その経営に自主的かつ積極的に参画することによって、地域の創意が発現できる自己決定、自己責任型の社会形成が行われるものでなくてはならない。
   政権交代を果たした民主党は、「地域主権」を「改革の一丁目一番地」と唱えた鳩山前首相から菅首相に交代した。菅首相の下、地域主権戦略大綱が決定されたが、その後「地域主権改革」へ向けての具体的な取組みについて、着手した施策をどう進めるのか、また未着手の施策をどうするのか、国民に示す必要がある。
   以上のことから、権限や税源の移譲による中央集権体制の変革に加え、議会と首長と住民の関係などを住民目線から見直し、新たな地方自治制度の設計に繋がるような「地域主権」、あるいは「地方分権」について、どう答えを導き出そうとしているのかを中心に評価を行うこととする。
 

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実績評価

<形式要件>
   参議院選挙時のマニフェストでは、①2011年度に公共事業など投資への補助金を一括交付金化すること、②国直轄事業の地方負担金の廃止、③質の高い住民サービスを確保するため、福祉事務所の設置・公園に関する基準などの権限移譲が掲げられた。また、衆議院選挙時のマニフェストで掲げられた出先機関の「原則廃止」についても、6月22日に閣議決定された「地域主権戦略大綱」でも明記され、菅政権にも引き継がれている。
   まず、①については、12月16日の地域主権戦略会議において、各府省の9つの「ひもつき補助金」を廃止し、11年度は5120億円の予算がついた。しかし、その大半は国交省所管の社会資本整備総合交付金が占めている。②の地方負担金については、鳩山政権時に維持管理費は22年度から一部を除き廃止、23年度に全廃ということが決定されており、今回の評価の対象にはならない。先送りされていた、建設費についての負担金についての議論は進んでいない。③については、地方分権改革推進委員会の第三次勧告により、義務付け・枠付の見直しとされた900条項のうち第一次見直し121条項に加え、538条項が加わり84%の実施率を達成しているが、法案として提出にはいたっていない。
   衆院選時のマニフェストに掲げられた。出先機関の原則廃止は、6月22日閣議決定の「地域主権戦略大綱」に「国の出先機関の原則廃止(抜本的な改革)」として明記され、12月16日の地域主権戦略会議において、「出先機関改革のアクション・プラン(案)」が出された。その中で、九州広域行政機構を念頭に出先機関の事務・権限をブロック単位での移譲を推進するための特別法の整備を行い、12年度の通常国会に法案を提出し、14年度中に事務・権限の移譲が行うことが明記された。また、自治体が要望していた直轄道路・河川の移管については、原則移管を基本としつつ、個別協議に基づいて早期に実現するとされたが、具体的な実現の目処は明記できなかった。ハローワークについては、希望する自治体の主導の下、国と地方を自治体が協議して設計すると記載されているが、「移管」という文字はできず、事実上、移管は不可能と評価する。

<実質要件>
   地方分権とは、地域の自己決定権を中央政府から身近な自治体に移すことであり、将来的には税源移譲も視野に入れながら、地域の課題について、地方自治体が本当に必要なところに集中的にお金を入れられるようにするなど、制度を整備する必要がある。そのためには、どのような国と地方の関係が望ましいのか、大きなビジョンを描き、制度設計をすることが必要になる。「地域主権」を「改革の一丁目一番地」と唱えた鳩山前首相から引き継ぐ形で菅首相に交代し、参議院選挙前に地域主権戦略大綱を策定したが、その後のマニフェストや所信表明演説からも、菅首相がどのような形での地域主権を目指しているのか、明らかではない。また、鳩山政権時に提出された、地域主権戦略会議の法制化などを含む地域主権関連3法案は継続審議になっているが、第176回の臨時国会では議論もなされていない。
   ①についてだが、10月1日の所信表明演説で、「ひもつき補助金」の一括交付金化に着手するとし、「来年度予算では、各府省の枠を超えて投資的資金を集め、自由度の高い交付金に再編します」と発言している。確かに、補助金の一括交付金化には着手し、11年度予算では、金額こそ5120億円が計上されたが、そのほとんどは社会資本整備総合交付金が占めている。また、その内容も投資的な9つの補助金の中からしか選択できず、いわゆる補助金のメニュー化でしかない。更に、どの地方自治体にどれだけ配分するかを内閣府が通知することになっているが、その総額と配分基準は不明確である。結局、国が地方自治体へお金を配るという構造は変わっておらず、地方が直面する、社会保障や教育などの課題に対しての財限としては使えず、その自由度は低いと言わざるを得ず、評価できない。②について、建設費用についての負担金については進んでいない。③については、地方分権改革推進委員会の第三次勧告により、義務付け・枠付の見直しとされた900条項のうち第一次見直し、121条項に加え、538条項が加わり84%の実施率を達成しているが、地域主権一括法案が継続審議となっている中、23年度の通常国会提出に向けた道筋は不明確である。
   出先機関の「原則廃止」については、6月22日閣議決定の「地域主権戦略大綱」に基づき、12月16日の地域主権戦略会議において、「出先機関改革のアクション・プラン(案)」が出された。このアクション・プランでは、当初、「個々の出先機関の事務・権限の地方移譲等の取扱方針及びその実現に向けた工程やスケジュール並びに組織の在り方について」明記される予定であったが、それらは明記されず、アクション・プランとしての体をなしていない。また、国の出先機関改革の、事務権限や財源などの受け皿づくりをめぐり、現行の制度を利用した「関西広域連合」が12月に発足し、九州7県は新たな立法措置を伴う広域行政機構の検討に着手した。後者について、アクション・プランで事務・権限をブロック単位で移譲するため、所用の法整備を行うことが明記されたが、その具体的な中身は、今後の国と地方の在り方を含めて、記載されていない。更に、地方自治体の要望が強かった、直轄道路、河川、ハローワークの3つが焦点となったが、直轄道路・河川については、移管することを原則とし、都道府県の個別協議が整えば移すということで明記はされたが、これまで繰り返し議論されている以上には踏み込めず、現状維持が続く可能性が高い。一方、ハローワークについては、国が権利を持ったまま、自治体と一緒になって設置しようということは明記されたが、それ以外は何も決まっていないに等しく、「一体的な実施を3年程度行い、その過程において十分検証すること」と曖昧な表現に終始している。また、「移管」の文字も明記されず、出先機関の「原則廃止」は大幅に後退したと評価せざるを得ない。
 

実行過程

   政権交代当初から地域主権戦略会議を設置し、政治主導による体制は形式上整えた。しかし、その根拠法となる「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」は臨時国会では審議すらされず、成立が見送られている。この法案を含めた地域主権関連3法案を早期成立させるために、菅首相がリーダーシップを発揮したとはいえない。
各省庁が当初一括交付金として提出してきた補助金の28億円から、5120億円へ上乗せさせた。しかし、その大半は社会資本整備総合交付金が占めており、金額だけ取り繕った感が否めない。また、地方分権改革推進委員会の第三次勧告により、義務付け・枠付の見直しとされた900条項のうち、第一次見直し121条項に加え、538条項が加わり84%の実施率を達成しているが、それを法案化することに向けた具体的なアクションを起こした形跡は見られない。
   6月に閣議決定された「地域主権戦略大綱」に基づき、「出先機関改革のアクション・プラン(案)」が出されたが、23年度中に法案提出も含めるとしていた大綱の記載から1年先送りされ、24年度の法案提出が明記されている。しかし、それまでにどのような工程で実現を図っていくかの明示はなく、具体的な工程管理がなされているとはいえない。
    菅首相は、鳩山前首相時に議論されてきたことを引き継ぎ、参議院選直前に地域主権戦略大綱を閣議決定したが、その後、菅首相が国と地方の在り方や、地域主権改革大きなビジョンや工程を示してはおらず、改革の実現に向けたリーダーシップは発揮したとはいえず、評価できない。
 

説明責任

   参院選時のマニフェストでは「地域の権限や財源を大幅に増やし、地域のことは地域で決められるようにします」と記載されている。その後、6月11日の所信表明演説では「中央集権型の画一的な行政では、多様な地域に沿った政策の実現に限界があります。住民参加による行政を実現するためには、地域主権の徹底が不可欠です」と地域主権については触れられている。また、10月1日の所信表明演説でも、経済成長、財政健全化、社会保障改革の「重要政策課題の解決に当たっては、地域主権改革の推進が鍵となります」と述べているが、3つの重要政策課題の解決と地域主権がどう結びつくのかの説明はない。
   また、前述の通り「出先機関改革のアクション・プラン(案)」を見る限り、民主党が当初掲げた出先機関の「原則廃止」は大幅に後退していると考えるが、その説明もなされていない。
   地域主権改革についての菅首相の発言は、常に抽象的で具体性を欠いており、国と地方の関係性など、将来ビジョンや実現に向けた工程については触れられていない。また、地域主権戦略会議で議論がなされ、形式上はアクション・プランなどが出されているが、その対象は地方自治体の強化(団体自治の強化)であり、住民がそれぞれの地域の将来に責任を持ち、その経営に自主的かつ積極的に参画していく(住民自治)については、何ら語られていない。「地域主権」を「改革の一丁目一番地」と唱えた鳩山前首相も、具体性を欠いていたが折に触れて地域主権については発言をしていたことから比べると、菅首相が地域主権について語るところはほとんどない。
   以上のことから、地域主権についての説明責任は不十分であると評価せざるを得ない。

 

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