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小泉政権第3期実績評価(治安対策) 印刷 Eメール

治安対策

⇒各党の「治安対策」に関する公約(2003)を読む
 

argaiv1432

自民党 公明党
実績 実行課程 説明責任 実績 実行過程 説明責任
20点 30点 10点 10点 30点 10点
60点/100 50点/100


ここでは最初に評価にあたって言論NPOが考慮した視点を説明します。
 

■評価の視点


治安問題への考え方

各種のアンケート調査は国民の間の体感治安の悪化を示し、治安・安全確保への要望が近年高まっています。平成8年以降刑法犯の認知件数は高まり始 め、平成14年に史上最高値にまで達しました。自民党は、このような悪化する治安情勢を背景に、「安全な国の復活」「世界一安全・安心な国を」を理念とし て掲げ、今後「5年で治安の危機的現況を脱出すること」という目標設定をしています。自民党のマニフェストでは犯罪増加の最大要因を外国人犯罪と捉え、5 年で不法滞在外国人の半減という数値目標を設定しています。治安問題のポイントは、どのような人が何に不安を感じ、その不安にどう応えるのかということに 置かれます。 
 

 不法滞在者、オーバーステイ、不法入国を合わせて25万人という数値があり、根源的な対策はこの数を減らすことにあります。また実際に、グループ 犯罪の中には不法滞在者による比率が高く、国民の不安という点でも、不法滞在者対策を取り上げているのは的を射ているものといえます。

 不法滞在者半減への具体策は二つあり、ひとつは毎年新規に発生する不法滞在者数の抑制で、もうひとつは既に発生している不法滞在者に効率的に対処 していくことです。更に効率的な施策として、法律改正により既存の不法滞在者に対処することや、入国審査体制の抜本的改革が考えられます。後者については 入国管理職員の増加だけではなく、審査方法や事前審査などの体制整備、情報収集の体制整備などが必要です。自民党マニフェストの「出入国管理体制の強化」 がこれらの手段を意味するのであれば、正しいものといえます。

 しかし、「安全な国の復活」「世界一安全・安心な国を」を理念に掲げ、国民の不安に応えるというマニフェストであれば、そこに不法滞在者数の半減 という目標のみが示され、検挙率や犯罪の認知件数の目標設定がないことは、目標設定が曖昧であるとの評価になります。不法滞在者の半減は検挙率の向上とい う目標に至る中間目標に過ぎず、マニフェストで5年間で達成するとした「危機的状況からの脱却」とはどのような状況なのか(例えば、平成何年頃の認知件 数、検挙率に戻すことなのか)を明示し、検挙率や認知件数というより直接的な目標設定をして、国民に分かりやすく説明をしてこそ、国民の不安に応えるもの ということができます。

 その一方で、地域社会の人々の抱く不安への対応という観点から、マニフェストでは警察官の増員と3年で空き交番ゼロという数値目標が設定されてい ます。国民の警察官増員の要望に応え、国民の警察に対する信頼感、安心感を確保するための手段として警察官の増員を明示したことは極めて妥当といえます。 しかし、「警察官増員」と「空き交番ゼロ」は両者の関係が不明確であり、警察官の増員によって空き交番ゼロが達成されるわけではありません。また、「空き 交番ゼロ」とはどのような状態かということかを定義する必要があります。正式の警察官がたまたま不在という状態を全てなくすのであれば、無制限に対策を講 じなければなりません。また。「警察官増員」とは、地方警察官の増員を示しますが、空き交番にあてるのは地方警察官だけではなく、「交番相談員」などの制 度もあり、様々な選択肢が考えられます。「空き交番ゼロ」という数値化された目標を示すのであれば、他の目標との相互間の関係も明確にすべきでした。

 また、治安問題のもうひとつの論点として、治安問題の本質的な課題は犯罪発生そのものの抑止であり、警察だけではなく、社会全体で抑止機能を高め ていくことが根源的な解決策として考えられます。警察のみならず、官や民、地域社会が一体となって治安対策に取り組むべきであり、官であっても警察以外の 各省庁が責任を分担し合って治安対策に取り組むというアプローチが不可欠です。マニフェストではこの点についての言及が必要であったと考えられます。
 

刑事司法分野におけるシステム再設計

 このような治安問題は、根本的には刑事司法システム全体の効率化という問題を提起しています。刑事司法システムとは、警察の捜査に始まり、摘発、 検察への送致、起訴、公判、判決の確定、行刑施設入り、矯正、出所あるいは仮出獄、執行猶予の下での保護司法観察官・・という膨大なシステムであり、そこ には大きなコストがかけられています。犯罪の発生の増加の中で、これらのコストが急増し、それがこれからも持続可能なのかという問題も考える必要が出てい ます。これらの問題は基本的に重視すべき人権問題との関係もあり、政治側から問題提起することは難しい状況になっていますが、システム自体を持続させるた めには、それらを考慮する時期が近づいているようにも思われます。

 実際に、犯罪者への人権に対する配慮から、刑事司法では精密司法とも言われる複雑な手続きを必要とし、そのことが警察の犯罪処理の手間を増加し、 現在の体制では検挙率の上昇を難しくしている一因となっています。また、最近増加している窃盗犯のうち、再犯者の比率は半数にのぼり、再犯者は終局処分を 既に受けていますが、それが十分な肝銘力をもっていないことが問題です。肝銘力をもたない大きな理由は、窃盗には罰金刑がないこともあります。

 実定法、手続法のあり方も、そもそもの目的は将来社会における安全の確保であり、真に社会の安全確保に資するシステムへと再設計が必要です。ま た、国民に開かれた司法は必要ですが、司法改革が進み国民を裁判に参加させる結果、公判前整理手続きが設けられ、警察、検察に膨大な事務が上乗せされるこ とになりました。こうした社会コストの増加を国民が合意することも必要です。

 近年の治安情勢の悪化は、日本の戦後システムが、刑事司法システムの分野においても再設計を必要とする事態となっていることを示し、市民社会の安 定をいかに効率的、効果的に組み立てるべきかを考える時期に来ているのではないかと考えられます。治安対策においても刑事司法をひとつのシステムとして捉 え、持続可能なものへと再設計をしなおすことが求められており、マニフェスト評価もこの視点を踏まえて行う必要があります。

 

■総評

 自民党については、前述のように掲げる理念は妥当ですが、目標設定が曖昧で、検挙率や犯罪認知件数というより直接的な目標設定が必要でした。実績 については、認知件数、検挙率ともに向上していますが、体感治安は依然として悪化しています。犯罪対策閣僚会議で行動計画が決定され、内閣官房を中心に各 行政分野が犯罪対策を講じる体制がとられました。近年取り締まり機関を超えた行政分野での包括的な治安対策が急務となっていることから、妥当な施策である と評価できます。警察官増員による空き交番ゼロについても達成目処がつき、警察官の不足が検挙率の低下につながっている現状を踏まえると、妥当な施策と評 価できます。また、繁華街対策なども軌道に乗りつつあります。しかし、治安対策にかかる全体的な目標設定が曖昧であり、目標達成に向けた全体的なロード マップを示すことが困難になっています。

 公明党は、地域社会に目線を置き、空き交番ゼロから治安対策へのアプローチを行っています。有権者の不安を解消するという点で公明党の姿勢は一貫 していますが、空き交番ゼロは犯罪の抑制に一定の効果はあっても、犯罪悪化要因への対処や検挙率の向上に直に結びつくわけではありません。根源的な治安対 策よりも、国民の不安に直接訴えようとしているマニフェストである以上、国民の体感治安が悪化している状況では、公明党の成果はゼロと言わざるを得ませ ん。
 

■概要



1.マニフェストの実績

理念、目標は評価の視点で触れた通りです。実績については、認知件数は平成15年、16年と2年連続で減少し、検挙率は平成13年を底に平成16 年にかけて3年連続で上昇しています。しかし、国民の間の体感治安は内閣府の調査によると、平成12年以降一貫して悪化しています。ただ、体感治安は実際の犯罪発生とはタイムラグがあり、体感治安の向上という成果は、それに向けた実質的な施策が着実に打たれているかどうかという点も考慮して評価すべきです。

2.マニフェストの実行過程

犯罪対策閣僚会議で「犯罪に強い社会の実現のための行動計画」を平成15年2月に決定し、警察のみならず、各行政分野を担当する省庁が犯罪対策に向けて治安対策をとることを盛り込んでおり、評価できます。空き交番ゼロについては、警察官の増員により平成19年には達成されるとの目処が立ち、また治安対策には予算上も例外措置がとられているなど政府が全力で取り組んでいます。

施策の妥当性についてみていくと、前者の行動計画については、近年取り締まり機関をはるかに超えた行政分野での官民を問わない包括的な治安対策が急務となっていることから、妥当な施策であると判断できます。警察官の増員については、警察官の人手不足により検挙率が上昇しないという現状を考えると、妥当な施策であると判断できます。

その一方で、留置所、拘置所の不足など、治安対策のインフラとして施設の整備が急務となっており、設備の不足が警察のマネージメント範囲を超える懸念があります。この点における対策強化が必要です。

また、小泉首相が歌舞伎町を訪問するなど繁華街対策への取り組みもみられ、軌道に乗りつつあります。繁華街対策は、地域全体で取り組む横断的でかつ実務的・具体的な対策で、まちづくりの全体の観点からシステマティックに取り組んでいることは適切であると評価できます。

ロードマップについては、行動計画の決定、内閣官房を中心とする体制構築、各省庁によるフォローアップがとられ、治安対策にかかるロードマップが確立していることを示しています。

3.マニフェストの説明責任

犯罪発生件数や検挙率などの全体目標が明示されていないことが、目標の達成度について分かりやすく提示することを困難にしています。個々の施策のフォローだけではなく、「治安の危機的な現況から脱却」という目標に至る道程を見えやすく、簡単に説明することが必要です。

 

1.マニフェストの実績

自民党が治安問題からアプローチしている一方で、公明党は国民の視点に立って「空き交番ゼロ」からスタートしています。しかし、空き交番ゼロが犯罪悪化要因に対する有効な対処策となるか疑問が残り、交番に警察官がいることは犯罪の一定の抑止とはなっても、犯罪捜査や検挙率の向上に直接結びつくことにはなりません。国民に安心感を与えるのは重要ですが、犯罪対策にとってより重要なのは検挙率の向上であり、それなくして真の安心感にもつながりません。実績についてみていくと、公明党マニフェストは根源的な治安対策よりも、国民の不安に直接訴える性格のものである以上、国民の体感治安が悪化している状況では成果は少ないと言わざるを得ません。

2.マニフェストの実行過程

公明党も与党であり、政府が包括的な施策を講じているのであれば、基本的には自民党と同様の評価になります。

3.マニフェストの説明責任

上記と同様に、基本的には自民党と同様の評価になります。