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安倍政権実績評価(外交・安全保障) 印刷 Eメール

外交・安全保障


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argaiv1148

 言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
 
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
12/20
3/10
9/10
8/10
7/10
3/10
15/30
17/20
10/20
5/30

 

 

1.評価の視点

【 安倍政権に問われる課題 】

小泉政権を継いだ安倍政権の外交・安全保障政策の課題は次のように整理されます。

【1】小泉政権が強力に推し進めた対米協調路線の成果(安全保障における日米グローバルパートナーシップやイラク問題などで世界に示した国際貢献、良好な日米関係が日本にもたらした国益)の上に立って、これをさらに進展させること。

【2】他方で、小泉外交の欠陥がもたらした歪み(極端な対米一辺倒路線の下での、①地政学なども踏まえた独自の戦略性の欠如、②「これはこれ、あれはあれ」手法の下で失われた外交の体系性と全体への目配り、③靖国問題で最悪化した中国、韓国との関係などアジア外交)を是正すること。

【3】そして、小泉政権が達成できなかった課題(①安全保障の論理立て、②国連安
保理常任理事国入りの問題、③東アジアなど経済共同体、④北朝鮮問題の解決、⑤外交・安保の意思決定メカニズムの整備)の解決に向かい合うこと。

なお、 これらに対して安倍政権が示した理念やビジョン、スタンスは以下のとおりです。

■安倍政権の外交ビジョン

 「安倍マニフェスト」(=政権構想+所信表明+施政方針)をみると、全体ビジョンである「美しい国」のうち外交・安保に関わる中身については、 「世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのあるオープンな国」を国際社会の中で実現することが安倍政権の基本的な外交ビジョンであり、その 下に、

1)世界に向けた日本の魅力のアピール
2)日本の強さを生かした積極的貢献
3)世界の中で活躍、貢献する日本人を育てる

を3本柱として掲げ、また、「美しい国」の実現に向けて新たな国家像を描くべく、「戦後レジームの見直し」を打ち出しています(政権構想)。
 

■基本理念

 これらのビジョンは外交以外の幅広い政策分野に関わるものですが、上記ビジョンを実現する外交・安保に関わる理念としては、「主張する外交で強い 日本、頼れる日本」を政権構想で打ち出し、所信表明では北朝鮮の動向や国連決議に至った流れを踏まえて、「新しい思考に基づく、主張する外交へと転換す る」としてこれをさらに強調しました。

 施政方針では、

イ.自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値観を共有する国々との連携の強化
ロ.オープンでイノベーションに富むアジアの構築
ハ.世界の平和と安定への貢献を3つの柱とし、真にアジアと世界に貢献する」

という形で「主張する外交」を更に推し進めると再整理されています。

さて、安倍政権は成立以来、冒頭の課題に対して応えてきたのでしょうか。
政策課題の妥当性、実行プロセス、実績、アカウンタビリティーの各項目にわたって評価します。

⇒このページの先頭に戻る
 

2.政策課題の妥当性 15点/30点中

 ■形式評価 12点/20点中

評価のポイント

 外交マニフェストについては、外交分野がそもそも相手のある問題であり、国際情勢も日々変動するものであることから、他の分野のように特定の目標を公約する等のマニフェストの性格にはなじまない面があります。

 従って、外交マニフェストの役割は、

①現下の国際情勢と日本の置かれた状況について政権としてどう認識し
②その中で日本として国際社会や特定の国・地域との関係で何を実現すべく努力するかの理念を方向として明示し
③それに向けた方針を提示することにあり、それらの要素が体系性をもって満たされているか

が形式的な評価のポイントとなります。

 評価の視点で見たように、「安倍マニフェスト」には全体として、ポスト小泉外交の課題に即して、上記①、②、③に相当する内容が形式的には盛り込まれています。

 例えば、①については、北朝鮮のミサイル発射を巡る一連の動きを踏まえて日本が「主張する外交」へと転換しなければならない局面であること(所 信)、日本を巡る安全保障環境が大きく変化していること(施政)などが挙げられており、②についても、「基本理念」で触れた通り、イ.ロ.ハ.の3つの柱 を提示しています。③の方針についても、外交マニフェストに入れるべき項目には一通り万遍なく触れられています。


【 外交政策の体系性が不十分 】

 しかし、これは「安倍マニフェスト」を上述のように整理して初めて理解できるものです。現実の安倍マニフェストにはわかりやすい体系性がありません。

 恐らく、この政権の外交の最上位のビジョンは、政権構想で示された「世界に信頼され、尊敬され、愛される、リーダーシップのあるオープンな国」で あり、その下に最も色濃く出ている基本理念が、「主張する外交」です。しかし、それは安倍政権の外交が、いわば「国際社会の中で日本が強い国になることで ある」と言っているという印象を強く与えてしまい、不要な誤解を生む(誤解を排除する効果がマニフェストにはない)基にもなったといえます。

■実質評価 3点/10点中

【「主張する外交」でどんな日本独自の価値を目指すのか提示するべき 】

 個別の課題については、評価の視点でみたように

[1]対米協調路線が色濃かった小泉政権の成果を進め
[2]日米同盟一辺倒だった小泉政権のもたらした歪みを修正し
[3]小泉政権では実現できなかった課題に取り組む

という、安倍外交マニフェストに盛り込むべき内容が、インプットとして盛り込まれているという意味でほぼ適切といえます。

 しかし、体系性・論理性の不備は、[1]~[3]を通じて安倍政権が全体として何を目指すのかを分かりにくくしています。

 例えば、「戦後レジームからの新たな船出」をする「美しい国」を掲げ、憲法改正や集団的自衛権の問題解決と「主張する外交」を唱える安倍政権は、 まずは日本が主体性のある強い国になって、その上で、日米関係をパートナーの関係とし、アジアなどとの連帯を強めるとの、第三の道を路線選択している印象 をもマニフェストは与えています。ここには[2]の歪みの修正の要素が強く出ており、2つの軸の間で政権の性格を読みにくくさせています。

【 安倍マニフェストが応え切れなかった重要課題 】

 以下は、安倍政権がその課題設定の段階で直面していた日本の外交・安保政策の課題です。安倍マニフェストは、その多くに応えていませんでした。
 

イ)日米同盟の次に来るもの

 安倍政権に求められたのは、小泉政権に欠けていた基本的な外交戦略ビジョン(日本の国益のためにどのような国際秩序が望ましく、そのためにはどの ような国とどう組んでいくのか)をもう少し明確に国民に説明しつつ、外務省などの各省庁や周囲のスタッフの知識を吸収し、アメリカ、中国、東南アジア、あ るいは欧州などとの関係の構築にリーダーシップを発揮していくことです。

 日本には、日米同盟をグローバルパートナーシップの関係にまでバージョンアップするとして、その上で、日本が世界で何をしようとしているのかが問 われています。日米で共通の戦略目標をつくり、実質的なオペレーショナルな面での安全保障協力は着々と行っているという意味で、日米関係は基本的に次の時 代へと動いています。次の動きは、他の大国間関係、国際関係全体を見通した中で、日本がどうポジショニングをとっていくかということになります。しかし、 現段階では、最後の国際社会のところが不明確で、内容が詰められていません。
 

ロ)戦後レジームからの新たな船出

 安倍総理が政権構想において国連安保常任理事国入りとともに「戦後レジームからの新たな船出」を掲げたのであれば、まず取り組むべき課題は、国連 憲章の改正だったのではないでしょうか。国連が体質改善をして、もはや第2次世界大戦の延長線上に国連があるのではなく、第2次世界大戦との連続性を切る という形で国連が憲章を改正してからこそ、日本は安保理に堂々と入るのが筋で、入って既成事実をつくってから、集団的自衛権もやむなしというなし崩し的な 改憲論議は、手続的に適切ではありません。

 また、海外からみた安倍総理には元々、ナショナリストというイメージがあり、周辺国や世界に対して警戒心や不信感を持たせるようなナショナリストではないという点にいかに説得力を持たせるのかという点が、戦後レジームからの転換を円滑に進める上での課題となります。

 この点では、時に「強い」姿勢も必要ですが、日本の国際社会での存在感を高めるために、安倍政権はむしろ、国が自らの利益のために動くことが日本 の利益にもなるような場をつくるという、日本の強さを活かし、「リーディング・フロム・ビハインド」という背中を押すようなタイプの外交手法をより一層進 めていく方が現実的ではないでしょうか。

「強い国」を標榜するとしても、日本の影響力は基本的には少子高齢化の進展とともに弱まる傾向にある中で、それを補う何かを見極めることが安倍政権の課題です。
 

ハ)安全保障政策と軍事力の位置づけ

 日本の外交力の弱さについては、「強い、主張する」といった姿勢や気概の問題ではなく、日本が戦後、日米安保の最大の利益享受国であり、日米安保に甘え、それがラクであったがゆえに、マルチな関係に十分な対応を行ってこなかったことに一つの大きな原因があります。

 その中で最も問われているものの一つが、日本が国際社会のプレーヤーとして動く上で必要な軍事力というコンセプトをどう位置づけ直すかという点で す。その際に必要なのは、現在の日本を取り巻く国際環境の中長期的潮流と、日本が国際社会の中で有する強さや弱さを見極めた上で、まず日本としてどのよう な国を目指すかを描き、日本の国益を再定義することです。そして、それを実現するための外交関係のあり方を論じ、その下に日本の軍事力のあるべき位置づけ を見出すという順序での作業が必要となります。

 その際に踏まえるべき視点は、軍事力を巡る国際的な潮流の変化です。小泉政権の下で、日本の防衛政策が国際安全保障に大きくシフトし新たに再浮上 してきたのが、北朝鮮問題や中国の台頭といった、領域防衛の伝統的な世界の重要性です。国際安全保障と領域防衛の両方の要請への同時対応を日本は迫られて おり、そこにどの程度資源を投入するかが新たな課題となりました。

 それは、

①ダイレクトな日本防衛の所要
②国際平和協力ではあっても、ダイレイクトに日本の利益に関係する事態への所要
③国際貢献における「おつき合い料」

という3つの要素の間でどう資源配分を行い、何をどうするのが最もコストエフェクティブなのかを判断する作業といえます。
 

二)中東・イラン問題

 中東には裏でつながっている3つ問題の問題、すなわち、①イスラエルとパレスチナの問題、②イラク問題、③イラン問題があります。いずれも日本に とって困難な問題である中で、最も日本として貢献できるのは、①である一方、③が大きな難題です。欧米にとっては、イランの核兵器所有はイスラエルに対す る大きな脅威という点で、日本にとっての北朝鮮の核保有に匹敵する問題であり、イスラエルの安全保障問題に関連し、欧米がイランについては真剣(逆に北朝 鮮に対して欧州は無関心、アメリカは手ぬるい)である中で、日本がどう対応するかが安倍政権には迫られています。

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3.実行プロセス 17点/20点中

 ■形式評価 9点/10点中

【 小泉政権から引き継いだ課題への、適切な課題設定 】

 安倍政権の外交・安全保障政策は

[1]小泉政権の成果である日米同盟路線強化の上に立って、それをさらに進展させ
[2]小泉政権の日米同盟一辺倒がもたらした歪みを是正し
[3]小泉政権が達成できなかった課題の達成を目指す

という3つのいずれの意味においても、それに応える課題を設定し、その実行に鋭意取り組んできたということはできます。

■実質評価 8点/10点中

【 外交案件に向けた真摯な取り組み 】

 総理就任直後の訪中、訪韓に始まり、訪欧やNATOでの演説、訪米と中東諸国の歴訪など、精力的に外交日程をこなし、かつ、直感の人とも言われた 小泉前総理と比較して、個々の外交案件に真摯に取り組み、その理解に向けた努力を惜しまない誠実な姿勢は、インプット面での形式評価だけなく実質評価をも 高める要素です。国連常任理事国入りに向けた具体的プロセスが見えなかったこと(形式評価)、北朝鮮問題への取組は後述の「体系性の欠如」が実行プロセス にも影響していること(実質評価)などの減点要素を除けば、ここで評価の対象としている短期的な動きとしての実行プロセスには、ほぼ満点を付与できます。

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4.実績 10点/20点中

 ■形式評価 7点/10点中

【 短期的には、着実なインプットがなされた 】

上述のプロセスで宣言されてきた個々の狙いも間違いではなく、小泉政権下で脱線した中国との関係も修復させ、訪米も当面の目的は達するなど、短期的には着実に成果を上げてきたことは、形式のみならず実質の面でも評価できます。

■実質評価 3点/10点中

【 中長期的な本質的外交課題に対する、成果の不足 】

しかし他方で、中長期的にみて、本質的な課題達成に向けた成果という意味では、未達成、あるいは達成の方向に向かっていない要素が多いというのが、 2、実行プロセスでみた個別項目にほぼ共通する特徴です。外交問題は短期の間に具体的成果を求める面(形式評価)よりも、中長期に向けた方向付けや、国際 社会へのアカウンタビリティ、それが発するメッセージが世界や日本に及ぼす影響などの視点から成果を評価すべきものといえましょう。そこには、以下に指摘 するように、アカウンタビリティに大きな問題がありました。

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5.アカウンタビリティー 5点/30点中

 【 個別課題に対する、アカウンタビリティを果たすための努力 】

個別の課題やアクションについて安倍政権がこれまでの他の政権に比べてアカウンタビリティにおいて劣ることはありません。むしろ、外務省レベルだけでな く官邸の広報機能を強化し、総理、外相ともにレトリックには意を用いているなど、説明責任の面での努力が認められます。しかし、次のように外交政策の最も 肝心なところでアカウンタビリティに大きな問題があります。


【 政策体系の不透明性 】

 第一に、政策に体系がなく、パーツの相互関連性がいかなる論理で組み合っているのが見えません。ただ、こだわっているところはあり、こだわりの貫徹ができれば問題ないといえなくもないのですが、恐らくそのような動き方はできないというのが基本的な状況といえるでしょう。

 それが最も鮮明に現われているのが北朝鮮問題であり、一転豪華主義的にその重要性が唱えられる拉致問題と6者協議の関係が噛み合わず、アメリカからも拉致問題の解決とは何かの定義を求められているが、体系論がなければ定義も出てきようがありません。

また、中国・韓国に融和的になる中で、「強い、主張する」国にこだわり、安倍カラーを出す方向にバランスを取るためには、北朝鮮に対して一層強硬的に出 ざるを得ず、世界が拳を下ろす中で、アメリカが1~2年前に言っていた論理に乗って日本は拳を上げるという、いびつな姿を示すことになったのも、体系性の 欠如と指摘できます。


【 外交分野における総理のメッセージの曖昧さ 】

 第二に、アカウンタビリティの評価に直接関わることですが、中長期的にみて、何が安倍総理が伝えたいメッセージなのかが不明です。強く美しく頼ら れる国として戦後レジームから決別するという安倍総理のメッセージが、その中身の曖昧性のために、アメリカとの関係においても、近隣アジアとの関係におい ても、様々な不安定要因を内包し、それがこれまでも、外交関係に不要な軋轢を引き出してきました。

 「主張する外交」といっても、一国として外交で主張するのは当然のことです。結局、問われていることとは、何を主張するのかであり、主張の仕方なのです。

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