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安倍政権実績評価(経済) 印刷 Eメール

経済

argaiv1825

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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア) 政策路線は全体として妥当か。

イ) 中核とされているイノベーション促進政策は妥当なものか。

ウ) 地方・中小企業の活性化などの個別政策は妥当か。

■安倍政権の経済政策路線と評価対象

 通常、経済政策はマクロ政策面では財政金融政策などの総需要面の政策を掲げます。
小泉政権は総需要面では財政緊縮+デフレ脱却に向けた金融緩和とのポリシーミックスを基調とした上で、経済政策の主眼を供給面の構造改革に置き、ミクロ政策の各分野について各々アジェンダを設定しました。

 これに対して当初の安倍政権は、財政面では歳出・歳入一体改革を掲げて小泉路線を継承し、金融政策については、デフレ脱却を掲げることをやめて中 立スタンスに転換しました。結局、安倍政権は独自にマクロ政策の課題設定を行いませんでした。そして、経済政策のポイントを成長政策に置き、その手段とし て、イノベーションその他の課題を設定しました。

 こうして、安倍政権の政策アジェンダはミクロ政策に集中し、その結果として実現される経済成長をもってマクロ経済運営を達成しようとする体系に なっています。財政政策も、小泉路線を継承する配慮は見せつつも、「成長なくして財政再建なし」を財政アジェンダの冒頭に掲げているように、成長政策より も歳出・歳入一体改革の優先順位は下がった形になっています。格差是正も、それを「成長力底上げ」へとつなげることによって、成長政策の文脈の中に吸収し ています。

 私たちはこれを安倍政権の経済政策路線と捉え、①この政策路線全体のあり方と、②その中の柱となっている生産性上昇の原動力となるイノベーション、そして、③地方・中小企業の活性化などの個別政策を評価対象とします。
 

2.政策課題の妥当性 11点/30点中

成長政策に重点、財政・金融課題は手薄に

■形式評価 9点/20点中

 安倍政権が当初に示した前述の課題設定の体系は、日本経済を新たな成長の舞台へと引き上げていくことを「美しい国」の一つの内容として位置付け、 その下に、財政再建や格差是正にも気を配りながら、「イノベーションとオープン」を成長戦略の柱と位置付けた上で、それぞれの政策の方向性を記述し、一部 に具体的な成果の目標設定を入れ込んだ構成となっています。その点では、マニフェストとしての体系性は一応備えています。

 しかし、「○○構想を策定・推進する」といった内容が大半を占め、具体的にどのような施策をどう講じようとしているのかが見えない部分が多いので す。その結果、小泉政権の「改革なくして成長なし」のような強力なメッセージが伝わってきません。「成長なくして未来なし」はほとんどトートロジーです が、安倍マニフェストはこれに近いのです。

■実質評価 2点/10点中

【マクロ経済運営とミクロ政策の関係】 
成長戦略とは、労働や資本などが円滑に回るようそれらの市場を適切に機能させ、その上でイノベーションができるような投資機会が発掘されていくメ カニズムにより、成長基盤を構築することです。経済成長そのものに政策軸を置いてそこにマクロ経済運営上のミッションを託すことになれば、その中でとられ る資源配分のあり方は、日本経済の長期的スパンから見て場合によっては望ましくないものになる可能性があります。少なくともそれは、経済成長率とは切り離 して議論すべき性格のものでしょう。

【成長路線一辺倒の問題】
今の日本の経済政策で残った問題は、いかに財政再建の道筋を付けるかではないでしょうか。景気の回復基調が続く現局面にあって、小泉政権のような切羽詰まった状況には置かれていない安倍政権は、小泉政権時には取り組めなかった本格的な課題に取り組めるはずです。

 また格差の問題は、経済成長の中で解決されるわけではなく、少なくとも一時的には格差が拡大することを覚悟しない限り、高い成長は実現できませ ん。それらを両立させるためには、新たな需要の循環や再分配の仕組みを構築して経済を浮揚させるという困難な手続きに取り組まねばならないのです。

【金融への課題設定の薄さ】
小泉政権下で不良債権処理が一段落しているためか、金融部門に対する課題設定が薄いです。今、日本の金融は国際マーケットの中で存在感を喪失し、孤立化が進んでいます。その危機感は担当大臣や金融庁などは持っていても、官邸レベルでの問題意識は見えてきません。

 バブル期にはニューヨークやロンドンと並ぶ世界の三大市場の一つに数えられていた東京の金融市場は、今や時価総額でニューヨークの三分の一に低 下、アジアナンバーワン市場の地位も危うくなっています。これだけの重要な問題に対し、安倍マニフェストでは政権構想で一言触れただけです。「責任ある企 業経営とガバナンス強化」もまた、政権構想では示されましたが、課題設定として充分なフォローアップがされていません。

 金融機関の経営問題も、小泉政権下で不良債権比率の低下目標は達成したものの、地方金融機関の経営や財務が充分に立ち直ったわけではありません。 大手金融機関にしても、不良債権処理を済ませ、二〇〇七年に公的資金を全額返済した後の次の大きな課題に取り組めていません。それは、欧米金融機関と伍し ていけるだけの競争力強化に向けた経営戦略の構築、例えばプロジェクトファイナンス(ノンリコースローン)のスキルアップと、その証券化のための資本市場 の充実により、間接金融と直接金融を有機的に結び付け、銀行の資本市場へのリスク移転機能を強化することなどが挙げられるでしょう。

 今の金融行政は、消費者や預金者、投資家の立場に立った公正の確保の観点からの処分行政に偏っている嫌いがありますが、経済活性化の視点から金融の将来ビジョンを描くことも重要な課題です。

 

3.実行プロセス 7点/20点中

“官邸主導”体制も整合性ある施策構築ならず

■形式評価 5点/10点中

 以下は、安倍マニフェストに関わるその後のインプットの状況です。

【イノベーション二五戦略会議】
高市イノベーション担当大臣の下に、内閣特別顧問の黒川清氏を座長として設置されました。イノベーションが生み出す二〇二五年の社会を描き、それ に向けた長期戦略を策定するもので、本年五月に「長期戦略指針『イノベーション二五』」の最終とりまとめが公表され、六月にその内容が閣議決定されまし た。その後、経済財政諮問会議は「成長力加速プログラム」をとりまとめました。

【地域産業活性化法と地域資源法】
すでに小泉政権下で策定された「経済成長戦略大綱」に関連した三法案──産業活力再生特別措置法等の改正法案、地域への企業立地を促進する法案 (いわゆる地域産業活性化法)、中小企業の地域資源を活用した事業促進のための法案(地域資源法)──が国会に提出されました。ポイントは三法のうち二法 が「地域」と「中小企業」に着目していることで、経済産業省が好景気の中で残された経済政策の課題をこの二つに絞り、それらに着目した成長力の底上げを図 ろうとしていることを反映しています。

 インプット自体は従来の政権に見られない活発さと広範さを示し、政権の精力的な取り組みがうかがえます。しかしそのほとんどが、将来の理想を描くか、それに向けたロードマップを描くだけで、真に施策としてのインプットと言えるか疑問です。これらが相互にいかなる整合性をもって整理されるのかがわかりにくく、政権としての政策体系の構築には至っていません。

 しかし、「歳出・歳入一体改革」を掲げながら、歳入改革の名に値するような政策インプットはなされていません。これは前述のように、課題設定の段階で歳入改革を先送りにしているという、安倍マニフェストに起因する欠陥です。「歳出・歳入一体改革」が掲げられた以上、そのインプットがなかったことはマイナス評価となります。

■実質評価(意思決定プロセス) 2点/10点中

 施策のインプットは各種「会議」の設置やテーマの設定に止まり、「何をするのか」という着地点や政策の基本的な設計思想を明示しているとは思われ ません。補佐官や特命大臣を多数起用し、官邸にさまざまな会議を設ける形で始まった安倍総理の「官邸主導」は、これまでの状況を見ればうまく機能しておら ず、それぞれのパーツがばらばらで、結果的には官房長官があらゆることを引き受けなければならないという困難な状況にあります。

 小泉前総理は、各省庁が何を考え、なぜ反対しているのかを真剣に聞こうとしましたが、安倍総理は霞が関が何を考えているのかについてほとんど関心 を持っていないとの見方もあります。官邸で政策を打ち上げても、現場で責任を持つ所管省庁が受け入れられないものであれば、実効性ある施行はできません。 官僚をいかに使いこなせるかということに、総理のリーダーシップが問われています。

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4.実績 6点/20点中

持続的成長を支える基盤整備は不充分

【「イノベーション戦略会議」の長期指針】
「人口減少下でも技術革新、新しいアイデア、ビジネスなどによるイノベーションで持続的成長と豊かな社会を実現する」として、社会システムの改革 戦略と技術革新を一体的に推進するロードマップが提示されました。その中で早急に取り組むべき課題としては、ロボットによる生活支援や若手研究者向け競争 的資金の充実強化など174項目が盛り込まれていますが、その目玉の一つが大学改革で、複数専攻制度の導入や文系・理系区分の見直しなどが盛り込まれまし た。

【「成長力加速プログラム」とはなにか】
経済財政諮問会議は本年5月に、一人当たり生産性を今後5年間で1,5倍にするプログラムを策定しました。このプログラムは、
①成長から取り残されている人材・中小企業を支援する「成長力底上げ戦略」、
②生産性の低い分野や消費者の潜在的ニーズが満たされていない分野の効率と質の向上を図る「サービス革新戦略」、
③国際競争力の向上に向け、最先端技術の創造や教育・研究の強化、貯蓄から投資への流れを加速させる「成長可能性拡大戦略」
の3つの柱で構成されています。

【中小企業・地域対策】
 2007年6月に「経済成長戦略大綱」の改定が行われました。これは2015年度までに年平均2,2%の経済成長を実現するために策定され、毎年 見直すことになっています。今年の大綱には、中小企業対策として再生支援を行う「地域中小企業再生ネットワーク」の創設や、団塊世代の大量退職者を中小企 業と結び付ける「新現役チャレンジプラン」の創設などを記載しました。地域対策では、国際会議の誘致を進めて開催件数を五年間で五割以上増やすことや、農 村・漁村の活性化にむけて5年間で1000以上の新たな取り組みを創設することを目指しています。
 

■形式評価 4点/10点中

 インプットの成果を見ると、将来に向けたビジョンやロードマップには歴代政権に見られない多彩さと豊かさが現れ始めたのは、一つの成果と言えま す。しかし、インプットされた施策のほとんどが、将来の理想の絵や、それに向けたロードマップを願望として描いただけで、実際には「提案」の域を出ず、形 式評価の対象となりうるものはほとんどありません。「活力ある超高齢化社会に向けた全体システムの再設計」には程遠いものでした。

■実質評価 2点/10点中

【地に足の着いていない政策路線】
大きな懸案である財政の歳出・歳入一体改革は、与党内の空気も昨年とは様変わりし、消費税増税の声もなくなりました。確かにこの2、3年の好景気でマクロバランスは大きく改善していますが、そのような時こそ行われなければならない、例えば不景気になっても持続可能なシステムへの構築といったアジェンダへの取り組みはおろそかになってしまいました。

 他方、成長政策自体についても、イノベーションや再チャレンジを唱えたところで、たとえば「再チャレンジ税制」を活用できるのはある程度上のクラスであり、誰もが短期間にパソコンのプログラムを作れるようになって生産性を上げられるわけではありません。成長戦略でむしろ見えやすかったのは、お蔵入りとなった「ホワイトカラー・エグゼンプション」で す。現在の日本の労働市場は新しい技術に対してデッドロック状態になっており、企業の中核労働力が生産性を発揮できないでいます。そこに柔軟な雇用体系を 構築し、技術革新の中核を担っているプロフェッショナルの生産性を高めれば、成長政策に貢献するところ大であると考えられます。

 結局、安倍政権の経済政策は、さまざまな施策を総花的に発信して何かをやっているような雰囲気を出しているに過ぎないように見えます。


【経済実態で見たアウトカムは不充分】
世界のトップ100社に入っている日本企業は少なく、収益率も欧米や中国に及びません。金利が低いのは、収益率が低いということです。現在、企業の収益や税収が好調なのは円安による面が大きく、日本の産業が筋肉質になったとは言い切れません。

 グローバル資本主義下の成長産業は金融と情報で、日本経済全体が生産性を大幅に上げるカギはここにあります。しかし、これらの分野で米国の牙城を崩すのは容易ではありません。それなら、日本は金融や情報とは異なる成長産業を生み出さなければなりませんが、その答えはまだ出ていません。

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5.アカウンタビリティー 5点/30点中

成長路線一辺倒に国民の理解は得られるか

【イノベーションと経済成長】
例えば、産学連携のために研究開発費を増額し、あるいは税額控除を講じるとしても、それらの施策がどれほどイノベーションを促進し、将来の経済成 長につながるかは未知数です。将来起こるかもしれない僥倖にすべてを賭けるようなことになります。本来、イノベーションは民間経済主体がどれだけ頑張るか に依存しています。「官から民へ」の流れの中で補助金、政策金融、規制など多くの政策手段を次々と放棄してきた政府に民間の行動を担保する手段は少なく、 その実効性についてどこまでアカウンタビリティーを果たしうるのかという問題があります。

【経済成長と財政再建】
財政再建を経済成長と結び付けて、成長経路を伸ばしていけば増税はいらないといった最もオプティミスティックなシナリオに基づいた議論を行うべき ではありません。当面の景気の良し悪しとは離れて、長期的に租税基盤をしっかりさせる仕組みを構築する議論をすべきです。すなわち、資本所得、労働所得、 金融取引全般を正確に把握するシステムに、社会保険料の徴収を組み込めるような仕組みを構築し、国民が納得できる公平な公的負担を担保していくべきです。 歳出改革も、現在の支出構造が日本の社会にとって本当に必要かどうかという文脈で見直されるべきでしょう。

【経済成長と格差問題】
成長政策という格差を拡大する可能性がある政策の一方で、格差の問題にも取り組むのなら、地域的にも年齢的にも所得階層的にもバランスする再配分のデザインを並行して構築し、ワンセットで説明しなければなりません。

 必要なのは、現在の格差感の本質的な原因に着目し、それに応える説明を行うことです。

 第一に、不平等の源泉の相当部分が資産の相続や資産所得に由来しています。資産所得の正確な捕捉や資産税の議論を正面切って行うべきでしょう。

 第二に、不公平感の背景には、今の経済社会システムの中で頑張っても無駄だという不信感が強まっていることです。結果として発生する格差に対する納得感が得られる仕組みこそ国民は求めており、その点のアカウンタビリティーを果たすことが、結果の平等を重視する民主党の議論よりも、多くの普通の市民の共感を得るのではないでしょうか。

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