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安部政権実績評価(少子化) 印刷 Eメール

少子化

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argaiv1059

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
12/20
4/10
9/10
5/10
9/10
7/10
16/30
14/20
16/20
10/30

 

1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア)政治資金規正法改正案によって、政治資金の流れに関して透明性が確保されたか。

イ)子育てに対する社会的サポートは適切か。

ウ)上記の政策実現のための財源論がきちんとなされているか。

 

安倍政権にとって、少子化問題には2つの側面があります。

一つは、トータルな社会全体の国家運営の問題としての少子化問題という切り口で、もう一つは、この政権の思想的なポジションという観点からの位置づ けです。ただ、今後20~25年間は、新たな労働力の数が既に決まっており、懸命に少子化対策を講じて子供が増えても、基本的には何も変わらず、それを前 提にどうシステム対応できるかが課題です。
具体的には、①右肩上がりにはならない人口減少社会を前提に、社会保障制度を始め様々な社会システムをどう見直していくか、②人口減少の中で高齢化が進む状況において、現役労働力をどう確保するかです。

その答えは労働力率の引上げですが、その余地は、高齢者の雇用延長か、女性の労働力率の引上げにしかありません。この観点からすると、既に非婚女性の労働力率は80%を超えているため、結婚や出産によって職場を離脱する女性の数を減らし、既婚女性の労働力率を引上げることが必要となります。

また、日本が大量に持ちながら、十分に活用されていない高学歴で優秀な女性労働力をどう活かすかも重要です。今後20~25年は、意思と能力のある女性や高齢者を労働市場にきちんと組み込んでいくことが課題といえるでしょう。そのためには、現在の常用雇用や終身雇用を前提とした労働政策や雇用管理のシステムを、大幅に変えなければなりません。

 システムを組み替えるにあたっては、基本的に、日本の現在の出生数減少の原因の相当部分は、働き方にある
、ということを踏まえる必要があります。つまり、現在の企業側の給与体系や雇用管理・生産現場は、フルタイムの労働者と扶養家族(専業主婦)という暗黙の前提の下に作られているのです。

この前提の下では結婚や出産はもちろん、女性が週60時間もの長時間労働をしながら子供をゼロ歳から保育園に預けることも現実には困難です。また、 単なる労働時間の短縮では問題解決にならないばかりか、このようなシステムは、既婚女性の労働力化が必要となった途端に崩壊することになります。

他方では、子育てを社会的にどうサポートしていくかという問題があります。そのためには、保育等の直接的なサービスもあれば、母親をサポートする活動、育児休業制度など、様々なサービスが用意される必要があります。

 しかし、多額の財政負担で子育て支援に取り組んでいるフランスのような国を除き通常の欧米諸国の制度と比べても、日本のこの分野のサービスや支援 は非常に弱く、金額的には、欧米諸国の6分の1~7分の1とされます。ベーシックなサポートを作るには、GDPの1%~2%(5~10兆円)の財源が必要 で、新規財源なしには政策的に不可能です。

 すなわち、少子化対策の問題とは、安倍政権が今後の財政再建の中でこの分野をどう位置づけ、増税、あるいは増税以外の形での社会的な財源を構築するのかという問題になります。

特に今の局面は、少子化の背景にある問題は何か、あるいは少子化がこのまま進展すると日本社会に何が起こるのかといった点からフィードバックして政策を導き出すことが安倍政権に問われています。

 加えて、安倍政権は思想的なポジションを明確にしようとしている政権であることから、少子化のような多様な価値観に関わる問題に対するポジションは慎重に考えねば、不毛な思想対立に入っていく恐れがあります。


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2.政策課題の妥当性 16点/30点中

■形式評価 12点/20点中

【一応の体系性は備えていますが、施策の工程・財源が示されていません】
安倍政権は、政権構想から「進路と戦略」までに、下表のような課題を設定しました。
以下、これらの課題について、上記の基本的な課題を踏まえながら、その妥当性、プロセス、実績について評価を行います。

a)政権構想
「子育てフレンドリーな社会」の構築
ビジョン
b)所信表明
人口減少に係る認識
認識
「第2次ベビーブーム世代がまだ30歳代である、残り5年程度のうちに」
タイムスパン
少子化対策に向けた内閣の総力をあげた取組み
決意
「子育て家庭に対する総合的な支援」
方針
「子育てを応援する観点からの、働き方の改革」
「家族の価値を社会全体で共有できるような意識改革」
c)施政方針
「安心して結婚し、子どもを産み育てることができる日本」
ビジョン
「家族の素晴らしさや価値を再認識」
理念
①児童手当の乳幼児加算の創設と3歳未満の第1子、第2子に対する手当てを一律1万円へ倍増
具体的政策手段
②仕事と子育て両立支援のため、育児休業給付の引上げと延長保育など多様なニーズへの対応
③働く人に優しい社会、家族と触れ合う時間の増加のため、長時間の時間外労働の抑制に向けた取組み
④子どもを虐待から守る地域ネットワークの市町村への設置
d)「進路と戦略」
⑤産科医療・小児医療システムの充実
具体的政策手段
⑥地域子育て支援の充実など子どもの成長に応じた総合的な子育て支援
方針
⑦子どもの生命や家族・地域の絆の大切さの共有
⑧税制面でも子育てを支援するための取組み

このように、安倍政権は基本的に、政権構想の冒頭にある「家族の価値や地域のあたたかさの再生」という思想から「子育てフレンドリーな社会」等の少子化対策に関わるビジョンや理念、目標を導き、その下に政権の姿勢と数値目標も取り込んだ具体的な施策を明示し、マニフェストとしての体系性は一応整えています。
但し、5年というタイムスパンでの決意を示しながら、施策の工程は示されず、相当な規模で要するはずの財源についても、「本年秋以降」の検討として逃げています。

■実質評価 4点/10点中

【課題設定は適切ですが、社会システム全体の再設計の視点がみられず、財源も曖昧です】
評価の視点で見た基本課題のうち、育児への経済的支援や労働の問題、地域社会のサポートなどの基本的な視点を踏まえた課題設定となっていますが、少子化対策が社会システム全体の再設計に関わる問題であるとの視点が現われていません。

また消費税を含む税制改革の問題が、少子化対策とも関連することを示している点は評価できますが、それを財源論として具体化することから逃げているため、この分野で必要な抜本的な施策の体系化が困難になっています。

そのため、対症療法的な施策の羅列となっている観が強く、少子化対策という大掛かりな取組みの中で、それらが全体的な問題解決の中でどこまで寄与しうるのかの位置付けも分かりにくいといえます。


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2.実行プロセス 14点/20点中

■形式評価 9点/10点中

【重点戦略会議の決定が、事実上の閣議決定として政策プロセスに組み込まれました】
施策のインプットをみると、施政方針に盛り込まれた前述①~④の施策(児童手当乳幼児加算、育児休業給付の給付率等)については、そもそも施政方針が同じ通常国会に提出された予算と一体であり、国会の議決で予算化ないしは対策化が講じられるものを挙げていることから、評価の意味はありません。

「進路と戦略」に掲げた前述⑤~⑧の施策は、医療システムの充実や税制面での支援など、今後の具体化を待つ段階です。むしろインプット評価として重要なのは、本年1月に「子どもと家族を応援する日本重点戦略」を策定すべく立ち上げられた「重点戦略会議」です。

少子化対策基本法に基づき、総理を議長として全閣僚を構成メンバーにする少子化社会対策推進会議が、日本の少子化対策に関する最高意思決定機関として設けられており、「重点戦略会議」は、この下にタスクフォースとして置く形が取られました。この会議の決定は事実上の閣議決定として政策プロセスに組み込まれることになります。

■実質評価 5点/10点中

【重点戦略会議が実効をもつかは今だ未知数で、財源論は参院選後に先送りされました】
家族や地域社会という価値を重視する安倍総理自身が少子化対策に高い関心と問題意識で取り組んでおり、前述のように「重点戦略会議」を設置した上に、そこでの課題設定も適切といえます。

但し、それがこの分野での本質的な課題解決に向けた実効あるプロセスを実際に進むかどうかは現段階までは未知数のままです。2007年6月1日に出た「重点戦略会議」の中間報告は、基本的な物の考え方を整理して議論の出発点をつくるものにとどまりました。
そこでは、個人の仕事と生活を両立させるワーク・ライフ・バランスの実現や、PDCAサイクルの定着が謳われましたが、財政投入やそのための税制改革等の財源論については、参院選後まで先送りされています。


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3.実績 16点/20点中

■形式評価 9点/10点中

【システム組み替えに向け、重点戦略会議を通じ一応の実績がみられます】
ここでは、少子化対策の実績を何と捉えるかが、まず問題です。出生率の上昇や子どもの数の増加は、20~30年のタームで動く世界であり、2~5年 というタームでの数字では評価できません。部分的には育児休業の取得率や保育士の定員増などの指標による評価も考えられますが、これまでの安倍政権期間は その評価を行うにしても短過ぎます。

 そこで、実現した個別施策を成果だとすれば、例えば、19年度予算などでも育休の5割への引上げ、放課後児童クラブの増設、待機児童の減少、児童 手当の引上げなどが実現されており、育児休業制度に係る制度改革、パート労働法の改正による均等処遇への改革、労働契約法制による雇用の安定化なども評価 の上で加点要素にはなるでしょう。

 しかし、この分野で焦点を当てるべき成果とは、むしろ、基本的な「働き方の改革」について、労使含め国民的なコンセンサスの形成や、それを具体的な制度の形にできるかどうかです。その意味で、世の中の価値観や物の考え方をある程度変えていくことを前提にした制度の構築に向けてどう進んだかが、評価の一つのポイントとなります。

他方で、例えば労働時間の2割短縮で生産性が2割低下することは、日本がグローバル競争に置かれている中であってはならないことであり、それに見 合った生産性の向上がセットでなければなりません。意識を変えても、それで生産性が下がらないことを裏づける実態的な条件整備は、この分野の成果を図るも う一つの視点となります。

上述のような少子化対策の成果の性質に鑑みれば、システム組み替えへのコンセンサス形成や、仕組みの構築に向けたステップが動いているかどうかが、成果の形式評価のポイントになります。

「重点戦略会議」はその意味で、ワーク・ライフ・バランスの実現や次世代育成支援の制度的枠組みの構築、税制改革や財政投入、PDCAサイクルの定着を盛り込んでおり、一応はその方向に動き出したといえます。

■実質評価 7点/10点中

【システム設計の段階に踏み込んだことは評価できますが、財源論が先送りされました】
形式評価と同様の観点からみれば、この会議のプロセスの実質評価が成果の実質評価にも相当することになります。これに加え、安倍政権がこの分野でも、小泉政権とは異なり、システム設計の段階に踏み込んでいるとうかがわせることは、成果の面での加点要素になるでしょう。

一方で、財政投入やそのための税制改革等の財源論が先送りされていることは、実効あるシステム設計に不可欠な要素が抜け落ちていることになり、マイナスといえます。
 

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5.アカウンタビリティー 10点/30点中

 【一定の説明責任は果たされましたが、政策体系の選択肢は示されず、それと少子化対策についての安倍政権の思想の整合性も説明されていません】
「重点戦略会議」の議論は公開されており、基本的には、政府がどのような課題に取り組んでいるか、見える形にはなっています。また、制度やシステム の大きな変更は別として、前述のように19年度予算を始め個別政策のレベルでは、相当の施策がプログラム化されています。これらに基づいてマニフェストを 策定すれば一定の説明責任は果たせるでしょう。
しかし、重要なのは、この分野で安倍政権として何を新たに打ち上げて国民にアピールしようとしているかということです。重点戦略会議の中間報告は基本的な認識を確認するにとどまり、そこまでの踏み込みはみられませんでした。
問題は、本格的な少子化対策に要するはずの財源論が秋まで封印されていることであり、その限りにおいて、少子化対策についてのアカウンタビリティーが十分に果たし得るかは疑問です。国民の合意が本当に必要な分野であるなら、選挙の段階で、負担論も含めた具体的な問題提起と一定の政策体系を選択肢として有権者に示さねばなりません。
もう一つの問題は、少子化対策が価値観とも関わることから、理念性や観念性の強い安倍政権の下では、現状認識→問題の抽出→目標設定と具体的な政策体系という政策策定の積み上げのプロセスではなく、いきなり価値のレベルへと議論が飛躍し、教育再生会議にみられるような混乱がこの分野でも起こりかねないことです。
確かに、少子化対策そのものには様々な形態の家族の存在を前提に取り組んでおり、重点戦略会議の基本的な考え方も『「すべての家族、すべての子供」を応援 する日本』というタイトルになっているように、安倍総理自身もいかなる形態や種類の子どもや家族も全てひとしく支えるとの考え方を支持しています。

しかし他方で、「多様性は認めても、やはり標準形はある」としているように、安倍総理は健全なる民族の誇り、豊かな自然、親への敬愛と子を慈しむ親という世界観を強く持っているように見えます。
これが政策論にどう落とし込まれ、政策体系といかに整合性を持つのかについては未だ十分に説明されておらず、こうした思想性が強く前面に出てくる過程で、そこにいかなるアカウンタビリティーが果たされるかが注視すべき課題として残されています。


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