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安倍政権実績評価(年金・社会保険庁) 印刷 Eメール

年金・社会保険庁

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argaiv1059

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
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実質評価
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1.評価の視点

 社会保障制度改革においては、大きく2つの論点があり、これに対していかに応えているかどうかが、評価の視点となります。

ア)年金システムは持続可能なものになっているか。

イ)社会保険庁の本質的な問題は解決しているのか。

(1)年金システムの持続可能性

 平成16年の年金改革は、マクロ経済スライドと保険料率の上限を法定化することで、給付水準と保険料率の引き上げ幅を抑制し、形の上では100年間は保険財政のつじつまが合うようになりましたが、その前提となる出生率なども狂い始めています。

また、マクロ経済スライドはデフレを脱却しなければ稼働しないためまだ発動されてはいません。これは、年金保険料率は賃金上昇率から0,9%を引い て決めるという方式で、その結果、所得代替率は2023年には50,2%になると政府は試算しています。年金改正で所得代替率の50%は守るというのがそ の際の政府の約束だったのです。

 この0,9%のマイナスとは、公的年金被保険者数(おおむね労働力人口)の減少率0,6%に0,3%を加えた数値です。しかし、平成16年の年金 改革が前提とした平成14年1月発表の将来推計人口よりも、平成18年12月の推計では、合計特殊出生率はより低く(1,39人→1,26人)、平均寿命 はより長く(男80,95歳→83,67歳、女89,22歳→90,34歳)になっています。

こうした新たな年金財政の圧迫要因を吸収するためには、スライド調整期間を延ばしていくことにならざるを得ません。政府は当初、20年後の2023 年度までマクロスライドを実施し、2024年度からは従前どおり、原則である賃金スライド、物価スライドに戻るとしていました。より厳しく少子高齢化が進 展すれば、それは先へ延ばすことになり、法律上もそのような規定となっています。スライド調整率が変わらない以上、期間を延ばすことは、すなわち、将来世 代にしわ寄せをする期間が長くなり、後世代の給付水準をさらに下げていくことにほかなりません。

(2)社会保険庁問題

 社会保険庁問題のそもそもの発端は、2004年6月の年金改正の際に「年金未納国会」となり、当時の福田官房長官の辞任など政治家も同庁の問題で 手痛い目に遭ったことに対する「お仕置き」でした。その後、同庁の杜撰さが様々な事件で明らかになり、世間からも糾弾を浴びるに伴い、社会保険庁バッシン グの様相を呈するようになりました。

同庁に対するバッシングもさることながら、より基本的な政策論が必要でしょう。わが国では、政府部門間で課税ベースの多くが重複し、一体徴収はほと んどなされていません。また、基礎年金のように全国民共通の社会保障制度を持ちながら、国税と社会保険料の一体徴収が行われていません。

これらの点は、主要先進国と比べて特異であるという指摘があります。これでは納税者や一般国民の立場に立っているとはいえず、「小さく効率的な政府」ともいえません。こうした点を重視すれば、社会保険庁改革のスタートラインとして、国税と一体で年金保険料を徴収することが一つの選択肢となります。

この点では、社会保険庁を別組織として残すことからスタートしている政府・与党案よりも、民主党の「歳入庁法案」のほうが優れていると言えます。また、社会保険料の徴収事務をかつてのように古巣の市町村に戻し、地方税徴収部門に担わせることも、もう一つの選択肢となりうるでしょう。


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2.政策課題の妥当性 8点/30点中

■形式評価 6点/20点中

 安倍総理は、政権構想において「日本型社会保障モデルで安心安全のセーフティネット」を謳い、所信表明では「持続可能な『日本型社会保障モデル』 に向けた制度の一体的な改革」を繰り返しました。施政方針においても、若い世代の安心や制度に対する信頼を訴え、「ねんきん定期便」の一刻も早い整備など 親切で分かりやすい年金制度を確立するとし、「社会保険庁の解体的出直し」と、「厚生年金と共済年金の一元化」を盛り込んでいます。

 そして「進路と戦略」では、
①中長期的展望に立って国民が負担可能な範囲となるような制度全般を不断に見直す
②高齢者などの就業率を高め社会保障の支え手を増加
③安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを避ける
④パート労働者への社会保険の適用拡大
⑤基礎年金国庫負担率を二○○九年度までに二分の一に引き上げる
⑥年金財政の検証に早急に着手
⑦社会保険庁の廃止・解体に係る設計や強制徴収の国税庁への委託等
⑧医療・介護サービスに係る地域の提供体制の整備
⑨レセプトのオンライン化などによる医療供給コスト低減
⑩今後五年間で医療の公的給付の内容・範囲・負担と給付のあり方の見直し
⑪介護保険の見直し
⑫生活保護にかかわる生活扶助基準の見直しおよび障害者の自立に向けた就業支援

などを掲げました。

■実質評価 2点/10点中

【本質的な制度論から目をそむけたアジェンダ設定】

 しかし、具体的な施策のレベルでは、そのほとんどが、「年金・医療・介護・社会福祉の一体的な見直しで持続可能な制度にする」というビジョンとど うつながるかが分かりにくいものになっています。それらの施策を通じて「日本型社会保障モデル」がどう実現するのかはまったく見えてきませんし、美しい キャッチフレーズで表されたビジョンや理念と個別政策の両者のギャップがあまりに大きく、それをつなぐ政策体系が存在していません。

 評価が低い理由の一つは、安倍氏の政権構想などに掲げられたアジェンダ自体の矮小化で す。特に年金については、制度の持続可能性こそが問われているはずなのに、社会保険庁の解体や被用者保険の一元化(共済年金を厚生年金に統合)などでとど まっています。現行の賦課方式の年金の問題は、少子高齢化が進む中で、後の世代にあまり負担をかけずにどう維持するか主題です。そこでは、思いつきのよう に並べられるミクロの政策ではなく、マクロベースでの制度自体の持続可能性の確保、特に医療では財源確保が必要です。安倍政権は、社会保障に対する危機感 があまりに薄いか、課題に向き合えば必要となる増税論議を参議院選以降に先送りするためにあえて本質的な課題から逃げているとしか考えられません。こうし た逃げの姿勢が、将来世代へのツケ回しにつながることになります。


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3.実行プロセス 10点/20点中

【政策論に進展なし】

■形式評価 8点/10点中   実質評価 2点/10点中

(1)年金 

 安倍マニフェストに盛り込まれた被用者年金制度の一元化については、平成一八年一二月の政府与党合意等に基づき、民間被用者、公務員、私学校職員に同一保険料、同一給付を実現すべく、所要の法案が準備されましたが、結局継続審議となっています。

 年金制度の最大の課題は、基礎年金の国庫負担率の二分の一への引き上げの財源確保です。それは平成二一年度に実現させることに決まっており、その ためには平成二○年度は所要の法案を出す必要があり、その財源を消費税増税に求めるのであれば、来年年頭からの通常国会に税収改革法案を提出しなければ間 に合いません。

 そのためには、本年内に消費税引き上げの合意形成を済ませ、それを決定しておく必要がありますが、基本的には参議院選後に先送りされ、評価できるような進展は見られません。

(2)社会保険庁問題 

 政府は、「日本年金機構法案」を166国会に提出し成立させました。この法律は、公的年金制度の安定的な運営のためには国民の信頼に応えることの できる事業運営体制が不可欠であるとして、社会保険庁を廃止し、新たに非公務員型の公法人を設立して一連の運営業務を担わせ、民間型の経営手法を導入し て、能力と実績に基づく職員人事、民間企業へのアウトソーシングの推進などにより、サービスの向上や効率的・効果的な業務運営を実現しようとするもので す。

 現行の社会保険庁の機能は、安倍総理が施政方針演説で六分割を公約した通り、
①新年金法人が厚生労働大臣の委任を受けて、その直接の監督の下で公的年金にかかわる一連の業務運営を担い
②厚生労働省が運営や財政に責任を負い、国が年金特別会計を備えて保険料徴収・年金の支払いを国の歳入・歳出として行い、年金手帳や年金証書は国の名義となり
③年金新法人から業務の民間委託を幅広く行い
④悪質な保険料の滞納事案については滞納処分の権限を国税庁に委任し
⑤保険医療機関の指導監督等は厚生労働省の地方厚生局が行い
⑥健康保険組合に関しては設立が予定されている公法人で非公務員型の全国健康保険協会が担う
ことになりました。年金新法人の名称は「日本年金機構」とし、平成22年1月に設立を予定しています。

 他方、社会保険庁の側でもすでに業務革新に取り組んできましたが、平成19年4月には「社会保険庁は変わります宣言(パート3)」を出し、160項目の改革メニューを掲げた「業務改革プログラム」に取り組んでいます。

ここでは、

①「サービスの向上」として年金個人情報の提供および年金記録の整備、窓口の混雑緩和と団塊世代への年金裁定の対応、全国統一の業務マニュアルの組織化・拡充による業務の標準化、
②「公平で確実な適用・徴収の実施」としての国民年金保険料の納付率の向上、厚生年金・健康保険の未適用事務所に対する重点加入指導や職権適用の強化、
③「事務処理の効率化および予算執行の透明化」としてのオンラインシステムの刷新、業務の都道府県単位への集約化、電子申請の利用促進、外部委託の拡大、予算執行の透明化、④「職員意識改革と能力本位の人事政策の推進」などの改革に取り組んでいます。

 このように、施策のインプットには進展がありますが、社会保険庁にかかわる本質的な政策論に、政権として取り組むには至りませんでした。


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4.実績 10点/20点中

■形式評価 8点/10点中

 年金制度の持続可能性を確保する、あるいは現行制度の歪みを是正する上での実効ある措置がとられてきたとは言えません。
社会保険庁問題については、安倍氏が政権構想などで触れた通りの内容が法案成立によって実現したことは、形式的には一つの成果です。

■実質評価 2点/10点中

【程遠い「国民の信頼回復」という成果】
年金記録漏れは、確かに国民の信頼を裏切る重大な問題です。与党も救済法案の提出で素早い対応を図りましたが、まず本件の事後策をしっかりと行っ た上で、基礎年金番号でも住民基本台帳番号でも、納税や社会保障手続きに適したほうに番号を統一することです。市町村の持つ住民情報を利用しない現在の制 度に無理や無駄があることに目を向けるべきでしょう。

 そもそも、1億3000万人もの人口で保険料方式の「国民皆年金」を社会保険庁なり「日本年金機構」といった1つの組織が担うことができるのかという視点での政策論も必要なはずです。

 いずれにせよ、「人生のリスクに対する安全安心のセーフティネット」として年金システムが国民の信頼を回復したかどうかが、「実績」評価のポイン トだとすれば、評価は低いものにならざるを得ません。この点で言えば、国民年金の納付率は前年同期比を下回っており、07年度の目標を下回ることが確実視 されています。

 納付率が改善しないことは、信頼をまだ回復していないことになります。


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5.アカウンタビリティー 5点/30点中

【少子高齢化の中で年金をどう維持していくのか】
年金制度にかかわる議論は、現行の賦課方式の維持という枠内で行われてきましたが、賦課方式には少子高齢化に弱い財政調達方式であるという問題が あります。政府・与党は平成16年の年金改革でマクロ経済スライドを入れたことによって問題は解決したと説明していますが、実態は違います。

 平成18年12月の新しい人口推計で、今後、少子高齢化が想定以上に進むことが示された中で、賦課方式の年金を現役世代に極力負担をかけずに維持 していくためには、結局、年金の削減か、支給開始年齢の引き下げか、保険料のさらなる増額といった、国民の耳に痛いお金の話をしなければならないのです が、与野党ともにその点からは逃げています。

 現在、政治のアジェンダになっている厚生年金と公務員共済年金の一元化や、公務員や社会保険庁を叩いたり、パートへの年金を少し拡大してみせたりするのも、いずれも大変狭いアジェンダ設定であり、年金問題に取り組んでいるという印象を与えるだけです。

 野党もそれに乗ってしまっています。民主党の出した歳入庁法案は重要な論点提起を含んでいるものの、消えた年金被者救済法案など、議論はもっぱら ミクロレベルに終始しています。より大きな制度の枠組みに関する論点、とりわけ少子高齢化の中で年金をどう維持していくかという重い話を、両輪でしていか ねばなりません。

 加えて、平成21年度までに基礎年金の国庫負担率を2分の1に引き上げるためには、それに必要な約2兆7000億円の財源について、消費税を含む 税制の抜本的改革で対応する以外にありませんが、それは前述のように、本年末までの税制改革で決めておかなければ間に合いません。

 確かに、「消費税を含む税制抜本改革」は与党の税制改正大綱にも繰り返し入っており、安倍総理の施政方針でも掲げられていますが、「上げ潮」路線に隠れ、政治がそれに本気でどこまで取り組むかが見えていません。


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