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安倍政権実績評価(格差・再チャレンジ) 印刷 Eメール

格差・再チャレンジ

「言論NPOの評価基準」をみる

argaiv1059

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
12/20
4/10
8/10
3/10
7/10
2/10
16/30
11/20
9/20
5/30

 

1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア) 安倍政権の「成長戦略」は真に実効性ある施策の体系となっているか

イ) 着実な進展が見られるか

ウ) 説明責任が果たされているか

「効率か公平か」「成長か格差の是正か」という二律背反の問題は、経済政策において永遠のテーマです。政権が格差問題にどのようなスタンスで取り組むかは、その政権が経済政策全体の体系をいかなる思想で描いているかを示すものにほかなりません。

 また、格差問題と言っても、事後的な所得分配の公平もあれば、機会の事前的格差の均等が重要であって、事後的な格差は受け入れるべきだという議論もあります。

 こうした点についての安倍政権のスタンスは、当初は「勝ち組と負け組が固定化しない」「誰でも再チャレンジが可能な社会」が掲げられました。これ は機会の均等という面に視点を置いて、明らかに事後的な分配の公平よりも、効率や成長のほうに軸足を置いたスタンスが表れています。

 しかし安倍政権は、格差問題について、もう一つ別の柱を構築しました。それは、「再チャレンジ」の意欲や能力を持つ階層をターゲットとするだけでなく、そうした層に属していないいわゆる「ワーキングプア」をも政策ターゲットとして設定したコンセプトが「成長力の底上げ」で す。すなわち、近年の日本の経済社会では、職業能力の育成を施されなかった人々の問題が浮上しています。就職氷河期に正社員になれなかったフリーターがそ れですし、また企業が短期的な利益を重視する成果主義の方向に進む中で、長期的に人材を育てる企業内の教育投資が減少し、社会全体に十分な職業能力を持つ 人材が不足することになったという問題もあります。

 したがって、これらの職業能力のない人々に教育(ジョブトレーニング)を施し、労働市場に送り込んでいくことは、労働力人口の減少という日本経済 の成長制約要因に歯止めをかけ、成長力を「底上げ」することになるという考え方です。これもまた、成長に軸足を置いたソリューションです。

 ただし、この「底上げ」戦略には、もう一つ別の柱があります。それは成長戦略とは別の論理である「公平」を 基軸とするもので、パートと正社員の待遇の均衡や、最低賃金の引き上げをその内容とする、労働市場に関わる一連の施策です。これらは基本的に、事後的な分 配の平等というより、労働者が所得を形成する途上において生じている労働市場の歪みを是正する施策であり、労働市場が公正に機能することは日本経済の成長 基盤にも資することから、全体的な成長戦略とは矛盾しないと言えます。

 以上のように、安倍政権は格差問題に対して「成長」という答えを示し、その下に整合的な政策体系を構築していると言えます。問題は、それが真に実効性ある施策の体系となっているか、それに向けて着実な進展が見られるか、こうした政策体系についての説明責任が果たされているかということです。これらの点が、評価の視点となります。


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2.政策課題の妥当性 16点/30点中

 労働市場活性化の体系づくりは合格点

 安倍総理は平成18年9月の所信表明の中で、「新たな日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮 らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会です。格差を感じる人がいれば、その人に光を当てるのが政 治の役割です」と言明しました。

 そしてこの「再チャレンジ支援策」として、女性や高齢者、ニートやフリーターの積極的な雇用の促進、起業家の資金調達の支援、最低賃金制度の見直しといった課題を示し、例えば「平成22年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」といった目標数値と時期を明示しています。

■形式評価 12点/20点中

 所信表明、施政方針演説ともに、「再チャレンジ支援・格差是正」という目標を提示し、そのための方策のいくつかを具体的に示しており、マニフェストとしての体系性は備えています。

 ただし、政策目標に掲げられているフリーターの定義と人数は、内閣府と厚生労働省とでは異なっており、そこに目標設定の曖昧さが見られます。

■実質評価 4点/10点中

 平成18年12月の「最チャレンジ支援対策プラン」、19年2月の「成長力底上げ戦略」において、安倍政権の政策の骨格が明らかにされ、政策課題 としての形式が整えられようとしています。これは安倍政権の政策スタンスを成長路線の方向により整合化させたものであり、それ自体は妥当と言えます。

 また、格差問題を正面から政策課題として提示したことも、問題提起として評価できますが、だからこそ、格差問題とその解決については、日本が目指すべき社会像を、その基本哲学や設計思想として明示することが、政治には求められるはずです。


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3.実行プロセス 11点/20点中

政策関連分野との連携強化が必須

■形式評価 8点/10点中

 「再チャレンジ支援総合プラン」には237項目の個別施策が盛り込まれ、労働契約法の制定、パートタイム労働法の改正のほか、1720億円に上る 関係予算が平成19年度予算に計上されるなど、行動計画、工程管理のプロセスが示されており、評価できます。また19年4月にはプラン再改定が行われ、同 年6月には進捗状況が発表されました。

■実質評価 3点/10点中

個別政策については、政策課題に対して何らかの回答を出そうとする意欲は評価できますが、再チャレンジ政策と密接な関係がある教育や福祉に関わる 問題への切り込みがないことは大きなマイナスです。これらの政策の実行プロセスについてはいまだ評価できる段階に至っていませんが、「再チャレンジ支援総 合プラン」においては、「その進捗状況や効果を定期的に点検して公表する」としており、今後、十分注視していく必要があります。


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4.実績 9点/20点中

政策の方向性は正しいが、制度・戦略に不備

■形式評価 7点/10点中

 「経済財政改革の基本方針2007」では、成長力底上げの視点から、

 ①人材能力戦:「ジョブ・カード制度」実践型教育システム」の構築、「官民共同推進組織」の設置
②就労支援戦略:「『福祉から雇用へ』推進5カ年計画」「工賃倍増5カ年計画」の策定
③中小企業底上げ戦略:「生産性向上と最低賃金引き上げに関する政労使の合意形成や、「中小企業生産性向上プロジェクト」の推進による賃金引き上げ、最低賃金制度の充実等

が挙げられています。

 なお、所信表明等で指標とされたフリーターの数は平成18年度で187万人となり、ピークの平成15年の217万人から3年連続で減少しましたが、これは景気回復による面が大きいと思えます。

■実質評価 2点/10点中

格差問題に対する政策構築は始まったばかりで、アウトカムはまだありませんが、格差問題を成長戦略と位置付ける方向性は正しいと言えます。

 けれども、①のジョブ・カードについては、ジョブ・カード構想委員会が今後どう進行していくかは不明です。

 ③の最低賃金法については、現在では最低賃金法については、現在では最低賃金を得て生活するよりも、生活保護を受けて生活するほうが有利という状 況が多く見られ、労働市場の適切な機能発揮を妨げています。これまでのような生活保護を受ける福祉から、生活能力を養い雇用へ結び付ける福祉へと、福祉政 策自体の重点を転換させていかなければなりません。

 これらの施策の実行には経済界との協力が不可欠ですが、そこにも不透明さがあります。特 に、正社員並みの労働条件のパート労働者について、給与や正社員応募の機会などの面で差別的待遇を禁止する改正パートタイム労働法が成立し、平成20年4 月から施行されますが、その対象は配転・転勤も正社員並みにするパートだけと極めて狭く、使用者側に配慮した結果、骨抜きとなった感が否めません。

 なお、労働市場の問題については、<ホワイトカラー・エグゼンプションの議論が「残業ただ働き」の議論にすりかえられ、そのアジェンダが頓挫していることは大きなマイナス要素です。現 在、ITをはじめとするさまざまな技術革新を背景に多様な雇用形態が生まれてきていますが、ホワイトカラー・エグゼンプションとはそれらの雇用形態につい て円滑な労働市場の需給調整メカニズムを構築しようとするものであり、それは労働の効率的な配分、ひいては日本経済の成長基盤の構築に資するものです、労 働市場改革の問題が格差是正の文脈から抜け切れず、安倍政権が最重要視している成長政策との有機的関連が未成熟だったことが、残念な結果をもたらしたと言 えます。


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5.アカウンタビリティー 5点/30点中

 政策の実効性明示し、納得できる社会づくりへ

 実効性のアカウンタビリティーが不十分

 安倍政権は成長戦略の下に格差問題への取り組みを位置付け、従来は働けるにも関わらず働いていない人々をターゲットとしていた雇用政策を、働くこ とが十分にできない人々をも労働市場に組み込むことまで視野に入れた雇用政策へと転換させています。また、従来の失業率だけでなく、就業率、就業者数を政 策目標に据え、新たな政策のターゲットゾーンに関わる目標設定とそれに向けた手段を示すなど、政策体系が構築されていることも評価できます。

 問題は、その政策体系がどう機能するかです。例えばジョブ・カードがうまく機能しなければ、「底上げ」の政策モデルそのものが崩れかねません。最 低賃金も政労使間での意見調整が難航し、国会で継続審議となった最低賃金法案が通らなければ、この政策体系は前進できません。また、パート労働の正社員と の均衡化についても、前述のように骨抜きにされました。掲げられた政策体系が実効ある形で動いていく姿は、いまだ示されたとは言えません。

 政策体系で欠落している部分

 安倍政権の政策体系には、さらに重要な問題があります。それは、ワーキングプアなどの階層だけでなく、圧倒的に多数の中間層に生じている格差「感」こそが、解決を問われている問題だということです。これまで平等にスタートしていた日本の経済社会が、戦後の資本蓄積や階層の固定化傾向を経て、スタート地点から大きな差が出てきています。

 あるいは「会社共同体」が崩れ、人々の経済活動や生活が様々なリスクにさらされ、能力よりは運・不運で結果が大きく左右される状況にこそ、問題の所在があるのです。そのような中で政権が行うべきアジェンダ設定は、例えば資産や資産所得への課税とか、ルールや情報開示をより徹底して、中流層を含めたレベルで納得の得られる社会を構築していくことに政策の軸を置き、それを国民に説明すべきでしょう。
「代表なきところに課税なし」からその歴史が始まった議会制民主政治というものの根本にあるのは、国民の税負担の問題です。来る参院選は安倍政権として 初めて行われる国政選挙であり、国民から本当に信認を受ける気持ちがあるのであれば、税負担の具体論を先送りすることはできないはずです。それをあえて曖 昧にしたことは、民主主義のプロセスを軽視していることにほかならず、この政権のアカウンタビリティーに重大な欠陥があることを示すものといえます。
 

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