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安倍政権実績評価(地球環境) 印刷 Eメール

地球環境

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argaiv1575

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
形式評価
実質評価
10/20
5/10
7/10
8/10
7/10
5/10
15/30
15/20
12/20
15/30

 

1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア)地球環境問題(温室効果ガスの削減)に対する政策は適切か。

イ)日本の強みを活かした資源・エネルギー戦略を描けているか。

ウ)続可能な循環型社会の全体システムの設計ができているか。

ア) 地球環境問題(温室効果ガスの削減)に対する政策

 世界的に温室効果ガス削減についての今後の課題は、ポスト京都議定書の将来枠組みの構築に移っています。議定書の締約国ではない、義務を負っていない国々をどう巻き込んでいくかが、今後の評価のポイントになります。

 そして、そのためには、中国やインドといった大口排出国はきちんと対応すべきだという考え方を国際社会に定着させていくことはもちろん、やはり、アメリカを巻き込んでいく必要があります。

 また、地球環境問題、気候変動枠組条約にどう対応するのかという問題については、環境問題とエネルギーの問題とが表裏一体であり(CO2削減の実効あるツールは省エネが8割程度を占める)、これをエネルギー政策の観点からどう考えるのかが課題となります。

イ) 日本の強みを活かした資源・エネルギー戦略

 温室効果ガスに関して、最終的に現在のCO2排出量の半分以下にしなければならない、という状況下で、地球が吸収できるのが30億炭素トンに対 し、現在は63億トン排出しており、空気中のCO2濃度の急速な高まりは、63億トンを30億トンに減らすことによって初めてその進行が止まることになり ます。それを開発途上国の排出が増加していく中で達成するには、先進国が排出量を8割~9割カットしなければならないという構図があります。経済成長と両 立する産業セクターごとのアプローチが注目されています。このような規制は、日本にとっても、燃費の良い日本製品が有利になるため、有益です。

 そして、このような日本の強さを活かすカギは、アジアにあります。エネルギーの浪費が激しいアジアに日本の省エネモデルや環境型モデルを移転して いくことは、日本の地位向上にもつながり、今後の資源戦略の大きなポイントであることは間違いありません。また、日本の全体戦略の中で日本の環境・エネル ギー戦略を考えれば、その焦点を日本と中国との協力関係の構築に当てることが、安倍政権の大きな課題です。

 エネルギー安全保障という文脈の下では、ややもすれば日中の資源獲得競争という側面が強調されがちですが、この分野では、実は日中はむしろ協力で きる可能性が大きいのです。その柱は、第一に、省エネルギーの協力であり、第二に、よりクリーンなエネルギーの導入促進です。日本と中国が環境、省エネと いうテーマで共同して取り組んでいくことは、世界全体の経済やエネルギー消費を考える上で、極めて大きな意味を持ちます。

 既に、省エネや環境協力は、ミクロレベルでは政府間でも民間の間でも進められていますが、日本と中国の環境・エネルギーにおける協力の全体像の構 築とロードマップの提示が必要です。そのためにも、両国間での信頼を高め、重層的な協力関係を作ることが安倍政権の課題となります。

 また、環境・エネルギー政策に係る安倍政権の課題のひとつは、国家安全保障の観点からの資源の確保、開発、安定供給をどうするかです。

 安倍政権下では、アフリカや中東地域への戦略的な資源外交を積極的に行っています。このような資源確保戦略は、従来はなかった発想であり、高く評価出来るものです。

そもそもエネルギー安全保障の確立については、1)資源の安定的確保、すなわち、輸入依存度の高い日本として海外から安定的に資源を輸入できるようにす る、2)自主エネルギーの推進(省エネ、新エネルギー、原子力など)の2つの柱があり、そのための政策体系は、エネルギー政策基本法(議員立法)に基づい てエネルギー基本計画として策定することとなっています。同計画は、小泉政権時の「新・国家エネルギー戦略」(2006年5月)をベースにして、3年毎に 改定することになっています。但し、「新・国家エネルギー戦略」は、①経済産業省が策定しており政府の閣議決定ではない、②数値目標はあるが、政府として 掲げた目標ではなく、国会審議には出されない、という難点があります。

いずれにせよ、エネルギー政策の分野では、小泉政権が原子力への流れをしっかりとさせたのに対し、安倍政権は、資源外交の部分を始動させているのが特徴といえます。


ウ) 持続可能な循環型社会の全体システムの設計

 長期的に見れば、循環型のクリーン・エネルギーを基礎とした新エネルギー体系への転換は不可避です。その際、成長と環境を両立しうる経済社会システムのビジョンを描き、それに向けて本格的な検討を開始することも、安倍政権以降に残された今後の課題といえます。

 このように、日本の強さを活かしつつ、それを地球環境問題解決への貢献と日本経済の活力につなげることが、安倍政権の課題となります。


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2.政策課題の妥当性 15点/30点中

■形式評価 10点/20点中

【 ビジョンは見えるも、思いつき的な羅列の域を出ていません。】

 政権構想での「地球環境問題への重点的取組み」やエネルギー安全保障、省エネや地球環境問題での世界貢献などへの言及は、ビジョン・ミッションを明示したものとして評価できます。

しかし、所信表明では「太陽光発電」や「バイオマス利用」など手段の羅列や「安定的なエネルギー資源の確保」といった漠然としたミッションのみの提 示に止まっていました。もっとも、施政方針では、手段を羅列する一方で、「中国などアジアに対する省エネ・環境面での協力推進」「『21世紀環境立国戦 略』を6月までに策定」など、のミッションの方向性と工程の明示がなされました。

 全体として、マニフェストの形式要件を満たしている面は多いのですが、政策の体系化が不十分で、抽象的であり、手段の提示も思いつき的な印象があります。

■実質評価 5点/10点中

【 国際貢献に関する内容がなく、抽象的です。】

安倍政権の課題として「評価の視点」で触れた(ア)~(ウ)の課題には触れられています。しかし、肝心の「国際貢献」の内容がなく、環境問題の課題 設定にも踏み込んでおらず、マニフェストとして抽象的に過ぎるといえます。また、課題(ウ)について示すべきビジョンの提示が欠けています。


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3.実行プロセス 15点/20点中

■形式評価 7点/10点中

【 国際交渉に重点を移すも、省庁間対立があります。】

 安倍マニフェストの内容は抽象的過ぎるか、あまりに個別的なメニューの羅列でしたが、環境、資源とも、政権の施策の重点は途中で国際交渉にシフトしていったため、マニフェストに係る施策のインプットを評価することに大きな意味はありません。

 ただ、国際交渉について見れば、国際情勢や外交日程を睨んだ戦略を工程として描いている面は評価できます。温暖化ガス削減に係る国内対策について も、中央環境審議会の「論点整理」が「目標達成計画」(閣議決定)の平成19年度中の見直し規定を受けた来年3月の閣議決定に向けて策定されているよう に、PDCAサイクルが機能する形となっています。

 しかし、地球環境問題については環境省と経済産業省との対立構図が従来から見られてきた中で、当初は外務省が「環境派」に偏り、本年3月のEU首脳会議といった国際情勢の動向を受けて経済産業省が巻き返すといった省庁間の攻防が今回も見られ、その中で首相官邸の調整機能がどこまで機能したのかは見えません。

 ただ、国際交渉などの場で安倍総理が日本の国益に即した形でのインプットを積み重ねていったことは評価できます。

■実質評価 8点/10点中

日本のエネルギー体系に係る将来展望を描く作業は不十分でした。しかし、現在の日本の環境・資源分野の最大課題がポスト京都を睨んだスキームの提案や資源外交であるところ、安倍政権が戦略的な意思を持ちつつ小泉政権時と比べて大きく動き出したことは高く評価できます。


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4.実績 12点/20点中

■形式評価(アウトプットを評価) 7点/10点中

 実行プロセスの形式評価と同様です。

■実質評価(アウトカムを評価) 5点/10点中

 

【 アメリカやEUを国際合意に導くイニシアチブを今後も発揮しなくてはいけません。】

 安倍政権の課題として「評価の視点」で触れた(ア)~(ウ)の課題について、その後の国際情勢の変化も踏まえつつ、当初は定まっていなかった日本 としての基本スタンスを確立していること、また、安倍総理の提言で上記のような成果を国際社会の中で挙げつつあることは、課題解決に向けた実効ある進捗と して評価できます。

 特に、地球環境問題の根本的な解決は、まずは最大の排出国であるアメリカが削減努力に本格的に取り組むことから始まるのであり、日本がこの点で道を開きつつあることは大きな成果でしょう。

 2050年に世界で半減という安倍総理の目標の主張や主要排出国の参加などがサミットの声明に盛り込まれたことで、アメリカとEUの架け橋を目指した日本の目標は一応達成され、来年7月の洞爺湖サミットでの日本の主導権発揮への土台を築くという成果は挙げられました。

 しかし、2050年半減目標のベースとなる基準年をどこに取るのかは曖昧なままです、前述のように、最近の日本政府の考え方の基礎になっているエネルギー効率目標の考え方について、これに基づいた具体的な国際合意をどう構築していくかも今後の課題です。そこには、国別排出キャップの考え方がEUを中心に強い中でこれをどう位置づけていくのか、エネルギー効率を改善しても経済成長によってその排出削減効果は打ち消されてしまうこととの関係をどう整理するのかといった問題も残っています。

 このエネルギー効率という視点そのものについても、産業セクター別にみて、日本は効率が良いとは必ずしも言えない面があります。というのも、日本 は、家庭や運輸部門の排出は少ないものの、産業や業務部門では欧米と同程度であり、日本が今後、セクター別にアプローチを主導していくのであれば、こうし た実態は大きな課題です。


【 低炭素社会へのシフトが急務です。】

 加えて、国内対策の重点の置き方についても問題があります。前述の「論点整理」では、家庭や運輸部門を今後の対策の焦点としました。しかし、直接 排出(燃焼ベース)で捉えれば、家庭部門は5%、運輸部門は13%と全体に占めるシェアは小さく、「国民運動」と言っても、家庭がさぼってきたわけではあ りません。やはり、焦点は産業部門でのエネルギー効率のさらなる改善努力に当てられるべきでしょう。

 結局、より根本的な課題は、低炭素社会を日本として現実にどう構築していくかということになります。これは「評価の視点」の(ウ)でも指摘した課題ですが、この課題解決に向けた成果がこれまで見られたわけではありません。


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5.アカウンタビリティー 15点/30点中

【 排出権の購入負担など、環境外交のシビアな現実について説明責任があります。】

 「美しい星50」については、地球環境問題に関して日本の首相がこれだけのものをまとめて発信したことは初めてのことであり、内容的にも踏み込んでいます。その点は、アカウンタビリティーについて高い評価を与えられます。

 しかし、施策の中心が外交交渉のプロセスにあることから、国民への説明には限界はあるものの、国際社会の中でこの分野で日本が置かれている状況とあるべき方向性については、そこに至るプロセスの途上においても、もう少し説明の努力の余地はあったのではないでしょうか。

 とりわけ重要なのは、EUの思惑が日本にもたらす影響です。EUが各国別排出権キャップでの合意を急ぐ背景には、2013年以降に切れ目なくつながるようポスト京都議定書の枠組みをできるだけ早期に構築することで、CMDの金融商品化、その国際市場の形成を円滑に進めたいという意図があります。

 90年基準による総量目標を日本が達成すべく、日本が本格的にCMDの購入に動けば、その国際相場は高騰し、日本は兆円単位での支出を未来永劫にわたって余儀なくされることになりかねません。それは消費税率アップの負担に相当します。

 中国や途上国から見れば、それによって日本から流れる資金は、地球環境に係る国際約束を守れない懲罰として日本から取り立てたお金だということに なり、そこには、途上国から見れば頭を上げたODA、先進国(日本)が頭を下げるODA、金融商品で潤うEUという構図が現出しかねません。

 政権に求められているのは、単に地球環境問題の重要性を訴えるだけではなく、そのようなことに日本の国民は本当にお金を出すのかといった点についてしっかりとした問い掛けを行うことです。

 「環境」という美しい言葉の背後に潜む国益のせめぎ合いの中で、日本の国益を図りつつ地球環境問題を解決していく道行きは何かを、国民の側にもよ り明確に示していく必要があります。今般の安倍提案では、前述のように「志ある途上国」との表現で、資金メカニズムがODAのばら撒きにつながらないため の配慮が盛り込まれましたが、こうした問題の所在は納税者たる国民にも共有されるべきです。

 現実に京都議定書の目標を日本が本当に達成できるどうかは疑問です。現状の国内対策でそれにコミットすることは、すなわち、日本が大量に排出権を購入することをプレッジするに等しく、それが排出権取引相場を高騰させれば、日本の国益は大きく損なわれます。それを避けるためには、産業部門によるさらなるエネルギー効率の改善に加え、より根源的な排出削減スキームを提示し、そのアカウンタビリティーを果たしていかなければならないはずです。


【 国民運動にとどまらず、次世代のエネルギー社会のあり方について説明責任があります。】

 地球環境は参院選のテーマに浮上し、安倍総理も選挙対策を意識してか、サミットの舞台のみならず国内でも様々なパフォーマンスを見せていますが、 「国民運動」として唱えられた「1人1日1Kg」(ダイエット)自体、実際に行うのは容易なことではありません。そうであるがゆえに、総理自ら気概を示す のは票にはつながるかも知れませんが、政治が国民に問わなければならない問題はそうではないはずです。日本の家庭部門での努力も確かに重要ですが、前述の ように、産業部門の努力に比してそれが排出削減に寄与する効果は極めて小さい中で、「国民運動」をいくら強調し、総理自らゴミ拾いでパフォーマンスを示し ても、それは問題の本質に対するアカウンタビリティーには決してつながらないでしょう。

 結局、私たち言論NPOがこれまで環境マニフェスト評価の折々に指摘してきたように、現在の化石燃料依存のエネルギー体系から「低炭素社会」の実現に向けて、原子力を中核とするそれに転換する、あるいは、クリーンエネルギー体系に基づく循環型社会に移行することを含めた将来の選択肢を、そのメリット・デメリット、リスクや負担の問題とともに国民に提示することこそが、政治に問われているのです。


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