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安倍政権実績評価(公務員制度改革) 印刷 Eメール

公務員改革


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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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1.評価の視点

  この分野は、以下の視点に基づいて評価を行います。

ア) 公務員定数是正の意味

イ) 全体システムの再設計

ウ) 公務員制度改革の理念の再構築

エ) 再就職あっせん禁止規制の問題点

オ) 再就職あっせん禁止規制の課題として問われるシステム設計

公務員改革の分野では、量的な改革としては、小泉政権下で行政改革をプログラム化した「行政改革推進法」に基づき、総人件費改革を着実に進めることが安倍政権の課題となりました。一方、質的な改革としては、公務員制度改革を実効力あるものにするための必要な法案化が課題として残されました。

 このことを踏まえ、基本的な論点をまとめると、上記の5点になります。以下では、それぞれについて、概説を加えます。

ア) 公務員定数是正の意味

政府部門の無駄を排除し、合理化・効率化に努めることは極めて重要で、どの時代にあっても追求すべき永遠のテーマです。しかし、日本は既に「小さな政府」を実現しており、 本質的な諸課題の中で、公務員の5%純減という定数純減目標がプライオリティーの高い課題かどうか、基本に立ち返って再考する必要があります。

 そもそも中期的な純減目標は、必要となる増員と、必要性の低下した部門の減員を差し引きして算出されるはずです。この作業に基づかない手法は、定数削減を行政管理局の論理(毎年一律に定員を削減する一方、行政需要が増加しているところには増員査定し、全体としてメリハリある定員管理)から、専ら財政当局の論理に一本化するものです。

 また、政府は、府省間での国家公務員の配置転換と採用抑制で純減目標の達成を図っていますが、これは当該部門の機能や効率性の確保にとってマイナス要素ともなり得ます。

 例えば、行政ニーズが高まっている専門性の高い部門において、農林統計等のニーズの低下した部門から中高年職員を大量に受け入れ、長い目で専門的な教育を施すべき新人の採用削減を突きつけられる場合が考えられます。こうしたリスクを払ってでも公務員の純減は優先されるべきか、それが本当に行政効率の向上につながるかは、再検討が必要です。

 求められているのは、政府の質的な機能を描く中から、具体的にどのような種類の公務員がどの程度必要か、公務員の定数を量って「簡素で効率的な政府」を描くことです。そうでなければ政府に行政機能を付託した国民に対して無責任ではないでしょうか。

イ) 全体システムの再設計

政府の質的な機能を確保するために、公務員純減を推進と並行して進める必要があるのは、日本の全体システムの再設計です。すなわち、行政に必要な機能の担い手が「官」に限られないとすれば、従来は官が担ってきた「公」の機能の担い手を「民」に求めることになります。しかし、その仕組みの構築は日本のシステムの組み替えを要します。

その意味で、政府が進めている「市場化テスト」には、一定の成果を期待できます。しかし、そこにあるのは市場原理で計った「効率性」という物差しであり、一方で「公」とは本来、「市場の失敗」の分野という本質的な属性を前提としているのです。

それに加え、21世紀の潮流はむしろ、「公正」や「安心・安全」といった要請や、社会基盤を支えるコミュニティーの再生、そのためのインフラ整備など、市場の外側にある部分での課題が突きつけられてきています。そこでは市場原理とは別の組み立てで「民」の「公」への「参加」を促すシステムを設計する必要があるでしょう。

また、地方に徹底的な行革を求めるのであれば、地方政府に依存した地方経済の組み立てそのものを改革し、自立的に「公」を担う民の力を養うことによって、地方に新たな受け皿を強化していく必要があります。

そのための仕組み設計に必要なのは、中央→地方、官→民といった縦軸ではなく、横軸の協働システムの構築です。中央-地方、官-民を超えた横軸横断的な協働システムの設計により、「公」を様々な主体が担い合う社会へとシステム改革を進めなければ、公務員純減を可能とするだけの「公」機能の受け皿は生まれないでしょう。

また、横軸横断的な全体システムの改革の必要性は、質的な改革についても同様です。官民交流の進展には実態として様々な障害が指摘されてきましたが、障壁の除去の実現には、人材活用や労働市場を巡る諸制度についての官・民を超えた横断的なシステム再設計や、官と民との関係についての抜本的な考え方の転換が必要です。

さらに、公務員の行動原理やモチベーションを突き詰めて考えれば、それは各公的領域で培った専門的な能力を、退官後に活かしうる再就職先の確保にあると言っても過言ではありません。とりわけ日本が超高齢化社会化する中、この点に明確な解答を示さない公務員改革は、官の士気や機能の低下、人材の劣化につながりかねない危険性すらあります。

確かに、霞ヶ関問題の大半は、現状では再就職の確保が専ら各省庁ベースでの組織の力に委ねられているところに淵源があるのは事実です。しかしこうしたネックの解消に必要なのは、公務員の高い能力を政府部門の外側で活かせるような、日本全体としての人材流動化と人材活用メカニズムの構築です

残念ながら、小泉政権はこうした視点を欠き、再就職=天下り=悪というネガティブな論理のまま、人材の有効活用と逆行する場当たり的な改革を進めてしまいました。それでは、公務員改革=出口なき公務員の閉塞状況にほかならず、必要な政府機能の確保に欠かせない公務員のインセンティブの構築には、本質的な限界があったといえます。

このように、官の人材も民の人材も各々が全体を構成する要素として、その有効活用を図ることにより全体最適化を目指すというポジティブなシステム改革こそが、安倍政権に残された課題となっていたはずです。

ウ) 公務員制度改革の理念の再構築

 以上の(ア)、(イ)を踏まえ、公務員制度改革の理念の再構築が迫られています。本来、公務員制度改革に求められていたのは、
・政治、特に総理のリーダーシップを発揮しやすい制度改革(マニフェスト型政治の定着という観点)
・行政目的の効率的な実現を確保できる制度改革(効率性の観点)
でした。しかし、より重要なのは、

 ・今後の日本が必要とし、国民が求める「公」の機能を、新たな全体システムの設計の中で実現するために、公務員に何が求められるのかを明確化し、それにふさわしい公務員制度を構築すること
です。

 本来、公務員制度改革は「行政目的の効率的な実現」の手段に過ぎません。日本の将来に向けた全体ビジョンの下で設計される(ア)や(イ)の姿に基づいて、その改革を検討すべきものでしょう。

 例えば、政府の企画部門では、横断的な設計を通じて日本が今後直面する重要課題を企画・調整できるにふさわしいインセンティブを官システム入れ込むことが課題となります。一方、執行部門では、構造化された「市場の失敗」の拡大やリスク増大の中で、「労働基本権」を公務員に認めることが、本当に国民のニーズなのかどうか見極める必要があります。

 すなわち、全体システムは、単一の論理ではなく、それぞれ存在理由のある異なる論理によって構成されているのです。重要なのは、それらをいかに有機的に組み合わせて、相乗効果を生み、全体として生産性の高い効率的なシステムを設計するかです。ですから、安倍政権の課題は、これを踏まえた公務員制度改革そのものの再設計であるはずです。

エ) 再就職あっせん禁止規制の問題点

①公務員制度改革全体をどうするかが明らかでない段階で、能力実績主義の徹底と再就職規制の厳格化だけを先取りして実施することの妥当性

→ 公務員の任用や官民交流の将来的なイメージが確定していない中にあって、改革が目指す公務員像の実現に向けた現実的な道筋が見えていません。今国会での成立に執着しすぎていることもあり、このままでは参院選対策向けのポピュリズムとの謗りを免れなくなります。

②「新・人材バンク」の機能に対する疑問

→ 「新・人材バンク」では、各省ごとに行われているあっせんを内閣府に設ける「官民人材交流センター」に一元化し、一定期間後には各省による企業との直接の接触等は全面的に禁止することになります。

これまで、民間企業が公務員の再就職を受け入れてきた最大の理由は、省庁とのパイプを強化し、企業にプラスとなる情報や行政行為を見返りとして得ることでした。能力や識見を生かすならば、公共部門や公的要素の強い機関への再就職がふさわしいですが、特殊法人等への再就職も厳しく制限される流れにあります。

すると結局、民間側と公務員側の間で、公務員の再就職の道を探ることになります。しかしそこでは需給がマッチせず、マッチさせようとすれば、公務員側が従来より著しく低い条件を飲まざるを得なくなるという懸念は拭えません。

③以上の結果、現職公務員の士気が低下するとともに、従来公務員が持っていた職種としての魅力が薄れ、優秀な人材が公務の分野に集まらなくなるという問題

→ 従来公務員、特にキャリア官僚が公務に給与以上の「滅私奉公」を行ってきた背景には、それが所属省庁の人事当局の評価につながり、官房が待遇の良い再就職先を斡旋することで、将来の生活設計や個人的な豊かさを心配することなく、退官後も所得の上昇カーブが続くことが保証されていたという側面があります。

こうした構造がもたらしてきたインセンティブに十分代替し得るものがなければ、給与以上の「滅私奉公」をする官僚は限られてくるでしょう。公務の就職先としての魅力についても、野心の実現と公共的要請を両立させる形で優秀な人材を公吸収する仕組みが必要です。

オ) 再就職あっせん禁止規制の課題として問われるシステム設計

 以上の相互に密接に関連する問題を克服するためには、今般の改革の基本的な設計思想に照らした課題設定が必要です。公務員制度については、

 ①官と民はおよそ異なる世界であり、公務で培われた能力は極力、官の分野で活かし続けることが人材の有効活用としても本人のためにも望ましい

 ②官と民が同じ土俵で相互に出入りし合う関係となることにより、人的資源の最適配分が実現する

 という2つの両極の考え方があります。明確に②を志向する今般の改革が機能するには、官と民の間で人材マーケットが成立し、共通の人材評価基準が確立していることが必要です。それを通じてマーケットで正当に評価されることで、プロとしてのインセンティブが形成され、改革の趣旨である、官民の人材の前向きな流動化が実現されます。

 そのためには、公務の「能力主義」の内容を、マーケットに通用するプロフェッショナルなものに組み立てることが必要です。それには終身雇用制を見直すなど、民間側の変革も不可欠で、全体の変革を待つだけでは、改革は進みません。ここに、日本の全体システムの組み換えのビジョンの中で公務員のあり方を位置付け直すべき大きな理由があります。
全体として安倍政権は、小泉政権の構造改革路線の継承を標榜しつつ、それがもたらした歪みの修正、さらには政府の役割の強化に踏み込もうとする政権とみられます。しかし、そのスタンスが具体的な政策体系として現われるには、まだ至っていません。参院選に向け、新たな政策ビジョンと財源措置とを両建てで示すことが求められており、消費税増税論議につながることを恐れてそれを回避するならば、マニフェストは有権者との契約として機能しないものとなるでしょう。


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2.政策課題の妥当性 12点/30点中

■形式評価 7点/20点中

【分かりやすくインパクトのある方針や目標が具体的に提示されていますが、公務員制度改革の理念・ビジョンが曖昧です】

安倍政権の政策課題をまとめると、次の通りです。

a)「21世紀に相応しい行政機構の抜本改革・再編」し、「定員削減や能力主義の導入といった公務員改革を断行」するとし、公務員については小泉政権の改革を継承しながら「官と民との新たなパートナーシップの確立」という新たな理念の下に「小さく効率的な政府の推進」が確認されています(政権構想)

b)総人件費改革について「国の行政機関の定員を5年で約1万9,000人以上の純減」との期限付数値目標を提示する一方で、「公務員の労働基本権など、公務員制度全般について国民の意見を十分に聴きながら、見直しを進める」としました(所信表明演説)

c)総人件費について所信表明を踏襲する一方、公務員制度改革については「新たな人事評価を導入して能力本位の任用を行うとともに、官と民が互いの知識、経験を活かせるよう、官民の人事交流を更に進める」、「予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんによる再就職を根絶するため厳格な行為規制を導入」するとしました(施政方針演説)

d)行革推進法等に基づいて簡素で効率的な政府を実現するとの小泉路線を確認した上で、概ね上記の内容が確認されています(「進路と戦略」)

このように、分かりやすくインパクトのある方針や目標が具体的に提示されていますが、公務員改革を通じて何を目指すのか、ビジョンや理念が分かりにくい形式になっています。すなわち、羅列された政策手段の直接的な意味は書かれていても、公務員を全体としてどうしようとしているのか、それによってどのような日本を設計しようとするのか曖昧です。

その意味で、「小さく効率的な政府」もそれ自体は広い意味での政策手段のあり方を示したものに過ぎません。唯一、「官と民との新たなパートナーシップ」に理念性が認められますが、政権構想以外では特に触れられておらず、それと公務員改革とのつながりは見えていません。

■実質評価 5点/10点中

【公務員の再就職システムの改革に踏み込んだことは評価できますが、「官と民との新たなパートナーシップ」の理念が曖昧です】

総人件費改革については既に小泉政権下でレールが敷かれており、その継続を明示した以上の意味はありませんでした。上記の安倍政権の課題に対しては、公務員問題の根源にある再就職システムの改革に踏み込んだことは多少の評価ができるものの、「官と民との新たなパートナーシップ」の内容が曖昧で、理念が明確化されませんでした。


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3.実行プロセス 15点/20点中

■形式評価 7点/10点中

【総人件費削減・公務員の労働権の見直しなど個別課題には一定の成果がみられますが、個別国家公務員法等改正案を今国会で審議する必然性は不明確です】

 本年4月に国家公務員法等改正法案が国会に提出され、6月7日に衆議院で可決されました。この法案の第1の柱は公務員への能力・実績主義の導入(人事管理、能力本位の任用制度、新たな人事評価制度等)ですが、特に注目され議論を呼んだのが第2の柱である「再就職に関する規制」です。

 そこでは、各府省による職員や職員OBに対する再就職あっせんを禁止し、新・人材バンク(官民人材交流センター)に一元化すること、現職職員の求職活動の規制や、退職職員の現職職員に対する「はたらきかけ」規制などが盛り込まれました。しかし、今国会成立の目処は立たず、なぜ今国会で成立させなければならないのかも明確になっていません。

 (1)総人件費削減:5年間で約1万9000人の純減目標は既に前政権下で2006年に閣議決定され、各年度の削減数は毎年度の予算編成で決められることとなっています。また、行革推進法には純減目標達成のための円滑化措置が盛り込まれており、その手法としては、非公務員型の独立行政法人化と、府省間の配置転換の2つがあります。

 後者の府省間配置転換に関しては、最近10年の平均では概ね80名弱にとどまっていたのが、今般、農林統計や旧食糧事務所からの配置転換者は4月1日で748名(10倍近く)と量的に顕著な増加がみられました。

 しかし、行革推進法で決められた地方公務員の5年間で4.6%以上の純減目標については、今後数年間は団塊の世代の大量退職に係る退職金支給が続くと見込まれ、4.6%との数字自体が過去5年間の退職純減をそのまま引き延ばしたものであり、それを上回る努力が必要となっています。

 (2)国家公務員法の改正:公務員の再就職あっせん規制に係る改革案は2006年末の経済財政諮問会議に民間議員ペーパーとして提出され、霞ヶ関を始め大きな反発がある中、安倍総理のイニシアチブで、この改革の推進を新任の渡辺行革担当大臣に指示しました。

 この線に沿って本評価の冒頭に記した内容の法案化作業に当たり、霞ヶ関の構造の基本部分が根本から崩れることを懸念する各省庁や与党などから激しい抵抗がなされ、行革担当大臣等との間で攻防戦が展開されました。

 法案は本年4月に国会に提出され、重要法案が目白押しの後半国会でも教育3法などと並ぶ最重要法案として総理自身が位置付けましたが、今国会での成立には暗雲が立ち込めています。

 (3)公務員の労働基本権の見直し:安倍政権に求められている公務員制度改革が抜本改革であるため、まずは上述の再就職あっせん規制が優先されました。そのため法案を出すに当たっても、まずは労働基本権以外の、能力主義や再就職あっせんに係る改革から手をつけるという作戦がとられました。

 その中にあっても、政府与党合意を踏まえて、本年4月24日になされた閣議決定「公務員制度改革について」においては、「労働基本権については、行政改革推進本部専門調査会の審議を踏まえ、引き続き検討する」との文言が盛り込まれるに至り、同日に出された同調査会の「議論の整理」においても、改革の方向が謳われることとなりました(後述)。

 総人件費削減については、上述(1)のように、行革推進法で規定されたプログラムに沿って安倍政権が設定した課題に即した措置が概ね着実に講じられています。公務員改革のうち能力主義の推進や再就職あっせんの規制については、上述(2)のように、所要の法案を閣議決定し、6月7日に衆議院で可決されるに至りました。

 しかし労働基本権については、上述(3)のとおり、未だ具体的な成案を得るに至っていません。「進める」という点での形式評価としても、進展は不十分であると言えます。
 

■実質評価 6点/10点中

【総人件費削減や能力主義の推進への取組みは評価できますが、公務員改革の本質的な課題には応えていません】

 総人件費削減については、上述(1)のように、目標達成に向けて、政府全体で真摯かつ誠実な取組みが進められているといえます。能力主義の推進や再就職あっせんの規制については、上述(2)のように、宣言された課題達成に向けて勢いのある取組みがなされ、法案の衆議院通過まで至りました。

 しかし、日本の公務員改革に本来問われるはずの、本質的な課題への取組みはなされていません。労働基本権については、上述(3)のように、公務員改革全体のプロセス上の作戦という要素や、最後に改革の方向は謳ったという進展はあるとしても、課題達成に向けた真摯な検討が実質的に進展したとはいえないでしょう。


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4.実績 9点/20点中

■形式評価(アウトプットを評価) 7点/10点中

【総人件費削減、国家公務員法改正は60%の成果ですが、労働基本権見直しは進んでいません】

 (1)総人件費削減:5年間で約1万9,000人の純減目標に対し、1年目の平成19年度では2,129人の純減を実現しました。しかし本来、実現すべき成果は、今後何年かにわたる純減に向けた取組みを円滑に進める仕組みの構築です。その意味で、様々な行政事務や省庁の枠を超えて人を移しかえていく基本的な仕組みの確立が求められます。

 (2)国家公務員法の改正:今般の国家公務員法改正のポイントは、公務員制度改革を能力主義の思想で構築したことです。その基本スタンスは、能力主義で官民の分け隔てがなくなることで、その中核が「新・人材バンク」の設置です。この目的は、既存の省庁管轄から政府管轄にすることで、質的な公務員改革の達成の上で大きな変化であると言えます。

 しかし、法案を閣議決定で政府内の合意を取りつけたとはいえ、霞ヶ関の不安や不満、強い反対論が鬱積しており、現に今国会での法案成立すら危ぶまれています。また、この法案によって実際の公務員の任用や官民の交流がどのような形で行われることになるかについては、具体的なイメージを描ける段階には至っていません。

 (3)公務員の労働基本権の見直し:2007年4月の「専門調査会における議論の整理」において、「労働基本権を含む公務員の労使関係の問題についても、改革の方向で見直すべきである」旨が盛り込まれ、改革の最低限の方向性は見えてきました。

 また、2007年4月24日の閣議決定「公務員制度改革について」では、今般の法案に加え、「パッケージとしての改革」として、「下記の課題を含む採用から退職まで公務員の人事制度全般の課題について総合的、整合的な検討を進めることとし、公務員制度の総合的な改革を推進するために基本方針を盛り込んだ法案(国家公務員制度改革基本法:仮称)を翌年の通常国会に向けて立案し、提出する」旨が入りました。

 この「基本法」には当然のこととして、労働基本権が入る風潮ができたという意味において、タイムリミットは引かれたと考えられます。

 一方で、総人件費削減の目標に向けて平成19年度に達成した定員削減の数字や、国家公務員法改正案の衆議院可決は形式的には60%の成果ですが、労働基本権の見直しが進んだという成果は形式上ありません。 

■実質評価(アウトカムを評価) 5点/10点中

【総人件費削減、国家公務員法の改正には課題が残り、労働基本権は今だ見直しが進展するかどうか見直すべき状況にあります】

 総人件費削減は、目標値を掲げたという点は成果と認められるものの、定数削減の円滑化の仕組みの構築という課題は残されました。国家公務員法の改正は、形式評価(2)の通り、宣言政策上は大きな実質的成果ですが、アカウンタビリティの項目でもみるように、多くの克服すべき課題を残しています。

 また労働基本権については、今後における見直しがタイムリミットをもって担保されたという意味では実質的な成果ですが、現実に進展するかどうかはなお見守るべき状況にあるといえます。


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5.アカウンタビリティー 12点/30点中

【「官と民のパートナーシップ」設計に向けた公務員改革の姿が、明らかではありません】

 公務員を叩く論調が強く、政治がそれに乗るポピュリズム的な状況にある中で、少なくとも政策マーケットを構成する人々や、真面目に安倍政権の評価に関心を向けようとする有権者たちは、大衆向けのマスメディアに目線を合わせた単なる官バッシングには辟易しているでしょう。

 そうした表面的な議論ではなく、国民の付託を受けて行政遂行を委ねられているはずの公務員制度を改革するならば、しっかりとしたビジョンや設計、体系が存在し、明確に説明されるべきです。しかし「評価の視点」の(イ)や(オ)で指摘した課題は、安倍政権が、こうした観点からのアカウンタビリティーを十分に果たしていないことを意味します。

 すなわち、公務員改革は官のゾーンの改革ですが、むしろ安倍政権に求められるのは「官と民の新たなパートナーシップ」の設計で、この点を明らかにしていない公務員改革には、アカウンタビリティーの面で大きな問題があるといえます。


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