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安倍政権実績評価(構造改革特区) 印刷 Eメール

構造改革特区


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言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
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実質評価
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1.評価の視点

 構造改革特区制度には以下の4つの問題点があります。

ア) 申請されるメニューが小粒であること。

イ) 手続き的な負担が大きいこと。

ウ) 全国展開制度によって、特区を利用するメリットが失われていること。

エ) 担い手が不足していること。

 制度の現状を概観した後、課題の詳細に触れます。  構造改革特区制度は2002年(平成14年)7月より5年間の期間を目処に導入され、安倍政権下、さらに5年間(平成24年3月31日まで)認定申請の期限を延長することになりました。  特区制度導入当時は、①地域を限定して特定分野の規制を緩和・撤廃し、地域経済の活性化を図ること、②地域の構造改革の成功事例を示し、全国的な規制改革へと波及させること、を目的としていました。特に前者の目的には、規制緩和の側面と地域経済活性化の2つの含意が含まれていました。図1は、認定された特区数を分野別にまとめたものですが、その実績からは地域経済活性化関連の認定案件が多いことがわかります。
 


図1 構造改革特区 分野別認定数

図1 構造改革特区 分野別認定数


結果として、平成14年7月より平成19年4月に到るまで合計13回の提案募集が実施され、2000件以上の提案主体から3500件以上の特区提案が寄せられています。

 また、図2のグラフは、提案数と認定数の推移に着目し、入手できた第9次募集までのデータをもとに作成したものです。認定数は増減の振幅が激しいものの、全体に認定数は明らかに減少傾向にあることがわかります。

 

図2 構造改革特区:提案件数と認定件数の推移

図2 構造改革特区:提案件数と認定件数の推移


しかし、課題も多くあります。

 第1に、現在メニュー化されている規制の特例のほとんどが小粒なもので特区計画を作成するメリットを感じられないことがあります。というのは、自治体が望んでいた規制緩和の特例は初期の特例運用段階でほとんどが却下されたか、既に特例化され全国化されてしまっているからです。

 第2に、特区認定前後に別途関係省長との事務手続きが必要であることがあります。例えば「どぶろく」は免許申請ができる特例であって、別途酒税法上の免許を取得することが必要になりますし、学習指導要領の特例は事前に文部科学省との協議が必要になるなど、別手続きの負担が大きいです。

 第3に、急速に全国展開されることで先行利益が損なわれることがあります。先行利益がないならば1年後に全国展開を待った方が得策であると判断しがちになります。

 第4に担い手の問題があります。特例が小粒で、事業者が望むようなものではないなど、特区にもとづく事業を実施する企業が少ないという問題があります。しかも、この担い手不足の問題は、根幹的な問題であると思われるのに、特区推進本部、評価委員会でも課題として取り上げられていません。

 このような構造改革特区制度の実績・課題を踏まえ、安倍政権はマニフェストにおいて本制度をどのように位置付け、目標を設定しているのでしょうか。また、どのような実施体制でそれを実行しているのでしょうか。

 以下、前政権からの実績と対比をしながら構造改革特区にかかる安倍政権のマニフェスト・実績の評価を検証していきます。


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2.政策課題の妥当性 13点/30点中

■形式評価 8点/20点中

【構造改革特区制度は地方再生の手段】

 安倍政権は、「進路と戦略」第3章 地域の活性化という政策課題の中で、「地域が独自の取組みを推進し、知恵と工夫にあふれた「魅力ある地域」に生まれ変わることができるよう、地方分権を進め、中心市街地活性化、都市再生、地方再生、そして構造改革特区を発展・維持させるとしています。

 つまり、構造改革特区制度は、地域活性化という政策目標を達成する手段のひとつとして、地方再生などの施策と同位置に位置づけられています。また、これらの制度の維持・継続の方針も記されており、また政府施策の体系化を進めることも記しています。その意味で、構造改革特区制度の目的と工程はある程度描かれているといえます。 

■実質評価 5点/10点中

【「官業の民間開放」から「地方再生」に目的が変わっています。】

 構図改革特区制度は小泉政権時代に策定されたものであるが、その目的は民間開放、規制改革に重点が置かれていました。骨太2006(経済財政諮問会議運営と構造改革に関する基本方針2006)において、構造改革特区に関する記述がありますが、官業の民間開放や規制改革の一環として構造改革特区が位置づけられていることは明らかです。また、図1にありますように認定案件の5割以上が地域活性化にかかる案件で提案者の4割近くを市区町村からの提案が占めています。

 しかしながら、安倍政権は、本制度を地方の活性化という政策目標の下に位置づけており、明らかに前政権からその目標を変えていることがわかります。しかしながら、変更とその理由について説明された文章はみあたりませんでした。また、地方活性化を目的とするのであれば、特例から全国展開することの意味の見直し、市区町村や市民レベルの組織や企業など、事業の担い手となる各種組織への対応策もあわせて打ち出してゆく必要が出てくるでしょう。


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3.実行プロセス 10点/20点中

■形式評価 6点/10点中

【体制変更が見られます】

 ①「所掌の変更」
小泉政権下で始まった構造改革特区であるが、当初は構造改革特区大臣がもうけられ、次から国務大臣の所掌事務になりましたが、それには規制改革と特区が含まれていました。しかし、安倍政権、佐田国務大臣以降、特区は国務大臣の所掌事務から消え、同大臣所掌事務である地域活性化の下に構造改革特区が位置づけられています。さらに、佐田氏辞任後、就任した渡辺国務大臣は、地域活性化、行政改革、道州制、産業再生を担当しています。特区は地域活性化の下に位置づけられました。(ちなみに、渡辺氏は内閣府特命担当大臣として行政改革・規制改革大臣を兼務しています。)このことから、体制面はマニフェスト上の目的変更(規制緩和から地域活性化)に連動し、再編されていると考えることができます。

 ②「評価・調査委員会の設置」
安倍政権発足当時は、前政権の運営方法を引き継いだかたちとなっており、構造改革特区推進本部とそのもとに設置された評価委員会が運営されていました。しかしながら、H19年5月より、評価・調査委員会が新たに発足し、特区認定の段階から調査を行う機能を有するようになりました。これまでの実施プロセスから得られた課題を踏まえ、評価委員会の機能を拡充したものと思われます。 

■実質評価 4点/10点中

 ここでは、構造改革特区推進本部および評価委員会は、本制度実施プロセスからどのように課題を抽出し、また、政策目標の変化に対応しているのかを検証していきます。

①特区実施プロセスにおける課題

【現場の声を反映した課題認識はあるものの評価体系に不備が見られます】

 特区推進本部およびそこに設置された評価委員会は、本制度によって一定の成果を上げたと評価していますが、特例措置を全国展開にするべきか否かの評価時期の問題、特例措置に関連する規制などの障害、全国展開の可能性のないものについての全国展開の撤回の問題、地域活性化の観点から特区を継続すべき案件の扱い、などを課題として挙げています。
また、政府としては、上記の問題に加え、実現数の減少、案件の小粒化、財源手当てがないこと、民間が計画策定段階で直接関与できないこと、等を挙げています。
これらの特区制度実施・運営上の課題は、現場の声を反映したものでしょう。

 しかしながら、現行評価制度においては特区施行による弊害のチェックしかなされておらず、特例措置導入による効果をアウトカムレベルで把握することは経常的に行なわれていません。効果や成果を検証する視点が評価システムに組み込まれていなければ、今後の持続発展的運営のための改善点を見出すのは困難ではないでしょうか。

 また、報道でも大きく取り上げられ、社会的注目を浴びた株式会社大学(LEC)問題について、推進本部、評価委員会の双方ともに明確に言及せず、評価委員会の個別検討の中で、現段階での判断は尚早であるとして今後の課題としています。特区制度導入以来、最も大きな問題のひとつとなったのがLEC問題ですが、原因の究明や対応策の検討は早急に対応すべきもので、所轄庁のみならず認定した側も取り組まねばならない課題ではないでしょうか。

②政策目標変更に伴う課題

【地域活性化に資するように制度を再設計する必要があります。】

 安倍政権は特区を地域活性化の手段として位置付けており、前政権の規制改革の手段から、その位置付けを変えていることは前述のとおりです。この点を反映して、実行プロセスに何らかの変化があったのか、あるいはそれに伴う課題を新たに抽出したのかを確認するために、公開資料や情報を探ってみました。しかし、挙げられているものは運営面での改善策に留まっており、目標変更に伴う議論を記したものは見当たりませんでした。地域活性化の視点に関係するものも、全国展開を急がず特区継続をするというものだけでした。

 しかし、地域活性化という目標に基づき、特区制度見直しを議論するとのであれば、より抜本的な制度の見直しが必要ではないでしょうか。
そもそも構造改革特区制度は規制緩和の速やかな展開を目途に、特例でテストし全国展開するというシナリオに基づいて作成された制度です。

 しかし、地域の活性化という視点からみれば、先の都道府県担当者のヒアリングでも指摘されていたように、全国展開は先行者の利益を損ない、地域活性化のための事業を疎外する要因にもなりえます。

 また、申請数の4割近くを占めている市区町村からの提案数の大幅減少への対策、あるいは全体の18%にも及ぶ草の根レベルの提案者の運営実施能力を強化する政策や、彼らの資金基盤強化策などを進めてゆかないと、地域活性化の手段としての特区制度は容易に機能しないようにも思われます。


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4.実績 7点/20点中

【構造改革特別区域法の改正案には、地域活性化への目的変更に伴う改正点の記載なし。】

■形式評価 4点/10点中

 安倍政権の明確な意思のもとに作られたのは構造改革特別区域法の改正案であり、これをアウトプットとするのが適当でしょう。

 本改正案の特徴として、評価制度の拡充(評価・調査委員会の設置と機能拡大)、特区存続を評価基準に加えること、所轄庁の報告義務、プロジェクト型提案、関連規制障害撤廃に向けての積極的取組み、ニーズ調査や相談制度などが挙げられます。これらは、これまでの実施プロセスから得られた課題への対応策を反映したものと思われます。

■実質評価 3点/10点中

 しかしながら、法改正の方向性を示した構造改革特別区域基本方針の冒頭頁には、最初に経済活性化のための規制改革、その次に地域の活性化が記され、 >地域の活性化を主たる目的に変更したことに伴う改正点があることは記されていません。政策目標とそれを達成する手段としての構造改革特区制度の間に齟齬が出てきているように思われます。今後、この点をチェックするためにも、地域活性化に焦点を当てたアウトカム指標に基づき、改正制度実施による進捗と効果を検証してゆく必要があるでしょう。


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5.アカウンタビリティー 7点/30点中

【4つの問題点】

 特区制度に関わる申請および認定情報、また評価委員会の議事録などの情報公開はされていません。

 しかし、4つの点でアカウンタビリティ上の課題があるのではないかと思われます。

 ■第1は、前政権から目標変更に伴う事実とその理由を明示的に説明していないことです。

 規制改革から地域活性化に目標が移行したことは、歴代担当大臣の間で所掌事務範囲の変更があった、明らかなのですから、この点について明確に説明することは必要です。

 ■ 第2は評価の問題です。

 本制度では評価の重要性が強調されていますが、それは全国展開する際の弊害のチェックに留まっています。成果と改善点に視点をおいた評価なくしてはPDCAサイクルは成立しませんが、アンケート調査による経済効果分析の1回に留まっています。アウトカムレベルに視点をおいた評価を実施する必要があるでしょう。

 ■第3にLEC問題に省庁される責任所在の問題です。

 本件の直接の責任は所轄庁である文部科学省にあるという見方もありますが、特区推進本部が全く無関係であるということは不可能でしょう。特区によって負の影響がもたらされた際の責任の所在、対応方法については更なる検討が必要であると思います。

 ■第4に市場化テストなど類似制度との区分が不明確な点です。

 例えば、行刑施設は特区と市場化テストの双方で民間委託が実施されており、制度の利用者や国民にとってその線引きが不明確です。また、再チャレンジなど、新たな申請制度が次々と出されており、提案側、あるいは国民からみると複雑になるばかりで良くわからないという問題が指摘されています。今後、これらの類似・関連制度の整理が早急に求められます。


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