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安倍政権実績評価(農業・食料政策) 印刷 Eメール

農業・食料政策

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argaiv1059

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
実質評価
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形式評価
実質評価
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1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア) 新しいプロの担い手を確保・育成するための適切な政策が打ち出されているか。

イ) 食料自給力を確保していくための戦略(農地制度の改革も含む)を描けているか。

ウ)荒廃が進む農村のあり方についてのビジョンが描けているか。

エ) 国際戦略も含めた総合的な食糧安全保障戦略が打ち出されているか。

オ) 地球環境問題への対応としての実効的な森林対策が描けているか。

以下、それぞれについて詳細を具体的に説明します。

ア)新しいプロの担い手を確保・育成するための適切な政策が打ち出されているか。

 今後の農家への支援策は4haあるいは10ha(北海道)のプロ農家に対する支援へと集中されることになり、

①従来は品目ごとになされていた補助金が面積単位で支払われる、
②安価な輸入農産物の国内価格との差額を品目ごとに埋める価格差補給金は、所得保障の形へと転換される(品目別価格差補給金それ自体がWTO違反になりかねない)、
③農産品の価格変動をならす基金は生産者が1/4を、政府が3/4を負担する

こととなりました。

しかし、現在、日本の農業は昭和一桁生まれの世代で担われており、こうした農家への支援策が4haあるいは10ha(北海道)以上に集中されても、そこに、若く継続的に営農に取り組む意欲のある世代が入ってこなければ意味がありません。

若い人が農業をやってみたいと思うサイズの経営をいかに作り出すかがより重要であり、現在は中途半端な規模でも、それを大規模営農へと拡充して取り組みたい(今は3haであっても、それを4ha以上にしたい)とするインセンティブこそが求められます。それは今後3~4年が勝負であり、「担い手の卵」を見出すための対応策の構築が急務です

イ)食料自給力を確保していくための戦略(農地制度の改革も含む)を描けているか。

 国内供給の面から食料安全保障を確保していく上で必要なのは、農業経営に厚みを増すことです。「攻めの農政」の下に日本の農産品の輸出を促進することも重要ですが、これが可能なのは、例えば農産物を丁寧に育成して付加価値を取るといった日本の強みが活かせる品目に限られており、米国や豪州とは農地の賦存状況に圧倒的な差がある中で、多くの農産品が輸入自由化でそれらの国々の産品と対等に競争できるわけではありません。

農業供給力は、そのための資源、すなわち、人、農地、水がどこまで維持されるかにかかっています。特に、人は、安定供給のポテンシャルになるものであり、日本はこの「人」の面で危機的状況にあります。

 その意味で、上記(イ)の対策が極めて重要ですが、もう一つの「農地」についても、その集積が欠かせません。「人」、すなわち「担い手の卵」を確保し、経営に厚みをもたせるためには、そのためのインセンティブの構築とともに、農地制度の改革が欠かせません。

単に土地が流れるだけではなく、面的に集積することが必要なのです。農地の所有権は認めながらも、それを公的機関に一旦移し、使用者に再配分するような仕組みも検討課題でしょう。いずれにしても、利用権を所有権から切り離しやすくするための農地法の改正は急務です。

ウ)荒廃が進む農村のあり方についてのビジョンが描けているか。

 農業の担い手が高齢化し、農村から人が流出して荒廃が進んでいます。「都市と農村との対流」は政府・与党が掲げ続けてきたアジェンダであり、安倍政権も「人生二毛作」として、農村との二箇所居住やリタイア世代の就農を促進する措置を打ち出していますが、例えば20~30年後の農村をどう描くのかについてのトータルなビジョンは提示されていません。

地方を支える産業はやはり農業であることも踏まえつつ、地方の活性化、地域再生の中で農村の再生を体系的に設計することが課題です。

エ)国際戦略も含めた総合的な食糧安全保障戦略が打ち出されているか。

 安倍政権は、国際的な食料事情の変化に対応した食料戦略の確立という課題は設定したものの、それは「多角的分析と認識の共有」にとどまっており、食料戦略のための具体的な政策は今後の課題となっています。

輸入に頼っている日本の食生活を考えれば、国内農業さえよくなればいいということでは済まされず、国際戦略、輸入の多角化、海外で農地を持つという今までにない発想、農地を持った国との安定的な外交はどうあるべきかといった点を総合的に戦略化していかなければなりません。そこには、例えば、低コストの東アジア地域を高度な農業技術を持つ日本の農業生産そのもののプラットフォームにしていくといった、一定のパラダイム転換も必要でしょう。ここまで踏み込んだ総合的な食料安全保障戦略が問われているのです。

オ)地球環境問題への対応としての実効的な森林対策が描けているか。

 安倍政権が「美しい森林づくり」で森林整備にこれだけの対策を講じるとしても、問題は、その財源保障が十分ではないことです。厳しい予算枠の中で今後も毎年度、同様の予算措置を講じ得るかという問題に加え、県の裏負担の問題があります。

 そうであるがゆえに、国民運動としてやる気をいかに喚起するかが課題です。

 3代かかる山づくりにおいて、ちょうど第3世代へと良い山を残していくべき歴史的な事業であることも踏まえて、政権として森林対策で「美しい国づくり」を進めていくというメッセージをより強力に発することが安倍政権には求められます。


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2.政策課題の妥当性 15点/30点中

■形式評価 11点/20点中

 私たちがマニフェストとみなす3点セット(「所信表明」「政権構想」「施政方針」)での課題設定は、下記の形でなされました(重複部分除く)。

・「農林水産業を戦略産業に変える」(政権構想)
→ビジョン、ミッションは明示されています。

・「おいしく、安全な日本産品」の輸出を平成25年までに1兆円規模とすることを目指す。「人生二毛作」の実現に向け、就業を促進する仕組みをつくる。」(所信表明)

・「意欲と能力のある担い手への施策の集中化、重点化を図る。都市と農山漁村との交流の推進など農山漁村の活性化に取り組む。」(施政方針)
→課題と目標とその時期は設定されています。

 このように、それ自体として一応の形式要件は整っていますが、農林水産業を取り巻く現状に鑑みれば課題設定自体が不足しており、施策の体系化も不十分です。

■実質評価 4点/10点中

 3点セットで設定された課題それ自体は妥当ですが、評価の視点で挙げた安倍政権の課題には部分的にしか触れられていません。その後に策定された「新農政2007」こそが安倍政権の実質的な農政マニフェストになります。しかし、ここで行われた重要な課題設定の多くが3点セットの時点では明示されていませんでした。


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3.実行プロセス 14点/20点中

■形式評価 9点/10点中

 安倍マニフェスト3点セット(「所信表明」「政権構想」「施政方針」)の形式的な実行プロセスに限ってみれば、予算措置や「新農政2007」での課題設定などのインプット・プロセスはほぼ適切に行われました。

■実質評価 5点/10点中

 基本的に農業の改革路線は小泉政権から引き継がれ、そこからの後退はみられず、安倍総理自身が農政には高い関心を示してきています。予算措置や「新農政2007」で、安倍政権に問われている課題の多くに向かい合い、答えを出す努力が認められました。総理の指導力も随所で発揮され、安倍カラーの発揮や「美しい国」とのリンクも実現しました。

 しかし、農政分野の課題設定は基本的に小泉政権下でレールが敷かれたものが多く、それが順調にこなされていること自体は通常の努力の範囲内といえます。農林分野で日本に問われる本質的な課題解決の上で、政策インプットは未だ不十分であるといわざるを得ません。特に、安倍政権の最初のハードコアとなる課題設定は農地法の改正であるが、これについては、「実績」の実質評価で触れるように経済財政諮問会議で取り上げられたものの、具体的な検討は先送りされました。


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4.実績 11点/20点中

■形式評価 7点/10点中

 安倍マニフェスト3点セット(「所信表明」「政権構想」「施政方針」)は、長期的な時間軸の中で行われます。しかし、「新農政2007」、美しい森林づくりなどは、課題設定そのものが、ひとつのアウトプットであると言えます。予算措置も「美しい国づくり」という点でみれば、その課題実現に向けてメリハリある措置が講じられました。成果の形式評価としては、実行プロセスのそれと同一になります。  

■実質評価 4点/10点中

 安倍政権は、「新農政2007」と「美しい森林づくり」の課題設定で一応のインプットを行いました。しかし、農地制度の利用をどうするかという、重要課題においては、依然として議論の先送りが行われています。

 農地改革における「所有から利用へ」については、経済財政諮問会議において、民間議員から、
①5年程度を目処に耕作放棄地ゼロを目指すという目標を設定し、その工程を明らかにする。
②農地について定期借地権制度を創設する。
③農地利用料は農地の需給を反映したものとし、農地の借り手が経営上、不利にならないような仕組みとし、現行の標準小作料制は一定期間後廃止する。
④高齢、相続等により農地を手放すことを希望する人が所有権を移転しやすくするため農地を株式会社に現物出資して株式を取得する仕組み等を創設する。
との提案が行われました。

 そして、2007年6月にとりまとめられた2007年「骨太の方針」では、基本的に「新農政2007」のラインが踏襲されたものの、農地の所有と利用の分離には特に力点が置かれ、「農地改革案の取りまとめ」として
①5年程度を目処とした耕作放棄地ゼロ、
②農地リースの加速(定期借地権創設などで農業経営者への農地の集積を促進)、
③法人経営の促進(農業生産法人の要件の見直し等)
といったアジェンダが設定されました。

 しかし、この「取りまとめ」の具体化は、有識者懇談会での検討に委ねられ、今年秋までにとりまとめられることとされた「農地を含めた農業改革の全体像と工程表」に先送りされました。安倍政権が農地法の改正をアジェンダに載せたことは評価できますが、農地制度を巡る諸問題は既に10年ほど前から課題とされてきたものであることに鑑みれば、その進捗状況は依然として遅々とした段階にとどまっているといわざるをえません。


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5.アカウンタビリティー 15点/30点中

 安倍マニフェストでの「農林水産業を戦略産業化する」とのメッセージは、「攻めの農政」とともに力強く分かりやすいもので、日本の農政の一つの方向を的確に伝える訴求力を有するものとして評価できます。また、農水省予算のマニフェスト化や、「新農政2007」による課題の明示、「美しい森林(もり)づくり推進国民運動」や「木づかい運動」といったキャンペーンの実施なども、政策のアカウンタビリティーを高めています。

 本評価では、基本的にこうした安倍農政の改革路線を積極的に評価する立場をとってきました。それは、今の日本が置かれている状況の下では、WTOドーハラウンドやFTA、EPAでの自由化のスピードと平仄が取れるよう、国内農業の生産性向上をスピードアップしなければならないからです。

 しかし、それは日本の農業が最低限クリアーしなければならない当面の課題という、問題の一面を捉えたものに過ぎず、より長期を展望すれば、日本の農業の別の面にも目を向けてアカウンタビリティーを問うべき問題があると考えられます。

 すなわち、「攻め」や「戦略産業」として安倍政権が発信しているメッセージは、日本の農業の全体の中でみれば、日本の強さが活かせる一部の分野に偏ったメッセージであり、それだけであっては、むしろ、日本農業のより本質的な側面について国民に伝えるべき内容を曖昧にしてしまうでしょう。

 すなわち、日本の農業の課題はグローバル化の中で生産性を高めることにより、自由化と食料の安定供給の両立を目指すことにあり、様々な規制改革や構造改革で日本の農業が強くなることは事実です。しかし、日本農業で「攻め」が可能な分野が存在する一方で、アメリカや豪州などと土地の賦存状況が異なる日本において、農業生産の大半を占める土地型農業が最終的にこれらと比肩する競争力を得るに至るわけではなく、そのような実態は情報として十分に伝えられていません。改革が行くところまで行ったところでは、いかなる選択肢になるかというところまで現状では考え抜かれていません。改革措置を通じてベストを尽くしたところでどうしても残るコスト格差について、そうであれば日本は豪州などからの輸入に頼るのか、その格差の部分は所得保障によって国産を維持するのか、そのいずれに最終的な解を求めるかについて、国民に選択肢を提示しなければならないはずです。

 もう一つの問題として指摘されるのが、改革路線それ自体についても、アカウンタビリティー不足が認められることです。すなわち、安倍政権の「新農政2007」は、評価の視点で述べた(ア)~(オ)の課題に関しては、不十分な答しか描かれていません。「アカウンタビリティー」とは単なる説明責任だけを意味するものではなく、設定した課題の出口を責任を持って描くということも含めて捉えられるべきです。

 加えて、日本の農山漁村がいかなる姿で存立していくのかを、そのエコノミクスを含めて描くことは「美しい国」の不可欠な構成要素のはずです。日本の国土の3分の2を占める森林については「美しい森林づくり」で一つの説明は行いましたが、地域や郷土の価値観を重視するのであれば、食料の輸出や「攻め」、「戦略産業化」などの論理だけであっては、農村や農業を「美しい国」の中に位置づける言葉としてあまりに不足しているといえます。様々な改革の先にある日本の農業や農村コミュニティー再生の絵すらも描けていない「美しい国」とは一体何なのかが問われています。


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