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安倍政権実績評価(治安) 印刷 Eメール

治安


「言論NPOの評価基準」をみる

argaiv1059

言論NPOでは、これまでに安倍政権が行った政策の実績評価をしました。

   
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形式評価
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形式評価
実質評価
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1.評価の視点

 この分野の評価に当たっては、以下の視点を評価のポイントとします。

ア)留置場・刑務所など収容インフラのネックが提起する課題

イ)社会システムとしての刑事司法システムの効率化

ウ)治安を切り口にした地域コミュニティーの再構築

(ア) 留置場・刑務所など収容インフラのネックが提起する課題

治安の危機的な状況が改善する中で、新しく留置場など収容インフラの問題が浮上し、犯罪摘発が増えている現状では、これがさらなる治安改善のボトルネックになる可能性があります。
既に留置場は満杯であり、留置場の空き状況が捜査の進捗を左右する(留置場が空くまで捜査はストップする)という事態も発生しています。

 また近年では、住所不定の外国人被疑者の急増が、一人が留置場に滞在する延べ日数を長期化させてきました。こうしたより長期に犯罪者を収容しなければならない刑務所の過剰収容問題が、留置場の過剰収容に加えて今後さらに深刻化すると思われます。
これは第一に、刑務所の一人当たりコストが大変高く、収容者が増加する中で、コストを税負担でどこまで賄うのかという国民経済的な問題です。第二に、過剰収容の中で刑務所内での矯正処遇が行き届かず、死刑以外はいずれ出所している現状の中で、矯正が十分にできない人物の社会復帰が増えれば、犯罪の再生産が起こり得るという問題です。

これまでは警察、検察、裁判所、矯正、出所後は保護司と、各々の縦割りシステムの中で努力が積み重ねられてきました。しかしこれからは、横串を通す横断的なシステム再設計を行い、ある人物を1本つながった形でどう処遇し、社会は将来どのように対処するか、という問いに答えられる刑事司法のあり方に転換していくことが、時代の要請でしょう。

(イ) 社会システムとしての刑事司法システムの効率化

より幅広い視点でこうしたシステムの問題を考えれば、刑事司法システム全体について、効率性の問題が課題として残っています。
治安の危機的状況の克服に向け、どれだけの対策が謳われても、システム全体に生じているこうしたネックの解消がなければ、根源的な対策にはなりません。

 現在、日本では犯罪者の人権保護の視点から「精密司法」と言われる状況があります。しかし刑事司法システムを構成する実体法、手続法を、将来の社会における安全の確保という目的に資する体系になっているのか、という視点から再設計することが必要です。

加えて、現在、国民に開かれた使い勝手のよい司法制度への改革が進められていますが、それによって警察や検察に膨大な事務が上乗せされることになるとすれば、ここにもソーシャルコストの視点は欠かせません。

もちろん人権の重要性は、近代民主主義国家として否定すべきでありません。しかし、今日の日本を取り巻く内外の情勢を踏まえれば、戦前のトラウマから自由になり、市民社会の安定を、効率的かつ効果的に組み立てるべきです。そのため治安対策でも、刑事司法を一つの社会システムとして捉え、持続可能なシステムへ効率化することが求められます。

(ウ)治安を切り口にした地域コミュニティーの再構築

 他方、治安対策には、単に刑事司法システムの効率性の視点だけでなく、より根源的には犯罪発生そのものを抑止することが重要であり、同時に、それを通じて刑事司法システム自体への負荷を極小化していく視点が必要です。そのためには、効率性という基準以外の視点が必要となります。

例えば、警察というものは幅広く国民にできるだけ近いところに存在することが望ましい側面があり、安易に交番や駐在を廃止せず、警察官の増員を図り、将来的にはその網の目を構築するのが望ましい姿でしょう。しかし、人的リソースの投入増には限界があるとすれば、治安対策の解はむしろ地域コミュニティーそのものの復活に求めざるを得ません。

すなわち、戦後、地域コミュニティーが崩壊し、治安は専ら警察が受け持ち、地域の人々は無関心となる傾向が続いていたのが、近年の治安悪化で、自治体の地域行政の責任としてそれを考える動きが出始めています。しかも、犯罪を減らすだけでなく、治安の根本的な改善には、やはり地域コミュニティーが必要という発想まで踏み込んできているのです。

この動きにより、かつてほど濃密ではなくても、現代型の絆で結ばれたコミュニティーが、地域に取り戻される可能性が展望されます。そのため、治安対策の視点を刑事司法の全体システム、さらには、その外側の地域コミュニティーにまで広げ、トータルな日本の社会システム再設計の問題として考えていくことが、安倍政権に残された課題といえます。


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2.政策課題の妥当性 8点/30点中

■形式評価 6点/20点中

【「世界一安全な国、日本」復活を理念に、地域社会との連携・犯罪取締りを掲げています】

 1)政権構想では「政権の基本的方向」の中で「安心と安全を国民の手に取り戻す」を柱の一つに立てながらも、治安問題への言及はありませんでした。

 2)所信表明では「健全で安心できる社会の実現」を謳い、治安関連では「子どもが犠牲になっている凶悪事件や飲酒運転による悲惨な事故が相次いでいる」、「国民の安全を確保するのは政府の基本的な責務」との認識の上に、「世界一安全な国、日本」の復活を理念・目標に掲げ、その手段に「地域社会との連携の強化」、「取締りの徹底」を挙げています。

3)施政方針では、「世界一安全な国、日本」の復活が繰り返され、その手段として、①防犯ボランティアのパトロールなどの活動の支援、②2007年春までに「空き交番ゼロ」を実現、が掲げられています。

4)「進路と戦略」でも「世界の模範となる安全・安心な国づくり」が掲げられ、地域社会との連携、組織犯罪や国際的な犯罪への対応などに言及されました。

【施策の体系がなく、「世界一安全な国」の実現に向けた具体的な目標もみられません】

評価の対象になるような施策の体系はなく、治安の確保に向けたハードで有効な施策の約束は見られません。また理念・目標である「世界一安全な国」は、何をもって「世界一」とするのかが曖昧で、感覚的な表現に過ぎないものです。
確かに、「犯罪」の定義が各国によって異なるという事情があり、その定義づけは困難であるとしても、これを理念のレベルの目標として掲げるのならば、その下にそれを補うようなより具体的な目標を設定すべきです。
マニフェストらしい部分は、達成時期と数値目標を明示した「空き交番」に係る記述だけです。

■実質評価 2点/10点中

【治安問題の力点が低下し、実質的な課題設定もなされませんでした。】

小泉政権時の与党マニフェストに比べ、治安問題への力点の置き方が明らかに後退しました。足元で治安情勢には幾分かの改善が見られたためにひところのような危機意識は薄れているのかも知れません。また、かつての日本が実現していた「世界一安全」な「世界の模範となる」国を掲げることに、意味がないわけではありません。

しかし、日本の治安情勢が「危機的状況」から完全に脱却した証拠は示されていません。さらに、治安は一旦手を緩めればその崩壊は容易であることに鑑みれば、安倍政権としても、より強いトーンと位置づけでの課題設定をこの分野に与えるべきでした。いずれにせよ、安倍マニフェストでは治安分野について実質的な課題設定はなされませんでした。


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3.実行プロセス 13点/20点中

■形式評価 5点/10点中

【「空き交番ゼロ」は達成しましたが、そもそも形式評価に意味があるかは疑問です。】

形式評価の対象を、マニフェストに掲げられた施策のインプット状況とみれば、後述にみる「空き交番ゼロ」が達成は、評価できます。しかし、上述のように、マニフェストで実質的な課題設定が、みられない以上、実行プロセスの形式評価に意味があるかは疑問で、むしろ、既に小泉政権下の実質的な課題設定に沿った施策がなされてるといえます。

■実質評価 8点/10点中

【「世界一安全な国、日本」の復活に向けては、実質的な政策の実行プロセスがみられます。】

ただし、安倍マニフェストの施策のインプットを離れて、理念のレベルでの「世界一安全な国、日本」に向けた施策の実行という点では、実質的に評価できる要素がいくつかみられます。

第一に、安倍政権の治安対策に係るスタンスについては、安倍総理の北朝鮮の拉致問題に対するぶれない厳しい姿勢が示すように、犯罪の被害に遭った人々への思い、加害者への厳しさがうかがわれ、警察庁長官とも緊密に打ち合わせながら、治安問題に高い関心を示してきたという事実があります。

第二に、長崎市長の銃撃事件を受けて直ちに銃器対策推進会議を開催し、銃器対策の強化を図った対応は素早いものであり、上記のような安倍総理のスタンスを反映したものと評価できます。

第三に、後述のように治安関係立法が安倍政権下で進んでいます。これは、評価の視点(イ)で指摘した重要課題への対応であるとともに、例えば厳罰化などに向けて高まっている国民のニーズを汲み取ったものと評価できます。ただ、こうした制度上の措置は小泉政権下の既定路線で、安倍政権の実行プロセスとして評価できるかは疑問な面もあります。


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4.実績 12点/20点中

■形式評価 8点/10点中

【数値上で治安改善がみられます。ただ、マニフェストの目標は未達成です。】

警察庁は本年4月、「空き交番」が「全国ですべて解消された」と発表しました。2004年からの3年間に、統廃合により全国で約300の交番を減らす一方、交番勤務員を約4400人増やしたことでこれが実現しました。また警察庁としては、警察官OBの交番相談員をさらに増やすなどして住民に不安感を与えないよう図っていくこととしています。

一方で治安情勢は、平成18年には、平成14年をピークに減少を続けてきた犯罪認知件数はさらに低下、平成13年に過去最低となったあと上昇を続けてきた検挙率はさらに上昇しました。

平成18年の大半は小泉政権下の期間で、これを安倍政権の成果とは言い切れませんが、①小泉政権時から警察など治安当局が力を入れてきた、②警察官などの人員増強も図られてきた、③民間も地域社会を自ら守ろうと努力してきたといったことが奏功したものといえます。

また体感治安も足元で改善がみられます。これも平成18年12月調査であるため、前年からの改善については小泉政権期に重なる部分の方が多いですが、内閣府「治安に関する世論調査」では、「日本は安全・安心な国」と思うとする回答者の比率も、「10年間で治安はよくなった」と思うとする回答者の比率も、前年より上昇しています。
以上は、足元の表面上の数字でみた治安改善の成果です。
しかし自民党が、2007年7月の参院選マニフェストで、世界一安全な国の「復活」を実現するとしていることは、現状が依然として、かつて日本が達成していた「世界一安全な国」には戻っていない(安倍マニフェストが目指した目標が達成されていない)ことを自認するものでもあります。 

■実質評価 4点/10点中

【治安立法の制定は評価できますが、治安問題への根源的な対策は不十分です。】

重要なのは、足元でみられる治安の改善傾向が今後とも続くかどうかです。治安についての根源的な対策としては、評価の視点で指摘した課題への対応が何よりも重要です。

さらに、それに加えて今後の懸念要因として、以下の4点が挙げられます。

① グローバル化のさらなる進展で外国人犯罪など、質的に困難な犯罪が増加する可能性
② 24時間社会の進展で隣人への関心が低下し、警察への情報提供が減少している
③ 犯罪の発生は景気と連動する傾向があり、現状の改善は景気の回復の反映でもある
④ 今後はネット犯罪、サイバー犯罪が大きな課題になっていくことが見込まれている

こうした点も含め、安倍政権下で治安立法が進んだことは一つの成果と評価できます。

本年5月に成立した改正少年法や、国会に提出された「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法の一部を改正する法律案」がその一例です。

しかし、治安システムの実効性や効率性の確保、治安を切り口にした地域共同体の構築など、根源的な対策について残された課題は依然として極めて多いといえます。


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5.アカウンタビリティー 5点/30点中

【政権の決意は伝わりましたが、「世界一安全な国、日本」という理念が曖昧でした。】

長崎市長の銃撃事件など、世間の耳目を引く凶悪犯罪の発生の際に見せてきた対応や、総理の犯罪者に対する厳しい姿勢など、「安全・安心」な社会に向けた政権の決意が国民に伝わっていなかったわけではありません。

しかし、与党や政府が治安対策を大きく喧伝した小泉政権時と比べると、マニフェストの段階でも、政権運営においても、安倍政権では治安のアジェンダ上の優先順位が後退した印象があります。この点では、犯罪者に対する断固たる姿勢の表明自体が大きな犯罪抑止効果を持つことに鑑み、治安対策には変わらぬ力点を置くことを示す工夫が必要でした。

こうした問題点があった一方、「世界一安全な国、日本」という理念で、治安分野でも日本人が誇りを取り戻すことを掲げるのは、「美しい国」の一つの要素は「誇りの持てる国」であるため、安倍政権全体の文脈の中からも感覚的には分かりやすかったといえるでしょう。

2007年の「骨太の方針」では、この目標の下に「地域と連携しつつ犯罪から子どもを守る取組」、「犯罪被害者等への支援の充実」、「銃器対策の強化」、「組織犯罪、国際的な犯罪、テロ、サイバー犯罪等への対策の推進」、少年法の改正を踏まえた対策、外国人の入国・在留管理体制の強化など、マニフェストに比べ、アジェンダ設定の広がりもみられます。
しかし、「世界一安全な国、日本」の復活を治安対策の最上位の目標に掲げるならば、どうなればその「復活」になるのか、何らかの説明をするべきです。
具体的には、単に個々の手段に取り組むことを説明するだけでなく、そうした施策の効果や、効果がどう組み合わさって、目標が達成されるのかが、納得感をもって理解されるよう説明が求められます。

また、評価の視点(イ)のとおり、日本の治安インフラは、社会の安全・安心を確保する装置として、刑事司法システム全体の効率性や実効性を問い直す段階との認識が必要です。しかし安倍総理が唱える「戦後レジームからの脱却」は曖昧であり、それが何を指すのかを定義することを通じ、政治が取り組むべき真の課題が見いだされるべきです。

同様に、評価の視点(ウ)で指摘した、防犯を切り口とした地域コミュニティーの再生も、本来は、地域や家庭の価値を重視する「美しい国」であるはずです。これは例えば、従来は水と油だった教育と警察が、治安を媒介に一体となり対策に取り組む動きがある中、それをコミュニティーの再生につなげるため、「美しい国」を語るというようなことです。


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