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2007年マニフェスト評価(格差・再チャレンジ) 印刷 Eメール

格差・再チャレンジ

「言論NPOの評価基準」をみる

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1.評価の視点

日本に問われている本質的な課題は次のように整理できます。

(A) ワーキング・プアの問題

(B) 中流階層のモチベーションの低下

(C) プロフェッショナルな人材の育成

(D) 経済社会システムの不公正さに対する不信感

(E) 労働市場における格差是正

 (A) 第一に、職業能力の育成を施されなかった人々の問題があります。
各企業は短期的な利益を重視する成果主義の方向に進み、長期的観点からの人材育成に対する投資が減少し、十分な職業能力を持つ人材が社会全体で不足しています。これは中長期的な成長力を低下させる一因にもなっています。ワーキングプアに代表される人々に、いかにして職業能力をつけさせ、労働市場で雇用されるチャンスを与えるかが問題になっています。

 (B) 第二に、中流階層のモチベーションの低下の問題があります。
成果主義の中での成果の配分が偏り、十分な恩恵を受けられなかった労働者が多く存在しています。職業ごとの能力評価システムを構築するなど人材が流動化できるチャンスをいかに労働市場に生み出すかが重要です。

 (C) 第三に、プロフェッショナルな人材を育て、彼らのモチベーションを高めていかなければなりません。人口減少社会において一人当たり労働生産性の向上が日本経済に求められている中では、これは重要な課題になります。

 (D) 第四に、日本の経済社会システムの公正さに対する不信感があります。日本の経済社会が資本蓄積や階層の固定化傾向を経て、人生のスタート地点から大きな差が出てきています。また、人々の経済活動や生活が様々なリスクにさらされていく中で、能力よりは運・不運で結果が大きく左右される世の中になってきたと認識されています。
こうした状況下で、例えばアンフェアと映る行為で利得を得ることが起きる市場のあり方に多くの人々が不公平感、不平等感を抱いています。したがって、資産 への課税などにつき、透明で公正なシステムを構築・運用するなどして信頼感を確保していくことで、大きな富を得ている人たちに対しても、それが彼らの努力 の結果であると納得できる状況にしていくことが必要になります。

 (E) 第五に、労働市場における格差是正の問題があります。こ れは能力や意欲に基づいて公平な評価と成果が得られる社会を構築する上で、労働市場に生じている歪みを是正するという、主として公正の観点からなされる政 策です。しかし、現状で不遇な待遇を受けている労働力を経済成長に取り込むという成長政策上の課題解決にも貢献するものです。

こうした課題に対して、各党のマニフェストはどのように応えているか、以下に検証します。

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2.評価結果



総計 43点 / 100点中

1.形式要件  21点/50点中


■ 「理念や目的は書かれているか」  10点/10点中
小泉改革路線がもたらした歪みの一つとして格差の拡大の問題が強く指摘されていますが、自民党マニフェストはこの問題に対し、「再チャレンジと努力する人が報われる社会をつくる」との理念で答を出そうとしています。
そこでは主として、
①「チャンスにあふれ、何度でもチャレンジが可能な社会」、
②若者の雇用機会の確保、
③団塊世代に対するチャレンジの機会の提供、
④高齢者の活躍の場の拡大、
⑤働く人の公正な処遇に向けた取組とパート労働者の待遇改善(均衡待遇の確保や正社員への転換、パート労働者など勤労者の賃金を「底上げ」すべく最低賃金法を改正等、一人ひとりの働き方に応じた公正な処遇)、
⑥地域雇用対策
などの目的が掲げられました。

■ 「目標設定の明確性」  2点/10点中
上記⑤の最低賃金法の改正により最低賃金の引上げを早急に実現するとしたほかは、目標設定といえるものはありません。

■ 「財源の裏付け」  0点/10点中
予算措置を伴う施策が特定されておらず、財源には触れられていません。

■ 「ロードマップは描けているか」  2点/10点中
「再チャレンジ支援総合プラン」の推進、団塊世代を活用した「新現役チャレンジプラン」の創設、最低賃金法の改正など、政策実現の手続きに関する記述は盛り込まれていますが、いずれもロードマップの提示には至っていません。

■ 「目標実現のための施策・手段の体系」  6点/10点中

全体に体系性がわかりにくいです。
しかし、整理すると、若者(年長フリーターなど)や団塊世代や高齢者あるいは障害者などの再チャレンジないしはチャレンジを促進する政策群と、雇用や労働市場における賃金や雇用条件など格差を是正し公正を確保する政策群の2つに大別できます。
これらを併せて、がんばる人や意欲ある人が誰でも報われるチャンスと処遇を確保しようとする政策体系になっていると整理されます。

2.内容(実績基準)  20点/50点中


■ 「課題抽出の妥当性」  10点/20点中
評価の視点で挙げた(A)については、「若者の雇用機会の確保」でフリーター等の職業能力拡大と能力評価システムという課題抽出がなされています。
しかし、(B)の中流階層や、(C)のプロフェッショナル化についての課題設定は希薄です。もっとも、団塊世代や高齢者にチャンスを拡大し、彼らを経済成長に活用するという視点は、(A)~(C)にも関連する課題設定といえます。
自民党には(D)の視点は全く欠けています。
(E)については明確な課題設定がなされています。

■ 「課題解決の妥当性」  7点/20点中
(A)については「若者の雇用機会の確保」でその解決に資する施策が掲げられています。しかし、現実には「再チャレンジ」施策を活用できるのはある程度の能力を備えた層であることに留意する必要があります。
(B)については、「再チャレンジ」に真に必要なのは職業ごとの能力評価システムであり、それに基づく人材流動化市場です。しかし、そうした角度からの課題解決は明示されていません。
(C)に資するはずの施策は本来、ホワイトカラー・エグゼンプションでした。しかし、その議論が「残業ただ働き」の議論にすりかえられ、頓挫したことは残念です。
現在、多様な雇用形態が、特にIT化を始めとする様々な技術革新を背景に生まれてきていますが、現行の法制はそれにうまく対応できていません。その点ホワイトカラー・エグゼンプションは、円滑な労働市場の需給調整メカニズムを構築していこうとするもので、それは明らかに労働の効率的な配分、ひいては日本経済の成長基盤の構築に資するものでした。
(D) (=経済社会システムの不公正さに対する不信感)については記述がありません。
(E)については、最低賃金の引上げで雇用が減少するケースが生じ得ますが、引き上げられた最低賃金を支払えないような企業は退出し、あるいは、支払えるよう努力することが、日本経済の生産性を上げるとも言え、一定の効果はあると考えられます。
少なくとも、生活保護の方が最低賃金より高くては、モラルハザードの問題が発生するのであり、最低限、その点は是正する意味があろう。

■ 「課題解決の指導性」  3点/10点中

当初、「再チャレンジ」を掲げてきた安倍政権は、ワーキングプアの問題を前にして、下層を底上げして成長に取り込むという成長政策の視点から格差問題に答を出す方策に転じました。
しかし、マニフェストでは未だに「再チャレンジ」を全体思想として提示しており、自民党の政策スタンスがわかりにくくなっています。成長によって格差問題を解決するとの政党としての思想的立場は一応貫かれていますが、現実に採られている政策路線についてのアカウンタビリティーは不十分といえます。

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総計 30点 / 100点中

1.形式要件  10点/50点中


目標設定に関しては、「若者自立・挑戦プラン」の効率化や「キャリアパスポート」の実施などの若年者の雇用対策の推進、「成長力底上げ戦略」に基づく最低賃金法改正や障害者の工賃倍増5カ年計画の推進などの個人間格差の固定化防止が挙げられています。
数値目標などは明記されていませんが、施策としてはある程度具体性はあります。
しかし、いつの時代にあっても「効率と公正」の二律背反という永遠のテーマに関して、どういうスタンスをとるかは、政党が提示しなければならないテーマです。特に格差問題が国民の関心をこれだけ集めている以上、公明党がこの問題についていかなる思想を持つ政党なのかを有権者に示すべきでしょう。

2.内容(実績基準)  20点/50点中


格差問題に対する党としての理念の提示はないものの、挙げられている施策はかなり具体性のあるものであり、評価できます。
しかし、「成長力底上げ戦略に基づき」という言及はあるものの、公明党の挙げている施策に共通しているのは「サービスの提供」という視点であり、それがどう格差の是正を「雇用政策」と捉え、日本の経済成長戦略として位置づけているのか、その関係が見えません。政府が格差問題に対して成長戦略路線を進んでいる以上、連立与党として、それへの言及は必要であったといえます。

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総計 35点 / 100点中

1.形式要件  20点/50点中


■ 「理念や目的が書かれているか」  7点/10点中

民主党は「雇用を守り、格差と戦う」ことを掲げ、同党が格差是正を指向していることを明確にしています。そこでは主として、
①3年をメドに最低賃金の全国平均1000円を目指す
②パート・契約社員と正規社員を均等待遇にする
③フリーター、ニートの就職を支援する
④雇用基本法を制定して非正規雇用の長期安定雇用を図る
⑤若年層から中高年層まで職業能力開発を支援する
⑥税・保険料の急増につながった税制改正(公的年金控除縮小・老年者控除廃止)を元に戻す
⑦株式譲渡益課税などの資産性所得に対する税制を見直す
⑧富の偏在・固定化を回避すべく相続税・贈与税の累進構造を維持するなどの目的が掲げられました。

■ 「目標設定の明確性」  5点/10点中

数値目標を伴う①を始め、目標が明確な項目が多いです。

■ 「財源の裏付け」  0点/10点中

①については、最低賃金の引上げを円滑にすべく、中小企業に総額2100億円の十分な財政・金融上の対策を講じるとしていますが、財源は明示されていません。その他の様々な支援策についても財源は示されていません。

■ 「ロードマップは描けているか」  3点/10点中
①については3年後との時期の設定等がなされており、法律の制定などの手続きを盛り込んだ措置もみられますが、全体にロードマップ性が十分とはいえません。

■ 「目標実現のため施策・手段の体系」 5点/10点中
あまり明確な体系性はないものの、格差是正対策を、「賃金・雇用・労働市場」分野と、「是正による所得再分配」の2つの面から追及する体系になっていると整理できます。

内容(実質基準)  15点/50点中


■ 「課題抽出の妥当性」  10点/20点中
評価の視点で挙げた(A)については課題設定がなされています。(形式要件で挙げた③、④、⑤)。
(B)と(C)についての課題設定はありません。
(D)については、資産課税の面で課題設定がみられます。
(E)については課題設定がなされています(同①、②)。

■ 「課題解決の妥当性」  5点/20点
①の最低賃金引上げについては、労働者とその家族を支える生計費として手厚いものとなっており、それによる雇用の減少を防ぐべく中小企業への支援策が盛り込まれています。しかし、それでは最低賃金引上げに期待される生産性上昇効果は生まれません。
②、③、④、⑤はそれぞれ、抽出された課題解決に向けた効果は期待できます。
資産課税の問題については、資産そのものに課税するなどして結果の平等を目指すのか、相続税などで人生のスタート時点での機会の平等を目指すのか、という点で思想的な対立軸が存在しています。
したがって、格差問題の文脈で資産課税に言及するのであれば、民主党としていずれの立場なのかを明確にすべきです。

■ 「課題解決の指導性」  0点/10点中
自民党が成長路線の文脈で格差問題に答を出そうとしているのに対し、民主党は単に「格差と戦う」としているだけです。これでは、日本の経済社会に対して格差感を抱く多くの有権者の感情面にはアピールしても、経済成長との整合性をいかにしてとるのかがわかりません。
日本はアメリカ型の社会にならず、成長よりも社会的連帯や相互扶助を重視するということなのか、それとも、従来の「分配型国家」を改革するということなのか、「効率と平等」が二律背反する中で、政党として基本思想を明示しなければ、自民党に相対する選択肢を示せているとはいえません。

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