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2007年マニフェスト評価(農業・食料政策) 印刷 Eメール

農業・食料政策

「言論NPOの評価基準」をみる

argaiv1059

自民党
公明党
民主党
形式要件
内容
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内容
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内容
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1.評価の視点

 農業・食料政策で政党が提示すべき日本の本質的な課題は、

ア) 国内農業の生産性向上策

イ) 国際競争で絶対に勝てない分野の食料確保について、輸入に頼るのか、国産を維持するのか、の選択肢の提示


ア) 国内農業の生産性向上策

 グローバル経済が求める農産物輸入自由化の流れと、食料安全保障としての自給体制を両立させる解は国内農業の生産性の向上にあります。

 この課題の解決に向けて、マニフェストで政党が提示すべき事項とは、より具体的には、

①現在は高齢者によって担われている日本の営農の世界に若い世代の担い手を将来にわたっていかに確保していくか
②生産性の向上と食料の安定的な供給体制確保のために必要な営農の集約化に向けた具体策をどう描くか、
③農業生産性の上昇と平仄を合わせながらWTOやEPAでの自由化交渉にいかに対応していくか

などです。また、①に関連して、担い手の減少によって廃れつつある農村を、いかなる理念やエコノミクスで再生して地方の活性化を図るか、という将来ビジョンを描くことも政治が果たすべきアカウンタビリティーとなります。
 

イ) 国際競争で絶対に勝てない分野の食料確保について、輸入に頼るのか、国産を維持するのか、の選択肢の提示


また、自民党が農産品の輸出促進を提示しているように、確かに、日本農業でその意味での「攻め」が可能な分野は存在します。しかし、日本は、アメ リカや豪州などと土地状況が異なるのですから、農業生産の大半を占める土地型農業において、ベストを尽くしたとしても、これらの国々と比肩する競争力を得 るに至るわけではありません。
ですから、政治は、そうした実態を十分提示すると同時に、最終的には、日本は食料の確保を豪州などからの輸入に頼るのか、その格差の部分は所得保障によって国産を維持するのか、将来に向けた選択肢を国民に提示する必要があります。

 なお、農林水産業全体としては、これらのほかに、農産品の輸出振興、食の安全、森林対策など、様々な課題はありますが、ここでは評価の視点を上記に絞ります。

 こうした課題に対して、各党はどのように応えているのか、以下に評価します。

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2.評価結果



総計 34点 / 100点中

1.形式要件  5点/50点中


■ 「理念や目的は書かれているか」  3点/10点中

「力強い農林水産業をつくる」の下にまとめられている農業・食料政策については、「美しい郷土をつくる」→「不安のない農山漁村、魅力的に成長する地方を築く」の中で整理されています。しかし、それと「力強い農林水産業」とを結ぶべき理念の提示は不明確です。

■ 「目標設定の明確性」  2点/10点中
農政に係る政策メニューの並列的な羅列であり、それぞれの政策が実現を目指す状態が抽象的に書かれているだけです。明確な目標設定があるのは、日本の農産品の輸出額を平成25年までに1兆円規模を目指すとしている点のみです。

■ 「財源の裏付け」  0点/10点中
財源について触れられている項目はありません。

■ 「ロードマップは描けているか」  0点/10点中
ロードマップといえる内容が提示されている政策メニューはありません。

■ 「目標実現のための施策・手段の体系」  0点/10点中
自民党マニフェストに提示されている政策は、
① 農業の生産性向上に向けた施策(品目横断的経営安定対策の円滑な実施など「担い手の育成で強い農業の実現」、農地の保全や耕作放棄地の解消に努めることなど「時代の変化に対応する農地政策の確立」)
② 農産品の輸出促進
③ 消費者重視の農業
④ 都市と農山村の交流による農山村の活性化
⑤ 「美しい森林づくり」とそれによる地球温暖化対策
⑥ バイオマス利活用の促進
です。
それぞれ性格の異なる政策を並列的に並べただけであり、明確な目的の下に政策体系として整理された形にはなっていません。

2.内容(実績基準)  29点/50点中


■ 「課題抽出の妥当性」  20点/20点中
自民党はこれまで、営農をプロ農家に集約し、一定面積規模以上の農業経営者に補助金を集約する、それも個別品目ごとの補助金ではなく、農業の経営リスクをカバーする趣旨の「品目横断的経営安定対策」によってこれを推進することにより農業の生産性を高めることを指向してきました。
これはまさに評価の視点で述べた(ア)に応える課題抽出であり、今回のマニフェストでもその推進が謳われています。

■ 「課題解決の妥当性」  7点/20点中
評価の視点(イ)の①でも挙げた担い手の育成策については、より抜本的な対策を早急に講じる必要があるものの、今回のマニフェストではそれへの取組みが具体的に描かれていません。
また、②については、農地の保全や耕作放棄地の解消は掲げられているものの、本当に必要なことは、現状では面的にばらついている農地を一つの営農へと集中していくべく、農地の所有と利用の分離に向けた農地法の改正やそれを促す農地流動化の仕組みの構築がです。
③については、外交に係るアジェンダとして、WTOドーハラウンドでの農業交渉や、農業大国である豪州とのEPA交渉を進展させることが明記されています。それと並行して、WTOについては「重要品目の数の確保、上限関税の導入措置」、EPAについては「重要品目が除外または再協議の対象」といった保護主義的な内容であり、輸入自由化と農業生産性の上昇との整合化を組み込んだ前向きのプログラムとしては示されていません。

■ 「課題解決の指導性」  2点/10点中

農山村の活性化を都市との交流に求める方向性は書かれています。しかし、その結果として、どのような日本の農村の姿が将来像として描かれるかについてアカウンタビリティーは不十分です。

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総計 26点 / 100点中

1.形式要件  2点/50点中


■ 「理念や目的は書かれているか」  2点/10点中
「勢いある国づくり」、「経済・地域の活性化に責任」とのキャッチフレーズはあるものの、農業についてそれをどのような理念で実現するかは示されていません。

■ 「目標設定の明確性」  0点/10点中
目標設定といえるような記述はありません。

■ 「財源の裏付け」  0点/10点中
財源について触れられている項目はありません。

■ 「ロードマップは描けているか」  0点/10点中

ロードマップといえる内容が提示されている政策メニューはありません。

■ 「目標実現のための施策・手段の体系」  0点/10点中

提示された政策は、前記の自民党マニフェストの①と⑤に相当する施策を簡略化した記述と、それに、⑤に「緑の雇用」を加え、④を市民農園・体験農業(グリーンツーリズム)として提示したものを加えただけであり、明確な目的の下に政策体系として整理された形にはなっていません。

2.内容(実績基準)  24点/50点中


■ 「課題抽出の妥当性」  20点/20点中
ア) 「 国内農業の生産性向上策」については、自民党と同じ課題設定がなされています。

■ 「課題解決の妥当性」  2点/20点中
イ) 「国際競争で絶対に勝てない分野の食料確保について、輸入に頼るのか、国産を維持するのか、の選択肢の提示」については、①、②は自民党と基本的に同じ記述です。しかし、③については、提示されていません。

■ 「課題解決の指導性」  2点/10点中
農山村の活性化を都市との交流に求める方向性は自民党と同一ですが、やはり農村の将来ビジョンの提示には向かっていません。農政については公明党は基本的に自民党と歩調を合わせています。

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総計 29点 / 100点中

1.形式要件  25点/50点中


■ 「理念や目的が書かれているか」  10点/10点中
民主党は、農家が農業に安心して取り組めるようにすることで、地域社会の安定を取り戻し、食料自給体制を強化することを農業政策の柱にしています。そこには、世界の食料需給動向を踏まえ、その安定のためには、各国が一定の食料自給率を維持することが必要であるとの考え方が示されています。また、農業政策を通じて国土の均衡ある発展を図るための地方経済の活性化を実現しようとする考え方も打ち出しています。

■ 「目標設定の明確性」  7点/10点中
食料自給率の向上、木材自給率の向上と森林・木材生産対策で100万人の創出、米の備蓄300万トン体制の確立などの目標設定がなされています。

■ 「財源の裏付け」  0点/10点中
上記農業政策の具体的な施策の柱に掲げたのが「戸別所得保証制度」で、食料安定供給と食料自給を図るべく、原則として全ての販売農家に対し、重点品目を対象に総額で1兆円規模を交付するとしています。しかし、これだけ多額の予算についての財源措置は示されていません。

■ 「ロードマップは描けているか」  0点/10点中
書かれている施策はその多くが具体的であるが、ロードマップが提示されているものは見当たりません。

■ 「目標実現のため施策・手段の体系」 8点/10点中
「戸別所得保証制度」→農家の安定→食料の安定供給→自給率の向上と農業を柱とする地方の活性化といったように、目的整合的な政策体系の形は整っています。

内容(実質基準)  4点/50点中


■ 「課題抽出の妥当性」  0点/20点中
全ての販売農家への「戸別所得補償制度」を農政の柱としていますが、これは1兆円の予算ばら撒きによって現在の農家そのものを現状固定で保護するものであり、結果、生産性の低い零細営農の大規模集約化による日本の食料生産性の上昇を阻害することになります。
これまでは、低生産性セクターの生産者保護によって事実上の格差是正を講じる戦後システムが、社会保障の充実に伴って二重の分配政策をもたらし、それが財政赤字の大きな原因となってきました。この状況を、消費者の視点から、生産者には競争を促し、結果として生じる格差に対しては個人に対する平等な社会保障セーフティーネットを講じるという形で、持続可能なシステムに組み替えることが、日本経済に求められています。
民主党が掲げた農政は、農業生産を守るのではなく、農業生産者を保護するもので、課題(ア)にも、日本のとるべき全体的な方向にも逆行するものです。

■ 「課題解決の妥当性」  4点/20点
将来の担い手の確保は、現在の高齢な農業従事者の退出をプロの若手世代の営農の参入によって補うことによって実現するものです。しかし、「戸別所得補償制度」は、そうした新陳代謝のサイクルを阻害します。
一方で、民主党は農地制度について参入規制の緩和し、農業生産法人の利用権の設定などに言及しており、営農の集約化について解決案を示しています。しかし、個別所得保障制度を柱とする農政の下にあっては、実効性が疑問です。
WTO、FTAの推進については、自民党より前向きな姿勢が示されており、それを、民主党が言うような国内農業生産の維持・拡大や食料自給率の向上と両立させるのが「戸別所得補償制度」であるとの政策体系になっています。すなわち、補助金支給を農家の所得補償の形で行うため、農産品の国内価格それ自体は納税者の負担で低下するので、輸入自由化に対抗できる、という説明がなされています。しかし、国内農業の生産性上昇という視点を欠いたままでは、どこまで持続可能か疑問です。

■ 「課題解決の指導性」  0点/10点中
評価の視点イ)「国際競争で絶対に勝てない分野の食料確保について、輸入に頼るのか、国産を維持するのか、の選択肢の提示」については、
民主党の場合、食料自給と輸入自由化を両立させるためには農家への補助金(=納税者の負担)が将来的にどこまで必要となるのかとの観点から選択肢を提示すべきです。しかし、それはなされていません。重要なのは、「戸別所得保証制度」に要する1兆円の財源についてです。民主党は現在の農業土木関係の公共事業費等の削減で賄う意向とされていますが、そうであれば、それもマニフェストに明示しなければアカウンタビリティーは果たされません。

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