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小泉政権第4期実績評価(市場ルール) 印刷 Eメール

小泉政権第4期実績評価:市場ルール


総合評価
実績 課題設定の妥当性 実行過程
説明責任
25/40点 19/30点 13/30点 55/100点
57/100点

 

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1.評価の視点

私たちは、2003年マニフェスト評価において、「行政と市場、消費者、投資家保護」という項目で、ユーザーオリエンティドな包括的な金融サービスに関する理念並びに法体系を明確に打ち出すべきことなどを指摘していました。
市場ルールに関する事項については、マニフェストにおいて僅かな比重しか与えられていませんでした。しかし、政権第4期における施政方針演説で、金融商品取引法の提出を睨み、法制度の整備が明確に打ち出され、その結果としてこれが実を結んだこと、またこの間、市場をめぐる様々な動きが顕在化し、市場ルールに関する一定の方向性を指し示すことの重要性が増してきたことに鑑みて、新たに本分野を評価対象の項目としました。

市場ルール分野の評価にあたっては、以下の視点を評価のポイントとします。
(1) 証券・金融市場ルール
(2) 競争政策
(3) その他の経済法制

【新たな市場ルール策定の必要性】

市場ルールは、経済・金融システムを支える重要なインフラです。この分野は、従前、必ずしも重要視されてこなかった分野であり、その進展も遅々としたものでした。しかしながら、企業活動が国際化し、市場原理が徹底されつつある近年、競争的な市場における適正かつ自由な経済活動を確保することは重要な課題と認識され、これを確保するための新たなルールの策定が求められることとなりました。

【各分野での一定程度のルール整備】
競争政策の分野においては、90年代初期から日米構造協議をはじめ欧米諸国から、その強化が求められてきており、また、我が国の中にも、この面での遅れを指摘する声がありました。しかしながら、この分野は経済団体の関心も高く、従来から、漸進的な進展しかみられませんでした。このような状況下で、2003年総理の施政方針演説においては、「市場の番人たる公正取引委員会の体制を強化し、21世紀にふさわしい競争政策を確立する」とし、これを政策課題として明確に位置づけました。従前から必ずしも政治的に大きな位置づけを与えられていなかった市場ルールの整備を公約として明確に掲げた点で、この演説内容は画期的であったと評価できます。
もっとも、競争政策以外のその他の市場のルールに関しては、マニフェストや施政方針演説において、これほど明確にその方向性が語られていたわけではありませんでした。証券・金融市場においては、橋本内閣以来、既に日本の金融システムの自由化はかなり進展していた一方で、投資者からの視点による市場活動を律するための新たな市場ルールの構築に取り組む余力は、発足時の小泉内閣にはありませんでした。
その他の経済法制の分野においても、会社法改正への作業は進んでいたものの、マニフェストに取り入られるほどの十分な注意は払われておらず、ましてや、経営の透明性・説明責任の強化からの企業法制の構築という視点は抜け落ちていました。
政権第4期における施政方針演説では、法制度の整備や市場ルールに関する一定の方向性が指し示されています。

2.第4期目の実績評価

■総評

市場ルール全般に渡る課題設定そのものはおおむね適切でした。しかし、金融商品取引法の制定にいたる議論の過程でいくらかのマイナス要素が見られたほか、信託法にも政治的な支持を十分に獲得できないなど、実行過程についてはやや低い評価となりました。もっとも、金融商品取引法の成立そのものは実績として十分評価できるものですし、競争政策の分野においても実績を残したといえます。ただ、以上の政策が国民に対しどのような意味を持つのかという説明が果たして十分だったかという疑問は残ります。

(1)課題設定の妥当性
①証券・金融市場ルール
経済の活性化に向けて、証券・金融市場のルールに関し、第4期の小泉政権は、2006年1月の施政方針演説で、「金融システムの安定化が実現した今日、「貯蓄から投資へ」の流れを進め、国民が多様な金融商品やサービスを利用できるよう、法制度を整備」することを公約しました。これは、「政権公約2005」に初めて登場した「投資サービス法(仮称)」[注1] の提出・成立を、第4期の課題としたことを明確にしたものです。
2003年マニフェスト評価において、私たちは、包括的な金融サービス法の制定を求めたところであり、これが施政方針演説において取り入れられたことを評価します。また、「政権公約2005」においては、「投資サービス法(仮称)」が専ら企業経営の効率化、資金調達の円滑化に資するものとの認識が示されていたところ、施政方針演説においては、生活者・消費者からの視点で法整備を行うことを明らかにしており、この観点からも、課題の設定が適切な次元で行われてくるようになってきたことを評価します。
また、第4期を振り返って見た場合、東京証券取引所売買システム障害、みずほ証券誤発注、ライブドア・「村上」ファンド代表逮捕、中央青山監査法人行政処分等々、資本市場をめぐる様々な事件が、この時期に噴出し、国民の関心も極めて高かったことには留意しなければなりません。もとより、「市場」は、「想定外」の事件に直面し、これに対する対応によって進化していく性格のもので、予め課題を設定することが困難なものですが、今後、例えば証券市場の特にインフラ整備に関する課題設定がなされることが望ましいでしょう。

②競争政策
競争政策の分野では、2006年1月の施政方針演説で、「市場における公正な競争を確保するため改正された独占禁止法に基づき違反行為には厳正に対処」することを公約しました。経済が回復傾向にあり、企業のコンプライアンスが本格的に注目されはじめた第4期は、競争政策の積極的展開により、市場を通じた改革を行うことが求められ始める時期にあたり、また、2005年1月より新しい独占禁止法が施行されていることからも、この課題設定は、経済状況をも反映した時宜を得た適切なものと評価されます。

③その他の経済法制
その他の経済法制の分野は、マニフェスト等において触れられていません。しかしながら、1922年以来の大改正となる信託法が国会に提出されるなど、引き続き、企業活動を活性化するための法案が策定されたことは注目されます。

[注1]現在の名称は「金融商品取引法」。具体的な内容は①投資性の強い金融商品に対する横断的な投資者保護法制(いわゆる投資サービス法制)の構築②開示制度の拡充③取引所の自主規制機能の強化④不公正取引等への厳正な対応、の4つの柱からなる。平成18年6月に可決・成立した。

(2)実行過程
①証券・金融市場ルール
マニフェストで示された金融商品取引法(いわゆる「投資サービス法」)は、業態横断的な法制を目指し、審議会で議論されていました。しかしながら、審議会の議論の過程で、他の業法で規制されている一部の金融商品や省庁をまたがる規制が及ぶ商品などが、関係業界及び関係省庁の働きもあり、その例外とされました。このような結果からは、政府全体を通じた調整機能が必ずしも働いていなかったことが読み取れます。また、このような方向修正は、マニフェストで示された目標の実現の観点から不適切と評価されます。
金融商品取引法の法案化のプロセスにおいては、本法案は重要広範議案として慎重な審議が行われましたが、国会期間内に成立したことは、政治としてのリーダーシップが発揮されたものと評価できるでしょう。

②競争政策
競争政策分野においては、改正独占禁止法が施行されたばかりでもあり、いわば実行の段階にあたる第4期においては、大きな政治的なプロセスはありませんでした。

③その他の経済法制
信託法については、2006年の国会に提出されたものの、組織犯罪処罰法などの影響を受け、成立に至りませんでした。本法案は、法案審査段階で、信託宣言に関し、制度悪用の懸念を踏まえて1年間施行を延期する修正が行われるなど、必ずしも法案の早期成立への政治的な支持が十分ではありませんでした。

(3)実績
①証券・金融市場ルール
永年の課題であった金融商品取引法が成立したことは、第4期の実績として高く評価できます。しかしながら、その策定の過程で若干の内容の後退が見られたことは、マイナス要因です。すなわち、先述のように金融商品の範囲が業態横断的でないこと、不招請勧誘の規定が適用されない商品が存在することなど、利用者保護の観点から検証した場合、今後の課題を残しています。

②競争政策
競争政策分野においては、改正独占禁止法で導入されたリニエンシー制度[注2]の適用が既にあったとされるなど、新制度を積極的に活用していることを実績として評価します。また、国土交通省及び日本道路公団に関連する入札問題をとりあげるなど、公共工事の見直しといった大きなテーマを踏まえつつ、国民の立場からインパクトのある事案を選定している点も、評価に値します。

③その他の経済法制
信託法については、継続審議となり、この期の実績として評価できるに至っていません。なお、今回の改正は、特に資産流動化実務を中心した商事信託分野の改革が中心となっており、例えば高齢者等を受益者とする信託などの民事信託を拡充するための信託制度の整備という、市場ルール整備とは別の観点から評価した場合、異なった評価を下さざるをえません。

[注2]談合などの不当な取引制限に参加した企業が、自発的に公正取引委員会に通報すると、課徴金が減免される制度。免除は早い者勝ちで3番目までであり、密室で行われる談合の摘発捜査に大きく貢献しているといわれます。

(4)説明責任
市場ルールの整備や法改正という課題について方向性を示したことは評価できます。ただ、それが広く一般国民にとってどのような意味やメリットがあるのか、日本の望ましい経済社会のビジョンの中でその位置づけを示しつつ、もっと踏み込んだ説明が必要だったのかも知れません。

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