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「新政権の課題」評価会議【外交問題2】 印刷 Eメール

第2回:安倍氏の外交構想をどう読むか



「安倍氏の外交構想をどう読むか」

工藤

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安倍さんの政権構想を見ますと、『主張する外交で「強い日本、頼れる日本」』という表題の下に、個別課題では、1番目に『「世界とアジアのための日 米同盟」を強化させ、日米双方が「ともに汗をかく」体制を確立。経済分野でも同盟関係を強化、2番目に『開かれたアジアにおける強固な連帯の確立』、次 に、『拉致問題、核・ミサイル等、北朝鮮問題の解決を目指す』と拉致問題を筆頭にして北朝鮮問題の解決を挙げています。

これらが1つの思想をベースにした体系性を持つものだと考えれば、この並べ方というのが安倍さんの考え方を示しているのだと思います。こういう政策課題の置き方、重点のつけ方、その中で言わんとしている主張ということについてどうお考えになりますか。

国分

これは方向性のビジョンを示したものですが、それが具体的な政治の場でどう展開できるかというのはまた別の問題になると思います。ですから、基本的 に安倍さんのこれまでスタンスからすると、かなり「強い国家」のイメージという部分が強く出ているのでしょう。ただ、問題は、それと実際の外交や交渉とを どう折り合いをつけていくかというところが一番大きなテーマになります。

政治というのは一人ですべて展開できるわけではないわけですから、現実の政治の論理からすると、これまでかなり強硬なことを言ったとしても、それ以 上強硬になることはまずあり得ない。一定の妥協をとらざるを得ないというのが、これは民主政治の必然の流れだと思います。それは政策課題だけでなく、政権 そのものがこれまでの小泉型のパフォーマンス型、劇場型というよりは、もう少し組織依存型にならざるを得ないと思います。

これまで言ってきた主張と現実の論理との間のバランスをどう折り合いをつけていくかというのが、人事も含めてこれが1つ大きな焦点になってくるのではないかという気がします。

白石

「世界とアジアのための日米同盟」という点ですが、現実として日米同盟は「アジア」の安定にとって決定的な役割を果たしています。「世界」のための 日米同盟というのがこれからの課題です。小泉政権のもとで一歩か二歩踏み出したわけですが、たとえば日米グローバルパートナーシップを中東においてどうす るのかについては、国民的コンセンサスはまだありません。かつて1990年代、カンボジアで日本の警察官が亡くなって、これが警察の国際協力において大き なトラウマになっているということを考えると、自衛隊を派遣して、事故や戦闘で自衛隊員が亡くなると、また大変なことになりかねない。日本にとって日米 パートナーシップを発展させていくことはひじょうに重要であり、長期的にそれを行うためには「ともに汗をかく」という双務性を強めると同時に、国内的にで きるだけ大きなコンセンサスをつくるよう、努力しておく必要がある。そうでないと、なにかあったときに、深刻なバックラッシュのおこることを恐れます。

もう1つ、ブッシュ政権はこれからの2年余り、外交政策については中東で手いっぱいだと思います。また次の政権をすぐに中東から離脱できるわけでは ない。したがって、これから4、5年は、アメリカ政府のトップは、アジア政策にあまり時間とエネルギーを使えない。ではアジア政策の中でアメリカが関心を 持つのはなにか。僕は中国だと思います。アメリカでは中国にどういう形でエンゲージし、どういう形で抑止していくのかについていろいろな考え方があり、日 本としてもそれにうまく日本が対応しながら、日本として望ましい方向に政策をもっていくことが重要になる。

栗山

私は、アメリカが唯一の超大国だという定義は基本的には間違いだという感じがしています。アメリカは軍事的に圧倒的に強いことは間違いないし、アメ リカとまともに戦争できるだけの軍事力を持つ国が出現することは予想できないですが、軍事力で解決できる問題というのは非常に少ない。そうしますと、日本 にとって重要な課題がアメリカだけに頼って解決できるというのは基本的に間違いだと思います。アメリカとの同盟とか、日米協力というのはもちろん必要です が、日本自身の利益を守っていくために、それを補強するいろいろな手段とか枠組みが必要な時代になってきていると思います。

アメリカのアテンションギャップというのはもちろんあるわけですが、日本はうまくアメリカの注意力を引きつけて、日本が欲するような方向に、あるいは少なくとも欲しない方向にアメリカが行くのを何とか防ぐ努力は必要だと思います。

外国から見て1つ安倍さんについてよく言われていることは、ナショナリストではないかということです。ナショナリストというのは、いい意味も悪い意 味もありますが、安倍さんが周りの国とか世界に対して、ある種の警戒心とか、不信感を持たせるようなナショナリストではないかと、中国とか韓国ばかりでは なくて、アメリカもオーストラリア、要するに国際的に懸念が共有されているのではないかと私は思います。

そういう警戒心に対してどう説得力を持って対応していくのかというのが、安倍さんに求められている1つの基本的な問題ではないかという気がします。

これは憲法改正や教育基本法の改正の問題など国内政策と非常につながっている面があります。「強い国」というのはいいのですが、基本的には日本の影 響力というのは、これから少子高齢化が進めば進むほどだんだん弱まる傾向にあるわけです。日本の低下する影響力を補う何かが必要なわけです。それは何なの かということを安倍さんご自身がわかっておられるのかというのが、私は若干不安です。外国から見ればそれが1つの問題なのではないかと思います。

このナショナリズムの問題というのは、安倍政権にとってはかなり厄介な問題だと、私は思います。似た問題はドイツが抱えています。例えば、イスラエ ルの海上封鎖を解除するかわりに、国連平和維持軍としてドイツが海軍を出すことになりました。これは画期的なことです。今まではユダヤ人やイスラエルの問 題があるから、うっかり中東にドイツが役割を果たそうなんていって出ていくと、あらゆる国から警戒心を持たれて、ドイツにとってマイナスで常に低姿勢でし た。

その背景にあるのは、今までヨーロッパの中では特に警戒されていたドイツのナショナリズムに対する不信感とか警戒心というものがだんだん過去のもの になりつつあるし、ドイツ人自身がそれを認識して、ドイツ人の愛国心は普通であり、危険なものではないというふうに自信を持つようになってきたということ があると思います。

日本はそれと同じようなことができるかということが日本の外交にとって1つの大きな問題ではないかと思います。そこまで日本のナショナリズムというのは成熟しているかどうかですが。

白石

少なくとも外から見たとき、日本のナショナリズムがまだ相当の警戒感を持って見られているのは間違いないことです。ただ、それでは、日本におけるナ ショナリズムの台頭という観察があたっているかというと必ずしもそうではなくて、日本でもやっと最近、右翼と保守の区別がされるようになった。自分は右翼 じゃないけど、保守だ、そういうことを言う人が含めて増えています。

その意味で、この1年間くらいの議論の中で、日本の政治の大きな流れは一般に言われているよりもいい方に向かっているのではないのか。安倍さんにしてもそういう動きをふまえて保守的な方に軸足を動かすということを努力してやっているというのが僕の印象です。

工藤

全体として安倍さんの政権構想でふれられた、「世界的な規模の日米同盟」と「集団的自衛権」や「憲法改正」の問題は結びついていると考えてもいいのでしょうか。

白石

方向としてはそれでよい。またそう簡単にどんどん進んでいくということはない。憲法改正は、僕としてはやった方がいいと思います。しかし、そう簡単にできる話ではない。集団自衛権の問題も法の解釈を変えればいいと言うけれども、それが簡単にできるものなのか。

総裁選の公約で見ますと、「世界とアジアのための日米同盟」を強化し、日米双方が「ともに汗をかく」体制を確立する。経済分野でも同盟関係を強化 し、さらに「開かれたアジアにおける強固な連帯」を確立し、そして「 拉致問題、核・ミサイル問題等、北朝鮮問題の解決を目指す」、この順序で書かれていますが、これはマニフェストとして結構だと思います。

ただし、その次の「自由な社会の輪を世界に広げる」の趣旨は良くわからない。日米豪印の戦略対話では中国包囲ととられかねない。これはなにを目的にするのでしょうか。

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