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第3回:今後の日米関係をどう進めるべきか![]() 「今後の日米関係をどう進めるべきか」工藤 アメリカだけに頼っていれば何でも解決できるという発想が小泉政権時には感じられましたが、安倍さんの政権構想はそれから脱皮しているのでしょうか。 国分 アメリカでは中間選挙がありますね。このところ世界では、アメリカに対する見方が非常に厳しくなってきているという現実が、アメリカ人にもひしひしと伝わってきています。そういう中で日本が突出していい友達になっている。 栗山 いい友達になっても、国内の支持率が下がらないというのは小泉さんだけなんですね。ブレアなんてひどい目に遭っている。 国分 日米関係が基軸だというのはコンセンサスだが、アメリカだけに頼っていていいというものでもない。例えば、アメリカとヨーロッパの利害関係がかなり ぶつかるかもしれない。そういうときに日本が接着剤になり得るのかどうか、この辺りもこれからの大きな試金石になると思います。また、中東の問題、特にイ ランの問題などに日本がどこまで関われるかというとどうしても明確な答えを出せていない。 そういう点でいくと、日本がきちんと働くべき場所は、やはりアジアなんだろうと思います。確かに日中関係などの問題もありますが、この地域での長期 的に考えたときの一番大きな要素はアメリカと中国の関係だと思います。中国は外交的にアメリカの関係をどうにか修復しつつ、同時に今、幅広い外交展開をす ることによって、アジアにおいても非常に魅力を振りまこうとしているわけです。 この中で日中関係というのは1つの重要なファクターになってくると思います。歴史問題を大きくし過ぎてしまって日本が足踏みをしてしまったことは課 題です。日本はアジアにおける最先端の経済大国であり、そして同時に、民主主義国家であるという、この比較優位性を今のうちにきちんと発揮する外交をきち んと展開するという、前向きの形にどう組みかえていくかが課題と思います。 白石 日米関係は決定的に大事だと思います。ただ歴史的に言うと、実務レベルで非常に密接な関係があったものの、トップのところは実はそうでもなかった。 1980年代、「ロン・ヤス」といったけれど、実のところはそうでもなかった。ところが小泉さんとブッシュは本当に仲がよかった。むしろ実務レベルでアメ リカの方に人がいなくなって、これでトップが疎遠になると、本当に日米関係は疎遠になります、というのがこれまで言われてきたことです。 だから、安倍さんはブッシュ大統領ときちっとした信頼関係をつくる必要があります。これまでの日米関係を見ますと、1990年代半ばの北朝鮮危機で 日米同盟の再定義を行い、9・11以降、日米パートナーシップがグローバルになっている。こういう方向性はこれでよいと思います。 ただ、国内的なコンセンサスをどうつくるかということを考えると、米国とのグローバルパートナーシップには条件をきちんと決めた方がよいように思います。 工藤 その条件というのは、国連ですか。 白石 国連がいいのかどうかわかりません。国連安保理の決議といった条件を付けたのでは、事実問題として、中国、ロシアと行動をともにすることになりかね ない。しかし、それにしても、条件を全くつけずに、アメリカ政府の期待に応えて、どこでも、アメリカ政府から頼まれるとやるというのもおそらくだめでしょ う。グローバルな秩序をつくる上で、日本としてはこういうことをすべきだと考える、そのためにはこういう条件を満たす必要がある、そういう条件をつくって おく。それに当てはまるのであればやる、しかし、当てはまらないのであれば、同盟国であっても、それはできないと言う。そういう政策を組み立てておく必要 があると思います。 イラン問題がいい例です。日本は石油の15%をイランから輸入している。利権もある。から、日本はイランについてはイラクと同じ対応はできません。 こういう説明では説得力はありません。そういう国内的な説明では、日本は自分のことしか考えないということになって、外交としては賢明でない。日本として はそういうことで犠牲になってもよい、しかし、日本がイランについて共同行動をとるにあたっては、国際的にこういう条件がいる、そういった理論武装が必要 です。 工藤 政権構想で安倍さんは『「戦後レジーム」から新たな船出』という項目で「国連常任理事国を目指す」と挙げています。常任理事国には何のために入るの か、国連そのものをどういうふうに変えていくのか、日米同盟の進化と国連常任理事国とがどういうふうに結びついてくるのかが、見えない。 栗山 それは私もわかりませんね。私は個人的には常任理事国になるべきだと思います。いろいろな理由があってうまくいかなかったわけですが、簡単には常任 理事国にはなれないと思います。しかし、今の国連の安保理の構成がもはや時代遅れだし、今の世の中の多極化した国際政治の構造に合っていないことは紛れも ない事実です。そのためには日本も入って、その機構をもっと現実に合ったものにすべきだという日本の主張は基本的に僕は正しいと思うし、それは言い続けて いってちっとも差し支えないことだと思います。だけど、なかなか簡単には実現しないこともまた事実ですから、1つの日本の主張の看板としてそこへ立て続け ておくということは必要だと思います。だけど、それはそれ、こっちはこっちという、仕分けというのは必要です。 ⇒このページの先頭に戻る⇒第4回を読む |