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「新政権の課題」評価会議【外交問題4】 印刷 Eメール

第4回:中国との関係改善と日中関係をどう評価するか



「中国との関係改善と日中関係をどう構築するか」

白石

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日中関係は、8月に言論NPOなどが主催した「東京・北京フォーラム」の安倍スピーチから判断する限り、今よりひどくなることはないと思います。マ ニフェストでは信頼関係の強化と言っていますが、信頼関係の再構築といった方が正確で、これはきわめて重要です。国分さんの言う通り、アジアにおける一番 重要な関係は米中関係だと私も思っておりますが、日本がそこから外される形で進行するとそれは困るわけです。最初はインフォーマルでもいいから何かうまい 場をつくって、トライラテラルな協議の場を制度化することを試みた方がいいのではないでしょうか。

それから、特に東南アジアを見ていますと、97―98年の経済危機以前には東南アジアのゲームは、アメリカが平和を確保し、日本は国家建設、経済建 設に協力するというもので、そのため日本は東南アジアで圧倒的な存在感を持っていた。だから、宮沢イニシアチブのようなものには非常に大きな意味があっ た。しかし、ここ10年、ゲームの構造が変わってしまった。そのため、わたしとしては、日本の力が弱まったとは思いませんが、中国の存在感が大きくなっ て、日本人の中には、ゲームの構造が変わったのではなくて、日本の力が落ちたと捉える人が少なくない。

去年、国連改革、日本の安保理の常任理事国入りの問題がありました。その際、東南アジアの国々は日本をとるか、中国をとるか、そういう選択を迫ら れ、ほとんどの国は日本の常任理事国入りについて共同提案国になることを逡巡した。これはしようがない。これがまさにゲームの構造が変わったということの 意味です。とすれば、日本としてはそれを考慮した政策がいる。

こういうことはこれからももっと増えてくると思います。例えば中国はエネルギー資源の獲得と援助を絡めるようなことを露骨にやっている。日本の方は そういうことはできない。おかしいと言ってもしようがない。一方で共同の規範作りに努力し、一方で日本としても官民協力の新しいあり方を考えるしかない。 それが大きい課題ではないかと思います。

栗山

中国との関係というのは、アメリカにとっても日本にとってもなかなか難しい問題だと思います。日本が民主主義の国で、中国はそうでないというところ に基本的な問題があるわけですが、中国と対立的なリージョナルな秩序をつくっていくという外交の選択はあり得ないし、日本にとって望ましくないことは間違 いないと思います。

どうやって中国との関係を構築していくのかということは、私自身は必ずしも明確な答えはありません。中国はより多元主義的な社会政治体制の国に長期 的に見れば変わっていかざるを得ないでしょう。しかし、中国との間には資源の問題などの中短期的な利益が一致しない問題というのはたくさんあるわけです。 ですから、そういうものをいかにうまくマネージしていくかということが短中期的には中国との関係で一番難しい問題だと思います。

非常に厄介なのは歴史の問題ですが、今の現状は、日本も中国も本気でお互いに和解を望んでいないのではないかという気がします。日本側も、非常にナ ショナリズムの声が強くなってきているし、靖国神社参拝というのはなぜ悪いのかと思う人も非常に多い。中国の方も、過去は過去、しかし、戦後の日本という のは、歴史教育や愛国教育で教えている日本とは違うんだということを中国が認める用意があるかというと、今の胡錦濤政権にはなかなかそういう用意はないの ではないかと思います。そうすると、当面は日中関係というのはなかなかよくならないと思います。

そういう前提で個々の問題をうまく全体に影響しないようにマネージしていくかということが、当面の中国との関係では大事な外交上の課題ではないかと思っています。

国分

日米中関係というのは、この地域の20世紀以来の大きな関係を規定する重要な要素だと思います。従来は中国が発展途上国で、しかも、閉鎖的な昔の体 制に戻らないように中国を支援し、近代化させることが日米の利益であるという前提があったわけです。ところが、中国が大きくなって、今度はどういうふうに 我々とつき合うのかということが問題となっています。プレーヤーとして入ってしまった中国に、どうやってもう少し大人の対応をできる国になってもらうかと いう議論になってきた。

中国は国連やWTOなど国際組織のメンバーシップを求めることを非常に強く言ってきましたが、メンバーシップをとってしまうと、今度は規則を守らな いということがある。理解しておかなければならないことは、中国は長期的に言えば、これから国としてはどういう体制になるかわかりませんが、中国という巨 大な地域とそこに住む中国人は残るわけですから、これは厳然たる事実として我々はつき合っていかなくてはいけない。しかも、その中国が政治的にも経済的に もより健全な体制の方が我々にとってはつき合いやすい。

今の日中関係を考えると、日本側の対応は余りにも感情的で、反面中国側は体制批判の契機になりやすい極端な反日言動を強力に抑えていて対日言論は比 較的静かで、その分だけ非対称的な関係だと思います。つまり、中国というのは、今の政治体制ですから、自分のことは余り話さないわけです。そうするといつ も、安倍政権はどうですかと、こちらの方ばかりの議論になってしまいます。けれども、では、胡錦濤政権どうなのか、胡錦濤政権の中にどういう対日議論の違 いがあるのかという、その議論はほとんど出てこないわけです。多元的な関係の中で両国間関係というのは今でき上がっているということを、もう少し考慮しな ければいけない。

もう1つ非対称だなと感じるのは、先ほどの点に関連しますが、日本が中国のことをこんなに考えているほど、中国は対日関心を抑制している分だけ日本 のことをそんなに考えていないことです。アメリカとの関係さえよければ、その延長線上に日本はいるから無視してもいい、というジャパン・パッシング論が中 国の中でものすごく強くなってきています。日本も大事だというのがまだ主流ですが、どうも最近は弱くなっています。このまま行くと、日中が紛争を起こした らアメリカに仲介役をやってもらうしかなくなるかもしれない。

3番目に申し上げたいのは、歴史の問題です。日中関係の問題が、一番弱かった歴史の部分という患部に集中してしまったという感じがありますけれど も、本質的なところはもう少し別のところにあると思います。それはもっと構造的な問題です。壊れかけている全体的な関係のバランスというのをうまく修復し ていくには、ネットワークをつくる以外にないだろうと思います。これから起こり得る日中間のさまざまな問題に対して、どうやって上から押さえていくか、で きるだけ最小限にしていくかが一番大事になってくると思います。

そういう点で、米中関係は、立場はどうあれ、政府であろうが民間であろうが、ネットワークはすごい形になってきています。感情的な関係ではなく、こういう現実的な関係に変えなければいけないと思います。

白石

日中の首脳会談ができるかどうかということであれば、おそらくできるでしょう。問題はそこから先で、いろいろな問題があって、それに対する見解にも 相違がある。そういうなかで、少なくとも相手の言っていることをきちっと額面どおりに受け取れる関係をまずつくることから始めなければいけない。これは、 そう簡単ではない。マスメディアで報道されるようなところで、具体的な改善が出てくれば、国民的にも相手国のイメージが改善し始める。そういう方向まで大 きく転換できるかどうかはまだまだ心配です。
根本的な意味での日中関係の改善は、多分まだ数世代かかると思っています。ただ、そこまで望まなくても、いまのように両首脳が意固地になって、両国民がお互い嫌いになっていくという状態を転換させることが、安倍さんのとりあえずの課題だと思います。

工藤

中国と関係を改善したあと、アジアで日本はどうしていくのかとはよく見えない。

白石

はっきりとは出ていませんね。ただ、「アジア太平洋地域での共同体形成を強力に推進」と挙げているので、経済連携だけでもどんどん進めれば、これは 相当のプラスにはなる。政経分離がよいという意味じゃない。政治は政治で必要だけれども、東アジア共同体構築ということで、現に起こっている経済連携をど んどん進めていく。これは日本にとっても中国にとってもアセアンの国々にとってもいろいろメリットのある話だし、そこでいろいろなルール形成ができれば、 長期的には非常に意味があると思います。

栗山

経済統合をもっと進めていくこと自体は必要だと思うんですが、そのためには日本の中の保護主義的なものを相当押さえ込まないとそれはできない。農業 が典型的な話です。しかし、農業以外でも、特に最近は格差社会云々という話から、議論を聞いていると、だんだん日本は、保護主義的な話になっていますね。

果たしてそれを新政権が問題意識を持って、そういう国内の保護主義を押さえて、日本はもっと開放的な統合、インテグレーションの方向に持っていくことができるか、非常に不安です。

国分

国家重視と、そして、格差是正を前提に公共事業やその他の社会主義的ともいえる政策をどんどん展開していくという話になってきたときには、後半部分 の「グローバル経済統合の推進力となる」が矛盾してしまうわけです。国内のしがらみがかなり出てくるでしょう、ここは問われるところです。

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