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「新政権の課題」評価会議【安全保障問題5】 印刷 Eメール

第5回:イラク問題への対応をどう評価するか



「イラク問題への対応をどう評価するか」

工藤 イラク戦争ではアメリカの有志連合の中で日本が、言葉は悪いのですが、まっさきに支持を表明し、忠犬ぶり で動いたという状況です。同じくアメリカと組んだ主要国の政権が倒れる中で、安倍政権は、地球規模での日米関係という、一緒に汗をかくというロジックを踏 襲しています。イラクへの派遣、撤収を行ったのは小泉政権です。これは結果としてどう評価するのでしょうか。アメリカでは、あの戦争は大義はなかったとい う議論で、政権が追い詰められていましたが。

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深川 報道はそうですね。今、メディアには、そういうバイアスがあります。どうしても記憶は薄れていきますが、 中間選挙の前ですから、記憶の薄れ方を何とかとどめるために議論を巻き起こし、応戦しているうちにもう少し記憶をとどめられるというのは当然あるので、両 方の意図が一致して起きている話だと思います。

工藤 結局、イラク戦争に対して日本が自衛隊を派遣をし、法律的には苦労はあったのですが、無事それを撤収させた。この派遣の意味は結局、何だったのでしょうか。

深川 結局、湾岸戦争以来ずっと問われてきた、世界の中でどういう役割をして、どういうポジションを占めるかと いうことに対して、縮小均衡ではなく、拡大均衡の路線でいくという意思は表明したのではないでしょうか。要するに経済力のダウングレードに合わせて縮こま るという戦略もなかったかどうかはわからないですが、少なくとも経済も回復させる、世界の中で大きい役割も果たしたいという路線を示したという気はしまし た。

工藤 例えば選挙監視団とか、国づくりのお手伝いをするのとは違って、アメリカが何かする時に、日本が全世界的 に一緒にやるという流れになる可能性があります。これは日米同盟と言ってもおかしく無いですね。中間選挙でどうなるかわかりませんが、微妙なところに進ん できましたね。

深川 その流れは、結局、国連の常任理事国に立候補する流れとほぼシンクロナイズして出てきています。小泉政権 は、これには最初は消極的だったにもかかわらず、突然積極的になった。この点は一貫性は全くありませんでした。この路線をとる以上、グローバルにやらざる を得ないのでしょう。

倉田 日米安保条約と日米同盟は次元が違います。確かに、日米安保条約は日米同盟の法的な取り決めなのですが、 日米安保条約には2つの有事しか想定されていません。日本の施政下におけるいずれか一方に対する武力攻撃と、いわゆる極東における国際の平和と安定を脅か すような事態、この2つしかないわけです。イラクにおける戦争でアメリカに対して協力するというのは日米安保条約では読みにくい。アメリカがこの戦争は国 際社会全体に関わる戦争だと言い、日本は日米安保条約による取り決めとは別の次元で協力した。日米同盟のうち、日米安保条約では読みきれない部分が肥大化 している。

工藤 安倍新総理も、小泉政権下での流れを引き継ごうとして、世界、アジアのための日米同盟を謳っています。これは、安保条約とは違うという話ですね。

倉田 集団的自衛権の問題を語る時、一緒に汗をかこうと言って、後方支援しかしません、あるいは戦闘状態が終 わってからの復興支援しかできませんというのではまずいというのが、安倍さんの言い方なのでしょう。日米同盟を世界規模の同盟にするというのは、日米安保 条約では読みきれない日米同盟の部分において、役割分担はあるにせよ、日本が協力できる部分を拡充するということです。例えば、アメリカの艦船が攻撃を受 けたとき、集団的自衛権を行使でないからといって、日米同盟は維持できるでしょうか。汗をかくという表現は、集団的自衛権について少なくとも解釈改憲はす べきだということなのだと思います。

道下 イラクについては、3つに分けて評価する必要があると思います。まず1つは、宣言政策上の目的を達成できたか。法律がこういう目的のために行きますと宣言している目的、要するにオフィシャルな目的が達成できたかということです。

第二は、より大きい国際戦略上の意義。それは日米同盟の評価とか、日本が国際社会の中でどういう役割を果たすか。あるいは、その貢献を通じて日本にどのような利益があるか。

第三は、日米関係の中で他の分野に及ぼした意義。例えばイランが今おかしくなっていますが、アザデガン油田の開発については、対テロ戦争に日本が積 極的に協力しなかったら、アメリカが「うん」と言ったかどうか。これをやったおかげで日米関係がいいから、他の面で得したというところを全部総合して考え ないといけないのです。

また、これらは単純にプラス・マイナスのバランスシートがどうだったかという話ですが、同時に考えておくべきは、日本が国際社会において、どういう 秩序感を持って動くのがいいかという長期的な話で、短期的にはここで得した、ここで損したと言えますが、アメリカ中心の単極で、それにバンドワゴンして勝 ち馬に乗るという形にして、国連はどうでもいいとするのか。それとも、国連中心主義的なものにするのか。あるいは、また別の形とするのか。その辺の自分の ポジショニングというのを別に考えないといけないところです。

イラクの評価は、国際的な水準で見て、この規模の国でこの規模のGNPを持って、この規模の国際的な利益も得て、国際社会の一員である国で、あの貢 献は決して大きすぎるものではないのです。要するに、今回、あんなに少ない資源の投入でこれだけの利益が得られたというのは相当得している。ただ、今まで アメリカにもらった憲法上の制約によって、積極的に軍事的な貢献はできませんと言いつつ、少しやるから、すごく評価されるという面があります。

今後、色々できるようにしますと言って、実際、色々できるようになった場合、少しやっただけでは評価はされなくなるわけです。ですから、その辺が結 構ジレンマで、やれるようになれば、それが普通になってしまうから、今のような形で得することはできなくなるわけです。ただ、色々やるようになれば、「日 本は国際社会で普通の貢献ができる」、「先進国としての普通の感覚で、日本も責任を果たす普通のいい感じの先進国になったな」という評価を受けるようには なるわけです。すると、広い意味での日本の地位というのは多分上がる。ただ、狭い意味での利害関係では損するところも多いということになる。

深川 今までやっていなかったものが、おずおず一歩を踏み出したからこそ、理解されたのであって、自分の自画像 がないと、経済力に見合ってもっとやったら?という歯どめのない要求が来ます。中国は今度のヒズボラにも1000人も出すと言ったり、まるで津波の援助競 争のように、日本が出てくることを考えて先手を打っていると思います。その意味では、中国にマージナライズされるという今後はいつも働いてゆくでしょう。 ただ、経済力が現状ではまだ巨大すぎるので、いつまでたってもDACの1%を達成できないODAと同じで、人もソフトもいきなりは追いつかないでしょう。

倉田 イラクについては、死傷者がでなかったという意味で、確かに幸運だったといえるでしょう。でも、小泉政権 でなくてもあれ以外の選択はしにくかった。一時期あった「巻き込まれ論」というのは、対テロ戦争では説得力を持たなかったでしょう。アメリカがテロ攻撃に 遭って、アフガンでの戦争で報復をするというのに、協力しないというオプションはなかったという気がします。

工藤 しかし、結果として、安倍さんの政権構想に出ているように、ともに汗をかくというところまでいくのかどうか。少なくとも今まで特措法でやってきたものを、もう少し考えなければいけない状態のまま、進んでいいのかという課題が残った。

深川 あの時に死傷者が出たら、世論のぶれも一時期はあったかもしれないですね。
 

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