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第4回:成長と財政再建、社会保障の財源、地方再生と格差に問われているもの

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成長と財政再建、社会保障の財源、地方再生と格差に問われているもの

工藤  これからは福田政権になって議論が行われている、成長と財政再建、社会保障の財源問題、地方再生と格差の3つの課題についての評価をお聞きしたいのですが。

水野  成長と財政再建は論争があって、成長率を高めるべきだというのは、それはできればこしたことはないですが、そ れは希望と現実を一緒にした議論だと思っています。名目成長率を高めれば、増税負担が少なくなるのはその通りですが、名目成長率は政府がコントロールでき るものではなく、結果も目標を実現したわけではありません。こうした状況では成長率は控え目に見て、それで財政再建をやっていくべきだと思います。

 成長率が予想外によかったら、それは別に減税しなくたって、政府の借金がいっぱいあるわけですから、そちらの償還に回せばいいだけの話であって、前提の段階では、成長は控え目ということでやっていくべきではないかと思います。

 高齢化で、医療費が増え続けるのは決まっているわけですから、こちらは複数税率の消費税を導入して、社会保障の財源にもしていかざるを得ない。歳 出カットについては、さっき申し上げた省庁別予算と同時に機能別予算、たしかアメリカは両方発表していると思いますが、これを出し、本当に社会保障がどれ だけ使われているか、まず事実を明らかにしないと、恐らく歳出構造も変えられないと思います。

 3番目の地方再生はほとんど決め手がないと思います。放っておけば恐らく都市に集中するでしょうから、それは是とするか、政府はどっちの選択をと るかということを決めなくてはいけない。100万都市ぐらいにどんどん集中させていくようなインセンティブをとるのか、今の20万、30万の県庁所在地も 含めて、そういうところも再生していくのか、どちらか決めないと、結局、地方再生といっても、所得のある人はみんな都会に出て、お年寄りだけ地方に残る。 放っておけばどんどん格差は広がっていくはずです。

斉藤  成長と財政については先ほど発言したので、あとの2点について発言します。まず社会保障の財源の問題で すが、私はまず500兆ぐらいの国債の残高自体をそれほど深刻に考えなくてもいいかなと思っています。国のバランスシートを考えてみると資産もありますの で、そういう見合いで言うと、ネットの債務はかなり小さいわけです。資産で手当てがされていない債務が大きいのは、公的年金債務ですが、そこに関しては、 フローの部分で税収で賄っていく仕組みが必要です。例えば基礎年金部分ぐらいを税金でやっていくとか、そういう仕組みをどこかでつくって、その財源という 話は余りごまかさないほうがいいのではないかと思っています。

 そのときの財源のあり方ですが、あるところまでは消費税というのは、説得しやすいと思っています。全て消費税だけに依存してやっていくと高い税率 の数字が出てきてしまうと思いますが、10%という話になると、それほど違和感がないと思います。当面の財源の手段と徴税構造の話はもう少し長期的に考え たほうがいいと考えます。それは消費税だけではなく、ほかの所得だとか、資産課税の仕組みとか、もしくは所得や資産捕捉の方法とか、そういうものをもう少 ししっかりつくって、その中でバランスのとれた徴税の仕組みを考える必要があります。

 これだけ格差や分配の問題がクロースアップされているのに、税で手当てする話が余り出てこないのは、ある意味で不自然で、資産課税や資本所得と か、高所得者に対する税の話とかというのは、消費税に中期的に頼りつつ、もう少し長い目で見たときに、そういう税の徴収源と、捕捉の方法は考えるべきで す。

 納税者番号のようなものや社会保障番号のようなものは、近代国家の中で必要になってくるだろうし、保険料と税の区別というのは余りないので、徴税の方法をもう少し効率的に行うことは長期的には考えたほうがいいと思います。

 地方の問題ですが、地域経済の活性化でカギになるのは金融の仕組みだと思います。今、地域金融がかなり疲弊していますが、従来型の銀行のような仕 組みで資金を回していくのではなくて、もう少しファンド的な発想で地域の人たちも、地域の再生のリスクをとってもらうような資金の調達の仕方とかというこ とを考えて、金融面から地域の資金の流れをつくっていくことはある程度できるのではないかなと思います。

 それと、地方と都市の問題ですが、経済のメカニズムで地方と都市の資源の配分が起きていて、都市に人や物が集中するのは、集積の利益が明らかに都 市のほうにあるためです。その流れを無理やりとめるというのは、効率性を考えても余りよくないと思います。ただ、一方で集積したことによるさまざまなコス トという面が見えにくくなっているという問題はあります。環境問題や自然災害の問題を考えたときに、南関東地域にここまで資源が集中しているのに、そのリ スクのヘッジのためのコストがどのぐらいかという部分は、企業も家計も含めてほとんどフリーライド(ただ乗り)しています。そのコストをある程度見えてい くような仕組みを作るべきなのです。

 例えば地震のリスクに対しての手当てがかかるという仕組みが出てくると工場やオフィスの立地戦略においても、東京が常に望ましいのか、または東京 圏を通勤圏にしている従業員の福利厚生が本当に保てるのか、そういうようなことまで考えて、市場メカニズムの中で地域への分散が図れるとか、地方の方に少 し呼び水的な補助金や税金の仕組みということを考えて、ある程度地方のほうに資源や人を移すことに合理性や効率性の根拠が見えるような形をつくっていく。 その流れを地方の金融が後押ししていくようなことが、今後必要になってくるのかなと思います。

  まず、成長と財政再建ですが、実質成長率が高ければ財政再建は非常にしやすい、これはそのとおりだと思い ます。しかし、物価上昇率が高まれば本当に財政再建が行いやすいのかについては、少し疑問を持っています。1つは、その時には当然金利が高くなって、利払 い費も膨らむということまで考えると、必ずしも物価上昇率を上げてやれば、簡単に財政再建が進むというふうにもいかないのではないかと思います。

 もう1つは、名目成長率が高いほうが財政再建が進むという人の論拠として、税収の弾性値が1.1とか、もっと高いという話があります。しかし、本 当に税収の弾性値が長期でも1.1とか1.2とか、高いとすると、10年も20年もすると、自動的に租税負担率が上がっていってしまいます。それはインフ レ税のようなもので、ほとんど増税しているのと変わらないことになってしまいます。とにかく名目成長率さえ高めてやれば、財政再建が非常にうまくいくとい うのは、どこかに幻想があると思います。

 もちろん実質成長率が高くなるというのは非常に望ましいことです。先ほど斉藤先生が、バブル景気の時期に日本の企業が非常に無駄な投資をやったと いうお話をされましたが、日本の場合、GDPの中で設備投資の比率は16%ぐらいで、アメリカは設備投資の比率は10%くらいしかありません。日本のほう は実質成長が1%かせいぜい2%ぐらいしかなくて、向こうは設備投資の比率はもっと低いのに、成長率は日本よりも高かったわけです。結果として起こってい ることは、実は日本はGDPは大きいですが、そのかなりの部分を固定資本減耗、つまり壊れたものをもう一度つくり直して維持するためだけに使っている。

 その結果、消費のウエートは実に低いわけです。1人当たりGDPがこんなに大きいのに何で貧しいかといえば、生産はするけれど、ほとんど消費に 使っていないからなのです。成長戦略というと、すぐに設備投資をもっと刺激してという方向に行くのですが、本当にそれだけで良いのだろうかと思います。

 2番目の社会保障の財源の話ですが、これは既にかなりの部分が税金で賄われているという認識がないため、保険料を払ったのだから、もらって当然だ と、これだけ何十年も払ったのになぜこれしかもらえないんだ、と皆文句を言うわけです。しかし、自分が払った分でもらえる積み立てた分というのは、実はそ んなにたくさんなくて、結構税金が入っている。それをもう少しきちんと説明しなければなりません。特に今度、基礎年金の国庫負担の割合を3分の1から2分 の1に引き上げるとすると、基礎年金の半分は税金で賄っている形になるわけです。それをあたかも皆さんが払った保険料でできていると言うから、みんな権利 意識が強くなって、減らすというのは何事だというふうになる。本当は増やしたければ税金をもっと上げないとできませんというふうに言わないと、先に進まな いと思います。

 もう1つは、社会保障費は年金と介護と医療の全部をみんなが納得するようなレベルで維持するのは無理だということです。最低限のところは面倒を見 るけれども、ほかの面倒は見られない。これは説明する必要がある。寝たきりになったときとか、病気になったときの最低限だけ守るのであれば、年金はこんな に要らないのではないか。

 年金でそんなにお金が必要だと思うのは、資産は持っているが、この状態で寝たきりになってしまうと、幾らお金がかかるかわからない。だから、年金 は自分が持っている資産を減らさないだけもらわないと、と思っている。介護とか医療をもっと手厚くしてやれば、実は年金はもっと少なくてもみんな納得する のではないかと思っています。

 最後に、地方の再生の問題ですが、これもナショナルミニマムというのを考え、ここまでは最低限だから国が面倒を見てあげるが、それ以上はできな い、それ以上は地方で考えてくださいということを言わないとだめです。例えばどこに住んでも生活保護とか、年金で、一定の所得が保障されますが、都市と地 方である程度の所得格差があるということまでは面倒を見切れない。それが嫌なら都会に出てきてくださいと言うしかないと思います。

 地域によって経済的な格差があるのはしかたのないことで、都会は確かに賃金は高いけれども、環境は悪いし、家も高い。地方に行けば所得は低いかも しれないけれども、家は安いし環境はいい。そういう違いがあるのは当たり前だと。どちらを選ぶかというのは、あなたの価値観ですよというような提示の仕方 をすべきなのです。特に医療や介護の効率を考えると、とてもではないですが、山のてっぺんに住んでいる人までちゃんとした医療とか介護を供給するというの は、コストが高くてできない。できるだけのことはするが、都会の真ん中に住んでいるのと同じようなレベルではできないということははっきり言うしかないと 思います。

高橋  成長については皆さんおっしゃっている通りだと思います。名目成長率が上がって、結果的に税収が増える のであれば、それはいいのでしょうが、名目成長率を上げるということ自体が非常に難しいわけで、物価と金利の関係もあるわけです。目標として実質成長率を 何とかして上げていくということはやるべきですが、名目に頼るというのは危ないことだと思います。物価と金利の関係とか、名目に余り頼らないとかという意 味では、今回諮問会議から出てきたものは少し修正されているように思います。実質成長率を上げていくための手だてをとるということが基本だと思います。

 経済構造がよくなれば、税収弾性値も上がっていくわけですから、そういう意味でも、実質成長率を上げる議論をすべきです。残念ながら、福田政権になって、実質成長率の話が忘れられているのではないのかというところが危惧するところです。

 財政の問題ですが、今回の諮問会議の試算で、必要増税幅という言葉が使われています。私は必要額というところまではいいと思いますが、それがすな わち増税ではないと思います。やはり歳出改革、行政改革をどこまでできるのか、成長でどこまでカバーできるのか、それから、自己負担の部分をどこまで求め るのかというようなところまで含めて考えて、最後、増税の必要な額というものを考えていくべきで、あの数字がそのまま増税幅としてひとり歩きするというの は非常に危ない。

 また、分配のことをもっときちっと考えるべきではないか。皆さんのお話にありましたが、日本では社会保障の面で、最低限のセーフティーネットは何 なのか、どこに置くべきなのかという議論をもう1回すべきではないのか。それが生活保護なのか、年金なのか、全然違うもののようにいわれますが、もう既に 年金の政府負担が2分の1あるわけですから、余り保険と税の区別をしてもしようがないと思います。そういう意味で、年金という形であろうが、生活保護とい う形であろうが、セーフティーネットをどうきちっとつくるのかという議論をして、あとは上乗せ部分をどうしていくか。それから、セーフティーネットを考え るときに、分配の観点から消費税でとるのか、所得税の体系を変えるのか、法人の税負担をどうするのかということを一緒に考えていく。結局は年金の問題を きっかけにして社会保障の問題について、セーフティーネットを考え、かつそのときには税と保険料の話も一緒に考えていく。増税の話ではなく、税体系をどう 変えていくかという話に帰着すべき問題だろうと思います。

 地方については、私は基本はもっと分権を進めて、地方の自立自助のための自己決定の仕組みをつくっていくということがやはり基本だと思います。道 州制という華々しい議論をする前に、どうやって足元で実質的な分権を進めていくのか。道州制は先のことだということで議論されていないのかもしれません が、むしろ、足元の分権が進まないのに、道州制の議論をしても、結局は官僚が抵抗して何も進まないということになるのではないかと思います。

 都市と地方の対立とよく言われますが、私は対立の構造を日本の国内でつくっている暇はないと思います。東京がいますごく伸びているように思われま すが、しかし、アジアとか世界の中での東京ということを考えると、競争力はすさまじく弱くなってしまっている。インフラ1つとっても、港や空港はほかのア ジアの都市にかなわないような貧弱な状態です。今、東京がいいとしても、世界の中で本当に生き残っていけるかどうかわからないという状況であり、東京をい じめて済む問題ではない。

 一方で、地方も自助自立していく。どうやって自分たちで活力を取り戻していくかという手だてを考えていかなくてはいけない。ミニマムは中央政府に やってもらうとしても、その上に何をつけ足していくかというのは、全部自己決定に任せる。そのときに地方は、先ほど金融のお話がありましたが、私は逆に今 度は担い手のほうで、住民の自治とかNPO、あるいは市町村の組み直しという形で、行政に代わる担い手がもっと出てきて、その人たちが動くことで、地域の 中の活力が生まれてくる、そういうメカニズムをいかに育てていくというところをもっと考えなくてはいけないのではないか。都市と地方の格差という結果に余 り気をとられる必要はなく、再生のメカニズムをどうやってつくるかというところにポイントがあると思います。


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