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09年政策公開討論会

◆1日目:7/1(水) 
・将来ビジョンと政権担当能力
【速報】 【議論要旨】 【動画】

◆2日目:7/2(木) 
・経済政策
【速報】 【議論要旨】 【動画】
・財政政策
【速報】 【議論要旨】 【動画】

◆3日目:7/7(火) 

・医療・年金・介護政策
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・雇用政策
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◆4日目:7/8(水)

・環境政策
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◆5日目:7/9(木)

・外交・安全保障政策
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「自民党×民主党 政策公開討論会」4日目 【環境政策】 議論要旨 印刷 Eメール

2009年7月8日
 【テーマ】 環境政策
 【出席議員】
  自民党:川口順子(参議院議員 環境調査会会長 元環境大臣)
  民主党:岡崎トミ子(参議院議員 ネクスト環境大臣)
 【司会者】
  工藤泰志(言論NPO代表)
 【コメンテータ】
    飯田哲也(NPO法人環境エネルギー政策研究所代表)
    大林ミカ(オフィス・エコロジスト所属)
    中橋 勇一(協同組合プランニングネットワーク東北理事長)
    福井宏一郎(日本カーボンファイナンス代表取締役社長)
    松下和夫(京都大学大学院地球環境学堂教授)


工藤泰志 はじめに、中期目標をどのように作ったのかと、その中期目標によって、国際交渉においてどのような成果を上げようとしているのかについて説明していただきます。

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川口順子 2020年に2005年比15%削減というのが政府・与党の掲げた中期目標です。民主党と違って、自民党は政府と一体です。まさに今、G8のサミットが開かれていますが、国際交渉にあたっては様々な制約の中で国益を考慮する必要があります。我々は国際交渉の中で数字を出しております。民主党は野党ですから、交渉ということを考えずに自由にものを言うことができる。そこが大きな違いであると思います。「15%」という数字は中期目標検討委員会において提示された6つのモデルの中で、パブリックコメントや世論調査を行って、その中で一番多かったモデルよりもさらに1%深堀りした目標となっています。他の先進国に比べても高い目標となっています。ここで注意していただきたいのが、欧米と違って日本の場合、森林吸収や排出量取引による削減を含めていない「真水」であるということです。それから、別途長期目標として、2050年に6割から8割の削減ということも掲げております。

 また、2つ目の質問ですが、質問自体が国際交渉の本質から考えれば、違うのではないかと思います。京都議定書の策定過程において強く感じたのは、日本はずっと国際交渉のリーダーシップをとってきたし、これからもとっていくということです。中期目標の国際的な合意というのは、交渉の大きな成果です。地球温暖化というものは、何が何でも食い止めなければなりません。この点についてはみなさん同じ考えだと思います。国際社会においても、共通の目的をもってやっていくということです。日本はビジョン作りと実績の2つによって信頼感を培ってきました。具体的には安倍総理が掲げた「クールアース50」などのビジョン、世界一高い省エネ技術や発展途上国援助といった実績を合わせて国際交渉を引っ張っていくつもりです。


岡崎トミ子 温暖化の危機が現実のものであるということを認識したうえで、その危機を抑えるために科学的知見に基づいて必要な措置を考えなくてはいけないと思います。また、温暖化対策は経済成長の鍵だと思うし、鍵にしなくてはいけない。コストが投資になるという考え方です。成長につなげるためには政府が明確な意思を示し、政策を総動員しなくてはいけないと思います。川口先生から、「野党だから自由にできる」というお話がありましたけれども、我々は政権政党として何に取り組んでいくかという気持ちでやっておりますので、そこはご理解をいただきたいと思います。

 民主党は昨年6月に地球温暖化対策基本法案を提出しました。この法案の中では、2020年に90年比25%削減という中期目標を掲げ、長期目標として2050年に90年比60%以上の削減を明記しました。「以上」というのは80%とか90%でもいいという意味です。長期目標については自民党と考えが一致しています。

 今年12月にコペンハーゲンで開かれるCOP15で中期目標を設定するために、日本は高い目標を掲げ、積極的な姿勢を示して各国の参加を促す必要があると思います。そう考えると、政府案は世界を失望させるものだったと言わざるを得ません。温暖化の現実を無視しているし、基準年を90年から05年に変えた理由の説明をありません。また、コストばかりを強調しており、世界的な取り組みにおいて足を引っ張るものになるのではないかと思います。コストがかかるけれども、取り組めば将来的に得をするのだということを、もう少し発信するべきであったと思います。また、麻生総理が「私の決断で」と胸を張っておっしゃった中期目標ですが、このほど出された「低炭素社会づくり推進基本法案」では、このことに関しては触れられておらず、不思議で仕方がありません。


川口 お答えする前に、まず民主党が「25%」という目標をどのように達成するのかをお尋ねしたいと思います。具体的な道筋が描かれていない。地球温暖化対策税で税を上げる一方で暫定税率を下げると言っていますが、暫定税率の引き下げは排出を促進するものであり、政策間に一貫性がないと思います。目標は確かに大事ですが、実現可能性がないとただ数値を掲げただけになってしまいます。

 また、スタートラインが1990年か2005年かということですが、反論をさせていただくと、これから中国・インドなど新たな国々を加えて排出量の削減目標を掲げようとしているときに、これらの国に統計の数値すらない90年の基準にすることには無理があります。各国が同じスタートラインに立って、一斉に始めることが大事です。ですから基準年は、2050年に向けてもう一度議定書を作るということがあった場合、また変わることもあるかもしれませんし、私はそれでいいのだと思っております。

 また民主党は2050年に「60%以上の削減」と言っていますが、少し甘い。80%や90%ということも考えているならそのように書くべきだと思います。自民党は、2050年の長期目標達成のために2030年の数値なども提示し、道筋を示しています。


岡崎 25%という数値については、国立環境研究所が試算して、政策総動員によって経済成長も望める目標値だとされました。排出権取引や固定価格買取制度なども総動員して取り組めば達成可能であり、なおかつ10年間で延べ430万人の雇用創出もできるということになっております。長期目標を達成するうえでは、やはり2020年という中期目標が非常に大事になってくると認識しています。まずは中期目標を達成していかないと、60%や80%の削減というものは実現できません。そういうことで、25%ということを法案にも載せてやる気を示しました。

 道路特定財源については、戦後の道路が整備されていない時代に特定財源として設けられたものです。今後はこれを道路だけではなく、一般財源化して、現在必要な介護・教育などに回せるようにしたいと。高速道路の無料化によって交通量は増えるでしょうが、もちろん走行する自動車を次世代型にする努力もしていくつもりです。


松下和夫
「目標なくして政策なし」「政策なくして削減なし」という言葉があります。設定された中期目標はIPCCなどの科学的な要請に応えているのでしょうか。また、現在日本政府は公平性の指標に「限界削減コスト」を使っていますが、国際的にはそれ以外にもひとり当たりの排出量などが考慮されています。これらについてはどういったお考えなのでしょうか。さらに、温暖化対策が経済に与える影響に関して、マイナス15%を達成するためには、7万円が家計への負担としてかかるとされています。しかしこの試算では2020年に可処分所得が100万円増大するという前提となっています。この点についてもご説明いただきたいと思います。


岡崎 科学の要請に応えているかという点ですが、IPCCが先進国に要求した、2020年に25~40%という数値に基づいており、科学の要請には応えていると考えています。

 公平性の問題に関しては当事者の声を聞いていくことが必要です。排出量取引でキャップを決めるうえでも、当事者としっかり議論しなくてはいけません。残念ながら民主党は今できていませんが、すぐにでも取り組んでいきたいと思います。

 経済への影響については、負担ではなく投資と捉えてインセンティブを与えていかないと国際競争力を失ってしまうと思います。EU諸国の経験から学ぶべきことも多いように思います。


川口 科学の要請には応えています。道筋に沿って2050年までの目標が決まっています。また麻生総理は6年後に排出量をピークアウトに持っていく意志を表明しています。

 公平性の基準については、地球益と国益のバランスをいかにとるかが重要です。日本の人々が平和に発展をしていくための基盤は失ってはいけません。経済と環境がともによくなる、それが低炭素社会ということです。各国がそれぞれ自国に有利な基準を主張する中で、日本はこれまで削減に取り組んできたという実績をもとに、日本の国益という観点から主張をすべきです。日本としては限界削減費用が公平性の基準としてはふさわしいということです。


大林ミカ 国際交渉に参加している立場から見れば、日本の議論は国内の利害関係に縛られすぎているのではないかと感じます。西欧では、「平均気温の上昇を2度未満に抑えないと温暖化の影響が出てくる。そのためには二酸化炭素をどれだけ削減する必要があるのか」という議論をしているのであって、闇雲に目標数値を出しているわけではありません。「2度」という目標に関してどうお考えですか。また、京都議定書の目標を考えたとき、削減どころか9%増加しているという現状があります。これをどう捉えているのでしょうか。


川口 政府に代わって申し上げることはできませんが、2050年に60~80%削減という長期目標は、だいたい2度くらいだということを想定しているのだと思います。排出量が現在増加しているというご指摘ですが、2012年までに努力を重ねて、京都議定書の目標は必ず達成します。原発の稼働率を上げるというオプションもありますし、エコカー・エコ家電の普及など、経済は反応しています。


岡崎 2度ということに関しては、理解したうえで対策を立てています。

 日本は1990年から2005年まで排出量が増加してきたということがありますので、基準年を2005年にした。EUは90年から減っているから90年を基準年にしているということです。国益はもちろん大切ですが、連携してやっていくことも必要だと思います。


工藤 では次に、エネルギー政策を含めて、どのように目標を達成するのかについて具体的にお願いします。


川口 基本法を出させていただきましたが、まず、特効薬はないと申し上げておきます。ですから様々な施策を丁寧に 360度展開することが大事だと思います。民主党にない点としては今後10年間を「特別行動期間」として設定し、20項目について幅広くやっていくという方向性を示しました。太陽光発電の固定価格買取制度やエネルギーの地産地消、また炭素の価格付けや、技術開発によって石炭火力発電の効率を上げていくことなどを、幅広くやっていくというのが特徴です。それから、景気対策で1兆6000億円の予算をつけて温暖化対策を行うということにいたしました。


工藤 15%削減をどう達成するかという内訳はないのでしょうか。


川口 15%削減といのは2億トンを削減しなければいけないということです。そのうち産業部門が6割、家計部門が約2割、運輸部門が約25%ということになります。


岡崎 網羅的ではないですが、キャップ・アンド・トレード方式の排出量取引制度、地球温暖化対策税、再生可能エネルギーの導入などがあります。それに伴って固定価格買取制度というものがありますが、4月に基本的考え方をまとめました。これは電力会社に負担をかけず、国の負担でやっていきますが、皆さんの電力料金に加算されるということになります。多くて300円くらいなのかなと思っておりますが、所得が低く、電力消費量も少ないところには上乗せをしないという制度をつくっていくつもりです。

 国内排出量取引については、インセンティブを持った制度をつくる必要があると思います。それにはキャップ・アンド・トレードです。2011年からしっかりやっていきたいと思います。それから日本は潜在的な地熱資源大国ですから、これも導入を検討していく必要があります。たくさん施策を並べるのではなく、効率的な主要施策を実現することが大事です。


工藤 民主党は目標が高いわけですが、具体的な道筋がないならば、どこにどういったタイミングで切り込むおつもりですか。


岡崎 排出権取引については反対する企業も多いかと思いますが、産業界も一枚岩ではなく、技術革新にしっかり取り組んでいきたいというところもあります。諸外国のように法律をつくって政治の意志を示せば経済界もついてくると思います。


松下 両党とも政策の方向性が似ているように思いますが、排出量取引・税・固定価格買取制度の3つについて違いを明らかにしていただけますか。


川口 排出量取引は現在試行していて、経団連の中の大企業も参加しており、年末に評価を行う予定です。ポスト京都の枠組みでも、日本にふさわしいものが何かということを考え、引き続ききちんとやっていきます。

 税については、抜本的な税制改革を検討しています。炭素に価格をつけることが大事だと思いますので、エコカー補助など、環境税だけにとどまらない「税のグリーン化」を行います。民主党はひとつの税だけでやると言っていますが。固定価格買取制度については、太陽光発電に限ると書いているわけではないので、いろいろな可能性を検討しています。


岡崎 排出量取引は現在のように企業が自主的に行う制度ではなく、キャップ・アンド・トレード方式でやることが必要です。自主目標では、競争力が働きません。それから、民主党も「地球温暖化対策税」だけではなく、エコカーや太陽光発電の普及を行っていくつもりです。温暖化対策税については、まだ制度設計ができておりませんが、皆さんに還元されるような仕組みを作っていかなければならないと思っています。


川口 自主目標の取引が甘いかどうかということは考えてみたほうがいいと思います。部門別で排出量がマイナスになっているのは、産業部門だけという実績があります。自主目標というやり方は日本的な手法として評価されるべきだと思います。産業界の主張は、政府が割り当てるだけでは効率性が得られないということです。自主性を尊重しつつ、できたところについてはさらに深堀りをしていくように、見直しを行ったばかりです。


福井宏一郎 両党の主張が、長期目標では一致しているのに中期目標で異なっているのはなぜでしょうか。また、EUなどではキャップ・アンド・トレードによって排出量取引がますます進展していく状況の中、日本だけが自主目標でやっていて大丈夫なのでしょうか。それから、特に自民党は、高い目標を掲げることで市場が活気づくという側面をどうお考えですか。


岡崎 2度未満に抑えるのであれば2020年に25~40%削減しなければいけないということがバリ会議で表明されました。それを受けて我々はその通り設定したということです


川口 15%という数値の裏には、技術・政策のための財源・国民負担などが考慮されているわけです。民主党が掲げる 25%が達成されるためには、太陽光発電量が現在の55倍必要だとか、新車販売の9割が次世代車にならないといけないとか、新築住宅が全て断熱住宅にならないといけないとか、そういうことが必要になってくるわけです。そしてそのためには家計の負担が必要になります。経済を発展させつつ環境を守るというバランスをとっていくということで、2020年に15%という数値を出しています。また、排出量取引については自主的な取り組みに囚われすぎずに、柔軟にやっていくつもりです。


大林 世代間の公平性についても考える必要があると思います。2050年に、今の若者がどのような社会の中で生きているのかということを考えないといけません。世代間の公平性をどう考えているかということが、この中期目標の違いに表れているようにも思いますけれども。


飯田哲也 2005年比15%減という目標設定で、国際的に戦っていくのは無理です。2005年比というのも、ほとんど嘘みたいな話で。石炭火力発電をもっと減らせば25%削減も可能です。しかし、自民党のこのような政策では15%減どころか4%増も達成できないと思います。政治家のほうに、官僚、さらにはその背後の既得権に切り込んでいくガバナンスができていないと思います。非常に細かい部分に切り込んでいかないと、真のパフォーマンスが発揮できないと思います。


岡崎 世代間の公平性ということで言うと、オバマ大統領のグリーンニューディールが世界的にも大きな影響を与えていると思います。日本は置いてきぼりをくらわないためにも、今厳しいことをやりぬく必要があります。将来世代にツケを残さないという意味でも、民主党は25%という高い目標を掲げています。

 官僚とはしっかり話して、協力してもらいたいと思います。地球温暖化対策本部では、環境部門だけでなく経済産業部門や農水部門など様々なところと議論して、説明責任を果たさないといけないと思います。


工藤 どこを中心として進めたいと考えていますか。


岡崎 官邸主導、政治主導でやります。


川口 自主的な取り組みについては成果をあげているので、今後はより柔軟に考えていこうと思っております。

 世代間公平については、国民がどこまでお金を出すことに納得するかという問題があります。今の技術を使ってとにかく取り組もうと思えば、お金さえあればできるわけです。しかし、民主主義国家ですから、そのようにお金を使うことに対して国民の理解がどれだけ得られるかということが問題になります。次世代に課題を残していくわけにはいかないので、どれだけ効率的にお金を調達し使っていくかということに対してもっと知恵を絞る必要があります。

 飯田さんのお話ですが、官僚制度を乗り越えることは大事で、環境問題における一番の問題はやはり各省庁の壁だと思います。お互いにいいフィードバックをやりながら適切な関係を結んでいく必要があります。現在の自民党はその部分はよくやっていると思っています。官邸を中心に全省庁で取り組んでいきたいと思います。


松下 オバマ大統領のグリーンニューディールのポイントは、非常に整合的な政策パッケージだということです。しかし日本の場合、いまだに断片的な政策の寄せ集めだという感は否めません。選挙前に環境政策が議論されるという本日のような機会はこれまでありませんでした。これを機会に政党がビジョン・政策を提示して、それを国民が判断できるようになることを期待したいと思います。

< 了 >

profile


川口 順子(参議院議員 環境調査会会長 元環境大臣)

東京大学卒業。イェール大学経済学修士。通産省入省後、民間会社役員を経て、環境大臣、外務大臣、内閣総理大臣補佐官などを歴任。2005年参議院議員初当選、現在2期目。核不拡散・核軍縮に関する国際委員会共同議長、自民党の環境調査会会長などを務める。2008年イェール大学ウィルバー・クロス賞受賞。


岡崎 トミ子(参議院議員 ネクスト環境大臣)

1944年生まれ。アナウンサーを経て、1990年衆議院議員に初当選。96年、民主党立ち上げを呼びかけ、副代表に就任。1997年には参議院議員に初当選、現在3期目。民主党ネクスト環境大臣、地球温暖化対策本部副本部長などを務める