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ポイント解説(市場化テスト) 印刷 Eメール

田中弥生
(大学評価・学位授与機構構准教授)

国際協力銀行、東京大学助教授などをへて現職。国際公共政策博士(大阪大学)、政策メディア修士(慶応義塾大学)
財政制度審議会臨時委員、日本NPO学会副会長。外務省ODA評価有識者委員、内閣府公益法人制度改革委員会有識者委員、などを務める。
専門は非営利組織論と評価論。ピーター・F・ドラッカー氏に師事。


   市場化テストは、小泉構造改革の中では非常にシンボリックな位置づけです。「簡素で効率的な政府を実現するための法律」、いわゆる行革法ですが、これと全く同時に、市場化テスト法と、公益法人制度改革法の3つがセットで成立しました。政府部門を小さくするのですが、行政ニーズ、サービスニーズはあるから、それの受け手、受け皿として公益法人があり、あるいは市場化テストを通して民間に流していくというところに、行革とのセットで成立させる意図があったと思います。市場化テストというのは元々イギリスやアメリカで導入されたものですが、今まで官が独占的に行っていた業務を、官と民が対等な形で入札することによって、コスト面でも、それからパフォーマンス面でも、良いと判断された方がその業務を担うことができるという制度です。その本来の目的は、官業の見直しを行い、効率化を図る。リ・エンジニアリングをするというところに最大の争点があったと思います。この市場化テストは2005年にモデル事業が行われ、2006年に法律が制定されました。2005年のマニフェストにもしっかりと書かれており、法律が成立したことで、マニフェストは実現されましたが、問題はその後どういう風に実行されたかということです。例えば、市場化テストを既に導入しているアメリカやイギリスだと、官と民が応札をして、官側がそれをとる確率というのは50%くらいです。しかし、日本では2006年から現在に至るまで、81業種が市場化テストの対象となり、民間企業がこれを受託しました。「民民入札」と言われるように、全部民間企業が競争入札に応じただけで、官側は一件も応札しませんでした。しかし、一件もないのはまずいということで、事務局を務めている内閣府が、自分たちが入っている建物の管理を自ら応札したという経緯があります。官の業務全体の見直しという視点からすれば、81業種は非常に小さなポーションですので官業の見直し、リ・エンジニアリングは起こらなかったということです。市場化テストが本来目指している目的からすると、小さな効果しか得られなかったということがいえると思います。
   市場化テストが期待通りの効果を上げられなかった理由としては、4つの内閣が交代していくなかで、徐々に政治の指導力がトーンダウンしていったことが挙げられます。市場化テストを最も推進しようとしていたのは、経済財政諮問会議でした。安倍政権までは市場化テストを使ってどんどん業務を出していこうということで、首相のリーダーシップはかなり発揮され、諮問会議も指導力を発揮していました。その時の最大の争点はハローワークでしたが、それが福田内閣、麻生内閣の経済財政諮問会議になると,どんどん指導力が失われ、官にプレッシャーをかける力がなくなっていきました。官民競争入札等管理員会が、3年間の総括をする報告書を提出していますが、その中でも政治の指導力がなかったということが明記されています。
   最後に、市場化テストは、定量的に、科学的な観点から、非常に緻密にPDCAを回す仕組みが導入されています。最初に事前評価、入札の段階でしっかりと定量評価をし、それにのっとって運営していけばPDCAは必ず回るはずですが、実質的には回っていません。その最大の理由の一つは、経済財政諮問会議の民間議員が、モデル事業の評価結果を無視して強引に市場化テストを導入しようとしたことが挙げられます。市場化テスト制度自体は、評価の仕組みがよく整っていただけに、このような恣意的な行為で崩れてしまったことには、大いに疑問を感じます。
 

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