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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(経済政策) 印刷 Eメール

 

argaiv1931

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  5
目標設定(10点)  5  0
達成時期(8点)  8  0
財源(7点)  0  5
工程・政策手段(5点)  3  2
合計(40点)  21  12
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  10  5
課題解決の妥当性(20点)  12  5
指導性と責任(20点)  8  5
合計(60点)  30  15
合計(100点)   51点  27

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①日本経済が危機を脱却し景気回復へ向かうための道筋、および危機脱却後の出口戦略をどのように描いているか
②持続的な経済成長を実現するための具体的な戦略、政策手段を明示しているか
 
<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<政策にかかる現状と課題>
   経済政策について現在の日本に問われている課題は二点ある。第一は、日本経済が未曾有の経済金融危機を脱出して、景気回復へ向かうための道筋と、危機脱却後の出口戦略であり、第二は中期的に安定的かつ持続的な経済成長を実現するための戦略と具体的政策手段である。
小泉政権下の経済政策では、基本的に財政規律を重視しつつ、規制改革や政府関連機関の民営化など「構造改革」の推進によって、経済成長を図る政策がとられ てきた。しかし、その路線は度重なる首相交代とともになし崩し的に変更・修正されており、規制改革なども明らかに規制強化の方向に逆行している。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 21点/40点 【形式要件についての評価】 12点/40点
   マニフェストにおいては、「引き続き大胆かつ集中的な経済対策を講じる」ことにより、「2010年度後半には年率2%の経済成長を実現。(中略)日本経済を2011年度から、安定的な成長路線へ復帰させます」とある。また「今後3年間で40~60兆円の需要を創出し、概ね200万人の雇用を確保」するとしている。そして「10年で家庭の手取りを100万円増やし、1人当たり国民所得を世界のトップクラスに引き上げることを目指す」とある。さらに、マニフェストの要約版には、「実現すべき大きな目標は、(中略)2011年度までに、同時不況が起こる前の2007年の経済状態(成長率、失業率など)に戻すことです」と書かれている。
   基本理念として、マニフェストの要約版に「自民党は「数字上の景気回復」を国民が「実感できる景気回復」にするため、あと2年間、経済対策に全力を尽くす決意です」とある。(5点/10点)
   この「実感できる景気回復」の具体的な目標設定が「2010年度後半に年率2%の経済成長」、「10年で家庭の手取りを100万円増」や「1人当たり国民所得を世界トップクラスに引き上げる」ことと考えられる。こうした数値目標は、基本的に麻生政権下で策定・公表された経済成長戦略である「未来開拓戦略」に基づいたものである。ただし、「家庭の手取り」を10年間で100万円増やすための10年間の経済成長の前提は明示されていない。仮に、2%成長が10年間続くという前提であるならば、現在公表されている政府の参考試算を上回るものであり、より意欲的な目標設定である半面、より経済成長を嵩上げする具体的政策が明示されるべきであるが、そのあたりは曖昧さが残っている。また、「今後3年間で40~60兆円の需要創出」や「概ね200万人の雇用を確保」も、ベースラインが明記されていないために、現在の総需要や雇用水準からの増分なのか、現在のまま景気が落ち込んだ場合からの増分なのか、必ずしも明確ではない。(5点/10点)
   達成時期としては、成長率2%実現が「2010年度後半」、需要創出と雇用の確保が「今後3年間」、家庭の手取り増と1人当たり国民所得の引き上げが「今後10年」とされている。(8点/8点)
   目標実現のための手段としては、「ものづくり技術の開発」「産業の高付加価値化」「アジア諸国の市場の取り込みのための投資環境の整備」が挙げられているが、行程が具体的に書かれていない。(3点/5点)
(財源の裏付けの記述は明記されていない。)
   民主党のマニフェストには「経済成長」に関する項目はない。「雇用・経済」の項目において、中小企業対策、雇用対策、環境分野の技術革新などが挙げられているが、日本経済全体をどのように成長させるのかといった課題設定は全く見受けられない。
   このように、経済政策といえる理念はなく、「雇用と環境を柱に、人を大事にする新しい経済を実現する」と書かれているのみである。(5点/10点)
   目標設定や達成時期に関して、明確な記述はほとんどない。(0点/10点、0点/8点)
財源の裏付けとしては、各項目に「所要額」として金額が明記されているものもあるが、その財源は不明確である。(5点/7点)
   目標を実現するための手段や行程表としては、そもそも経済政策の目標が不明確なこともあり、具体的に明記されていない。工程表にも個別政策の支出の予定のみが書かれており、具体性に乏しい。(2点/5点)
   
【実質要件についての評価】 30点/60点 【実質要件についての評価】 15点/60点
「課題抽出の妥当性 10点/20点」
   日本経済が危機を脱し景気回復に向かうための道筋については、「引き続き大胆かつ集中的な経済対策を実施」するとして、今後の経済情勢によっては追加対策の実施も辞さない姿勢をみせていることは一定の評価ができる。しかし、金融、財政両面での非常時対応としての「大盤振る舞い」を景気回復後どのように元に戻していくのか、いわゆる「出口戦略」についての明確な記述はマニフェストにはない。「政策BANK」の中で「景気回復後の消費税率引き上げ」を示唆した点は、責任政党を自認する自民党のならではの課題設定であり、選挙を意識して「消費税は4年間上げない」とした民主党との最大の相違点である。消費税率の引き上げによって確保した税収は、全額、社会保障の機能強化に充てるとしているが、社会保障の安心を確保することが日本国民の過剰貯蓄を抑制し、個人消費の底上げにつながるというロジックは妥当と言える。
「課題解決の妥当性 12点/20点」
    経済成長を実現するための政策手段として、「低炭素社会の実現」を目指して、太陽光発電や電気自動車、ハイブリッドカー、グリーン家電の普及促進を唱っていることは妥当である。また、少子高齢化、人口減少社会を乗り切るためには、イノベーションによる生産性向上が不可欠であるが、そのために、高等教育の充実、世界トップレベルの研究拠点の整備、科学技術開発など研究開発投資への助成を挙げている点も妥当と評価される。また、ゲームやアニメなど日本の強みを生かす戦略、観光立国などアジアの成長力を取り込む政策など、いずれも的を射ている。その半面、細かな中小企業対策や建設業の健全な育成などが盛り込まれている点について、選挙を意識した面があることは否めない
「指導性と責任 8点/20点」
    自民党のマニフェストに記載されている成長政策は、基本的に麻生政権下で策定された累次の経済対策と成長戦略として位置づけられている「未来開拓戦略」をベースとしており、その意味で、総選挙後も自民党政権が続くならば、その実効性は確保されている。ただし、小泉政権以降の三人の首相交代の度に、成長戦略は修正・変更が加えられていることから、その時々の総理大臣の意向が強く反映されたものになることには留意が必要である。例えば、郵政民営化、政策金融機関の民営化については、なし崩し的に見直しがなされてきており、国民に対する十分な説明責任が果たされていない。限られた財源を有効活用するとともに、潜在的な市場を大きく顕在化させるための規制改革については、具体的な記述がほとんどないことも気がかりである。バラマキ型の成長戦略では、財政規律が損なわれ、長期金利の上昇によって経済成長が阻害されるリスクを常に孕んでいる。

「課題抽出の妥当性 5点/20点」、「課題解決の妥当性 5点/20点」、「指導性と責任 5点/20点」
   民主党マニフェストには、数値目標はおろか成長戦略そのものが欠如している。自民党以上のバラマキ政策の羅列となっており、そのツケはいずれ国民負担と経済成長の低迷という形で跳ね返り、結果的に適切な所得再分配政策を実施できなくなるリスクを孕んでいる。もはや所得再分配そのものが政策目的となっている感が強い。グローバル企業がそうした懸念を抱けば、生産拠点の海外シフトが加速し、結果として雇用も拡大できなくなる恐れがある。また、市場からも株安・長期金利上昇という形で洗礼を浴びる可能性もある。
   現実に政権を獲得した場合には、財政健全化と両立する成長戦略を具体的に策定するなど現実路線に転換するとみられるため、懸念が現実化するリスクは高くないかもしれない。しかし、マニフェスト評価の観点からは、成長戦略が明示されていないことは致命的である。

 

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