Payday Loans
   
「未来選択」は言論NPOが運営するマニフェスト評価専門サイトです。
【メイトになると最新情報】がメールで届きます。
言論NPO

 

2012年衆院選対応「未来選択」新サイトオープン

 2012年衆院選対応の「未来選択」はこちらに移動しました

言論NPOとは

日本のメディアや言論のあり方に疑問を感じた多くの有識者が、日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい非営利のメディア、言論の舞台をつくろうと活動を始めた認定NPO法人です。
⇒詳細はこちら

▼参加したい方はこちら


▼言論NPOのツイートはこちら

▼お問い合わせはこちら

2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(少子化) 印刷 Eメール

 

argaiv1615

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  7
目標設定(10点)  5  0
達成時期(8点)  2  5
財源(7点)  3  2
工程・政策手段(5点)  2  0
合計(40点)  17  14
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  8  12
課題解決の妥当性(20点)  12  3
指導性と責任(20点)  3  3
合計(60点)  23  18
合計(100点)   40点  32

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①働き方を見直すと同時に、子育てを社会的に支えるしくみをどうつくるのか
②支援を充実させるとともに、財源確保の問題にどう答えを出すのか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<政策にかかる現状と課題>
   少子化対策に関して問われている課題は、第一に働き方の見直し及びそれをサポートする仕組みの構築、第二に財源の問題である。
   国立社会保障・人口問題研究所が2005年に実施した調査(「結婚と出産に関する全国調査」)では、未婚者の約9割が結婚を希望しており、平均して2人の 子どもを希望していることがわかった。つまり、結婚して子どもをもうけたいと思っている人の希望がすべて叶えば、1.75の合計特殊出生率が達成されるこ とになる。しかし、2008年の日本の出生率は1.37であり、結婚して子どもをもうけたいと思っている人の希望が実現されていないのが現状である。 1.37という数字は、過去最低となった2005年の1.26からは回復しているものの、2008年の死亡数が出生数を5万1,000人上回るなど、日本 は本格的な人口減少社会に突入している。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 17点/40点 【形式要件についての評価】 14点/40点
   自民党のマニフェストの軸は3つある。子育て支援の充実、幼児教育の無償化、それからワークライフバランスの実現である。それぞれについて、「少子化の流れを食い止める」こと、「仕事と子育てが両立できる環境を整備する」こと、「全ての子供に質の高い幼児教育の機会を保障」することが目的として掲げられている。このうち、「少子化の流れを食い止める」との目的は他のものと次元が違う。子育て支援を充実させることは最終的には「少子化の流れを食い止める」ことにつながるかもしれないが、その目的はむしろ「仕事と子育てが両立できる環境を整備する」ことに近いはずである。(5点/10点)
   数値については一応「ゼロにする」との最終目標があると判断できる。(5点/10点)
   他の取り組みについては、特に記載がない限り達成期限が4年とされているものの、「改革を進める」「整備を進める」など、政策としてあいまいなものが目立つ。待機児童については、マニフェストには書かれていないが、厚生労働省が2008年2月に発表した「新待機児童ゼロ作戦」では、2011年までを集中重点期間として、保育サービスの充実に努めるとされている。(2点/8点)
   財源についてはいまだ不明確である。すでに実施されている政策も多いが、政策の目玉である幼児教育無償化については、将来(2011年以降)の消費税増税分を充てるにしても、負担引き下げを行うまでの今後2年分をどうするのかなど、課題が残っている。(3点/7点)
   幼児教育の無償化については、今後2年間で3~5歳児への教育費負担を段階的に軽減し、3年目から完全無償化するとの達成期限およびプロセスが記されている。しかし「3~5歳」との年齢層の設定については根拠が明確ではない。(2点/5点)
   民主党の少子化対策の柱は、大きく分けると出産一時金の増額、子ども手当創設、母子加算復活、待機児童解消の4つだが、それぞれの政策について「自己負担なしに出産できるようにする」「社会全体で子どもの成長を応援」「ひとり親家庭の自立支援」「質の高い保育環境整備」といった目的が掲げられている。(7点/10点)
   2009年10月から42万円となる出産一時金を55万円まで引き上げる、2010年度から月額2万6000円の子ども手当を創設するなど、子どもや子どものいる家庭に対する支援については、目標および達成期限が明確になっている。ただ、保育所の充実などについては「増設する」としたのみで、明確な数値目標などは書かれていない。また、地域偏在の問題もあるため、単に保育所の数を増やすというだけでは、根本的な解決にはつながらない。(0点/10点、5点/8点)
   全体として少子化対策にかかわる財源が明確になっていない。特に子ども手当については5.3兆円という、消費税2%分以上に相当する巨額の財源が毎年必要になる。民主党は、「消費税は全額年金財政に充てる」との方針を示しているため、その他の財源で対応することになるだろう。社会保障費も毎年増えていく中で、予算の組み替えだけで対処できるのかについては疑問が残る。また、待機児童解消については目標数値が明確になっていないため、具体的な所要額も記されていない。(2点/7点)
   
【実質要件についての評価】 23点/60点 【実質要件についての評価】 18点/60点
「課題抽出の妥当性 8点/20点」
    マニフェスト全体を見ると、少子高齢化への対応は、「安心」のカテゴリーの中に位置づけられている。子育て支援の充実、幼児教育の無償化、ワークライフバランスの実現という3つの軸は、希望する人に安心して子どもを産み育ててもらうしくみをつくるという意味で、このカテゴリーが目指すものと一致している。ただ上述のように、子育て支援や待機児童削減への取り組みについては、「子育て支援の充実」「ワークライフバランスの実現」の2つの枠組みの中に重複して盛り込まれており、両者の区分にあいまいさが見られる。「教育の公私間格差解消」については内容と具体的手段が不明確であることに加え、この政策が少子化対策の中に盛り込まれている点も疑問である。
「課題解決の妥当性 12点/20点」
   子育て環境、労働環境の改善により、これまでの「仕事か育児か」という二者択一構造を見直し、2つが両立可能な社会をつくるという課題設定は妥当である。また、待機児童の問題については、「保育サービスの集中整備」や「切れ目なく子育て支援が受けられる制度の構築」、「自治体の取り組み支援」はその課題にひとつの答えを出しているといえるが、利用要件の客観化や新規事業者の参入促進など保育サービスの使い勝手を良くするような制度改革までは明確にされていない。「子育て等に配慮した低所得者支援策(給付付き税額控除等)」も、事項としては評価できるが、規模や時期などの具体性に欠ける。「父親の育児参加の促進」は、男性の育児休業取得率が極めて低いという現状(2007年の取得率は男性1.56%、女性89.7%、2007年)を見ても、早急に進める必要がある。なお、2005年決定の「子ども・子育て応援プラン」においては、2012年までに10%を実現するとの目標設定がなされているが、この目標数値については触れられなかった。
「指導性と責任 3点/20点」
    働き方の転換という課題に対して答えを出そうとしている点は評価できる。しかし、特に働き方の問題については、個々の企業や個々人の価値観などに関わってくる部分が多いため、政府の制度によってどの程度改善が可能なのかというフィージビリティの問題が常に付きまとう。この点については、政府や政治家がどの程度リーダーシップを発揮して国民に呼びかけていけるかにかかってくるといえる。
   また、目標数値や財源が明確になっていない点から見ても、少子化分野の自民党マニフェストは全体として約束というより、1人あたり月額2.6万円の「子ども手当」などを掲げる民主党とのサービス合戦になっているようにさえ見受けられる。確かに、わが国の家族関係社会支出は他国と比べても小規模である。しかし支援を手厚くするのであれば、同時に負担の問題にも触れなければ、国民との約束という点では不十分であるといわざるを得ない。

「課題抽出の妥当性 12点/20点」
   全体として見たときに、この分野は教育政策とともに、「子育ての心配をなくし、みんなに教育のチャンスをつくる」との理念のもとに位置づけられている。出産一時金の増額、子ども手当の創設、母子加算復活、待機児童解消などは「子育ての心配をなくす」との理念に合致している。
「課題解決の妥当性 3点/20点」
   「保育所の待機児童の解消」については前述のように、保育所の数が都市部で特に足りないなどの問題があるので、地域の事情なども勘案しつつ設置を進めていく必要がある。しかし、現行の保育サービスの硬直性を改善するための制度改革については触れられていない。また、これと同じ政策課題のもとに置かれている「縦割り行政になっている子ども関連の施策一本化」についてだが、その中で設置を検討するとされた「子ども家庭省(仮)」の具体的機能については全く明確になっていない。
   さらに、働き方の問題についての記載がきわめて不十分である。「雇用・経済」の項で「ワークライフバランス」という言葉はかろうじて出てくるが、子育て対策における仕事との両立支援の重要性を感じとることはできない。
   子ども手当については、従来高齢者層に傾きがちであった支援を子育てに向けるという方向性自体は評価できる。所得控除から手当に切り替えることで、再分配の機能をより強めたといえるが、高所得者にも手当が行くというのであれば、この効果が薄れる。子どものいない世帯については逆に負担が増すという問題もある。
   また民主党は、2009年度に廃止された生活保護の母子加算を復活させるとしている。これは小泉政権下、社会保障費削減の一環として行われてきたものである。復活させるのだとしても、「本当に困窮している世帯が生活保護の対象から漏れてしまう」など、現行の生活保護のしくみが抱える諸課題についても答えを出す必要がある。もともとの制度をただ復活させるだけでは、政策としてあまりに安易である。しかも加算を復活させる場合、政府が加算廃止の代わりとして行ってきた就労支援、学習支援などは廃止するのかどうか、はっきりしていない。財源についても明確になっていない。
「指導性と責任 3点/20点」
   全体として自民党と同様、大盤振る舞いの政策であり、やはりサービス合戦の感は否めない。政府が行ってきた支援にさらに積み増すという格好であるが、財源論なしにサービスだけを謳うのであれば、バラマキとの批判は免れないだろう。

 

⇒「少子化」分野の実績評価を見る

⇒PDFでダウンロードする場合はこちら