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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(医療) 印刷 Eメール

 

argaiv1578

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  7 30
目標設定(10点)  2
達成時期(8点)  2
財源(7点)  0
工程・政策手段(5点)  0
合計(40点)  11  30
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  5 32
課題解決の妥当性(20点)  3
指導性と責任(20点)  2
合計(60点)  10  32
合計(100点)   21点  62

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①医療崩壊の問題として、医師不足と地域病院の経営難の解決に向けてどのような道筋を立てたか。
②後期高齢者医療制度の是非に関して、より持続性のある制度に向けての見直しがどう提起されたか。制度を維持するのであれば、制度の利便性を高めるためにどのような見直しを行うか。また、廃止するのであれば、それに代わる制度を新たにどう構築するか、が今回の選挙での評価の視点となる。

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<今回の選挙で問われる論点とは>

上昌広
(東京大学医科学研究所特任准教授)

医療分野は現在、医療崩壊という大きな問題に直面しています。具体的には中核病院の閉鎖、お産難民、救急車のたらい回しなどがありますが、それらの原因は医師不足と低い診療報酬にあります。
   人口10万人あたりの医師数はOECDの平均が2.6人であるのに対して日本は2.1人ですし、総医療費も対GDP比で8.1%(いずれも2006年)でG7では最も少なくなっています。
⇒全文を読む
<政策にかかる現状と課題>
   医療システムについて日本の政治に突きつけられている最も大きな課題は、高齢化に伴い医療費が急増する中で、それを現役世代が支えるという構造がかなり厳しくなっていることである。
08年に創設された後期高齢者医療制度も、老人医療費を中心に国民医療費が増大する中、老人保健制度に代わる制度として、現役世代と高齢者の負担を明確に して公平でわかりやすい制度とすることを目的に作られたが、その財源での保険料収入の割合は1割程度に過ぎず、残りは他の保険組合からの支援金と税によっ て賄われている。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 11点/40点 【形式要件についての評価】 30点/40点
   医療崩壊に対する対策では、医師不足と地域病院の赤字にどう対応したのかが、評価の対象となる。マニフェストでは、医師不足に関しては医学部定員を「今年度は約700人増やした」と実績は説明したが、これからの対策に関しては、「今後も医療確保のために医師数を増やす」と書いているだけで、具体的な数値目標やその財源、あるいは実現の期限に関しても言及がない。(7点/10点)
   地域医療対策では「これまでにない思い切った補正予算」を通じて「地域医療の再生や災害に強い病院作り」を進めるとし、すでに5月に成立した地域医療再生交付金3100億円の基金を活用して地域の医療提供体制に整備に取り組む考えは示したが、いつまでに何を実現するかは説明していない。
   また「診療報酬は急患や産科をはじめとする地域医療を確保するため来年度プラス改訂を行なう」と、来年の診療報酬の改定という時期を指定して医療費の増額は約束したが、それがどれくらいになるかは判断できない。(2/8点)
   後期高齢者医療制度では「現行の枠組みを維持しながら抜本的な改善、見直しを行なう」と書いた。高齢者医療制度は75歳になれば、就業形態にかかわらず、被用者保険の制度を脱退してこの医療制度に加入するという仕組みだが、75歳のサラリーマンが所属の組合健保に戻れるようにしたこと、保険料負担が課題にならないように公的負担の拡大を約束するなど、加入する高齢者に配慮する見直しに過ぎない。(2点/10点)
   医師不足に対してはOECD平均の人口あたり医師数(1,000人あたり3人)を医師数の目標に据え医学部定員の1.5倍という数値目標を設定した。
   また地域の中核医療の立て直しでは、「医師、看護婦、その他の医療従事者の増員に務める医療機関の診療報酬を増額する」とし、これらの対策を診療報酬の引き上げで対応する考えを示し、その財源を医療対策の全ての経費として9,000億円程度と明記。
   またこれらの財源を確保するために無駄削減のプランを併記し、そのための財源の調達年次も書き込んでいる。
   後期高齢者医療制度は廃止を約束し、旧制度(老人保険制度)に戻す際の国民負担として国保への市町村一般会計赤字分の補填と、廃止に伴う国民健康保険への負担増として8,500億円の財源を掲げ、これも財源の確保とその時期の目処を明記している。
   これらを通じて数値目標や時期、財源に関する形式要件はほぼ満たしている。
   
【実質要件についての評価】 10点/60点 【実質要件についての評価】 32点/60点
「課題抽出の妥当性 5点/20点」
    医師不足に関しては、自民党政権は08年の福田政権で医師不足を認め、舛添厚生労働大臣はそのプランで医学部定員を10年間で50%、4,000人増員する方針を打ち出した。
この方針では2030年に医師数は20%増員され、英国並みに人口100人あたり24人になる。ただ政府はこの方針を認めたわけではなく、2年間の予算措置でこの間対応しただけである。
   今回のマニフェストでもこの方針を位置づけたわけではなく、医師不足に対して明確なビジョンと方針を明らかにしたわけではない。
   診療報酬のアップも医療費の増額にはなるが、それが医師不足の課題解決にどの程度寄与するか、現時点で判断は困難である。
「課題解決の妥当性 3点/20点」
    地域医療対策では地域医療の多くの病院が赤字で医療の継続に問題があることの課題認識はなされたが、地域医療において重要なのは赤字の中核病院の立て直しであり、ここに集中的に資金を投入せず、開業医も含めて全ての医療機関を地域医療再生基金の対象とするのでは、その効果は判断ができない。
「指導性と責任 2点/20点」
    後期高齢者医療制度の見直しは、加入する高齢者に配慮して公的な助成も行なうことでこの制度を維持しようとする努力は分かるが、医療保険制度の持続性は、こうした高齢世代を現役世代が支えることが困難になり始めた事に問題があり、今回の「見直し」で保険制度の持続性に答えを出したわけではない。むしろ高齢者の加入者への配慮は現役世代の負担を強め、逆の効果をもたらす。

「課題抽出の妥当性 」、「課題解決の妥当性」、「指導性と責任」
   医療対策に関しはマニフェスト、政策集の他に、詳細版も公表しており、政策の目標や財源、手段などがかなり詳細に体系化している。ただ、後期高齢者医療制度は廃止で新しい制度を提案したわけではない。旧来の制度に戻すだけでは高齢者の健康保険が現役世代の支援金に支えられる構造は変わっておらず、上位の目的である国民皆保険制度の持続性に目処を付けたわけではない。
   将来的には被用者保険と国民健康保険の段階的な統合と地域保険としての一元的な運用の方向を打ち出したが、まだ構想段階で具体的な政策体系として提起されたわけではない。
   医療崩壊の課題では①国民に質の高い医療サービスを安定的に提供する、②救急、産科、小児、外科などの医療提供体制を再建、という目的を明記し、その下で医師不足に関しては目標設定や財源を定めるなど課題解決に取り組んでいる。
   地域の中核病院の立て直しでは、医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬を総額で1.2倍にするものとしているが、基金や補助金ではなく診療報酬の増額という形で継続的にその予算が確保されることとなったのは大きい。
   さらにその額である9,000億円も、地域医療を支える中核病院の抱える赤字が約1兆円と指摘されていることを考えると妥当である。「選択と集中」で地域の医療提供体制に焦点を充てている点で、マニフェストでは病院という記述はないが、医療機関の診療報酬について「入院」を要件に掲げたことで、開業医ではなく病院に対して集中的に予算がつぎ込まれること示唆している。ここで問題があるとすれば、9,000億円が的確に地域の中核病院へと配分されるような条件付けをいかに行うかである。それに関してはマニフェストでは明らかにされていない。

 

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