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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(雇用) 印刷 Eメール

 

argaiv1615

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  5
目標設定(10点)  5  3
達成時期(8点)  3  4
財源(7点)  5  5
工程・政策手段(5点)  2  1
合計(40点)  20  18
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  10  4
課題解決の妥当性(20点)  8  6
指導性と責任(20点)  6  3
合計(60点)  24  13
合計(100点)   44点  31

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①失業した非正規労働者に対するセーフティーネットの構築と、労働市場に復帰できる仕組みをどう描くか
②いかにして雇用創出をはかるか
③非正規労働者が増加して、労働市場が正規労働者と非正規労働者に「二重構造」化し、両者の間には「格差」が存在している。これを踏まえ、今後「格差」をどう是正し、労働市場をどうしていくのか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<今回の選挙で問われる論点とは>

山田久
(株式会社日本総合研究所 調査部 ビジネス戦略研究センター所長 兼 主任研究員)

   正規・非正規労働者の問題について、どのような形で労働市場を形成していくのか、ということだと思います。非正規労働者を極力少なくし、正規労働者中心にした労働市場にするのか。それとも、非正規労働者が一定程度いることを前提として、正規・非正規労働者の格差を是正し一種の同一労働・同一賃金でやっていくのか。
⇒全文を読む
 
<政策にかかる現状と課題>
   現在の雇用面における日本の最大の問題は、非正規労働者の大量失業である。08年のリーマンショックに端を発した世界規模の経済危機が日本に波及すると、 企業の雇用調整が進み、非正規労働者の雇い止めを行う企業が増加した。厚生労働省「非正規労働者の雇止め状況について(7月報告)」によると、08年10 月から09年9月までに解雇等実施ないし解雇等見込みの非正規労働者はのべ約23万人に達している。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 20点/40点 【形式要件についての評価】 18点/40点
   マニフェストでは、「国民の安心・安全を確保するため」、雇用のセーフティーネットの構築をする、非正規労働者が「安心・納得して働ける環境を整備する」と明確に目的を示している。5点/10点
   非正規労働者のセーフティーネット・労働市場復帰支援については、「3年間で100万人の職業訓練を実施すること」がマニフェストに述べられており、その政策手段・財源が平成21年度補正予算で設置した「緊急人材育成・就職支援基金」であることが、マニフェスト参考資料「重点政策集」に明記されている。また2011年度までに失業率を同時不況前の2007年度水準(3.9%)に戻すこともマニフェストに明記されるなどいくつかの政策については具体的な数値目標・達成時期・財源が示されている。
   雇用の創出については、「今後3年間で40~60兆円の需要を創出し、概ね200万人の雇用を確保する」とマニフェストに示されているが、どんな手段で達成するのかという道筋に関する言及は全くない。
   労働市場の「二重構造」については、労働者派遣法改正により日雇派遣の原則禁止、常用化促進を行うとしているが、達成時期等は明記されていない。(5点/10点)(3点/8点)(5点/7点)(2点/5点)
   民主党は、「セーフティーネットを強化して、国民の安心感を高める」こと、「雇用にかかわる行き過ぎた規制緩和を適正化し、労働者の生活の安定を図る」ことなど政策目的を明確に示している。(5点/10点)
   民主党は、非正規労働者のセーフティーネット構築・労働市場への復帰支援策として、「全ての労働者を雇用保険の被保険者とする」こと、「緊急人材育成支援事業」に代わり、「失業給付の切れた人、雇用保険の対象外である非正規労働者、自営業を廃業した人を対象に、職業能力訓練を受けた日数に応じて」月額10万円の「『能力開発手当』を支給する」ことをあげている。政策の実現手段については、マニフェストの参考資料「政策INDEX」で、「能力開発手当」を「求職者支援法」の制定により実現するとしている。雇用保険の被保険者拡大の実現手段については言及がないが、麻生政権下の雇用保険法改正により被保険者の範囲拡大が実施されたため、民主党も同様の手段によると思われる。財源については記述があるものの、具体的数値目標・達成時期については言及がなかった。雇用創出についての記述は全く見られない。
   労働市場の「二重構造」化について、民主党は「原則として製造現場への派遣を禁止する」こと、「専門業務以外の派遣労働者は常用雇用」とすること、2ヶ月以下の派遣契約を禁止し、「日雇い派遣」を原則禁止することなどをかかげ、労働市場の規制強化を打ち出している。「政策INDEX」では、労働者派遣法の改正によりこれらを実現するとしており、マニフェストの工程表を見ると、平成22年度に雇用保険の被保険者拡大を実現する予定であることがわかる。(3点/10点)(4点/8点)(5点/7点)(1点/5点)
   
【実質要件についての評価】 24点/60点 【実質要件についての評価】 13点/60点
「課題抽出の妥当性 10点/20点」
    雇用政策は、「自民党政策BANK」の「安心」に、社会保障や少子高齢化と共に暮らしの安心を支えるセーフティーネットとして明確に位置づけられている。
「課題解決の妥当性 8点/20点」
   非正規労働者のセーフティーネット・労働市場復帰支援の実現手段については、すでに設立された「緊急人材育成・就職支援基金」により、職業訓練を条件とした給付を行う「緊急人材育成支援事業」の実施を継続することが示されている。しかしながら、「緊急人材育成・就職支援基金」は3年間の時限措置であり、恒久的なセーフティーネットとしては機能していないが、今後恒久的なセーフティーネットをどう構築するかについての記述はない。加えて、政府の実施している所億行訓練が非正規労働者の労働市場復帰にとって実効的に機能しているかについても疑問がある。政府は従来職業能力の育成を企業に頼ってきたため、雇用能力開発機構が伝統的に行なってきた製造業など以外は職業訓練のノウハウに乏しい。そのため、サービス分野などの職業訓練を民間に委託しているが、民間にも大量の職業訓練を行うノウハウは蓄積されておらず、訓練の受け皿が不足しているとの報道もある。このようにすでに実行されている職業訓練制度には改善すべき点があり、改善されない限りマニフェストで掲げる「3年間で100万人の職業訓練実施」を真に実効的に行うことはできないはずであるが、自民党は改善策を全く示していない。
   雇用創出については今後3年間で200万人の雇用を確保するとしているが、その具体的達成手段等は全く明らかにされておらず、雇用創出という課題に対して実質的な解決策を示していない。
   労働市場の「二重構造」化について、自民党は労働者派遣法の改正により日雇派遣の原則禁止・常用雇用化促進など、これまでの労働市場の規制緩和に対し、一定程度制限を加えることとしているが、原則的には正規・非正規労働者が労働市場で共存することを前提としている。財・サービスの多様化・商品サイクルの短縮化などより柔軟な企業経営が求められるようになったこと、グローバル化の中での価格競争を考えれば、非正規労働を認めることは妥当であろう。ただ、正規労働者と非正規労働者が共存する労働市場を前提とするならば、現在正規・非正規労働者の間に存在する「格差」を是正するための取り組みが必要になるはずである。しかし、自民党は、正規・非正規労働者の「均衡処遇の取り組みを支援する」と述べるのみであり、正規・非正規労働者間の「格差」是正に対する積極的アプローチが全く見られない点で評価できない。
「指導性と責任 6点/20点」
   自民党は、「安心・活力・責任」からなる「政策BANK」の3番目に雇用対策を位置づけており、政策のプライオリティが高いことがわかる。しかしながらすでに実施されている政策以外について具体的な内容や工程が説明されていない。

「課題抽出の妥当性 4点/20点」
   民主党は、マニフェストの工程表で、平成22年度に雇用対策として0.3兆円、23年度以降に0.8兆円の政策を実施するとしている。雇用保険の被保険者拡大のための所要額を民主党は3000億円と試算しており、雇用保険の被保険者拡大を実施したのち、平成23年度以降に「能力開発手当」など求職者支援を実施する予定であることがわかる。現在失業給付日数は90日から360日であり、被保険者が全ての労働者に拡大されても、きわめて短期間の限定的なセーフティーネットとなるにすぎない。民主党は「緊急人材育成・就職支援基金」をムダづかいの恐れがあるとして予算組み替えの対象とし、代わりに「能力開発手当」を実施することにしているが、平成23年度までの間、雇用保険でカバーされない失業者のセーフティーネット・労働市場復帰支援をどうするかについての言及がない。そのため、民主党の掲げる「セーフティーネットの強化」に結びつくかが不明である。
「課題解決の妥当性 6点/20点」
   雇用保険の適用拡大について、「政策INDEX」は「31日以上の雇用期間がある全ての労働者を原則として、雇用保険の一般被保険者とする」としている。保険とは原理上保険料を納付してもそれが返還されるというものではないため、公平性が必要となるはずである。現在失業給付の給付日数は90日から360日の間となっており、民主党の政策どおり1ヶ月以上雇用された労働者に失業給付を認めるとすると、1ヶ月働いて3ヶ月失業給付を受け取るというモラル・ハザードを誘発するおそれがある。こうしたモラル・ハザードは失業給付を増大させ、雇用保険制度自体の持続性を危うくするものであり、失業者に対するセーフティーネット構築に逆行するものだが、民主党のマニフェストにモラル・ハザードを防止する仕組みに関する言及はない。また、職業訓練の制度設計についての記述もないため、「能力開発手当」が非正規労働者の労働市場復帰に対し実効性があるかも不明である。
   労働市場の「二重構造」化について、民主党は派遣労働の規制強化により、派遣労働者を常用雇用に近づけ、労働市場の規制強化をはかるとともに、正規・非正規の均衡処遇実現による、両者の公平な処遇を打ち出している。しかしながら、製造業派遣禁止、2ヶ月以下の派遣契約の禁止は、派遣労働者の大量失業・より人件費の安い海外への雇用の流出をまねく可能性が高い。また派遣労働者の常用雇用化も、一面で労働者の雇用安定につながるが、他面で経営体力のない派遣会社が倒産すれば失業者の増加につながる。こうした問題についてどう対応するかが全く明らかでない。
   派遣労働者の規制強化に加えて、民主党は正規・非正規労働者の「均衡待遇を実現する」ことで、正規・非正規労働者間の「格差」是正に取り組む姿勢を示している。正規労働者・非正規労働者の均衡処遇にコミットメントしている点では、正規・非正規労働者間の「格差」という課題に対する解答を示そうとしている点で評価できる。しかしながら、法律で均衡処遇を義務付けたとしても、それが実際に実現されているか調査する仕組みがなければ、実効性は担保されない。しかしそうした仕組みについての言及はない。
「指導性と責任 3点/20点」
   民主党は、政権獲得後、平成22年度に雇用保険の被保険者拡大、平成23年度から「能力開発手当」の実施をすると工程表に明記し、「緊急人材育成・就職支援基金」を予算組み換えの対象とすることを示している。失業した非正規労働者に対するセーフティーネットの構築と、労働市場に復帰できる仕組みをどう描くかはまさに日本の労働分野での課題の一つであるが、上述したとおり、これでは平成23年度まで雇用保険でカバーされない失業者のセーフティーネット・労働市場復帰支援に空白が生じることになり、セーフティーネット構築という課題解決に向けた責任を果たすと言えるか疑問である。

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