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2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(農業) 印刷 Eメール

 

argaiv1710

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  5
目標設定(10点)  0  0
達成時期(8点)  3  0
財源(7点)  5  5
工程・政策手段(5点)  0  5
合計(40点)  13  15
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  5  2
課題解決の妥当性(20点)  5  8
指導性と責任(20点)  5  1
合計(60点)  15  11
合計(100点)   28点  26

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①10年後の日本の農業の担い手づくりをどう考えるのか
②日本の農業の将来の発展に向けてコメの生産調整の今後とその見直しの道筋を示せているか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<今回の選挙で問われる論点とは>

生源寺眞一
(東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長)

   今の日本の政治に問われているのは、10年後の水田農業の姿をどう描くかということだと思います。「担い手」と呼ばれる人のうち約6割が65歳以上の高齢者です。少子高齢化がますます進む中で、若い農業者をどう育てるか、大規模農業をやりたい人をどうサポートするかが問われます。農家と言っても形態は様々ですから、大規模農業も兼業農家も含めて全ての農家に一律に手当てをするのでは、農業をただ保護することにしかなりません。
⇒全文を読む
<政策にかかる現状と課題>
   農業政策について、政治に問われている課題は、日本の農業の未来に向けた道筋を描くことである。
まず、ひとつ目として、高齢者によって担われている日本の営農の世界において、若い世代の担い手をいかに確保・育成していくかが問われている。日本の農業 の担い手のうち、 65歳以上が全体の6割以上を占めている。こうした高齢者が中心的な担い手となっている日本の農業では5年先、10年先の姿が描けないという危機的な状況 に陥っている。日本の農業を持続可能なもの、さらに産業として自立させていくためには、今ある担い手の農家の支援に加えて、明日の農業を担っていく新たな 担い手の確保・育成が必要である。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 13点/40点 【形式要件についての評価】 15点/40点
   農業分野の政策目的としては、マニフェストの要約版である「日本を守る、責任力。」の中で「農業、林業、水産業をもっと国の力へ」と記されており、日本の農業を産業として強いものにしていくという理念が示されている。(5点/10点)
   担い手を支える取り組みについては「努力する農家の経営を支え、所得最大化を実現する」、「農地を増やして経営を拡大したい人への支援を充実する」とあるが、具体的な数値目標は示されていない。(0点/10点)
   達成時期についても明確な記述はないが、特に記載がない限り4年とされている。(3点/8点)
   財源については、「21年度補正予算も含めて十分な予算を確保した」(補正予算では、農林水産関係だけで約1兆300億円が計上された)としたうえで、「今後も永続的に毎年必要な予算を確保」するとされている。(5点/7点)
   政策の柱である戸別所得補償制度の目的としては「農山漁村の再生」が掲げられている。(5点/10点)今後2年間を「調査・モデル事業・制度設計」のための期間としており、2011年から実施するとのプロセスが示された。(5点/5点)生産調整については「INDEX2009」の中で「米を作らせない形での生産調整を廃止」としているが、数値目標や達成期限について言及がない。(0点/10点)(0点/8点)財源については予算の組み替えで捻出するとしている。(5点/7点)
   

【実質要件についての評価】 15点/60点

【実質要件についての評価】 11点/60点
「課題抽出の妥当性 5点/20点」
   マニフェスト全体を見たときに、農林水産政策は「活力」のカテゴリーに位置づけられている。これは「日本の農業を強い産業にしていく」との理念と合致する。農地集約を支援する政策も、それに沿ったかたちで動いている。しかし、「努力する農家の経営を支え、所得最大化を実現する」ための施策を見てみると、「全ての意欲ある農家を支援対象とし、面積・年齢要件は撤廃する」とされている。これまでは、農地として4ヘクタール(北海道のみ10ヘクタール)以上の経営面積を持つ農家を「担い手」と認定してきたが、「面積・年齢要件は撤廃」としたことで、担い手の要件が大きく変わることになる。しかし、「努力する農家」という表現を残す形で、担い手の要素を残している。
   生産調整については、当初は継続するとの声が自民党の一部の族議員を中心にあったが、マニフェストでは見直しに関する直接の言及を避けた。また、米の生産調整は「不公平感などの改善を図りつつ」とし、さらに「豊作などによる価格下落があっても経営に影響させない」と書いたことで、生産調整に参加してない人がいるということを認めたものの、今後の生産調整の方向性については結論を先送りした。
「課題解決の妥当性 5点/20点」
   農業に「活力」を取り戻すことを謳っているにもかかわらず、その下に掲げられている「国内農林業の所得の増大」の中で、強い農業のための担い手育成・確保という課題に直接答えているとはいえない。数ある農家の中でも、意欲ある担い手として認められた一部の農家の経営を支え、所得を増大させていくというのが、これまでの営農集約の方向性であったが、ここでは担い手認定の要件が大きく緩和されてしまった。自ら「担い手」と名乗った農家全てに支援をするのでは、本当の意味での営農支援にはならない。「強い農業」を掲げながらも、実際の政策は「攻めの農政」から大きく後退したといわざるを得ない。
「指導性と責任 5 点/20点」
   見直しが求められる生産調整については、あいまいな記述が目立った。これまで党が主張してきた「生産調整堅持」の方向性はトーンダウンしたが、かといって、「選択的な生産調整を行う」との記載もない。米の価格下落を認め、その際には経営に影響が出ないよう措置を講じるとしたことで、選択的な生産調整への道を開いたと解釈できなくもないが、党としての立場は依然として不明確である。

「課題抽出の妥当性 2点/20点」
  農業政策がそもそも「地域主権」の中にカテゴライズされている点からして、課題認識が現状と大きくズレていると言わざるをえない。農業に関しては、高齢世代の担い手によって支えられているしくみがあと10年ももたないのだという現状認識こそが重要である。しかしここでは農業政策が地域経済の活性化に結び付けられ、結果として戸別所得補償政策も、産業政策なのか分配政策なのかがわからなくなってしまっている。「地域の農業を守るために支援を手厚くする」との姿勢は党のマニフェストの中においては一貫しているが、担い手育成という視点は見られず、日本の農業が抱える課題の解決策としては全く評価できるものではない。
「課題解決の妥当性 8点/20点」
   党として「ムダづかい根絶」を掲げているにもかかわらず、農政については行政的なコストの大きい政策ばかりを提示している。特に米を含む全品目について生産数量目標を決めるとの政策は、現場にも多大なる負荷をかけることになる。また、生産数量目標の設定を米以外にも拡大するということは、個々の農家に対して政府が生産目標数量を与え、市町村がそれを管理して強制的に守らせるというしくみを米以外でも実施するということであり、これにかかるコストは計り知れず、実現性の担保もない。戸別所得補償制度については、一定規模以上の農家に対象を絞るなどの措置を講じない限り、単なるバラマキだとの批判は免れない。米の生産調整の見直し・廃止がマニフェストに盛り込まれなかったことは大きな後退である(2005年、2007年マニフェストでは「生産調整廃止」との旨が明記されていた)が、「INDEX2009」では、「米を作らせない形での生産調整を廃止」するとしている。農家に参加の自由を与える「選択的な生産調整」に限りなく近いモデルを提示しており、現行制度に問題があることを認識したうえで新しいしくみを取り入れようとしている点は評価できる。
「指導性と責任 1点/20点」
   農業政策の内容を見ると、2007年の参議院選挙のマニフェストで示されたものとほとんど変わっておらず、進歩が見られない。議員によってその都度説明が異なるなど、特に制度設計については今に至っても党としての方針をまとめきれていないといえる。戸別所得補償制度については党が2年前から農業政策の目玉として掲げてきたものであるが、今後2年間を「調査・モデル事業・制度設計」の期間としており、本格実施は2011年以降となっている。党として農政の改革にどこまで本気で取り組もうとしているのかについては、疑問が残る。さらに、当初盛り込まれた「アメリカとのFTA締結」については、マニフェスト発表後数日で内容を差し替えるという事態が生じた。これにより、党内での意見集約が不十分だという実態が明らかになった。

 

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