Payday Loans
   
「未来選択」は言論NPOが運営するマニフェスト評価専門サイトです。
【メイトになると最新情報】がメールで届きます。
言論NPO

 

2012年衆院選対応「未来選択」新サイトオープン

 2012年衆院選対応の「未来選択」はこちらに移動しました

言論NPOとは

日本のメディアや言論のあり方に疑問を感じた多くの有識者が、日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい非営利のメディア、言論の舞台をつくろうと活動を始めた認定NPO法人です。
⇒詳細はこちら

▼参加したい方はこちら


▼言論NPOのツイートはこちら

▼お問い合わせはこちら

2009年衆議院議員選挙 マニフェスト評価(行政改革・公務員制度改革) 印刷 Eメール

 

argaiv1545

  項目 自民党 民主党
形式要件
(40点)
理念(10点)  6  6
目標設定(10点)  5  2
達成時期(8点)  4  0
財源(7点)  0  0
工程・政策手段(5点)  2  0
合計(40点)  17  8
実質要件
(60点)
課題抽出の妥当性(20点)  6  6
課題解決の妥当性(20点)  7  3
指導性と責任(20点)  8  12
合計(60点)  21  21
合計(100点)   38点  29

 

<評価の視点>
次期選挙のマニフェストで問われる課題
①行政改革により何を目指し、政府の機能をどのようにデザインするかを、示しているか
②行政改革の手段を具体的に示しているか、それは目的と整合性の高い、妥当なものであるか
③公務員制度改革につき、全体としての目的と、具体的な改革案について、十分な説明を行っているか

<マニフェスト>
⇒自民党と民主党のマニフェスト比較表はこちら
<今回の選挙で問われる論点とは>

村松岐夫
(学習院大学法学部政治学科教授)

   有権者側から見たときに、公務員制度改革できちんとチェックすべきポイントは、日本の公務員が世界でも通用し、行政課題をきちんと処理できるような機能を果たしているか。そういうところに人材が集まるような公務員制度改革を提案しているかどうかということです。
⇒全文を読む
 
<政策にかかる現状と課題>
   評価の前提として踏まえる必要があるのは、主に小泉政権下での動向である。橋本内閣は省庁再編等の改革に取り組んだし、森内閣の下でも「行政改革大綱」が 閣議決定(2000年12月)されるなど、行政機構の見直しは常に存在した。しかし、小泉政権の下の行政改革では、政府支出の削減、効率化・合理化、政府 部門の切り離しなどの要素が特に強く見られ、「小さな政府」「官から民へ」の流れが顕著であった。それは2006年に成立した行政改革推進法に結実し、特 別会計や独立行政法人の整理・見直し、民営化を含む政策金融機関の改革、公務員の総人件費の削減などにつき、比較的明確な期限や目標が定められた。以降の 政権でもその枠組みに沿い、政策が展開されている。

⇒全文を読む

 

<評価結果>
自民党マニフェスト評価 民主党マニフェスト評価
【形式要件についての評価】 17点/40点 【形式要件についての評価】 8点/40点
   マニフェスト要約版には、「行政と公務員のムダを徹底的になくします。」との見出しがつき、ムダの削減が行政改革、公務員制度改革に共通する目的として掲げられている。公務員制度改革については、「政治主導を一層強化する」との記述もあるが、やはりムダの削減が前面に出ている印象が強い。全体的な理念の記述は見られない。(6点/10点)
   行政改革の目標・期限の記述は乏しいが、既存の法律や計画に規定されているのも多く存在する。例えば、独立行政法人の見直しについて、マニフェストの中では「早急に結論を出す」とのみ書かれているが、独立行政法人整理合理化計画(2007年12月閣議決定)では見直しの方向と期限の目安を各法人について定めている。その他、国家公務員の2015年までの8万人削減(対2005年比)は既往の政府決定にはないもので、注目に値する。公務員制度改革については、定年延長と再就職支援の廃止を掲げたほかは、具体的な言及は見られない。(5点/10点、4点/8点)
   財源の記述はない。(0点/7点)
   実行のための工程についても言及がないが、行政改革推進法をはじめ、具体的なプロセスを定めた枠組みは幾つか存在する。公務員制度改革についても、今年2月に策定された「工程表」がある。ただし、本来はそれらについてマニフェストで言及するべきである。(2点/5点)
   民主党のマニフェストは5つのカテゴリーに分かれているが、そのうち1つは「ムダづかい」であり、行政改革と公務員制度改革はその中に置かれている。従って、「ムダの」削減が上位の目的であると解釈できる。公務員制度改革については、公務員に対する信頼の回復など、それ以外の目的も記されているが、意味や位置づけは不明確である。(6点/10点)
   具体的な目標・期限への言及は乏しい。行政改革については、国家公務員の総人件費2割削減のみがはっきりした数値目標である。公務員制度に関しては、幹部職員の内閣一元管理、天下りあっせんの全面禁止など、一般的な記述に終始している。(2点/10点、0点/8点)
財源、工程の記述はない。(0点/7点、0点/5点)
   
【実質要件についての評価】 21点/60点 【実質要件についての評価】 21点/60点
「課題抽出の妥当性 6点/20点」
(行政改革)
   具体的内容として挙げられているのは、国家公務員の削減であり、公益法人・独法のスリム化であり、政策の棚卸しである。現行で実施されている施策をそのまま掲げており、「小さな政府」という理念が引き続き流れていることが暗示されている。
   しかし一方で、麻生首相は「質の行革」、つまり単に金額や人員を削減するだけでなく行政活動の質も重視する、という方向を打ち出し、それは骨太の方針2009にも盛り込まれていた。両者の間にはズレがあり、結果として行革の理念は不明瞭なものとなってしまっている。さらに、経済対策との関係についても、一切記述がない。特に政策金融については、国会審議の中で政府関与を強調する議論が見られたこともあり、あるべき役割と今後の方向について示す必要があったが、そうした言及は何ら見られなかった。
(公務員制度改革)
   公務員制度改革に目を転じると、マニフェスト要約版においては、「ムダの削減」「天下りの廃止」が主要な目的となっている。今までの政策の流れにおいて重要な論点であった政治主導等についても言及されてはいるが、全体的な目的として掲げられてはいない。バランスのとれた課題設定にはなっていないと言える。
「課題解決の妥当性 7点/20点」
(行政改革)
   具体的な手段については既に簡単に触れたが、どれも既存の政策であり、ある程度具体的な形は見えているものは多い。ただし、それらの妥当性や整合性については、一部に疑問符が付くものもある。例えば、公益法人への事業委託を廃止し、必要なものについて国や独法に業務を移管する方針を示しているが、それは国や独法のスリム化とは矛盾する可能性がある。また、既に日本の対総人口公務員比率は世界的に見て低い水準にあり、大幅な削減が弊害を生む可能性は否定できない。この点を考えれば、厳しい全体目標を置くことが必要かどうかは明確でない。具体的にどの部分の公務員を削減するかも記されていない。
(公務員制度改革)
   内閣人事局や幹部人事一元化については、政府が法案を提出済みであるにも関わらず、「検討を進め、改革を推進する」という曖昧な表現に留まった。具体的な制度設計についても言及はなく、記述としては不十分である。
天下り対策として、定年制の延長と再就職支援の廃止に同時に言及している。両者を合わせて扱うことは整合的だが、加えて給与体系の設計も改める必要がある。この点につき、マニフェストでは「給与体系を見直す」とだけ言及され、具体性には欠けている。
   そもそも、天下りを全面的に禁止することが適切であるのかどうかも、自明ではない。現に、従来の党の施策は、再就職支援を一元化すること、つまり各省ごとの再就職斡旋を廃止することに留まっており、全面禁止まで踏み込んではいなかった。「天下り=悪」という単純な図式に留まらず、どういった課題に対し、それをどのようなアプローチで解決するのか、という点を示す必要がある。
「指導性と責任 8点/20点」
   現行の、行政改革推進本部や公務員制度改革推進本部を中心とした体制はある程度機能している。マニフェスト中では行政改革機能を総理の下に集約することが明記され、政治的な実行力はより担保されると考えられる。しかし、前述のような首相の意志とマニフェストの間のズレは、首相が指導力を発揮する可能性に対して疑問を抱かせるものである。政策体系全体との連動もはっきりしていない。

「課題抽出の妥当性 6点/20点」
   上記の通り、民主党は「ムダの削減」を上位の目的としており、財源捻出のための重要な手段とされている。従って、政策体系全体の中での位置づけは明確である。その点では評価できるが、全てを「ムダの削減」の一環として位置付けた結果、制度の文脈を捉えた課題設定を何ら行っておらず、問題が多い。
(行政改革)
   既に述べたように、「ムダの削減」のみが目的として突出する一方で、それ以上の理念が読み取れない。削減や合理化を前面に掲げていることからは、「小さな政府」路線のようにも見えるが、一方で規制強化や郵政民営化の見直しなどを掲げており、市場重視とは言えない政策体系となっている。政府機能のあるべき姿についてはっきりと言及しておらず、財源捻出以上の意味を見出すことが難しい。
(公務員制度改革)
   やはり、「ムダの削減」のみが強調されており、公務員制度を機能させるために何が必要かという観点からの課題設定は見られない。「公務員に対する信頼を回復する」との目的は記されているものの曖昧であり、公務員制度全体の課題を適切に表すものではない。そもそもにおいて公務員制度改革を「ムダの削減」という目的の下に位置付けることに無理があり、公務員制度改革によって何を目指すのかをもっとはっきりと打ち出す必要があった。
   やや色合いが違う問題として、労働基本権(協約締結権)の付与の問題があるが、これについても何が課題であり、公務員制度改革全体においてどのように位置づけるのか、明確にされていない。
「課題解決の妥当性 3点/20点」
(行政改革)
   特別会計、独法、公益法人などについて、「ゼロベースで見直す」「抜本的な見直しを図る」など、具体性に乏しい表現に終始している。多くの経費には政策目的があり、個々の事業の必要性を判断してはじめて「ムダ」であるか否かが決まるのであるが、そうした具体的なレベルでの手段の記述は行っていない。
   独法については、別の問題も指摘できる。政策集INDEXでは、天下りとそれに伴うムダを理由としし、独法の全廃を含めた見直しを主張しているが、課題と手段の整合性がない。仮に天下りが問題なのであればまずガバナンス強化や運用改善を図るべきであり、全廃まで視野に入れることに必然性はない。また、廃止した独法の業務の一部を国が引き受けるのであれば、政府部門は肥大化する可能性がある。 
(公務員制度改革)
   再就職斡旋の全廃と定年延長を掲げている。両者だけをみれば整合的な政策だが、給与体系への言及が存在していない。
   その他、部職員人事の内閣一元化や能力・実績主義について言及しているが、より具体的な記述はなく、目的との対応も明記されていない。
協約締結権を付与し、労使交渉によって給与水準を決定するとしているが、制度の運用のされ方次第では人件費の上昇に繋がりかねず、総人件費削減との間に矛盾を生じる可能性もあり、整合性が問題となりうる。
「指導性と責任 12点/20点」
   実行のために「行政刷新会議(仮称)」を設置する、政治家の行政府上部への任用を拡大するなどの方策を掲げている。マニフェストの中での優先順位も高く、実行への指導力を発揮する姿勢は強いと評価できる。ただし、以上で述べたように具体性は欠如しており、実行可能性が担保されていると断言することはできない。

⇒「行政改革」分野の実績評価を見る

⇒「公務員制度改革」分野の実績評価を見る

⇒PDFでダウンロードする場合はこちら