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【緊急座談会】「麻生政権の100日評価」結果をどう読むか(1) 印刷 Eメール


2008年12月22日
添谷芳秀氏(慶応義塾大学東アジア研究所所長・法学部教授)
若宮啓文氏(朝日新聞社コラムニスト)
中谷元氏(衆議院議員)
仙谷由人氏(衆議院議員) が出席

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麻生政権100日の評価はなぜ厳しいのか

工藤泰志 私たちが政権の「100日評価」を行っているのは、安倍政権の時からです。どんな政権も発足後100日経てば有権者の厳しい評価にさらされ始めなくてはならない、そういう有権者との間に緊張感のある政治を作り出そうという思いがあります。

このアンケートで私自身驚いたのが、麻生政権への評価は11.0%と1割程度しかなく、安倍・福田両政権の100日と比べてもかなり低い数字だったことです。ちなみに福田さんは31.9%、安倍さんは24%でした。また「麻生政権に本来期待されていた役割は何か」との設問で、最も多かった回答は「まずは速やかに解散・総選挙を行い、民意をもとにした政治を復活させる」の53.4がもっとも多く、77.4%の人が今後の政権運営を期待できないと、かなり厳しい見方をしています。

これに対して民主党への政権交代に「賛成」との回答は56.7%と半数を越えました。が、その理由を見ると、「民主党の政策の方が自民党よりも優れているから」との回答は6.0%しかなく、「政治の構造を変えるためには一度政権を変えるしかない」という政治の変化を期待する回答が多数(70.5%)となっています。これに関連して、今の政治状況がどんな状況と考えるか、では最も回答者が多かったのは、「既成政党の限界が明確になって政界再編・新しい政治に向かう過渡期」の54.5%であり、既成政党に期待しているかとの設問には、約半数の48.8%が「期待してない」と回答しています。

つまり、多くの人は麻生政権だけでなく、現在の既成政党そのものに失望し、日本の政治の変化を求めている。これは私たちがこれまで行ってきたアンケート調査でも見られた傾向ですが、それがますます顕著になっているというのが私の印象です。皆さんはこの結果をどうご覧になりましたか。


添谷芳秀 アンケート結果で面白いと思ったのは、民主党に政権を取らせてもいいという意見がこれだけ明示的に出たということです。これはある意味初めてなのではないでしょうか。中谷先生には大変恐縮ですが、政権交代が起きることが当たり前だ、という前提で二大政党が競うというのが望ましい姿だと個人的には思います。ですから自民党は、今回は政権を譲ってもいいといいくらいの前提で、対応してほしいと思います。選挙での敗北を恐れ、選挙を引き延ばすという行動をとるのではなく、「負ける」ことを自民党が覚えるということは、民主党が政権を取ることを覚えるのと同じくらい重要だという気がします。今回の調査はそのような流れになっていて、その先の政界再編も十分にあるのではないでしょうか。大局的にとらえれば、私はもっと早くこのような変化が政治に起こってほしいと思っていましたので、ある意味で楽しみなところがあります。

ただ現在の経済危機は、グリーンスパン氏(前米連邦準備制度理事会議長)が真っ先に表現したように、世界恐慌以来の100年に一度の危機であり、アメリカのビッグ3があっという間に経営破綻し、日本のトヨタも収益は急速に悪化しています。各国政府から当面の問題への対応が矢継ぎ早に打ち出されていること自体は素晴らしいことだと思いますが、より本質的には、まさに世紀に一度の、グローバルな危機が起きていることが日々明確になっていくという現実があります。

そうした本質論からすれば、麻生政権が様々な経済対策を打ち出す際の問題意識や、あるいは国民への説明の仕方を見たときに、深刻化する現実とのギャップがあまりにも大き過ぎることが心配です。これは、どの政権、誰がやっても同じような状況になった可能性はあります。この本質的な難しさが麻生政権に対する厳しい評価につながり、それに付随して麻生さん個人の属性の問題があるのだと思います。ですから支持率の低さも、麻生さん個人というよりは時代の難しさのようなものを背景に考えなければ、国民の対応も誤りかねないと思います。本質的な変化が起きているわけですから、もちろん簡単な話ではありません。しかしそうは言っても、国のリーダーがどれだけ本質的に問題をとらえているのかということが、最終的には重要だろうとも思います。


自民党自体の劣化が反映している

若宮啓文 100日の支持率は驚くべき低さですね。しかも「そもそも期待していなかった」という回答が非常に多い。要するに、そもそも期待していない政権だったけど、やらせてみたら予想以上にひどかったというのが、この結果だと思います。では、なぜそもそも期待していなかったかのかというと、理由は自民党と麻生さんの2つだと思います。

まず自民党ですが、政権を投げ出す内閣が次々と続き、愛想を尽かされてしまった。先日、ベルリンで開催された国際シンポジウムを覗いたのですが、イギリス人の若い研究者がG8サミットの出席者の一覧表を見せてくれました。最初が1975年のランブイエサミットですが、アメリカはフォードからブッシュまで6人の大統領が出席しています。イギリスの首相はウィルソンから6人、フランスとドイツはもっと少なくて4人です。ところが日本は何と16人で、何だか恥ずかしくなってしまった。しかも、任期が短すぎてサミットに出られなかった首相が2人いますから、75年から18人も首相が変わっているわけです。中曽根さんと小泉さんがそのうち5回ずつ参加しているので、残りの人は顔を見せて毎年変わっていくという感じです。その延長に麻生さんが出てきた。自民党はもういい加減にしてくれ、ということですね。

そして麻生さんですが、彼は確かに面白いキャラクターですが、考えてみれば総裁選に落ち続けてきた人です。最近では安倍さんにも、福田さんにも完敗した。いわば、面白いけれど総理大臣にするのはちょっといかがなものかと・・いう評価の人だったわけです。ところが、先の総裁選では5人の候補者のうちの「大本命」になっていた。与謝野さんはちょっと別でしょうが、あとは未熟、あるいは未知数の政治家ばかり。自民党はいつの間にか、そういう首相候補しか出せないような政党になってしまっていた。

そして自民党の目論見通り、選挙の顔として麻生さんが選ばれましたが、経済状況等の理由で選挙が延びていくうちに馬脚がどんどんあらわれ、益々ひどいことになってしまった。重なった漢字の誤読はその象徴的なエピソードですよね。そうした反動で、民主党への期待が大きくなってきた。民主党自身への評価が上がったというよりも、相対的なものです。早い話、自民党の総裁選に出た5人の候補者と民主党幹部らの顔ぶれを比べたとき、好き嫌いはあるにしても、民主党の幹部たちの方が何となくまともに見えてきた、ということでしょう。これまでは、野党の人たちは頼りなくて、与党の方に実力のありそうな政治家が揃っていたものですが、自民党の劣化と同時に民主党幹部にはそれなりの年季が入ってきて、自民党よりもまともに見えてきた。そんなことが、今回の調査にも強く出ている気がします。


工藤 中谷先生いかがでしょうか。別に自民党を代表しての発言でなくてもいいのですが。


中谷 現在の政権に対して大変厳しい評価ですが、これまで与党を支持してきた人も離れているということで、不況の深刻さが現れていていると思います。今の生活が厳しい中で、我々も危機感を感じています。従来のやり方では通用できない場合もありますが、総理がどうであれ、とにかく緊急対応をしなければということで、与党全員がそれぞれの持ち場で懸命にやっています。非常に厳しい評価は認識していますが、とにかくできることを一生懸命やらなければなりません。厳しい評価は、当然予想していました。


工藤 安倍政権、福田政権の時と比べて、麻生政権がこんなにひどいというのは予想されていましたか。


中谷 私は自民党の総裁選については、与謝野(馨)さんを推しました。やはり社会保障財源のことを考えると抜本対策が必要ということ、国民に対して正直に語るという点においては、もはやまやかしは通用しないと考えたからです。結果として麻生さんが首相になったわけですが、すぐに解散をすることができなかったから、国民がすでに総選挙の後の再編を読みとおした状況になっているのではないかと思っています。でも、それを承知の上の決断であるのでしょう。


工藤 仙谷先生はこの結果を踏まえてのご意見はどうでしょうか。


自民党には政策の総括が欠如している

仙谷由人 自民党政治がこの程度の人しか総理にできないという、国民の中でのあきれ果てた感覚が出てきているのではないでしょうか。新聞で、鈴木恒夫さんが、安倍さんに一気に振り子が振れたかと思えば、次に福田さんに振り子が振れ、さらに麻生さんに振れる現状に嫌気がさしたので引退すると述べていました。リーダーの選び方もそうですが、政策の後始末、つまり掲げた政策がどうなったのかという総括が全くない。霞が関はそれでいいのだろうが、政治家がそれでは、国民には全く理解できなくなってしまいます。例えば、言論NPOとの関係でいえば、一昨年の「東京‐北京フォーラム」に、安倍(晋三)さんも出席しました。中国側からその時点の安倍政権の「自由と繁栄の弧」路線について中国封じ込めの4カ国同盟はけしからんと言われたわけですが、それについて福田さんが首相になっときに総括がなければいけません。ところが、今度福田さんがやめたら「自由と繁栄の弧」の主たる提唱者だった麻生さんが総理になりました。本来なら外交路線で、中国封じ込めと中国に思われたような言動をどう総括するのかを語るべきなのに、まったくありません。経済政策についても、麻生さんは小泉政権時代に立派に政調会長をやっていたわけですから、小泉・竹中新自由主義路線が何だったのかということを総括しなければならない。

それをせずに、今の経済危機はアメリカからひどい仕打ちをうけているみたいな話は、プロの世界では通用しません。僕はこの間の予算委員会でも、現在の経済の状況をどう診断しているのか、「全治3年」という見立てはともかくとして、その前提としての病気はどういう病気なのかと聞いたのですが、全然答えられない。要するに、この6年間なり3年間をとってみた経済政策は、何が間違っていてどうすればよかったのか、それで現在はこういう状況になっていて、日本としてはこう対応すべきだという起承転結がありません。

「全治3年」というのは単なる評論家みたいな話です。全治3年のうち、1年目で景気を回復させ、2年目で財政再建をし、3年目で経済成長、新成長路線を描くというのが全治3年の中身のようですから、そんな甘い話はありません。そもそも去年の7月にサブプライムローンの破綻は出現していたのに、「全治3年」は甘い考え方だと僕は思っていました。むしろ、10年かけてこの泥沼からどうやって這い上がろうかという議論の方が、段々強くなるのではないでしょうか。

このアンケートに答えた人は、自民党の二世世襲議員の劣化した中で、もっとも劣化した人物を選んで、これを支える自民党はもっと劣化していることが示されたと思っているのではないでしょうか。与党の内部で勝手なことを言って、予算編成でどういう整合性、論理性をもった予算をもってくるのか、ほんと僕らでもわからないぐらい、とにかく無茶苦茶です。それがこのアンケート結果には出ていると思います。

⇒第2話を読む



添谷芳秀(慶応義塾大学東アジア研究所所長・法学部教授)

1979年上智大学外国語学部卒業後、同大学大学院修士課程修了、ミシガン大学大学院で博士号取得。88年慶應義塾大学専任講師、91年助教授、95年教 授。07年より同大学東アジア研究所所長。主な著書に『日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想』(筑摩書房)他。
 


若宮啓文(朝日新聞社コラムニスト)

1970年東京大学法学部卒業後、朝日新聞社の記者となる。政治部長、ブルッキングス研究所客員研究員を歴任。2002年論説主幹を経て、08年より現職。著書「和解とナショナリズム」(朝日選書)は中国でも翻訳出版。他に「右手に君が代、左手に憲法―漂流する日本政治」(朝日新聞社)など多数。

 
中谷元(衆議院議員)

1980年防衛大学校卒業後、陸上自衛官。退官後、議員秘書を経て、90年衆議院議員初当選。自由民主党国防部会長、国会対策副委員長などを歴任し、2001年防衛庁長官就任。現在6期目。主な著書に「誰も書けなかった防衛省の真実」(幻冬舎)他。



仙谷由人(衆議院議員)

東京大学在学中に司法試験に合格後、1971年から弁護士活動を開始。90年衆議院議員に初当選。衆議院憲法調査会会長代理、民主党政策調査会長、公共政策プラットフォーム代表理事を歴任。現在5期目。主な著書「焦眉―土建国家日本の転換」(ごま書房)他。



工藤泰志(言論NPO代表)

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で、『週刊東洋経済』記者、『金融ビジネス』編集長、『論争 東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。