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【緊急座談会】「麻生政権の100日評価」結果をどう読むか(5) 印刷 Eメール

2008年12月22日
添谷芳秀氏(慶応義塾大学東アジア研究所所長・法学部教授)
若宮啓文氏(朝日新聞社コラムニスト)
中谷元氏(衆議院議員)
仙谷由人氏(衆議院議員)

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有権者が政治に向かい合うしかない

工藤 中谷さんにお尋ねしたいのですが、自民党は自ら変わろうという意思はないのでしょうか。


中谷 路線的には最大の争点である消費税について明記したことは、ひとつの意思表示だと思います。ただ、今経済危機だといって政策を流れ作業的にやることが得策か、腰をすえて行うのか。どちらにせよ、国民の審判に従うというのが常道でしょう。

しかし、問題は国民側にもあって、政権交代はするけど、その後どうなるかということまで考えて投票してくれるのかということです。変えたものの、よりよいサービスをしすぎて財政が悪化してしまったというのは一番の悲劇です。だから、消費税の増税を書いたのかなということなのですが、それに対して国民が我慢できるかということだと思います。


日本の改革をどう進めていくのか

工藤 確かに問われているのは国民、という問題はあります。ただ、政治の側も国民に目指すべき社会や政策をしっかり説明していかないと、民主統治の循環が始まらない、という問題があります。


仙谷 先ほど、中谷さんが消費税で腹をくくったとおっしゃいましたが、本当に腹をくくらないといけないのは、道路特定財源の一般財源化だと思います。国民はいつまでも道路やダムの話ばかりしているのか、という認識です。しかし、自民党内では依然道路を造らないと票にならないという人が多い。それは国民の目から見れば、依然として縦割りが存在するという以外のなにものでもない。先ほど工藤さんがおっしゃった地方支分局の問題も同じ問題だと国民はとらえています。だから地方分権の問題も、三位一体改革と称する、補助金の削減でなく補助率の減少みたいなものでごまかしたのは何だったのかとなるわけです。麻生さんが交付税と言ったことを、国民は当初は道路特定財源が使えると思ったのかもしれませんが、いつの間にか、話がややこしくなってきて、600億円という数字がでてきました。これはわかる人からすれば、これは何だという話になります。本当に政策の論理性や整合性がめちゃくちゃなのが、麻生さんの場合は短期的に見えてしまった。まだ福田さんのほうが論理一貫していました。これはすべての項目についていえるから、ひどい話になっています。


中谷 地方から選出されている議員からすれば、地方はあまりにも産業が衰退して、高齢化して何とかしてあげたいとなると、やはり道路なのです。住民に聞いてみると、格差を是正するには道路だという人が、圧倒的に多いです。


仙谷 それは中谷さんの支援者とか近い人に聞いたからではないの。もっと一般的に聞く必要があると思います。私の選挙区の徳島なんて、明石海峡大橋ができて交通の便が良くなったから、人や財がストロー現象で関西にもっていかれてしまいました。


中谷 でも、基盤整備しないと発展はないのではないですか。


仙谷 いや、基盤整備しても発展はありません。人間がどんどん外に出ていって、結局高齢者しかいなくなったという歴史もあるわけです。


添谷 小泉改革で公共事業を減らし道路を造らなくなったら、格差が広がり、地域が疲弊したというのが一般的に言われていますが、それは本当なのですか。


中谷 地方交付税が減ったことで地方単独の事業が減りました。公共事業は3分の1になり、その結果、建設会社がだいぶ倒産して、失業者が増えました。


添谷 しかし、それはある意味、構造改革の目的だったわけですよね。


仙谷 そうそう。だから小泉さんでなくても時代の流れとして誰かがやらないといけない話だったと思います。次に、社会保障費を毎年2200億円削減し、5年総計で1兆1000億を削減するという話ですが、田舎にいけばいくほど、過疎になればなるほど、悲惨な状況になっています。そして、その原因は小泉改革にあったということが行きわたっています。そこへ後期高齢者医療制度の運用が始まり、お年寄は、これで切り捨てられたと思っています。それから郵政民営化については、中途半端になっていますが、昔は、近所にあった郵便局の、郵便局長とか、配達の人が地域のお年寄りに何でもしてあげていました。しかし、民営化が実施され4つの会社に分割された結果、変な規制ができてしまい、郵便局の人が色々やってあげられなくなりました。これに対する怒りが相当あると思います。


中谷 だから今見直しています。


工藤 既得権益から離れて、「人」や「モノ」がもう少しちゃんと動くような構造改革を行うという基本路線はみなさん同意しているわけですよね。ただ、それぞれの政策分野において色々課題や歪みが出てきたから、それをどうやって解決しながら進めていくか、という話なのでしょう。


仙谷 ただ、そうはおっしゃるけど、もう少し戦略的にやらないといけない。これだけ景気が悪くなって、金融機関の貸し渋りなどが問題になっていても、郵貯は180兆円ものお金を抱えたままです。なぜその180兆円は、地域など本当にお金を必要としている所に回らないのか。僕が地元に帰ってこういう話をすると、その通りだとみんな言いますよ。


中谷 それは、国債しか買ってはいけないということですね。


仙谷 徳島で唯一元気なところは、葉っぱビジネスをやっているお年寄りがいる上勝町です。つまり、公共事業のように飯を食うあてを誰かがつくるというのではなく、自分たちでつくり上げるという上勝町のようなモデルが既にあるわけです。そうすると、限界集落であれ、中山間地域であれ、生活費を稼げる程度のことを、あるいは年をとっても働いて病院にいく人が少なくなるようなことを、そこに住む人たちが自分たちで考えて実践する必要があります。


工藤 個人一人一人ががんばるのはもちろんですが、個人ががんばれるような環境整備をするのが政治の役割ですよね。


添谷 日本の構造を国全体でベストにしていくというのが方向性です。そのためには政治家も、国民のみなさんという言葉を使わずに政策を議論してはどうかとつくづく思います。国民のみなさんと言っているけど、実際は自分の選挙区のみなさんとほとんどイコールですよね。


仙谷 あるいは、私の支持者のみなさんです。


添谷 制度の中で色々な利害関係がある以上、制度が変われば損をする人も出てきます。結局、「国民」といっても一つではありませんから、逆説的ですが、国民のみなさんという言い方を止めると、もう少し全体を考えるようになるのではないかと思います。


2009年日本の政治がなすべきこと

工藤 最後にお聞きしたいのですが、2009年、日本の政治は何をしないといけないのでしょうか。


仙谷 国民の意思に基づいた新しい政治権力をつくり、そこに託す以外、方法はありません。やはり、解散総選挙をできるだけ早くやる必要があります。ただ、選挙が近いこともあり、日本の未来や将来のように大きな話や理想に燃えた話をしても通用しないのではないかとの思いも相当あります。


中谷 与党としては、現状の体制の中で最善をつくします。しかし、いずれにしても国民の審判を受けるわけですから、本当に将来のために必要なこと、正しいことについて、いかに腹を据えてやりきるのか。そういう議員の動きによって、総選挙後の新しい状況ができていくのではないでしょうか。ただ、構造改革の話をしようが、外交の話をしようが、有権者は自分の生活がどうかという視点を重視しますから、国会議員としては難しいところです。


添谷 希望的なことを2つ言わせてもらいます。ひとつは2009年が、政権交代が当たり前になるという元年になってほしいと思います。次に、政権交代が当たり前になるという前提で、安全保障政策にしても経済政策にしても、国の基本的なコンセンサスが必要なものについては、与野党間で十分な合意が出来上がってほしい。そして、国の基本的な政策にが、政争の具にならない政治が始まる元年になってほしいと思います。


若宮 新政権ができることを前提にお話ししますと、2009年にやるべき課題は地方分権の徹底です。自民党の政権も「分権」が必要だとは言いますが、自民党ではやれないことが多すぎる。民主党が本当に地方分権をやれるかどうかが、日本の構造改革の本当の勝負だと思います。もうひとつは、こういう経済状況の中で、これを奇貨としてアジアとの連携を深めていくこと。もちろん日本が金融面などで支援する部分もありますが、中国の内需はすごく頼りになるわけですから、アジアとの連携でニューディール政策を打ち出し、経済危機をいかにのりきっていくか。それができるかどうか、ですね。


工藤 今回行ったアンケートで、「総選挙が行われた場合に、政党が国民に説明すべき課題は何か」と聞いています。一番多いのは、「日本の目指すべき社会と改革の目標、そのための道筋」の56.2%で、次に、「緊急的な経済対策において、国民生活の何を守るのかという目標とその中身」の47.1%が続きます。
つまり、多くの有識者は、今の危機対策だけではなく、日本の政治に日本の将来や未来についての大きな話を説明してほしいと思っているのです。危機後も含め、次にこういうことをやるので、私達に政権を渡してほしいという問いかけや説明などがあり、それが国民に評価される。こうした政治と有権者との間の循環が起きない限り、政治というか日本そのものが、変わらないと思っています。

そうした緊張感のある政治を今年も目指して、言論NPOでは、政治の評価を厳しくやり抜こうと考えています。お忙しい中、ありがとうございました。
 



添谷芳秀(慶応義塾大学東アジア研究所所長・法学部教授)

1979年上智大学外国語学部卒業後、同大学大学院修士課程修了、ミシガン大学大学院で博士号取得。88年慶應義塾大学専任講師、91年助教授、95年教 授。07年より同大学東アジア研究所所長。主な著書に『日本の「ミドルパワー」外交―戦後日本の選択と構想』(筑摩書房)他。
 


若宮啓文(朝日新聞社コラムニスト)

1970年東京大学法学部卒業後、朝日新聞社の記者となる。政治部長、ブルッキングス研究所客員研究員を歴任。2002年論説主幹を経て、08年より現 職。著書「和解とナショナリズム」(朝日選書)は中国でも翻訳出版。他に「右手に君が代、左手に憲法―漂流する日本政治」(朝日新聞社)など多数。

 
中谷元(衆議院議員)

1980年防衛大学校卒業後、陸上自衛官。退官後、議員秘書を経て、90年衆議院議員初当選。自由民主党国防部会長、国会対策副委員長などを歴任し、2001年防衛庁長官就任。現在6期目。主な著書に「誰も書けなかった防衛省の真実」(幻冬舎)他。



仙谷由人(衆議院議員)

東京大学在学中に司法試験に合格後、1971年から弁護士活動を開始。90年衆議院議員に初当選。衆議院憲法調査会会長代理、民主党政策調査会長、公共政策プラットフォーム代表理事を歴任。現在5期目。主な著書「焦眉―土建国家日本の転換」(ごま書房)他。



工藤泰志(言論NPO代表)

1958年生まれ。横浜市立大学大学院経済学修士課程卒業。東洋経済新報社で、『週刊東洋経済』記者、『金融ビジネス』編集長、『論争 東洋経済』編集長を歴任。2001年10月、特定非営利活動法人言論NPOを立ち上げ、代表に就任。