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第2話 民主党のマニフェストは既に頓挫している工藤 ところが、マニフェストの実行はそのままでは無理なことが先の予算編成でもはっきりし ています。私たちが問題視しているのは、こうした事態になっても国民との約束の履行の状況が詳細に国民に説明されない、ということです。予算案を議論する 通常国会の施政方針演説でもマニフェストのマの字もなかった。これでは「約束を軸とした政治」が機能しているとは言えないと思いますが。
何とか予算は組んだが来年の目処は立たない工藤 無駄を削減して財源を捻出するというロジックは今回破綻しましたが、来年以降はさらに深刻になります。埋 蔵金は底を付いているし、マニフェストの関連予算はさらに膨らむ。子ども手当も倍増するわけです。このままでは予算を来年組むとしたらマニフェストを大幅 に修正するか、赤字国債に頼るか、増税をするしかない。それを財政当局も理解しているから、閣僚の発言が揺れている。 武藤 私たちは毎日の報道でしか判断できませんが、首相の発言を見ても、例え ば「来年の子ども手当の倍増はひょっとしたらできないかもしれない」と言ってみたり、また徹底的に無駄を削減して、実行するんだと言ってみたり、あるいは 「増税を検討する」と言ったり、「任期中はしない」と否定したり。では、何が約束なのか、こう揺れ続けては誰も信じられなくなる。とにかく努力する、とい うだけでは、責任ある態度とは言えない。 工藤 私が、今の政治が国民に向かい合っていないと思うのはその点です。政府はマニフェストがなぜうまくいかな いのか、その実態を国民に説明していない。それを説明しないまま、あたかもマニフェストは機能しているような、幻想をつくり上げている。子ども手当を約束 通りやるなら恒久的な財源が必要ですが、毎年無駄を削減してその毎年の財源の5兆円を生み出すというのはあり得ない話。つまり、ここでも恒久財源をどう国 民に求めるのか、その説明もできない。子ども手当をやるというのはその程度の覚悟なのか、と疑問に思います。結局、だましだましで選挙を乗り切ろうとして いる。これでは、約束を軸とした国民の向かい合った政治とは言えない。 武藤 そこを厳しく指摘するべきなんですよ。メディアがそれを言わないといけない。
今度の参議院選で約束型の政治に戻れるか
工藤 ここまでマニフェストのなし崩し的な修正が行われると、政府の説明責任は大きいと思いますね。 武藤 そう思います。ただ、マニフェストをつくり直す時には、マニフェストの総合性という点からは、サービスを 拡充するための負担をどうするかという話とワンセットでなければなりません。それを乗り越えなければ、本当の意味での約束にはならない。特に今の民主党は 次の選挙を意識して動いています。選挙を意識することはやむを得ない面がありますが、予算の配分が選挙を意識した党の利害だけで動いているとなると、話は 別です。約束の実行のために、政府は政策を実行すべきであり、工藤さんが何度も言われたように、国民に絶えず向かい合う姿勢が大事です。
民主党の政治は「新しい」政治か工藤 もうひとつの大きな問題は、すでに皆さんからも言及がありましたが、約束を軸とした政府の政策実行プロセ スが機能したか、という問題です。先にも話がありましたが、政策実行は政府に一元化とはいいながら、党との関係がわかりにくくそのプロセスはかなり不透明 に見えます。 増田 この間、かなりはっきりとわかったのは、あまりにも"党高政低"の政治が出すぎていることです。これは、 国民の約束を軸とした政治と異なり、選挙の論理だけの政治です。しかも国会を見ていると、時々「自民党もこういうことをやっていた」という話が民主党から 出てきます。国民からみるとえらく滑稽な話なわけです。国民は、自民党もやっていたから俺達もやるんだ、という政治を期待したわけではない。自民党のよう なことをやらない、といって選んだ政党が、そういうことを公然と言うのは理解に苦しむわけです。つまり、古い自民党的なところがかなり色濃く見え始めた。 そこは厳しく非難されるべきですし、民主党の自己改革が非常に強く求められる事態になってきたとも思っています。 工藤 予算委員会の議論を見ていたら、首相は、暫定税率の廃止はしたかったが、国民の声が存続させるべき、とい うので存続させた、というようなことを平気で言っている。幹事長室の声を国民の声というのならば、それを全て公開してどういう声があるのか、明らかにして ほしい。幹事長室に対する要望で選挙での約束が変更され、要望に基づいて工事費が付く。見ていると党利的な古い政治そのものという気がする。しかも予算の 審議が始まる前に、公共事業の箇所付けの資料が、民主党から地元の県連に流れるという事態も発覚しましたよね。最終的に国交省大臣が注意されるというかた ちで終わりましたが、こうした事態をどう見ましたか。 増田 私にとっては驚愕の事態というか、たまげた、という感じです。要望は幹事長室が一本化し、さらに地方の要 望は全部、地方の党の組織を通してやれと言うのは、弱体化している党の組織を強くしたいという目的以外の何ものでもない。それも問題だなと思っておかしい んじゃないかということを言っていたら、今度は工事の箇所付けの問題で国会で予算の審議が始まる前に、地方の県連を通して各県庁なんかに資料を渡してい る。政治主導というのを履き違えているような気がします。これが、地域主権の政治主導かというと、選挙のために地方組織をいかに強くするかということだけ が至上命題になってしまっていて、選挙のためだけに全部が動くという悪い体質が出てきている。 武藤 民主党の中にある選挙優先とない交ぜになって、ある意味利益誘導的な側面が出てきた。公共事業の箇所付 は、最終的には政治が決定するとしても公平公正に役人が原案をつくるのが自然なことなのです。政治家が直接それをやると、我田引水みたいなことになりかね ないわけですから、悪い意味での政治主導になってしまうリスクが非常に高いわけです。政治主導とは本来は、もう少し高い次元で役人ができないような国家の 基本方針について行われるべきことなのであって、箇所付けなどはまさに、事務的な仕事です。 ⇒ 続きを読む |