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実績評価(公務員制度) 印刷 Eメール

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 民主党マニフェストでは、「公務員制度の抜本改革の実施」として、政策目的として「公務員に対する信頼を回復する」、「行政コストを適正化する」、そして「労働者としての公務員の権利を認め、優秀な人材を確保する」の3点を掲げ、具体策として、次の4点を掲げている。すなわち、①2008年に成立した「国家公務員制度改革基本法」に基づき、内閣の一元管理による新たな幹部職制度や能力・実績に応じた処遇などを着実に推進する、②定年まで働ける環境をつくり、国家公務員の天下りのあっせんは全面的に禁止する、③地方分権推進に伴う地方移管、国家公務員の手当・退職金などの水準、定員の見直しなどにより、国家公務員の総人件費を2割削減する、④公務員の労働基本権を回復し、民間と同様、労使交渉によって決定する仕組みを作る、以上の4点である。

 公務員制度改革は、過去十数年来、その必要性が指摘されながら、定員の削減・再配置等を除き、ほとんど進展をみなかった改革である。本改革の論点は大きくは変化しておらず、次の3点に集約される。

 第1は、「各省縦割リ」「年次主義」の問題である。これはとりわけ幹部・同候補人事において問題となってきた。近代公務員制はオープンシステム(平等取扱)とメリットシステム(能力主義)が基本原理で、現行国家公務員法も明記しているのであるが、実際の制度は戦前以来の各省縦割リ・年次主義の制度となっている。特に高文、上級、Ⅰ種と続く幹部候補試験合格者がキャリアシステムをつくり、戦後の先進国へのキャッチアップにおいてはエリートとして重要な役割を果たしたが、そうした省益重視のシステムは今日では必ずしも有効とは言えなくなっている。これを原点に戻り、オープンな能力主義の人事制度とする必要がある。

 第2は、「天下り」の問題である。いわゆる「わたり」も含まれる。1947年の国家公務員法制定以来最近まで、退職後2年間はその前5年間に関わった利害関係企業への再就職はできないということとされた。行政が「歪む」ことがないようにするための再就職規制であるが、人生50年から80年に移ったにもかかわらずこれが見直されることがなかったため、退職2年後以降の民間企業への天下りや、高度成長に伴う大きな政府指向の特殊法人等の増設による天下りが拡大し、国民の批判を受けることなった。政府関係法人の厳しい見直しを行うとともに、高齢化対応の再就職規制、人事制度とする必要がある。

 第3は、「人事院制度」と公務員の「労働基本権」の問題である。人事院の勧告により給与等を決定する仕組みは、民間準拠を基本とするが、どのような民間を比較の対象にするのか、公務員に甘いのではないかという批判があり、近年のように民間賃金が下落するときは公務員給与が高止まりし、さらに財政状況が悪いことが考慮されないことが、国民の理解を困難にしている。一方、労働組合からは、基本的に団結権しか認められておらず、諸外国の公務労働者と比較して不当との批判がある。この際、人事院制度と公務員の労働基本権の問題を合わせて解決する必要がある。

  ここでは、このように長年解決が先送りされてきた公務員制度改革の諸課題に対し、民主党政権がその解決に向けて動いているかという点を評価する。

 

 

 

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■実績評価(15/40点)

 民主党政権がマニフェストに基づいて国会に提出した国家公務員法改正案は、今国会で廃案となり、新たな幹部職制度について具体的な制度の内容や実施に向けたスケジュールは進んでいない。幹部人事の内閣一元管理は、「各省縦割り」「年次主義」を是正する上で大きな前進であるが、三職制一体の規定は次官級も部長級も必要な能力や負うべき責任を同等とみなすものであり、能力主義の基本から離れ、近代以前の猟官制に戻ることになりかねない。また、天下りあっせんの全面的禁止に関して、昨秋の郵政社長等人事は財務省や総務省の有力OBであり、指名委員会の前に政治的に決められ果たして「適材適所」といえるのか議論がある。再就職あっせんの禁止で高齢者が残留し若年層の採用が減少し、「総人件費2割削減」と「定年まで働ける環境を作る」という具体策の矛盾が露呈した形となっている。また、国家公務員の総人件費削減については、そもそも「2割削減」の対象がなぜ国家公務員だけなのか、政府からは説明がなされていない。国民の高給与批判は特に地方公務員について顕著であり、政策の妥当性に疑問符が付く。総人件費の2割削減を2013年までに達成するためには、労働基本権を付与する法案を通すことが求められるが、そのめどは立っていない。総じて政府内において公務員制度改革の全体像についての一致が見られず、パッチワーク的な対応が目立っており、実質的な評価はかなり厳しくなる。

 

 

■実行過程(5点/30点) 

 まず民主党政権は、自ら掲げた党の約束を政府の約束として十分反映させているとは言い難い。三党連立政権合意書には公務員制度改革についての言及はなく、所信表明演説や施政方針演説でも具体的な目標や施策が述べられているわけではない。総人件費の2割削減をマニフェスト期間2013年までに達成するためには、労働基本権を付与する法案を今年中に成立させる必要があるにもかかわらず、民主党政権では来年通常国会以降に先送りするとしている。そうであれば政府として実現に向けた工程を示すべきであるが、それが国民に対して提示された形跡はない。国家戦略担当大臣を担当閣僚とする国家公務員制度改革推進本部は設けられているが、例えば総人件費の2割削減についてはその担当が国家戦略担当大臣か総務大臣かいまだに決定していない。有識者からなる顧問会議も形式的には廃止されていないが、実質的な動きは何もない。

 

 

■説明責任(0/30点)

 公務員制度改革について、鳩山前首相は所信表明演説や施政方針演説において何度も指摘しているが、いずれにおいてもその説明は抽象的なものであり、それをベースとした全体的なビジョンや新たな工程表は発表されていない。2010年国家公務員法改正案も、衆議院では強行採決で可決されるなど、政府側の十分な説明がなされているとは言い難い。郵政天下り人事などのように、自ら掲げた「公務員の天下りあっせんの全面的禁止」とのギャップについてその理由が語られることもなかった。国家公務員制度改革基本法や原理原則を踏まえた考え方や方針を、工程表を改正して示すことが説明責任を果たす上で極めて重要である。