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実績評価(地域主権) 印刷 Eメール

 

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   評価の視点を明確にするに当たって、まず、民主党政権のいう「地域主権」の言葉の定義を押さえておく必要がある。

 現在のわが国では、憲法上の主権は国民にあり(「国民主権」)、国際法上の主権は国家にある(「国家主権」)とされている。これに対する言葉としての「地域主権」であるならば、国体を連邦制に転換するものであると考えられるが、民主党政権の唱える「地域主権」という言葉が、マニフェストなどの説明を読む限り、これに当たるとは考えにくい。 

 では地域主権とは何を意味しているか。これまでの「地方分権」から、わざわざ言葉を変えてまで「主権」を使った理由は何なのか、それこそが民主党政権の地方分野の実績を評価する上での基本的な視点となる。しかし、その理由はこれまで十分説明されているわけではない。

 この地域主権の言葉の意味することを、これまでの民主党あるいは鳩山首相の言動で追うと以下のとおりである。

 民主党政策集INDEX2009では、「住民に一番身近な基礎的自治体を重視した分権改革を推進し、中央集権制度を抜本的に改め、地域主権国家を樹立します」と説明している。さらに、「地域主権国家の母体は基礎的自治体とし、基礎的自治体が担えない事務事業は広域自治体が担い、広域自治体が担えない事務事業は国が担う、という「補完性の原理」に基づいて改革を進めます」とある。

鳩山首相の国会演説(施政方針)では、「地域のことは地域に住む住民が決める、活気に満ちた地域社会をつくるための「地域主権」改革を断行」「いかなる政策にどれだけの予算を投入し、どのような地域を目指すのか、地域の住民自身が考え、決めるべきこと」「国と地方が(中略)対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係への根本的な転換」「改革の土台は、(中略)地域に住む住民の皆さんに、自らの暮らす町や村の未来に対する責任を持っていただくという、住民主体の新しい発想」と、言い切っている。6月にまとめる予定だった地域主権戦略大綱は、参議院選挙後に先送りとなったが、その案の中では、「地域主権」について「日本国憲法を前提としつつ」と断りながら「地域のことは地域の住民が責任を持って決める、活気に満ちた地域社会をつくるための改革の根底をなす理念」と説明している。

 この中から政権の考える地域主権に関して重要と思われるキーワードを抜粋すると「地域のことは地域に住む住民が決める」「地域に住む住民の皆さんに、自らの暮らす町や村の未来に対する責任を持っていただくという、住民主体の新しい発想」の2つがあげられる。「地域のことは地域に住む住民が決める」とは、地方の自己決定権をいうときの言葉であり、その施策の結果はそれを決めた住民が責任をもって享受する。まさに住民1人ひとりがそれぞれの地域の運営に主体的に参加し、その結果責任を自らとることである。これは、現在の地方自治法の言うところの「団体自治」と「住民自治」の充実となんら変わる事はないように思われる。つまり、「地域主権」の言葉自体は、これまでの分権の動きを、上からの視点ではなくその主役である住民を軸に組み立て直すということだと判断できる。

 地方分権は、地域の自己決定権を中央から身近な自治体に移すことであり、それに伴って権限や財源を都道府県や市町村に移すことである。こうした分権はいわば権限や財源が集まる霞が関の改革であり、地方自治体の首長の権限を強めるものである。だが、分権は国と知事との権限争いではない。こうした権限や財源の移譲はあくまでも手段に過ぎず、最終的には主役の住民が地域の経営や将来に責任を持ち、地域の創意が発揮できる地域づくりが始まるものでなくてはならない。

こうした基本的な地方自治の原則が地方自治法施行後60年以上を経過した現在でも達成されておらず、自民党政権下においても第1期、第2期と二度にわたる地方分権改革に取り組んだものの、まだ道半ばである。政権交代した民主党の政権はまさに第2期の地方分権改革の成果を実現する時期に重なっている。

 政権交代を果たした民主党が、「地域主権」を「改革の1丁目1番地」に据える以上は、この従来進めてきた分権改革に成果を出すと同時に、地域主権の改革にそれをどう発展させるのかが問われることになる。そのため、行政権限や税源という、霞が関の改革に加え、地方が自治立法権を確立するための永田町の改革や、地方議会制度や議会と首長と住民の関係など、住民目線から地方自治制度を根本から見直し、「地域主権」という言葉にふさわしい新たな住民自治の制度の設計に取り組むことが必要となる。

 以上のことから、鳩山首相から菅首相に続く9カ月間の民主党政権の実績評価では、こうした「地域主権」に向けて具体的な取り組みがどう進められたのか、さらにマニフェストで掲げた政策項目を実現したのか、あるいは実現の方向が描かれたのか。さらに、これらの施策の展開が、「地域主権」の可能性にどう答えを出そうとしたのかを中心に評価を行うこととする。

 

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■実績評価(5点/40点) 

 地域主権の取り組みは、閣議決定で設置された地域主権戦略会議で行われることになったが、国会で審議中の地域主権関連3法案はいずれも成立に至らず、また、6月に予定されていた地域主権戦略大綱も参議院選挙後に先送りとなり、実績の道筋が描かれたわけではない。地域主権改革の実行はいわゆる原口プランの下で推進されたが、地方への事務事業や財源の移譲のための取り組みは、いずれも自公政権下の地方分権改革推進委員会の勧告の実施に基本的に取り組んだに過ぎない。実現したといえるのは、国直轄事業の維持管理の部分の地方負担金を廃止した点だが、建設に関する負担金については触れられていない。地域主権を「改革の一丁目一番地」に据える以上、改革の工程は地域主権の具体的なビジョンや理念に沿って構成されるべきであるが、原口プランは地域の視点といいながらも住民自治や自治立法権の確立など地域の自立に立脚した視点が描けず、霞が関の行政権限や税源の移譲という上からの分権の視点から一歩も出ていない。また、その実現のスピードは極めて緩慢であり、原則廃止を掲げた出先機関をはじめ、それらがいつ実現するのか出口が見えない。さらに、地域主権というのならば住民の行政のチェックを高めるために解職請求のハードルを下げるなど、住民を中心とした制度設計の課題を提案すべきだが、その発想も見られない。民主党政策集INDEX2009においては住民投票基本法の制定も掲げられていたが、検討すらされていない。

 

 

■実行過程(10/30点)

 平成21年11月に地域主権戦略会議を発足させ、政治主導による地方主権推進改革を実現する体制がつくられ、地域主権関連3法案が政権のリーダーシップのもとで今国会に提出されたことは評価に値する。同法案は今国会で未成立となったが、そもそも同法案に盛り込まれた義務付け・枠づけの見直しは、地方分権推進委員会第3次勧告において提言された892条項のうちわずか96条項である。残りの751条項を対象として現在見直しを行い、71%で見直しが固まったが、実質的な自治の向上につながるかどうかの検証議論は深まっていない。また、今後の道筋についても、原口担当大臣の示したプランが工程表として存在するものの、これを今後省庁とどのように詰めていくのか、戦略会議としてどのような形で協議を行いどう政治主導を確保していくのかという詳細な仕組みは明確にされていない。政治的リーダーシップの面からは、原口プランを政府の計画として位置付けた以上、首相として今後のプロセスに関して国民に明確に示すべきであるが、それがなされた形跡はない。

 

 

■説明責任(3点/30点)

 施政方針演説において「改革の一丁目一番地」と表現したり、第1回地域主権推進戦略会議でその理由について説明するなど、地域主権改革の実現に向けた意気込みを語られてきた。しかし、その言葉は常に抽象的で具体性を欠いており、国の形についての将来ビジョンや実現するための工程については触れられていない。形式的に推進体制をつくり実施に向けた取り組みを進めているように見えるが、その対象は団体自治の拡充のみで、最も大切なはずの「住民自治の深化のための制度設計」については全く発言されていない。また、当初マニフェストで司令塔と想定された行政刷新会議と地域主権戦略会議の役割は整理されておらず、こうした実行体制に伴う混乱は説明責任が問われる。