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実績評価(教育) 印刷 Eメール

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 評価の基本的な視点を設定するにあたり、現在、教育政策で取り組むべき課題を明確にする。

 まず、学士力といわれる大学生の学力低下や、大学が経済社会が望む人材を輩出できていないなどの問題がある。現在、大学総数は750ほどであり、大学数の数については、過剰傾向である。一方、私立大学学生の20%、国立大学の学生の7%が中学生レベルの学力しかないことなどが指摘されるなど、学士力の向上の必要性が認識されている。また、大学が提供する教育内容が社会のニーズに対応していないという問題もある。さらに、研究面では、世界でトップレベルを目指すことを国策としているにも関わらず、世界大学ランキングでは、東京大学の11位が最高位に留まっている。このように、大学における教育力・研究力の向上は喫緊の課題である。

 次に、義務教育課程における教育の質の向上が必要であるとの問題がある。経済協力開発機構 (OECD) が行った学習到達度調査 (PISA) (2007年12月発表)では、読解力は14位から15位へ、数学的リテラシーは6位から10位へ、科学的リテラシーは2位から6位へと全分野で順位を下げる結果となるなど、義務教育課程における教育力向上も課題である。わが国の義務教育課程については、「教育再生」を政権政策の目玉に掲げた自民党安倍内閣時代に、教員免許更新制が導入されるなど改革がなされているが、教育現場からは、時間的な負担が増し、子どもたちに関わる時間が減る危険があるとの指摘がある。また、現在、教育の担い手が学校に偏っている現状を改善し、地域社会全体で子どもの教育を担うことが重要であるとの指摘がある。

 また、小泉改革以降、所得格差が広がり、その格差が教育を受ける機会(教育格差)につながり、世代間で格差が継続・固定するのではないかとの問題が表面化している。

 以上のことから、教育政策の最終目標を「全ての人がその能力に応じ、質の高い教育を受けることができ、国際競争力強化のための学力・研究力を向上させる」こととし、このための施策展開である①大学における教育力・研究力の向上に対応しているか、②義務教育課程における教育力向上に対応しているか、③所得格差による教育格差の是正に対応しているか、の3点を評価の視点とする。

 

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■実績評価(15/40点) 

 

 鳩山内閣の目玉施策の一つである「高校無償化」については、22年度予算において必要経費3,933億円が計上されるとともに、平成22年3月には高校無償化法案が可決されるなどマニフェストどおりに実現しており、形式的に評価できる。給付の方法はマニフェストでは世帯給付を掲げたが公立の高校生は授業料を徴収せず、私立高校への就学支援金は学校設置者が代理で受領し、授業料を減額することで決着し、単純なばら撒きは修正されたが、所得格差に対する教育機会の支援策としては事実上の現物給付の方がこの政策目的に近く必要な修正だと判断する。

 民主党のマニフェストでは、この無償化の政策目的を「全ての意思ある高校生・大学生が安心して勉学に打ち込める社会を作つくる」としているが、こうした目的が全て貫かれているわけでもない。たとえば、無償化に必要な財源約4,500億円の一部を確保するため、所得、住民税の特定扶養控除を縮減し、その代わり所得制限なしとしたが、家庭の事情により教育を受けられないという課題解決策であれば、所得制限を行う方が目的の実現に近く、この立場から無償化の財源判断は実質的な評価を下げるものとなる。「大学などの学生に希望者全員が受けられる奨学金制度を創設する」については、三党合意に書かれることもなく、22年度予算では無利子の貸与人員が5,000人増えること、奨学金の支給開始時期が4月に早期化することに留まり、この約束は実現されていない。

 さらに民主党政権は、大学教育への個人支援には意欲的だが、肝心の高校教育、大学教育の質が低下し、学力低下が課題になっている現状の高等教育に関する課題設定が希薄である。上記二つの政策はこの問題に対応して設計されるべきで、明確な選別基準なしに「希望者全員が受けられる奨学金制度を創設」がなされれば、大学全入時代といわれる現在において学士力・研究力をさらに下げる可能性さえあり、実質的には高い評価は与えられない。教育の質に関しては教員の資質向上のため、教員免許制度を抜本的に見直しが提起されたが期限等の道筋は示されていない。その他の教員の増員に関する公立小中学校の学級編成基準の見直しなども検討を開始しているが、マニフェストに書かれたその他の教育項目は目玉の無料化などと比較し、いずれも現時点では検討段階や未着手が多く評価できない。

 

 

 

■実行過程(8点/30点)

 「高校無償化」が実現されるまでには、財源の確保にあたって所得制限や地方の負担を求める藤井元財務相と所得制限導入に反対する文科省の間で対立があったが、最終的に所得制限を見送るにあたって決定的だったのは民主党の重点要望が提出されたことである。政府の政策決定を最後には党の判断に委ねた格好であり、政策決定の不透明性がここでも指摘される。一方、「希望者全員が受けられる奨学金制度を創設」については、与党連立合意にも盛り込まれず、民主党や連立3党の予算重点要望にも入らなかったことで、政府としての約束の優先度も高くなかった。この点で前首相のリーダーシップが発揮された上で実現に向けて動いた形跡はない。

 

 

■説明責任(8点/30点)

 鳩山首相は所信表明演説で、「全ての意思がある人が質の高い教育を受けられる国を目指す、このため、財源をきちんと確保しながら、子ども手当、高校無償化、奨学金の大幅な拡充を進める」と言っている。実際には財源が足りず、財源確保のためマニフェストに書かれていない特定扶養控除を縮減し、所得制限はなしとした。こうしたプロセスは当然、説明責任が問われるが、特定扶養控除の縮減に至るまでのプロセスについてはほぼ全く説明が行われていない。