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2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(経済政策) 印刷 Eメール

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項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  7  3
目標設定(10点)  7  7
達成時期(8点)  4  6
財源(7点)  0  5
工程・政策手段(5点)  3  4
合計(40点) 21 25
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点) 10 10
課題解決の妥当性(20点)  5 10
指導性と責任(20点)  0  3
合計(60点)  15 23
合計(100点)   36点  48点

 

<評価の視点>

 今回の参議院選マニフェストで問われる最大の課題は、デフレ、少子・高齢化、製造業の国際競争力の低下などによる経済成長の低迷と財政赤字の膨張という日本経済が直面する厳しい課題に対して、どのような包括的かつ戦略的経済政策が打ち出されているのかという点である。具体的な数値目標や達成期限の明示だけでなく、個別政策の優先順位が明確に意識されているのか、個別政策の財源が明示されているのか、政策を具体的に実行するための道筋が示されているのかどうかも厳しく評価されなければならない。
また個別経済政策の前提となる基本的な理念やビジョンが明確に描かれているかどうか、個別政策がそうした理念ビジョンと整合性のとれたものであるかどうかについても検証される必要がある。
さらに個別政策の効果に関わる実効性と個別政策間での矛盾がないかどうか、その整合性についても問われよう。選挙目当てのバラマキ的政策ではなく、しっかりとした体系的かつ信頼できる経済政策が打ち出されているのかどうかが問われなければならない。その意味では、前回衆議院選マニフェストからの変更点とその説明責任が明確に果たされているかどうかについても、検証される必要がある。
結局、デフレを脱却し持続的な経済成長を実現する一方で、中期的な財政健全化を達成できる経済政策体系となっているのかどうかが評価の核心となろう。

<評価委員の解説>

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 36点 (形式要件21点、実質要件15点)
自民党マニフェスト評価
合計48 点 (形式要件25 点、実質要件23 点)
【形式要件についての評価】 21点/40点 【形式要件についての評価】 25点/40点
 マニフェストでは、公共事業中心の「第一の道」、偏った市場経済原理に基づく「第二の道」でもない「第三の道」を選択するとの理念が掲げられている。具体的には、「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」ことが民主党の目指す方向である。経済成長の目標は、「名目成長率3%超、実質成長率2%超」との意欲的目標が設定されているが、目標の達成期間は「2020年までに」としており、かなり長期にわたっている。財政健全化目標については、2011年度の国債発行目標とともに、2015年度までの基礎的収支の赤字半減、2020年度までの黒字化目標が設定されており、前回マニフェストに比べれば前進している。主要施策の財源については、「消費税を含む税制の抜本改革に関する協議を超党派で開始する」と記されているのみで、具体的な数字はない。「強い経済」を実現するための政策手段として、「インフラ輸出、グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーション、観光、医療・介護・農業」などのターゲティング戦略が打ち出されている他、「法人税率の引き下げ」が明記されたことは、前回マニフェストからの前進である。デフレへの対応としては、「政府と日銀の協力」が謳われているに過ぎず、具体性を欠く。総じて言えば、自民党政権では当たり前だった政策目標や政策手段がようやく今回のマニフェストで示されたということ。  マニフェストでは、わずかに「もう一度いちばんがあふれる日本にしたい」「頑張る人が報われる社会へ」などの記述があるだけで、経済政策、社会のあり方に対する明確な理念が示されているとは言いがたい。目標に関しては、「3年間で名目4%成長を目指す」「今後10年間で雇用者所得5割増実現」「5年を待たずに基礎的収支の赤字半減、今後10年以内の黒字化」などの数値目標が設定されている。達成期間は概ね妥当とみられる。財源については、「消費税を含む税制抜本改革を実施、税率は当面10%」と明記している。消費税の使い道についても、少子化対策や社会保障の機能強化(7兆円)、自然増(毎年1兆円)、現在の社会保障財源の不足分(7.3兆円)など具体的に示されている。名目4%成長を実現する政策手段として、インフレーション・ターゲティングの設定、法人税率の20%台への引き下げ、「グローバルトップ特別区」、など具体的な成長戦略が多数盛り込まれている。
   
【実質要件についての評価】 15点/60点 【実質要件についての評価】 23点/60点

 「強い経済、強い財政、強い社会保障を一体的に実現する」ために、成長戦略、財政再建目標が設定されているが、成長戦略に具体的にどの程度の資源投入をするのか、その財源をどうするのかが明らかにされていない。この意味で、経済成長と財政再建の両立がどう実現するのかが不明である。社会保障分野でも「最低保証年金、医師を1.5倍に拡大、診療報酬引き上げ、ヘルパー給与引き上げ」などの政策が明記されているが、その財源は明らかにされていない。消費税率の引き上げは、既存の社会保障システムを維持するだけでも必要なのにもかかわらず、新規の社会保障強化策や子ども手当等の財源をどう確保するのかの道筋は見えない。
消費税引き上げで「超党派の議論を開始する」とした点は、民主党新規施策の財源捻出が事業仕分けだけでは不十分であるとの現実を認識した結果であり一歩前進とは言え、税率が明記されておらず、与党としての責任感の欠如を物語る。
前回マニフェストとの比較で言えば、国際公約をしたCO2の25%削減に関する記述がなくなっており、この目標を諦めたのかどうかも不明である。また、「郵政改革法案を次期通常国会の最優先課題」と位置づけているが、強い経済との関連で郵政民営化路線の後退は、整合性が取れていない。子ども手当ては「1万3000円から上積みする」と倍増公約を取り下げ、「上積み分を現物サービスにも変えられるようにする」との内容は、具体性が見えない。高速道路無料化、農家個別所得補償についても、本格実施を先送りした。
総じて言えば、前回マニフェストからかなりの修正を行ったが、その理由、必要性についての説明責任が十分果たされているとは言いがたい。

 名目成長率4%以上という目標達成のために、「金融政策、税・財政政策、成長戦略などあらゆる政策を総動員する」と明記されているが、とくにインフレ・ターゲティング設定、法人税率20%台への引き下げは、これまでの自民党政策の中での「上げ潮路線」がより鮮明になっているもので、現実性という意味では相当高いハードルである。にもかかわらず、郵政民営化に対する記述は少なく、郵政票を意識した書きぶりとなっている点は、整合性に欠ける。
消費税率引き上げ幅とその使途を具体的に書いた点は高く評価できるが、成長戦略に対する必要財源の明記と捻出方法には触れていない。「子ども手当の全面的見直し、高速道路は無料化しない、農家個別所得補償はしない」など、政府・民主党政策との違いを強調しているが、代わりに小学校給食や幼児教育の無償化、道路の積極整備、農家に対する「日本型直接支払い」「経営所得安定制度」の創設など選挙を意識したバラマキ政策が随所に含まれている。診療報酬の大幅な引き上げを明記している点も民主党との違いはなく、選挙対策の色彩が強い。
マニフェスト全体は、271もの個別政策が列挙されており、個別政策の優先順位が明らかでないだけでなく、自民党政策の特徴を分かりにくくしている。
総じて言えば、民主党マニフェストよりも精緻・具体的である半面、自民党本来の新自由主義的色彩の政策理念も影を薄めており、選挙を意識してバラマキ色の強い政策が盛り込まれるなど、民主党との違いを際立たせることに失敗している。

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