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2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(雇用) 印刷 Eメール

argaiv1349

 

 

項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  3  4
目標設定(10点)  0  3
達成時期(8点)  2  2
財源(7点)  0  2
工程・政策手段(5点)  0  2
合計(40点) 5 13
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)  5  9
課題解決の妥当性(20点)  5  9
指導性と責任(20点)  6  7
合計(60点)  16 21
合計(100点)   21点  34点

 

<評価の視点>

 現在この分野において政府が求められている政策課題は、グローバル化・少子高齢化時代に対応した新たな労働市場のビジョンを提示し、それを政労使合意の形で実現していく道筋を示すことである。あるべき労働市場のビジョンとしては、①柔軟性(働き方の多様化・雇用調整の円滑性)、②保障性(就労促進的なセーフティーネット)、③公平性(正規・非正規間の公平処遇)の3つの要素が整合的に含まれている必要がある。
個別にみれば、まず、①柔軟性の面においては、a)派遣を含む就業形態選択の自由度の高さ、b)企業の事業構造転換を阻害しない雇用調整の円滑性をどのように確保していくのかが問われる。
②保障性の面では、a)雇用保険・失業扶助制度・生活保護制度が連続的かつ就業促進的に設計されることと同時に、b)有効性の低下している職業訓練制度の再建のビジョンが示されることで、働き手が環境変化に適応して能力転換・能力向上が支援される仕組みを整える必要がある。
さらに、③公平性の面では、a)正規・非正規の処遇均衡の前提となる同一価値労働同一賃金の基準となる能力認定の仕組みや、b)年功賃金制度の是正を担保する家族維持コストの保障の仕組みを提示することが求められている。

以上のような政策を実現するための前提としての政労使合意の仕組みづくりについては、政労使の協議機関の設置をどのようにしていくのか、いつまでにどのようなアジェンダについて合意を得るのか、などについての構想が示される必要がある。
<評価委員の解説>

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 21点 (形式要件5点、実質要件16点)
自民党マニフェスト評価
合計 34点 (形式要件13点、実質要件21点)
【形式要件についての評価】 5点/40点 【形式要件についての評価】 13点/40点

 マニフェストでは、「高齢者、女性をはじめ働くことを望む全ての人に就業のチャンスがある社会」の実現という理念が掲げられ、格差是正やワークライフバランスに取り組むことも謳われている。(3点/10点)個別政策として、セーフティネットの構築・労働市場への復帰支援策については「2011年度中の『求職者支援制度』の法制化」、「非正規労働者や長期失業者に対するマンツーマン就業支援」、「新卒者支援」等を掲げている。しかし、個別政策における明確な目標設定は内。(0点/10点)また、労働市場の設計については「職場内待遇の均等・均衡の実現」、「仕事を生活の調和の推進」を挙げているが、具体策はない。
総じて、列挙された政策メニューが少なく、全体を通じて記述のボリューム感もなく、民主党が描く労働市場のビジョンがみえない。達成時期、財源、工程の記述も一部にとどまっている。個別具体的な政策と抽象的で大枠の政策が同列に記述されており、メッセージ性も弱い。(2点/8点、0点/7点、0点/5点)

 「『雇用』は国民生活の基盤であり、その安定確保は国の最重要課題である」としたうえで、「仕事を創り、誰もが働く場を得られる社会を実現」することを理念として示している。(4点/10点)個別政策としては、「成長産業への円滑な人材シフトを促進、柔軟な企業経営の確保による正規雇用の維持・拡大」をはかるための「労働者派遣制度の活用」・「解雇規制の緩和」、「自助努力を補助する『能動的な雇用対策』によるセーフティネットの構築」のための「職業訓練制度の構築」・「トライアル雇用の推進」・「職能別検定制度・ジョブカード制度の充実」などを掲げており、それらの前提としての「同一労働・同一賃金」・「社会保障の充実」・「労働環境の法整備」などにも言及がある。民主党と比較すると、個別政策に目標設定や妥当な政策手段が示されているものも多いが、概して財源やロードマップ、達成時期についての言及はない。これらを通じて、全体としてどのような労働市場を目差すのかが曖昧である。「今後10年間で雇用所得の5割増を実現」など、目標が明記されているものもあるが、その手段は「あらゆる成長戦略を実行して」という抽象的な表現にとどまり、その実現までの道筋、財源が不明である。(3点/10点)(2点/8点)(2点/7点)(2点/5点)
   
【実質要件についての評価】 16点/60点 【実質要件についての評価】 21点/60点

【課題抽出の妥当性 5点/20点】
民主党が示した「全ての人に就業のチャンスがある社会」の理念に照らせば、掲げられた約束は具体性、網羅性を欠いており、課題抽出が不十分で全体としての体系性が見られない。雇用創出や能力認定制度など、実効性のある仕組みづくりに向けたビジョンを示さなければならないにもかかわらず、その点についての記述がみられない。また、政労使合意を得るための仕組みとして、いつまでにどのようなアジェンダについて合意を得るかといった構想についてもマニフェストでは掲げられていない。
【課題解決の妥当性 5点/20点】
「求職者支援制度の法制度化」や「非正規・長期失業者に対するマンツーマン支援」など、「保障性」についてはいくつか言及があるものの、コアとなる職業訓練見直しをどのように行っていくのかという構想が洩れている。民主党は前回のマニフェストにおいて「月額10万円の手当てつき求職支援制度」の創設を掲げ、現行の「緊急人材育成・就職支援基金」は22年度で打ち切り、23年度以降に新制度を導入するとしていた。今回も当然その約束は継続されているが、新制度の具体的なプランはここでも明らかにされていない。「公平性」については、均等・均衡待遇についてふれているが、その実現のプロセスが不明である。「柔軟性」についてはまとまった記述が無い。
【指導性・責任 6点/20点】
菅新政権は「強い経済、強い財政、強い社会保障」を強調し、これらを一体としてとらえて好循環をつくり出す経済政策を推進している。マニフェスト冒頭でも、環境問題等喫緊の課題への解決策や観光分野などへの積極策が生み出す大きな需要に応えることで、雇用を拡大するとしてメッセージを発信しているが、個別政策については前述の通り体系性や具体性に欠け、どこまでリーダーシップを発揮して約束を実現するかは未知数である。



 

【課題抽出の妥当性 8点/20点】
労働者派遣制度の活用や解雇規制の緩和(柔軟性)、「トランポリン型社会」の構築(補償制)、「同一労働・同一賃金」(公平性)など、マニフェストには労働市場の設計にあたっての要素は組み込まれており、課題抽出の観点からはある程度評価できる。しかしそれらを実現するための財源、ロードマップは十分に盛り込まれておらず、政策の体系性としては不十分である。さらに、実現の前提となる政労使合意の仕組みについては、民主党同様に記述がない。
【課題解決の妥当性 8点/20点】
「柔軟性」については、就職、転職をしやすい環境の整備(労働者派遣制度の活用)や雇用力強化労働法制の充実(解雇規制の緩和等)など、一歩踏み込んだ記述がある。人々のライフスタイル、働き方の多様化という時代の流れに沿った労働市場構築という観点からは、民主党と比較して現実的であるといえ、妥当性がある。一方、「保障性」については自治体・企業・NGOとの連携による「トランポリン型社会」の構築を目指すなどの抽象的な表現にとどまり、セーフティネットの全体像やそれをどう設計するかは明らかではない。「公平性」については、「同一労働・同一賃金」「労働環境の法整備」を前提に、「失業対策として、生活の安定が保証される『手厚い失業給付』『充実した職業訓練プログラム』の再構築など、強力なセーフティネットを構築します」とあるが、具体的な内容については言及がなく、課題解決に対して実効性があるかどうか不明である。
【指導性・責任 5点/20点】
マニフェストでは上述の雇用対策のほか、「仕事を創り、地域を支え、安全安心な暮らしを守る―「手当より仕事」―」という項目を立て、農林水産や環境、福祉など他の分野においても雇用創出に言及しており、「雇用」を重要課題として認識している自民党の姿勢がうかがえる。一方、それらについて財源や工程、達成時期に関する記述はほぼ皆無であり、現実的な指導性や責任については、過大な期待はできないと言わざるを得ない。

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