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2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(新しい公共) 印刷 Eメール

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項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  8 0
目標設定(10点)  0  8
達成時期(8点)  4  0
財源(7点)  0  0
工程・政策手段(5点)  0  3
合計(40点) 12 11
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)  2 14
課題解決の妥当性(20点)  0 12
指導性と責任(20点)  0 3
合計(60点)  2 29
合計(100点)   14点  40点

 

<評価の視点>

 「新しい公共」「民が担う公共」にかかる政策

 少子高齢化、財政破綻を抱えるわが国において、政府のみに公共サービスを依存することは不可能であるという認識は政府のみならず多くの国民の間でも広がりつつある。この問題解決の方向は、公共領域を構成する公助・自助・共助のデモグラフィーを再編することであるが、いずれの場合もその基盤として問われるのは、国民ひとりひとりの受益と負担に対する認識、利他的な精神など公共心に基づく行動様式である。国民生活白書(2007年)によれば社会貢献に対する国民の関心はこの数年間で増加傾向を示しているが(62.6%)、NPOなどボランティア・市民活動に参加していない率は81.3%である。関心は高まっているが実行に至っていないのである。他方、NPOなど民間非営利組織は人々にボランティアや寄付を通じて社会参加の機会を提供しながら、社会的な財やサービスを提供することによって社会の課題を解決する存在である。しかし、NPOの54.5%が寄付を集めず、行政の下請け化傾向が顕著である。また、社会貢献以外の目的でNPO法人格を取得する団体が増加しており、玉石混淆の状態で信頼性が低下している。つまり、NPOセクターは総じて市民との間の信頼関係を構築しきれず、市民参加の受け皿になりきれていないのだ。こうしたNPOセクターの質の低下や市民との乖離の原因は、NPO側の意識に起因するところが大きいが、制度的な要件を緩和して量を増やす政策を取り続けたことによって質の低下を招いたことにもある。したがって、「新しい公共」の制度設計に求められるのは、国民の公共心を育むべく支援策を講じ、民間非営利セクターには市民参加の受け皿として機能すべく、市民の信頼を得るべく質向上にむけた自助努力を側面支援することである。そのためには従来型の要件緩和によって量を拡大する政策から質向上にパラダイムを転換する必要がある。民主党マニフェストについては、上記の現状を踏まえた政策が提示できているかという点に加え、次の点に注目する。すなわち、鳩山政権の肝入りで実施された新しい公共円卓会議の提言内容が理念と整合せず、収益事業と寄付税制の要件緩和に傾斜し、円卓会議メンバーやNPO関係者から疑義が投じられていたことについて、どう対応・修正しているかという点である。また、変更があった場合には、その点について明確な説明があるかという点もみる。自民党については、先の国民とNPOセクターの現状に基づき、政策を立案しているか、また、これまで要件緩和一辺倒だった政策から転換ができているかという点から評価する。

<評価委員の解説>

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 14点 (形式要件12点、実質要件2点)
自民党マニフェスト評価
合計 40点 (形式要件11点、実質要件29点)
【形式要件についての評価】 12点/40点 【形式要件についての評価】 11点/40点
  マニフェストのイントロで、「国のかたちを変える」というタイトルで、誰もが社会の一員として責任を担うような社会をめざして、NPOなどの公益的活動の支援、官民協働関係の構築を進めると示した。だがマニフェストの本頁では具体策は記されていない。成長戦略では前政権の円卓会議政府対応案の資金関連案がほぼそのまま引用された〔同対応案は円卓会議メンバーから疑義が出されている〕。新しい公共は鳩山前首相が掲げたビジョンであるが、菅政権は、それを、国民ひとりひとりが社会の一員として責任を負う社会であると説明しており、これが理念にあたるものと思われる(8点/10点)。政策としてNPO支援、官民協働の構築で記されているがその目的が不明である。成長戦略では目的として資金総額が記されているが、「新しい公共」の目的が資金総額というのもおかしい(0点/10点)。達成時期は2020年としているが現状分析が不足し実現性がとわれる(4点/8点)。財源の裏付けについては、2009年の衆議院選に向けたマニフェストでは100億円という予算が提示されていたが、今回は何も記されておらず後退した(0点/7点)。目的実現のための工程は描かれていない。NPO支援や官民協働は政策実行手段であるが、その目的がないため手段としての意味が不明である(0点/5点)。  自民党は「民が担う公共」をひとつの独立したカテゴリーとして扱ってはいない。しかし、これに関連して、大きく3領域の政策を打ち出している。第1は、中・高校、大学教育を通じた国民の公共心の育成、第2は政策分野(雇用対策、生活困窮者、地域つくり、ODA)におけるNPO、NGOの活用、第3はNPO法人制度、公益法人制度の改正である。これらは合計9つのマニフェストにまたがるために、総合的に判断する。
また、自民党は市民が担う公共を意識していることを窺えるものの、トータルでめざすべき理念やビジョンについて明示のかたちで描いていない(0点/10点)。個別の政策については、教育分野についてはその目的は明確であるが、各政策分野においてNPO、NGOにどのような役割を担わせようとしているのは不明確である。NPO法、公益法人制度については認定数を増やすことを目的として記しており、アウトプットが目的となっている(8点/10点)。達成時期については9つのマニフェストのいずれにも記されていない(0点/8点)。財源の裏づけについては記されていない(0点/7点)。目的達成の肯定や手段については、第1の教育分野、第3の制度については具体的に記されているが、第2については不鮮明である(3点/5点)。
   
【実質要件についての評価】 2点/60点 【実質要件についての評価】 29点/60点

 公共領域を維持するためには、自助・公助・共助のデモグラフィーを変えること、その根底を支えるのは国民ひとりひとりの自覚と公共心である。
その意味では菅政権もこの問題を指摘している。しかし、国民ひとりひとりが責任を担う社会を実現するためには、今、何が課題となっているのかが示されるべきだが、国民側、その受け皿となるべき民間非営利セクターの課題の双方とも示されていない。後述の政策案をみると、「新しい公共」という理念と政策手段の間に食い違いがみられ、真に課題が認識されているのか疑問である(2点/20点)。政策手段として、マニフェストに記されたのは官民協働の構築のみである。だが、新しい公共円卓会議でもしばしば指摘されていたNPOの行政の下請け化問題は、NPOが市民側に軸足を置けるかが問われているのであり、協働関係のみを構築しても解決されず、かえって下請け化を加速化させる可能性が高い。また、成長戦略では、新しい公共円卓会議メンバーから疑義が出されていた政府対応案〔金に関する案〕を、調整をせずに、丸呑みするかたちで記し、地域ビジネスとファンドなどの金融整備策ばかりが強調されている。これはビジネス振興策であって個人の公共心の育成と社会貢献活動促進という理念実現の手段として整合しない(0点/20点)。菅政権マニフェストは、民が担う公共、民間非営利セクターや市民参加に関する記述が殆どない。むしろ、NPO税制の見直しをもって既に達成した事項として扱っているようにみえる。前政権が掲げた政府案には円卓会議メンバーのみならずメディアや市民からも批判が出ているが、吟味もせず成長戦略に丸写ししている。これでは国民からの信頼を得てリーダーシップを発揮できるとは言いがたい(0点/20点)。

 

 実質要件についても前述の第1、第2、第3の領域を念頭に評価してゆく。
まず、課題認識の妥当性であるが、第1に、国民の公共心の育成を政策課題として捉えたことの妥当性は高く、また画期的である。自助・公助・共助の基礎をなすのは、国民ひとりひとりの公共心であり、これが育たないといかなる制度を導入しても機能しない可能性があるからだ。第2の「雇用、生活困窮、ODA」など、NPO、NGOに比較優位がある分野に焦点をあてるというアプローチも適当ではないかと思われる。ただしなぜこの分野であるのかその説明が今ひとつ不明瞭である。第3の制度にかかる点については、公益法人制度について公的認定の対象と行政委託の見直しの対象を区分したという点でプラスに評価できる。ただし、NPO法や認定制度の見直しについては相変わらず要件緩和が述べられており実態を踏まえているとは言いがたい。(14点/20点)
課題解決の妥当性であるが、第1の教育については、義務教育における「公共科目」の導入、中・高でのボランティア、大学でのインターンの導入などで学校教育を手段と用いたことは、政府が行う策としては妥当ではないかと思われる。第2の点については、ホームレス問題などで先駆的な蓄積があるNPOを政策手段に据えることは適当である。ただし、雇用におけるNPOの活用については不明確である。第3の、公益法人制度については、その対象を行政補完型と民間型に区分したという点は適当である。が、要件緩和を基にしたNPO法制度の改正の方向はNPOセクターの質をさらに悪化させる可能性が高い。(12点/20点)「民が担う公共」について明らかに何らかの考えを有していることをマニフェストから読み取れるが、谷垣総裁自身からは明確なメッセージが提示されていない。(3点/20点)

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