Payday Loans
   
「未来選択」は言論NPOが運営するマニフェスト評価専門サイトです。
【メイトになると最新情報】がメールで届きます。
言論NPO

 

2012年衆院選対応「未来選択」新サイトオープン

 2012年衆院選対応の「未来選択」はこちらに移動しました

言論NPOとは

日本のメディアや言論のあり方に疑問を感じた多くの有識者が、日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい非営利のメディア、言論の舞台をつくろうと活動を始めた認定NPO法人です。
⇒詳細はこちら

▼参加したい方はこちら


▼言論NPOのツイートはこちら

▼お問い合わせはこちら

2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(公務員制度改革) 印刷 Eメール

argaiv1825

 

 

項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  2  2
目標設定(10点)  1  3
達成時期(8点)  1  2
財源(7点)  1  2
工程・政策手段(5点)  1  2
合計(40点)  6 11
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)  2 8
課題解決の妥当性(20点)  4 7
指導性と責任(20点)  2 8
合計(60点)  8 24
合計(100点)   14点  35点

 

<評価の視点>

 行政改革・公務員制度改革の評価の視点を考える前提として、国・地方の巨額の財政赤字、人口減少社会への移行、グローバリズムとアジア経済の発展といった大きな環境変化に対し、行政運営の漸進的な改善ではなく、行政の基本、構造の「改革」として、どのような課題を取り上げているかが重要である。
行政改革は(公務員制度改革はその一部である)、通常の管理の仕組みでは問題解決ができず、国民の批判を受け政治のリーダーシップが求められるもので、これまでの延長ではなく「質的改変」を追求するものである。今、国民には、膨大であるが十分機能しない国・地方の行政システム、優遇されているのにもかかわらず全体の奉仕者とは思えない公務員、「改革、改革」と言ってきたが本当に進めているのか疑問な政治、への批判がある。
特に、第一に、国・地方の二重行政となっている国の出先機関と都道府県制を地方分権・道州制等により改革する問題がある。第二に、公務員の高給与と省庁セクショナリズムを見直し、オープンで能力主義に基づく国民に信頼される人事行政に改革する問題がある。第三に、郵政民営化や道路公団改革のように、国民的論議を経て進められた大きな改革が逆行しつつあり、これらへの取り組みの問題である。
行政改革には他にも問題はあるが、これらの点を中心にマニフェストの評価をしていくこととする。

<評価委員の解説>

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 14点 (形式要件6点、実質要件8点)
自民党マニフェスト評価
合計 35点 (形式要件11点、実質要件24点)
【形式要件についての評価】 6点/40点 【形式要件についての評価】 11点/40点

 行政改革・公務員制度改革の理念や目的としては、「ムダづかいと天下りの根絶」が掲げられているが、政権獲得の前回の衆議院選挙のマニフェストで強調されていた「脱官僚」は今回のマニフェストでは掲げられていない。
目標設定などについては、前回のマニフェストで「ムダづかいと天下りの根絶」による「総予算の全面的な組み替え」で「新たな政策の財源を生み出す」としていたが、今回のマニフェストでは「または収入増によって」とされ、「消費税を含む税制の抜本改革」を提起している。
前回のマニフェストでは「全廃を含めて抜本的見直し」とされていた独立行政法人等も「廃止を含めた改革に取り組む」とされている。
国家公務員の総人件費2割削減は引き続き掲げられているが、前回のマニフェストで示されていた平成25年度までのタイムスケジュールが生きているのか明確ではなく、「政治家、幹部職員などが率先し」とされるに止まっている。前回のマニフェストでは「労使交渉を通じた給与改定(公務員制度改革後)などにより」とされていたが、公務員制度改革による労働基本権見直しについては、新マニフェストでは取り上げられていない。
同じく総人件費2割削減にも関連して行うこととされていた国の出先機関の整理については、前回のマニフェストでは「国の出先機関は原則廃止する」とされていたが、新マニフェストでは掲げられていない。
天下りも各省の再就職斡旋禁止は実施済として、定年まで雇用できる環境の整備を含め新たな対策は取り上げられていない。幹部職員人事については、「実質的な降格を可能にするとともに、民間登用を進める」とあるだけで、新幹部人事制度や人事行政体制の改革についての言及はない。
このように、前回のマニフェストによる衆議院選挙で民主党は政権を得たが、実現困難な達成目標については、今回のマニフェストで大きく変更するか、明記することを避けており、このような場合、形式要件の評価は、特に政権党の場合は前回のマニフェストの差異を中心に厳しい評価をせざるを得ない。

 「政治・行政への信頼を取り返します」と表題に掲げているほかは、理念や目的はほとんど書かれていない。
個別の目標設定、達成時期などについては、総人件費改革で平成17年に設定した国家公務員の2割81,000人の純減のほか、給与引き下げ、道州制に合わせた国の出先機関廃止などによる総人件費2割削減を掲げている。地方公務員については、地方行革で総人件費2割削減を掲げている。また、中央省庁改革で「行政改革推進庁」の設置を掲げている。
公務員制度改革には、再就職のあっせん禁止や働き掛け禁止に刑事罰を導入すべきとしている。また、平成21年に自公政権で提出して国家公務員法改定を推進するほか、幹部候補公務員の一括採用を検討措置するとしている。なお、通常国会でみんなの党と共同提案した幹部公務員の特別職化は入っておらず、むしろ、幹部公務員人事の恣意的乱用の禁止を掲げている。
郵政民営化は「推進」するとし、ただしサービス水準、利便性の維持向上が強調されている。道路公団改革については、「国民に約束した国の基幹ネットワークを含む道路網の整備」に重点が置かれている。その他、独立行政法人、公益法人などの改革については、既定の方針、またはその延長の方針が多い。
   
【実質要件についての評価】 8点/60点 【実質要件についての評価】 24点/60点

 実質要件、すなわち課題の抽出や解決の妥当性などの評価も、政権党の場合は前回のマニフェストとの関係が中心にならざるを得ず、しかも「大きな変更、若しくは明記せず」は、明らかに「後退、消極」ということであって、政権党の場合はこの間の努力のいかんに関わらず、政治的に責任を負うべき問題である。
一般の世の中であれば、できもしないことをできるかのように言って、人に何かをさせることを「詐欺的行為」と言うが、この行政改革・公務員制度改革の分野では、国民の中にある「役人嫌い」の気分をあおった公務員叩きの政治ショーの中で詐欺的行為を行なったのが前回のマニフェストだったと言える。したがって、今回のマニフェストの実質要件の評価としては、まず前回のマニフェストの詐欺的行為をどのように政治的に責任をとるのかということであるが、何ら言及はなく、説明責任さえ果たされていない。
前回のマニフェストからの「後退・消極」という中で、いわんや道州制や都道府県制の見直しに踏み込んだ本格的な地方行政改革は取り上げられておらず、また国家公務員制度改革基本法制定の際民主党との修正協議で幹部公務員の一括採用が削除されたが、今回も省庁セクショナリズムを無くす一括採用に踏み切っていない。
さらに、郵政民営化見直し法案は、「官から民へ」の時代の流れに逆行する国営化法案、親方日の丸で膨大な国民負担を生じた過去を忘れた無責任法案であるが、国民新党を慮って、「時期国会で速やかな成立を」、としている。また、高速道路の原則無料化も「段階的に」ではあるが維持しており、受益者負担の原則を無視した、さらには「コンクリートから人へ」の大方針にも反する高速道路の建設促進という、実質的に道路公団復活の政策をとっている。

 課題の抽出及びその解決策については次の通り。
総人件費2割削減を掲げているが、「中小企業の実情を踏まえて公務員給与の引き下げ」、「道州-自治体との重複排除による国の出先機関の廃止」等によるとしている。公務員給与の引き下げについては、人事院勧告制度の枠内では微調整に止まり、この際、国家公務員制度改革基本法に基づく労働基本権の見直しを行い、協約締結権を組合に付与し、労使交渉により給与引き下げを行うべきであるが、労働基本権の見直しはマニフェストに掲げられていない。国の出先機関の廃止については、「道州制の導入に合わせて、地方出先機関の一元化等を推進」と先送り、矮小化しているが、道州制導入前においても、国・地方の二重行政解消のため、国の出先機関を整理すべき部分はあり、国が率先して実施することが道州制の実現にもつながる。
このように、肝心なところで腰が引けたマニフェストになっており、郵政民営化や道路公団改革でも党内に反対する人がいることから、改革を進めるのか、逆行させるのか曖昧なものとなっている。一方で、公務員を「叩く」ことが改革と思っている節があり、民間では否定されているものではない再就職あっせんを、公務員の場合は禁止とするのに罰則まで設けるというのは行き過ぎであり、このような点が他にも見られるが、幹部候補公務員の一括採用は、基本法案では提案しながら今回は「検討」と、やはり肝心なところは腰が引けている。

⇒「行政改革・公務員制度改革」分野の実績評価を見る