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2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(年金) 印刷 Eメール

argaiv1349

 

 

項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  0  0
目標設定(10点)  0  3
達成時期(8点)  4  0
財源(7点)  0  5
工程・政策手段(5点)  3  0
合計(40点)  7 8
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)  5 5
課題解決の妥当性(20点)  5 5
指導性と責任(20点)  0 0
合計(60点)  10 10
合計(100点)   17点  18点

 

<評価の視点>

 評価の視点の第1は、年金財政の中長期的な持続可能性確保である。少子高齢化が進行するもと、賦課方式を基本とする年金財政を持続可能なものとすることは、必要不可欠かつ緊急性の高い課題である。2004年には、こうした認識を背景に、年金給付抑制の仕組みであるマクロ経済スライド導入、基礎年金の国庫負担割合の3分の1から2分の1への引き上げなどを柱とする年金改正が行われた。しかしながら、マクロ経済スライドは、継続的な賃金と物価上昇があってはじめて機能するという制度的欠陥を抱えているため、いまだ機能していない。約2.5兆円を要する基礎年金の国庫負担割合の引き上げ財源も、10年までは埋蔵金で賄われているものの、11年度以降のメドは立っていない。
第2は、制度体系を、今日の雇用環境、世帯形態などに合ったものへと作り変えることである。わが国の年金制度は、「モデル夫婦世帯」を前提としているが、もはや必ずしも一般的な世帯形態とは言えない。あるいは、もともと自営業者と農林漁業者のために1961年に発足した国民年金制度は、雇用形態の変化などを背景に、今日では、厚生年金に加入出来ない雇用者のいわば掃きだまりとなっている。さらに、現在、全国民共通に給付される「基礎年金」があるものの、満額でも生活保護に見劣りするなど「基礎」とは名ばかりとなっている。
第3は、適正な執行である。国民年金保険料の納付率が60%台に低迷していることや、消えた年金記録5,000万件に象徴されるように記録管理に深刻な問題があったことは広く知られている。そのほかにも、総務省が2006年に指摘したように、本来適用されるべき厚生年金適用対象企業のうち約3割が未適用であるなど、年金行政のいたる点において、執行上の不備がある。こうした執行を適正化していくことも極めて重要な課題である。

<評価委員の解説>

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 17点 (形式要件7点、実質要件10点)
自民党マニフェスト評価
合計 18点 (形式要件8点、実質要件10点)
【形式要件についての評価】 7点/40点 【形式要件についての評価】 8点/40点

 菅新政権となり、新たに第3の道の構成要素として「強い社会保障」という理念が前面に提示された。その前段となる現状認識は、菅政権のいうところの第1と第2の道の否定にある。もっとも、第1と第2の道という認識自体に、曖昧さがあり、「強い社会保障」という理念をより一層分かりにくいものとしている。まず、第1の道では、公共事業が財政赤字を積み上げたという認識が示されているが、一般会計の一般歳出の過半は社会保障である。第2の道は、過度な競争が批判されているが、むしろわが国は、競争が行われてこなかったからこそ、経済が弱くなっているのではないだろうか。
加えて、このように、政策の礎となる理念自体が分かりにくいため、それに基づいて展開されるべき個別政策との関連性も見えない。年金に関して、マニフェストでは、前回同様、年金記録問題、保険料流用禁止、年金制度一元化、7万円の最低保障年金などが列挙されているが、「強い社会保障」とこれらがどうつながるのかが全く語られていない。これこそが、このマニフェストの根源的な欠陥であろう。時期、財源、工程などはもとより殆んど記載がなく評価困難である。

 年金に関しては、「満額の基礎年金を受けることができる措置」という大見出しのもと、細かな施策が列挙されるスタイルである。これらは、麻生太郎政権の「安心社会実現会議」における施策を継承しており、新たな政策が加わった形跡はない。
満額の基礎年金を受け取ることができるようにするという政策は、現在の基礎年金の欠陥を補うものとして、方向性としては妥当である。欠陥とは、40年間加入してようやく満額給付されること、保険料免除を受けるとその期間に対応する給付は減額されること、(未だ機能していないが、機能したのであれば)マクロ経済スライドにより給付水準が低下していくことなどがある。
もっとも、マニフェストにおいて理念が欠如している感は拭えない。自民党は一体、どのような制度を作りたいのであろうか。こうした理念が欠如する一方、施策に関する記述は、技術的用語も含まれ、マニフェストのみからは分かりにくい。例えば、「新たな基準による物価スライドを創設」とは、何を意味するのか、一般の国民には分からないであろう。


 

   
【実質要件についての評価】 10点/60点 【実質要件についての評価】 10点/60点
 第1の評価の視点である年金財政の中長期的持続可能性に関して、マニフェストは全く言及していない。いかなる制度であろうと、この課題は避けて通ることが出来ない。欠陥のあるマクロ経済スライドを手直しして給付抑制を図るのか、あるいは、支給開始年齢引き上げなどを行うのか、何れにしても、国民の耳に痛いことを真摯に語りかける政治が不可欠である。基礎年金の国庫負担割合引き上げの財源に関しても何ら触れていない。これなくして、年金財政など持続可能なものとはならない。よって、この点においてマニフェストは全く評価出来ない。
第2の制度体系の改革である。民主党はかねてよりこの点に力点を置いてきており、制度を抜本的に作りかえるというスタンス自体は、自公政権との比較においても、評価される。もっとも、今回のマニフェストは、前回マニフェストより情報量において後退しており、この間、政府に検討会が設けられたにもかかわらず、実質的には何も議論されてこなかったことが如実に表れている。但し、うがってみれば、検討したが故の情報量の後退とみえなくもない。なぜならば、民主党の提唱するスウェーデン方式には、主に実現可能性の観点から疑問が投げかけられていたためである。であるとしても、そうした検討過程が説明されるべきであろう。
第3の執行に関し、歳入庁設置が説明もなく抜け落ちている。前回マニフェストでは、社会保険庁を廃止して国税庁に統合するとしていた。歳入庁は、執行の強化、所得捕捉の改善、行政コスト抑制などに資するものとして期待されていたはずである。

 

 第1の評価の視点である年金財政の中長期的持続可能性に関して、マニフェストは言及していない。04年の年金改正は、民主党の項において述べたように、マクロ経済スライドが機能していないなど欠陥があり、改正時の与党であった自民党には、とりわけこの点への言及が必要である。この点においてマニフェストは全く評価出来ない。民主党に対する評価とほぼ同じである。
第2の制度体系の改革である。自民党は、制度体系を作り変える必要はないというスタンスを従来からとり続けており、今回のマニフェストでもそれが踏襲されている。基礎年金の満額受給に焦点が絞られていることからもそれがうかがわれる。
しかしながら、現行の制度体系は少なからぬ問題を抱え、かつ、諸問題の根本的な解決は現行の制度体系のままでは困難である。例えば、国民年金への加入を余儀なくされている被用者の問題、第3号被保険者問題、国民年金保険料納付率の低迷などにどのように対応するのかなど極めて重要な課題についての記述が全くない。
加えて、掲げられている施策にも問題が少なくない。例えば、受給資格要件となる期間の25年から10年への短縮を行えば、むしろ低年金を招いたり、未納を誘発したりする懸念がある。あるいは、保険料減免者への基礎年金満額給付案についても、そもそも社会保険料方式による基礎年金が妥当なのかどうかという点が議論の起点となるべきであろう。
第3の執行に関し、年金記録問題と社会保障番号に取組むとあるだけである。民主党が野党であった頃のような挑戦的な意気込みを感じることは出来ない。

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