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2010年参議院議員選挙 マニフェスト評価(政治とカネ) 印刷 Eメール

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項目 民主党 自民党
形式要件
(40点)
理念(10点)  5  0
目標設定(10点)  4  2
達成時期(8点)  0  0
財源(7点)  0  0
工程・政策手段(5点)  1  0
合計(40点)  10  2
実質要件
(60点)
体系性・課題抽出の妥当性(20点)  3 0
課題解決の妥当性(20点)  3 5
指導性と責任(20点)  3 2
合計(60点)  9 7
合計(100点)   19点  9点

 

<評価の視点>

  「政治とカネ」の問題は、政党の組織構造が脆弱で、政治家が個人後援会をベースに活動を行っていることにその構造的な原因がある。94年の政治改革関連法案成立によって「政党本位」の政治を目指す改革が行われたが、政党の財務基盤が脆弱であるために政治家は依然として政治資金を自前で賄う傾向があり、不明瞭な政治資金の問題は現在も後を絶たない。
政治資金の透明性に関する問題はまず、政治家が「資金管理団体・政党支部・その他政治団体」の3種類のサイフを使い分けることにより、資金の流れが非常に見えにくくなっていることにある。政治家個人への企業・団体献金は99年の政治資金規正法改正により禁止されているが、政治家が代表を務める政党支部が企業・団体献金の「抜け道」の役割を果たしている。また、2007年12月の政治資金規正法改正により、政治資金の支出面については「人件費を除く経常経費について1円以上の支出に対して領収書を徴収」することが義務付けられたが、対象となるのは政治家の指定する「国会議員関係団体」のみである。
民主党は、政治とカネをめぐる課題に対して、「企業・団体献金の全面的禁止」と「個人献金の普及促進」を含む政治資金規正法改正案を衆議院に提出している。しかし、小沢氏の事件では個人が政治団体に対して献金したかのように装って実際は企業がその資金を補てんしていたことが問題となったのであり、鳩山氏の「故人献金」問題では、個人の名義を利用した個人献金の偽装が問題となった。これらの事件は単に企業・団体献金を廃止して個人献金を促進するだけではこの問題の根本的解決につながらないことを示唆している。これまでのような対処療法でなく、いわば「民主主義のコスト」の問題をシステム全体として見直さなければならない段階にきている。
ここでは、①政党本位の党改革を実行しようとしているか、②政治資金の収支の透明性を改善しようとしているかという二つの観点から評価を行う。

<参院選マニフェストの読み方について>
 

 岩井奉信氏 (日本大学法学部教授)
 聞き手:工藤泰志(言論NPO代表)

 

工藤: 岩井先生、こんにちは。今回、「政治とカネ」の評価を岩井先生に協力していただきました。「政治とカネ」の問題については、鳩山政権が退陣することになった大きな理由の一つですが、これに関する評価が、民主党、自民党のマニフェスト評価において、非常に低くてどちらも10点台、自民党はさらに低いのですが、ここまで低くなった原因というのは、一体何なのでしょうか。

 岩井: ひとつは、今回の鳩山政権退陣の原因を探っていくと、「政治とカネ」の問題に行きつきます。また、小沢さんの政治とカネの問題もありました。そういった面では、政治を揺るがす大きな問題となった割には、民主党のマニフェストも、自民党のマニフェストも、それをきちっと解決していくという方策が、明らかにされていなかったので、評価が低くなりました。


⇒全文はこちら

 

<評価結果>
民主党マニフェスト評価
合計 19点 (形式要件10点、実質要件9点)
自民党マニフェスト評価
合計 9点 (形式要件2点、実質要件7点)
【形式要件についての評価】 10点/40点 【形式要件についての評価】 2点/40点

 冒頭において「政治とカネ」の度重なる問題を率直に詫び、これまでの問題を重く受け止めている姿勢を見せている。また、「とことんクリーンな民主党へ」というかたちで曖昧ながらも理念を掲げている。(5/10点)また、「お金のかからない、クリーンな政治を実現します」として、「国民の信頼を取り戻す」ことを目的に挙げている。(4/10点)
具体的施策として「企業・団体献金の禁止」のほか、「国会議員関係政治団体の収支報告書の連結」、「日本版選挙委員会の設置」等を掲げた点については、網羅できているわけではないものの、以前よりは前進している。しかしこれらについては具体性が乏しく、達成時期や財源については全く記載されていない。(0/8点、0/7点)政治資金の透明性向上についてのみ、「国会議員関係政治団体」の収支報告書の連結、総務省への一元的提出、外部監査・インターネット公表の義務付けという政策手段が描かれているが、全ての政策について、実現のためのロードマップは明記されていない。(1/5点)

 マニフェストでは、政治資金問題は「政治・行政への信頼を取り戻します」という大項目の中に記載しているが、政策の理念は描かれていない。(0点/2点)「政治家が違法行為を秘書に責任転嫁し逃れること」を防ぐために政治家の監督責任を強化し、「幅広く国民の支援を求めるため」税制上の優遇措置など個人献金がしやすい仕組みを構築するなど、漠然とではあるが目標設定はなされている。(2点/10点)しかし、掲げられている政治家の監督責任の強化、政治資金の透明性確保についても具体性はなく、いかにしてこれを実現するのかは全く描かれていない。(0点/8点、0点/7点、0点/5点)
「政治とカネ」の問題は、現政権の信頼を大きく揺るがした政界全体の問題であり、野党の自民党としても与党側に問題が起こるたびに強く批判してきた。にもかかわらず、その課題に対して自らが打ち出す政策は、どのような現状、課題認識の下、何をいつまでにどのように解決するのかという政策体系として成立していない。形式的な評価は極めて低くなる。
 

   
【実質要件についての評価】 9点/60点 【実質要件についての評価】 7点/60点

【体系性・課題抽出の妥当性 3点/20点】
政治資金問題はマニフェストの「政治改革」の中に位置づけられており、「ムダづかい」に位置付けられていた前回のマニフェストと比較すると、政治の在り方全体の中で見直す性が確認できる。ただし、「民主主義のコストをどう負担していくか」という、システム全体として政治とカネの在り方を抜本的に見直す視点に乏しく、個別政策は網羅的ではなく、体系性は不十分である。また、以前のマニフェストと同様、鳩山由紀夫前首相や小沢一郎前幹事長の政治資金問題の原因を主として企業団体献金の問題に矮小化している。
【課題解決の妥当性 3点/20点」
「企業団体献金の禁止」では、鳩山由紀夫前首相や小沢一郎前幹事長の政治資金問題の解決にはならず、政治とカネをめぐる根本的な解決につながらない。「国会議員関係政治団体」の収支報告書の連結や、独立型の日本版選挙委員会の設置といった施策は、「政治資金の透明性向上」の観点からは妥当性が高いものの、その具体的内容は不十分である。
【指導性と責任 3点/20点】
「とことんクリーンな民主党へ」というスローガンをマニフェストの冒頭に掲げるなど、民主党がこの課題について積極的に取り組む決意のほどはわかる。ただ、並べられている政策の記述はあいまいで具体的を欠いている。そもそも、鳩山前首相、小沢前幹事長の説明責任が果たされない中では、「国民の信頼を取り戻す」ための施策には実効性が薄い。

【体系性・課題抽出の妥当性 0点/20点】
今回「政治とカネ」に関して問題とされていたのは、鳩山前首相や小沢前幹事長の責任という個人の問題を超えて、政治資金の原資をどう調達するのかという政界全体の問題である。しかしながら、自民党のマニフェストでは全271項目の政策うちわずか1項目で簡潔に記載されているだけであり、問題認識が甘すぎると言わざるをえない。政治資金システム全体をいかに設計するかということに関する記載があってしかるべきであるが、それについては全く言及がない。
【課題解決の妥当性 5点/20点】
「政治資金の透明性向上」という視点自体は妥当だが、それを実現するための具体的な手法についてはなんら描かれていない。「政党の機関紙・紙の購読料・広告料収入の透明化や労働組合の政治活動における政治資金収支の透明化を図ります」としているが、これでは問われている課題のうち、労働組合の違法献金事件等ごく一部しか対応できず、課題解決の妥当性の観点からも不十分である。
【指導性と責任 2点/20点】
「政治とカネ」の問題は自民党政権時代から現在の民主党政権時代にいたるまで、常に大きな問題になっており、自民党としても積極的に課題解決の姿勢を示すべきである。にもかかわらず、マニフェストの中身は非常に量的にも質的にも不十分であり、政治の信頼を回復させるために責任を果たそうとする姿勢は見られない。

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