Payday Loans
   
「未来選択」は言論NPOが運営するマニフェスト評価専門サイトです。
【メイトになると最新情報】がメールで届きます。
言論NPO

 

2012年衆院選対応「未来選択」新サイトオープン

 2012年衆院選対応の「未来選択」はこちらに移動しました

言論NPOとは

日本のメディアや言論のあり方に疑問を感じた多くの有識者が、日本の主要課題に対して建設的な議論や対案を提案できる新しい非営利のメディア、言論の舞台をつくろうと活動を始めた認定NPO法人です。
⇒詳細はこちら

▼参加したい方はこちら


▼言論NPOのツイートはこちら

▼お問い合わせはこちら

参院選マニフェストの読み方について(地方) 印刷 Eメール

増田寛也
(野村総合研究所顧問)
1977年東京大学法学部卒業後、建設省(現国土交通省)入省。千葉県警察本部交通部交通指導課長、茨城県企画部交通産業立地課長、河川局河川総務課企画官、建設経済局建設行課紛争調整官を歴任。建設省退官後、95年岩手県知事に当選。その後3期12年務める。07年より総務大臣を歴任後、09年より現職。

  

argaiv1349

工藤: 増田さん、こんにちは。今回増田さんにはマニフェスト評価にご協力いただいてきましたが、地方の分野が非常に低い点数になりました。民主党、自民党ともに、10点、20点と、とても低かったのですが、こうなってしまった理由を教えていただけますか。

増田:  鳩山政権のときは、「一丁目一番地」と言っていましたよね。一番やりたいことだと言っていたのですが、今回のマニフェストでは、10項目のうちの9番目に地域主権が書いてあり、その中身がわずか3項目なんです。もちろん、なんでもかんでも書いてあれば良いわけではないのですが、「一丁目一番地」が9番目なのか、という疑問があります。中身につきましても、いわゆるひも付き補助金を一括補助金化するということが一つの目玉としてありますが、あとは地方の負担金を廃止しますとか、公園に関する基準を、身近な自治体が決められるようにするといっています。自民党のときもずいぶんいろいろ言われて、やろうとしていた話ではあります。ただ、中身は申し訳程度ですね。

工藤: 地域主権、これはすごい言葉ですよね。

増田: そもそも、菅さんが全面に出ているマニフェストですが、所信表面演説では、各論については何も触れていませんでした。鳩山さんのときには、「一丁目一番地」のほかに、「地域主権革命時代が来た」というように「革命」という言葉を使ってその高揚感を示していましたし、各論についても事細かに述べていました。もちろん、書けばいいというものではありませんが、所信表明演説の書きぶりからしても、今回は全く異なっていると言えます。そして、総論から各論へ進む時代が来たといいつつ、特区の制度の話に繋げてしまい、地方分権の道筋からはずれ、特区制度を活用していこうとしています。まるで政権が変わってしまったのかと思わされました。菅内閣においては、今見ている限りですが、地域主権に関してはあまり大きなことが行われないなという感じがします。

工藤: 自民党はどうでしょうか。

増田: 自民党は今度のマニフェストに、地方分権についても色々書いてありますが、政権についていたときにあまり進められなかったことです。書いてあることのうち、地方自由財源の充実や、道州制のことも書いてありますが、結局自民党の中では党内の抵抗感があって進められなかったという反省があるにも関わらず、その点につきどのように克服していくのかについて書かれていません。やりたいことの羅列であって、どのように達成させるのか。自民党の場合には、色々やると言ってきたのにできなかったという実績があります。ですから、そこの点について、こうやって変えていくのだということの記述がないと、まゆつばですか、ということになりかねません。やはり全体として、地方分権・地域主権の比重がぐっと軽くなったというのは間違いありません。

工藤: 本来、この地域主権・地方分権の分野で、日本の政党は何を語らなければならないのでしょうか。国民は、どのような基準で判断すればよいのでしょうか。

増田: 自治体の自由度を高めるということがよく言われますが、結局それによって何がもたらされるのか。地域はどうやって豊かになっていくのか、ということをきちっと示す必要があります。結局、自治体の首長の権限が拡大しても根本的ではなく、住民の権限や関心能力が高まるということがなければいけないのです。この点について、政治家がきちんと語り、実現させていかなければ、この地域主権というのは実現できません。「地方分権は民主主義の学校だ」とよく言われますが、地方分権を語るということはすなわち、民主主義を語るということになります。ひいては、国がやるべきビジョンということに繋がってくると思います。外交安全保障が今問題になってきますが、そのような問題につながっていきます。たとえば、沖縄の基地をどうするのかという問題については、外交安全保障の文脈から説いていくというやり方もあるのですが、どこに造るのかという問題に関しては地方の、地域の合意を取り、地域の中でどのように進めていくのかという問題です。これは民主主義のプロセスそのものでありますから、政策一つをとっても、農業政策であれ社会保障政策であれ、それらを決めていくプロセスに地域の声をどのようにくみ取っていくのか、地域住民の主体的な参加をどう促していくのか、という話になります。私は、政治家がそういった大きな国家像を具体化する際には、どうしても地域主権の問題にかかっていかなければならないので、政策そのものの作り方を、民主党・自民党がどこまで住民起点に立って作れるのかが問われています。マニフェストを作るにあたって、どの程度地域の人たちと議論をして作ったのか、ということも重要です。しかし、自民党もやってきなかったし、民主党も数人の議員で作り上げたものです。残念ながら、地方分権の項目ですら、中央でこれだけの項目に絞ってしまった。マニフェストという国民に約束するものについて、一部の特権階級だけが作っているというのは、イギリスのマニフェストとは全く違うものです。イギリスのマニフェストというのは、2年ほどの歳月をかけ、いろんな人と議論し、侃侃諤諤の議論を党内でやるからこそ、出来上がったときには地方の政策についても、いきなりダムを止めるぞといっても、ある程度は実行可能なものとなるわけです。マニフェストの作り方自体が全然違うという現段階においては、なかなかこの分野については進まないと思います。

工藤: なるほど。今の話をまとめますと、分権というのは往々にして、地方の首長に霞が関の権限・財源をどれだけ移譲するかという争いに終始しがちである今、それだけではなく「住民」という視点に立って発言している政治家のほうが地方分権を考えていると判断すべきである、ということですね。

増田: 従来は霞が関の改革にばかり焦点が当てられていましたが、永田町改革も行われなければならない。本当に地域のことを考える永田町の国会議員は、率先して地方の議員になっていくことが必要です。

工藤: 国会議員の定数を減らすという議論もありますが、そういう時にこそ地方にいくべきだと。

増田: そうですね、自ら身を呈して地方議員になって、地方のために汗をかくような制度設計を実現して、住民との対話の中で地方分権を行っていかなければなりません。本質的には、永田町改革を行い、そして住民自治をどこまで政治家が実現させていくのか。本質はそこだと思います。

工藤: そういう視点で有権者は地方自治問題をよく判断しなければいけないという話ですね。本日は、どうもありがとうございました。

 

参院選マニフェストの読み方について
(地方)

増田寛也氏 (野村総合研究所顧問)
聞き手:工藤泰志(言論NPO代表)