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参院選マニフェストの読み方について(経済) 印刷 Eメール

湯元健治
(日本総合研究所調査部長)
1957年福井県生まれ。京都大学経済学部卒業後、 92年日本総合研究所調査部主任研究員、98年経済戦略会議事務局主任調査官、2002年日本総合研究所調査部経済・社会政策研究センター所長兼主席研究員、調査部長兼チーフエコノミスト、内閣府大臣官房審議官 (経済財政分析担当)を経て、09年より現職。『税制改革のグランドデザイン』(編著、生産性出版、03年)など。

  

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工藤: 湯元さんどうもこんにちは。今回の言論NPO のマニフェスト評価と実績評価では、湯元さんには経済分野をご協力いただきました。どうもありがとうございました。まず、今回の経済政策の評価では民主党がかなり厳しくて自民党は相対的に高かったのですが、どうしてそのような判断をしたのかをお伺いしたいと思います。次に、民主党が低かった理由はどういうところだったんでしょうか。

湯元: 今回の民主党のマニフェストは、まず前回のマニフェストから比べるとかなり大幅な修正がなされています。にもかかわらず、その修正の理由がしっかりと説明されていないということが民主党の点数が低かった最大の理由です。具体的に申しますと、民主党のマニフェストは「コンクリートから人へ」ということで公共事業を削減する一方で、より社会保障分野にお金をつぎ込んで行こうというものでありました。その最たるものが子ども手当ということだったわけです。ただ、そもそも論として、民主党のマニフェストに書かれた政策は総額で16.8兆円。今年度だけでも7.1兆円やる予定だったわけですが、財源がないということで、結果的に半分の3.6兆円しか実行できなかった。で、この財源は当然無駄の見直しあるいは予算の組み替えによって捻出していくと前回のマニフェストに高らかに謳ってあったのですが、今回それが半分もできていなかったという状況です。
 そういう状況の中で、また来年度予算を組まないといけない。こういう状況に直面して、基本的には民主党のマニフェストの中身もかなり大幅に縮小する内容になってきましたし、それから財政再建という目標がなかったという批判に対して財政再建目標をしっかり定めたわけで、それに対してはやはり歳出をこれまでよりも増やしながら財政再建をするということは、消費税を含めた税制の抜本改革なしに財政再建を進めていくことは出来ない。ということで、これは本来マニフェストの中に民主党が消費税の引き上げを明確に盛り込んで具体的にどういう分野に使っていくのか、民主党がやろうとしている政策に充てていく、あるいはこれまでの社会保障の足りない分に充てていく。それをマニフェストの中に具体的に示していくべきでした。しかし、それが一切書かれていないのに、菅総理が記者会見の中で「超党派で消費税の引き上げを議論しよう」という程度にとどまっている。ここに政権与党としての責任性の欠如というものが感じられる、ということで点数を低くせざるを得なかったということです。

工藤: わかりました。自民党は、相対的にですが高めだったんですよ。この理由はどこでしょうか。

湯元: 自民党の方は「消費税を10%引き上げる」という数字をしっかりと言ったということと、具体的にその10%の中身をこれまでの社会保障で財源が不足している部分とこれから自然増や社会保障の内容機能を強化していく分、それから、例えば基礎年金の国庫負担の2分の1への引き上げ分。こういったものに充てていくという具体的な使途について、金額をあげて明示をしているという意味で、民主党とは対照的に具体化、明確化されている。ここが評価を相対的にあげた要因です。

工藤: すると今回の参議院選挙では、消費税を上げるという問題が一つの大きな争点になってきているんですが、この問題についてはどういう風にお考えですか。

湯元: 先進国の中でも最大規模の財政赤字を抱え、なおかつ少子高齢化が進行して将来ともに人口減少が続く日本が財政再建を果たしながら安心できる社会保障を構築して行こうとすれば、どの政党が政権を担ったとしても、消費税を上げなくてはいけないということはもう自明の理です。問われるべきはその消費税をどれくらい上げるのか。10%で本当に足りるのか。例えば15%まで上げるならば一体どういう政策に充てていくのか。その具体性こそが、各政党間で問われていくべき問題であろうと思います。

工藤: 日本の政党そこまできちんと検討していないような気がするんですが、どうですか。選挙の時にただそれを打ち上げて、これから検討するというのでは、非常に国民に対して不誠実な感じもするんですが。

湯元: すべての政党が具体的に検討しているわけではないと思いますが、少なくとも自民党は政権与党時代にそういった数字も含めて様々な検討をしてきました。それから新しく出てきたたちあがれ日本なども、自民党の中にいた前財務大臣の与謝野さんが入っていますので、そういった数字も含めた検討は十分していると思います。もちろん考え方として消費税を上げないと明言しているみんなの党みたいなところもあってこれは今の歳出削減の仕方がまだまだ生ぬるく、さらに歳出削減をする余地があると、こういう判断で言っている政党もありますので、もちろんこれは議論の別れるところではあります。しかし、基本的には歳出削減は当然やり続けないといけないと思いますが、数10兆円規模で足りなくなる社会保障の財源を穴埋めできるほどのタームでの歳出削減というのは、完全に限界に突き当たっているということです。

工藤: 民主党はこれに関して、前の総選挙では、「消費税を上げる議論は4年間やらない」ということを言ってましたよね。舵を大きく変えたという風に判断してよろしいんでしょうか。

湯元: これは民主党としての、正式な党としての政策判断の結果こうなったというよりは、菅総理の判断として超党派でこれを議論するという言い方にしてますから、民主党の中でもおそらく議論が賛否まだ別れていて、見解が統一できていない状況でしょう。そういう状況の中での参議院選挙ですから、民主党としてのしっかりした見解をまとめるというのがまず第一で、総理が先頭を走って言っている以上、それに対する説明責任は参議院選挙にて全民主党の政治家の方々が負うべき重要な課題だと思います。

工藤: 最後の質問ですが、ようやく財政再建の課題に取り組むということを各党が出し始めて、具体的な目標設定も出てきました。この目標を有権者側からみて、どういう風に判断して行けばいいのか。投票するときに何を目安にして投票すればいいのかということについてはいかがでしょうか。

湯元: 財政再建の目標は主として自民党と民主党の二大政党が出していて、その内容はほぼ同じです。5年後にプライマリーバランスの赤字を半減させ、10年後に黒字化させるということですが、その具体的手段の一つは、消費税引き上げを含めた税制抜本改革による歳入増。ここは、自民党側は明確に言っているのに対して、民主党サイドは必ずしも幅を明確に言っていません。それからもう一つは、この消費税引き上げだけでも不十分であって、歳出をどこまで抑制できるのかと。これに対しては、実は自民党サイドも今回のマニフェストを見ると、様々な成長戦略系の歳出を増加させる政策が非常にたくさん書かれています。一部にはばらまきに近いようなものも散見される中で、歳出をどこまで抑制していくか。これに対してはコンセンサスがない、あるいは具体的に提示していない状況です。例えば、社会保障分野の歳出は全歳出の5割以上を占めますから、これに対してどう取り組むのかという課題を主として民主党と自民党で見ても、例えば医師の数を倍増する。あるいは診療報酬を大幅に引き上げるといったことが並んでいてですね、これは今の医療の非常に大きな問題解決するには必要なことだという判断だと思いますが、ということであれば一方でその財源をどう確保していくのかと。例えば社会保障分野の歳出削減も全くしないで、歳出だけを増加させていくということなのかどうか。ここら辺の具体策がやっぱり明示されてしかるべきですが、それについてはいまどの政党も具体的に言っていないに等しい。

工藤: そういう話についてきちんと整合性が取れていないとおかしいわけですね。

湯元: 目標は出したけれども、その目標を確実に達成するための具体的な手段というものが明示されていない。例えば、自公政権下の骨太2006では、分野ごとに中期の歳出の上限を定めることが合意されたわけですけども、こういったことが本来どこの政党が政権をとってもそういった歳出を複数年度で中・長期にわたって管理していく手法の導入が検討されてしかるべきです。そうしないとこの目標自体達成することが難しいわけですから、達成手段に対しての明示が全くないということが大きな問題です。

工藤: なるほど、今回の経済面や財政面でかなり各党は政策を出してきているんですが、やはり目標だけでなくてその目標がどう実現するかとか、それぞれの政策が本当に両立するのかとか、そういうことをきちんと見ていかないといけないということですよね。そういうことで私たちもこういう議論をどんどん進めていきますので、皆さんも参考にしていただきたいと思います。今日は日本総研理事の湯元健治さんでした。どうもありがとうございました。

 

参院選マニフェストの読み方について
(経済)

湯元健治氏 (日本総研 理事)
聞き手:工藤泰志(言論NPO代表)