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参院選マニフェストの読み方について(環境) 印刷 Eメール

松下和夫氏
(京都大学大学院地球環境学堂教授)
1948年生まれ。72年から環境庁勤務、また国連地球サミット事務局、地球環境基金部長、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)勤務などを経て、2001年から京都大学大学院教授として地球環境政策を教える。地球環境問題、特に地球環境政策・国際環境協力に深くかかわり、環境行政と政策研究に従事。著書に「環境政策学のすすめ」、「環境ガバナンス」など。

  

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工藤: 松下先生、どうもこんにちは。今日は私たちの環境政策の評価をやっていただいた、京都大学の松下先生に事務所に来ていただきました。
 まず今日聞きたいのは、私たちの評価はどっちも10点台と、自民党も民主党もかなり低い評価となりました。これはどういう理由だったのかということをまず先生から説明していただければと思います。

松下: まず、民主党の場合は、いわゆる外形的要件で環境に関する目標や実施過程、達成期限とかそういうことが書いてなくて、「グリーンイノベーションを下にスマートグリットを進めます」とか、「自然エネルギーの固定価格買取制度を進めます」ということが断片的に書いてあるだけで、いわゆるマニフェスト的な内容の形式要件を整えていなかったことが理由です。

工藤: 政策の体系が見えなくなってきているわけですね。

松下: 次に、自民党ですが、項目としては比較的詳細に書いてありますが、内容的にたとえば税制のグリーン化は今後検討するとか、あるいは排出取引制度は検討するなどすべて先送りで、目標達成時期だとかスケジュールが書いていなかったという点が低評価になった理由です。

工藤: 昨年の衆院選時のマニフェスト評価については、民主党の環境政策はかなり良いというか踏み込んでいましたよね。それがどうしてこういう低評価になったのでしょうか。

松下: 中期目標はきちんと国際的にも評価される内容でしたし、中期目標に基づいてそれを実施するべく地球温暖化対策基本法案を国会に提出しました。その法案がまず衆議院を通過して参議院で結果的に廃案になりました。それをどうするかについて民主党のマニフェストでは触れていません。

工藤: 本当はそれ書かないとだめですよね。それから、例えば中期目標についても、目標は堅持しつつ実行に向かわせるための条件があって、国際的に合意するとか何かちゃんと目に見える形で主要排出国が動かないといけないとか、いろいろありましたよね。ここのあたりはどうでしょうか。

松下: やはり目標自体が条件付きだと、たとえば企業が投資をする際に不確実性がありすぎて、投資の決定がしにくいです。ですから国内でたとえば20%とか15%は削減するための政策立案として、制度設計を進めますということが書いてあれば、それを一応前提として企業も将来の設計ができるようになります。それができないのが問題だと思います。

工藤: ただ一方で排出権取引制度や買取りを含めて、いろいろと不十分だけれども、民主党政権は動かしていましたよね。まだちょっと途中経過ですが、最終的な環境省の案と経産省の案とが一致してないとかあるものの、ここをもっと整理して約束するようにすればいいと思うんですが、逆に骨抜きになってしまいました。なぜでしょうか。

松下: 温暖化対策基本法には一応方向が書いてあって、それを一応検討してきたはずです。菅新政権はそれに対する次のステップを明示するべきだったのですが、マニフェストを見る限り明示されていないので、一体どうなったのか、という印象を受けます。

工藤: 次に、自民党のマニフェスト評価ですが、前の自公政権の目標が民主党政権よりも低いのですが、ただかなり政策としてはいろいろ書き込んできています。自民党のマニフェストを読んで気になっている点というのは、どういうことでしょうか。

松下: やはり民主党が掲げている3つの基本的政策である、環境税、自然エネルギーの固定価格買取制度、国内排出取引制度についてです。それについて自民党のほうも項目は立てているのですが、すべてがよく見ると今後検討するということで時期だとか内容が明示されていません。ですからすべて先送りになっているという点が問題だと思います。

工藤: それが両党とも10点台とかなり低い評価になったっていう原因なわけですね。では、本来日本の政党はこの参院選でこの環境政策に関しては何を有権者に説明すべきなのでしょうか。

松下: 民主党のほうには、強い経済とよい環境、それからより多くの雇用とそれを結びつける、グリーンイノベーションということは一応出ています。それはそれでいいのですが、もう少し具体的に目標を掲げ、対策とスケジュールを明らかにすべきだったと思います。

工藤: ちょっとイメージがわからないのですが、アメリカを含めて海外はかなり具体的な数値目標とその実現手段をかなり描いていると思うのですが、世界と比べて今の日本の環境政策に明確な位置づけとかはあるのでしょうか。

松下: やはり、地球温暖化対策基本法案が出てそれで少しキャッチアップするかと思ったところで廃案になりました。その先が今見えていないというところです。ですからこれで法案ができないとなると、具体的な制度設計が停滞するという恐れはあります。それが一番心配ですね。

工藤: 一方で、今の政権、自民党もそうですが、その目標設定を実現するための道筋については、まだ具体的に国民に説明されていません。そこのあたりはどう考えますか。

松下: 一応、小沢環境大臣の案として中期目標が出ていますが、政府全体としては成長戦略になっていて、エネルギー基本計画なりと、整合的な体系が出されていないとそういう印象があります。

工藤: 民主党政権ができることによって、自民党は、自分たちがやってきたことを否定されたとすれば、本来は、より鮮明なプランを国民に提示しなければいけないという局面ですよね。

松下: 自民党の場合は民主党の案につちえ、あんまり根拠がないという批判をしているのですが、自民党側もそれに対抗する案を出していないというのが現状だと思います。

工藤: すると今度は有権者側から見て、環境政策が今回の参議院選挙でどういう風に選挙演説などで触れられるか、まだ始まったばっかりなのですが、どういうところに注意して自分たちが政党の発言を考えればいいのでしょうか。

松下: 民主党の場合、高い目標を掲げたことはよかったと思います。ただ、それをきちんと達成する道筋が明示されているだろうか、それが雇用に結びつくか、経済の活性化に結びつくか、確実に目標は達成できるかどうか、ということを見ていくべきだと思います。

工藤: 要するに目標とそれを実現するための手段と工程があって、またその実現可能性ですね。それから、ここまで自公、民主党含めて目標について違うわけですから、それに対する違いをもう少し選挙戦では説明してほしいですよね。

松下: 公明党はむしろ民主党よりも明確に25%という目標を出して実施しようということです。ですから、公明党があって民主党があって自民党があるという構図です。

工藤: なるほど。ほかの新しい政党はあまり環境政策っていうのは出していませんよね。だけどやはり地球環境というのは世界的な大きなイッシューですから、やはりここのあたりも各政党がどれくらい本気でやる気なのかということを見ていくことが必要だと思います。

松下: 強い経済というのは一貫としてはグリーンイノベーションです。環境に対する投資や対策を通じて、新しい産業を興して雇用を作ると、それはいい方向だと思います。

工藤: 今の話は、これまでの経済成長にとって、環境対策を行うことは負担だったわけですね。

松下: それを、環境に対して投資することによって経済を活性化しよう雇用を増やそうと、それは正しい方向だと思いますね。

工藤: なるほど。そういったパラダイムが変わっているのにもかかわらず、もっと具体的な目標設定、つまりどういう風形で雇用が増えてといった、具体的な絵姿を示せばいいんですよね。

松下: もちろん消費税も重要なイシューですけど、環境税、それは少し規模は小さいですが、より具体的に環境にもよくて経済にもいい、そういう税制ができるということですね。

工藤: わかりました。今回環境政策については、本当にマニフェストで言及が少なくなったと。虫眼鏡で見ないとわからないぐらいの段階まで来てますが、本当はこれこそが去年の9月の総選挙でも大きな問題でしたよね。だからそういう意味では有権者のほうは政党が自分勝手に目標や政策を矮小化して言っているのではなくて、本音で考えているのかを見抜くことが必要だということですね。

松下: 中期目標を掲げたことは立派だと思います。それをきちんと実現する道筋を明らかにしていただきたい。逃げずにやってほしいと思います。

工藤: どうも今日は京都大学の松下先生に来ていただきました。どうもありがとうございました。

松下: ありがとうございました。

 

 

参院選マニフェストの読み方について
(環境)

松下和夫氏(京都大学大学院地球環境学堂教授)
聞き手:工藤泰志(言論NPO代表)