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9党政調会長にマニフェストを問う「結局、何を約束するのですか」【社民党:阿部知子政策審議会長】 印刷 Eメール
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工藤: 阿部さんこんにちは。僕たちは、有権者がきちんと投票の時に判断ができるように、わかりにくいことをどんどん聞いていきますので、遠慮なくやらせて頂きます。よろしくお願い致します。まずこのマニフェストを私も読んだのですが、一番1つ分からないのは、連立に対する総括が非常に分かりにくい。つまり、少なくとも連立をして、普天間の県外移設も含めて、色々な形で見て、結果として失敗したわけですね。だから連立を離脱した。しかしそれだけでなくて、例えば民主党は16.8兆円を含めた色々な改革がありました。少なくとも民主党の連立したことの総括をして頂いて、今後はどうしていきたいのか、それがちょっと分からないんですね。品質保証役という感じがありますが、結局これはどういうことなのですか。

阿部: はい。まずこのマニフェストの表紙を見て頂きますと、生活再建まっしぐらとなっています。三党連立はなんだったかというと、10テーマ33項目合意というものを作って、これが全然メディアも流してくれないし、伝わっていないのですが、一言でいえば、生活再建を第一とする、という約束なんですね。とにかくその前の自公政権で暮らしがボロボロ、もう底が抜けた、若い人も高齢者も子どもまで貧困、それに対して生活再建を第一に取り組みましょう、というのがそもそも三党連立合意、三党連立政権の意味だったんですね。社民党は離脱はしたけれども、三党連立政権として約束した肝、一番大事なところはこれからもやり続けるぞ、というのがこのマニフェストの中身なんです。
 
工藤: すると三党連立合意のときに、民主党が言っていたのは、民主党の公約から見ると16.8兆円なんですが、子ども手当や高校の無料化とか、色々なことがありましたよね。それを直接支払いでやっていくと。あれが基本的に行き詰ってしまったということに関しては、どう評価しますか。
 
阿部: 民主党のマニフェストと三党連立合意というのは違うものなんですね。例えば子ども手当、民主党は2.6万円と言ったときに、三党の中の私ども社民党は、1万円ないし1万3000円、三党連立合意にはもともと額は入れていないんですね。子どもを応援する、子どもの貧困を解消するのは合意だから、そのために私たちだったら、もっと保育所を作ろうとか、医療や色々な大変なところを援助しようと書いてあって、それは各党別々です。ただ、子どもの貧困を解消しましょうというのが、三党連立合意なんです。そうなると、民主党の2.6万円だと5.4兆円もかかってしまうし、それからお金として渡したときに有効性がありますよね。本当に子どものために使われるような、特に子どもの貧困ということを、やはり異常な事態なんですよ、子どもが貧困ということは。それを解消するには、実は保育園を作った方が、お母さんも働けて、家庭の収入が増えるんです。ではそこにかかるお金は2.何兆円かというとそうではないわけです。だから民主党のやり方だと、お金ばかり先にがばっと出てしまうと。そうではなくて、制度改正、サポートするための制度をどうするか、ということは、社民党の主張だし、それは連立したときも、離脱した今も変わらない。ただし、なにがしかの財源は絶対に必要不可欠だし、そこはものごとの配分、税の使い方を変えて、そちらにまず投入する、ということは今でも同じです。
 
工藤: すると今の話は、僕たちの評価の視点とかなり近くてですね、つまり全ての政策には必ず目的があるだろうと。今は貧困でもいいし、親が子どもたちを育てる環境を良くするのならば、お金よりも保育園であるとかですね。だからそうであれば、政策体系の作り方が、民主党とはかなり違いますよね。民主党は始めはお金を配ろうとしているだけでしたから。
 
阿部: それは、民主党のために代弁するわけではないですが、やはり政策の裏にある哲学というものは、初めて、彼らの言葉で言うとチャイルドファースト、子どもが第一、ということなのですが、日本の政治の中で、子どもというのは、私が小児科医だから言うわけではないですが、本当の光って当たったことがないんです。だから小児医療がここまで瓦解するという国はないんです。こんなに経済が世界第二位で、赤ちゃんを産む場所もなければ小児科医もいない。お母さんの手の中で子どもが息絶えていく救急医療。こんなのないんです。これを、やはり政策の中で、子どもは1票を持っていない、だけれど子どものために光を当てよう、というのが、三党連立合意で、その連立を組む前から、8月14日、連立政権に向けた合意のなかで、子どもの貧困の解消を謳い、子どもをなんとか社会が育てましょうというのが、これは民主党政権がこれを金でやろうとしたか、私たちが保育でやろうとしたか医療とやろうとしたかは別ですが、その概念の考え方の仕切りは合意をしています。
 
工藤: つまり考え方や姿勢というところでは合意したと。僕たちが重視するのは政策手段とその目的の方が重要なのですよ。つまりそのように、今までの色々な公共事業やなにかよりも子どものことを考えた、というところで合意したとおっしゃっているわけですね。だけれど実際的にはその政策手段がお金をベースにした枠組みを作っていくことにより、破綻しましたよね。
 
阿部: そうではないと思いますね。
 
工藤: 財源としては破綻していますよね。
 
阿部: 財源としては破綻している。それは、実は、民主党の考えではムダを削減すればできるという考え方で、(工藤:恒久財源をやるよりも、ムダでという形にしたということですね)ある恒久政策をやるには恒久財源が要る、という意味では破綻をしていますけれど、でも、この政権交代がなければ、考え方をそこに変えることすらできなかった、ということは事実だと思うんです。今は離脱していますけれど、有権者・選んでくださる国民の皆様には、やはり私たちは社会の考え方を変えようとしたんだ、ということだけは、今でも伝えたいと思いますよ。
 あと農家の所得補償ね。これはなぜやったかというと、これは私どもも賛成してやりましたけど、やはり今日本の社会の危機は、エネルギーと食糧を全部輸入に頼っていることです。これは国としては本当に危うい形なんです。そこを何とかしたいというので、農家の所得補償をまず、これは給付型だけれども、これも考え方です。明確にしたい考え方が、子どもと、食糧と、あとは高校の無償化です。これは人材・人にやはり光を当てようということでやりました。ただ、やはりそれは財源と制度設計の未熟さとは否めないと思います。私たちははっきり言って、申し訳ないけれど、政権交代は初めてやってみて、そして何がいいか、やりながら、でも一生懸命有権者には伝えようとしたと。だから今度のマニフェストの中で民主党も民主党で総括なさるだろうし、私ども社民党も、しかし、今言った考え方を変えるつもりはないんですよ。それに伴う財源論とか、そこは改めてまた考えていく、でも、少し話が飛びますが、だから消費税を今やるか、というと、そうではない、というのがこの生活再建まっしぐらなんですね。
 
工藤: 今の話なのですが、だから視点を変えたという形では、確かにそういう方向でベクトルを変えましたよね。しかし政策というのは、今おっしゃったように、恒久的な財源がないと、何何に対する姿勢を変えたとしても、実現できないわけですね。では社民党としては、恒久的な財源ということは、どういうプランを、まさに連立の中で得たレッスンじゃないですか。ではどのような形を今回の参院選では提案できるのですか。
 
阿部: またここに戻りますが、「生活再建まっしぐら」の裏には、やはり景気回復が第一、菅さんの言葉だと「強い経済」、私たちの言葉だと「持続可能な経済」という、私たちは「強い」という言葉はあえて使わないです。というのは、時代の要請が、本当にこのままだとあらゆる面で続けられないよねということなので、持続可能性をどこにとるかなんです。社民党の成長戦略と書いたのは、私たちはこういうことによって経済を強くすることで、それこそ法人税収や所得税収や、そして足らざる部分は消費税に頼らざるを得ない、という段取りを作ったのです。
 
工藤: なるほど。しかしですね、成長戦略を(マニフェストの)かなり前の方に置いていますよね。であれば私たちは、まさに政策をずっとやっているので、聞かざるを得ないのですよ。つまりこれは、成長戦略と言っても、ではそれを作り出すために政策のプログラムは何なのですか。例えば財源はどうするのか、資金を投入するのですか、規制緩和でいくのですか。つまり需要側でいくのですか、供給側でいくのですか。いつまでにどういう形でやるのでしょうか。
 
阿部: 需要側と供給側という考え方以上に、実は今私どもが環境政策、グリーンニューディールという言葉で言っているのは、やはり国が率先してエネルギー構造を変えるために、国がそこに投資しなさい、という仕組みなんです。需要側、供給側という言い方以上に、国家戦略をそこに置きなさいということです。それはある意味で、需要を起こすことでもあり、供給を増やすことでもあるんです。
 
工藤: 国がやる戦略の手段は、資金の投入ですか。何でやるんですか。
 
阿部: 環境については3つやらなくてはいけないです。そしてこれは早急にやならなくてはいけません。1つは固定価格買い取り制度と言って、自然エネルギーを全量買い取る、そのために計測機であるスマートグリッドを付けるとか、これはかなり地域の仕事興しにもなります。だからある意味では供給を増やすことでもあるし、まず何よりも第1に全量買い取り制度です。それから環境税です。これはずっと社民党は、今の暫定税率を止めて、早期にチェンジしなさいと言っています。環境税を取ったところで、逆にその環境税を環境に対しての負荷を少なくしている企業に投資していきます。そういう意味です。環境税はただ取るだけではなくて、それをそういうよりインセンティブを与えてやって頂くような資源に使います。あとは、固定価格買い取り制度以外に、排出権取引といって、各企業が出している二酸化炭素もあるところに上限を設けて取引をすると。この3つは実はどれも抵抗があるんです。環境税ですら抵抗があります。
 
工藤: それはすごくわかっているのですが、それでは、一番初めにちゃんと書けばいいのではないですか。
 
阿部: これ読んで頂くと
 
工藤: だってこれ全然書いてないですよ。
 
阿部: そうじゃないですよ。
 
工藤: ここに例えば今のスマートグリッドも排出権取引も環境税も、つまりそれによって産業を作りたいんでしょ。
 
阿部: そういうことです。
 
工藤: であればその結果、雇用が何人増えて、いつごろまでにそれをやるか、ということを一番始めに表に出した方が、有権者は分かりやすいと思いますよ。
 
阿部: それを文章で書いているのがこれなんです。他に命と書いてあるけれど、医療・介護・子育て・福祉・教育・緑と書いて、環境エネルギー革命は、と書いてありますけれど、外需依存から内需型への転換、そして日本経済と雇用を支えていく大きな柱の1つ。
 
工藤: …と期待されていますでしょう。マニフェストというのは、こういう政策手段を使うことによって、こういう効果を実現するという約束ですから、全くこれ約束になっていないですよね。説明しているだけだから。
 
阿部: マニフェストというものの位置とかこなれ方というのは、各国様々だと思うんですよね。例えば待ち時間を1/2にします、みたいな、例えば医療に税金をこれくらい入れたら待ち時間を半分にしますとか、そういう詳細なチェックポイントを携えたものもあるし、一方で考え方というものもあるんですよね。
 
工藤: そうなんですよ。ただ政策というのは、これは常識なのですが、まず課題の認識をして、その課題を解決するために政策があるのであって、それを主張することではないのです。主張はありますけどね、それを有権者に伝えて、その結果こういうことを実現しますということが本来「公約」ですから、だからそういう形にとっては、今話を聞いてようやく分かったというのはもったいないと思うんですね。
 そういう視点で言うと、もう1つ聞かなくてはいけないのですが、財政再建についての考え方、つまりどういう風に、いつまでにどういう形でやるということは、なぜここに書いていないのですか。必要じゃないということですか。
 
阿部: そういうことではないんです。実はこの参院選のマニフェストの位置ですけれど、三党連立合意に至る衆院選が4年間のマニフェストの提案なんです。これ(参院選のマニフェスト)はその中間、8カ月目で出てきたもので、それについてのやれたこと、やれなかったこと、補足的なこと、という風に書いているから、こういう形になっています。
 
工藤: じゃあ抽象的になっているのは、そういうことなんですね。
 
阿部: 最初の衆院選のときに出たマニフェストの、ある意味では、少し最後にここで8カ月の成果という形でやれたことと、でもやれなかったことも多いと。
 
工藤: かなり法案も廃案・継続審議になってしまいましたしね。かなり色々と努力されているところがね。
 
阿部: やはり残念なのは2つですよ。地球温暖化対策ができなかった、次の臨時国会ですね。それから労働者派遣法の改正、これも絶対に次の臨時国会。それから資金の円滑化のための郵政改革法、これも次の臨時国会。
 
工藤: すると、ただ菅政権がこの前、中期財政プログラムのフレームを出しましたよね。例えば一般歳出の規模を今年度のラインに抑える、それから増税ではなく国債の発行も抑えると。あれは間違いなく財政再建に向けた動きですが、社民党はどうなんですか。つまり同じような形で財政再建に対するプログラムをまだ出していないので、どういう風に考えていますか。
 
阿部: それは冒頭で言ったように、この3年の課題は、財政再建ではないということです。ありますよ。財政再建を考えない政治なんかないですよ。少子高齢社会だし、赤字国債の額だって世界で第一位と言えるくらい。しかしこの前のG8でもG20でも、日本の位置というのはやはり財政再建と景気回復とを両方見ていく位置に立ったわけですよ。アメリカは非常に財政再建よりも景気回復ということをオバマもまだ重要視しているわけですよ。ヨーロッパはやや財政再建に振れたわけですよ。日本の現状は何かというと、20年続くデフレなんですよ。異常なことなんですよ。賃金も低い、やっと物価が安いことで賄っているけれど、この悪循環、デフレ宣言を菅さんはしたけれど、どう脱却するのかは提案していないですよ。私たちはやはりさっき言った、環境産業にもっと突っ込めと、そこから新しい雇用も生まれるだろうと、そこからしか財政再建なんてないよということなんですね。
 
工藤: 財政再建の中長期的なビジョンも必要ないですか。
 
阿部: そんなことはないです。ただ、ここの今問われていることが、今の参院選の課題なんです。はっきり言えば、消費税論議よりも、どうやって仕事を興すか、地域を活性化するか、貧困を解消するか、この3つをやらないと、担税力なんかないんですよ。税を担えない国民をたくさん作って、一方で財政再建強い強いと言ったって、不況への道、破綻への道、それは政治のメッセージとして誤っていると私どもは考えますよ。
 
工藤: なるほど。ただ今の話は1つの軸としては理解できます。しかし景気対策にしても、例えばこれをずっと見ていると、支出増がけっこうあるんですね。その支出増には必ず財源が問われますので、財源に対する明示がないのにそれをどうやって政策効果を安心なものにするんでしょうか。
 
阿部: さっき言った、景気回復にかなり力を入れるというのは、ある程度財政赤字もやむなしという考え方です。
 
工藤: では国債発行を…
 
阿部: どんどん増やせとは言いません。でも今ここで産業構造を転換しないと、持続ができないんですよ。今逆に財政再建を持ち出すことで、たくさんの貧困層を作ったら、国なんて持たないんですよ。
 
工藤: わかりました。具体的な話で3点ぐらい。基本的な考え方がわかっただけで、多くの人がなるほどと思っているかもしれません。まず、年金なのですが、基礎年金と所得比例年金の組み合わせで、基礎年金については8万円ということで出していますが、これはどれぐらいの財源が必要で、どうしていつまでにやるという考えでしょうか。
 
阿部: わかりました。うちの考える財源論は、民主党のように消費税だけに頼るものではありません。すなわち、他の所得税や法人税からも当然入れ込み、消費税もその一つです。後は、企業が負担する社会保障税というのを考えています。これは何かというと、
 
工藤: 保険料の2分の1とかではなくて。
 
阿部: それだと、非正規の人がカバーされないので、正規・非正規問わず雇っている人数について人頭税みたいにその企業に負担してくことを加味して、その3本立てで基礎年金のところを維持しようと考えています。
 
工藤: でも、8万円の財政の規模はわかりますか。8万円だったらどれぐらいお金が必要ですか。
 
阿部: 消費税だけでやるわけではないので、多分15、6兆円ぐらいだったと思います。
 
工藤: それをそういう形で、みんなから分配させるわけですね。
 
阿部: ただ、8万円というのはべたにやるわけではありません。その人の所得比例の年金をお持ちで、8万円に足らざる部分をいれるのです。
 
工藤: ということは、この三角形があって、そこの足りない部分を埋めるということですね。スウェーデン方式じゃなくて。
 
阿部: これがスウェーデン方式ですよ。
 
工藤: スウェーデン方式は基礎年金をきちんと抑えるんじゃないですか。
 
阿部: 違いますよ、スウェーデン方式は、所得比例があって、そこに満たない部分に入れていくことですよ。
 
工藤: そうでしたっけ。すると、まず所得比例がベースにあるわけですね。国家として、基礎をきちんと維持するというわけではないんですね。
 
阿部: 足らざる部分を維持しますから、それを最低所得保障年金といいます。下に、べたっと置くわけではありません。
 
工藤: 今、民主党はそれが曖昧です、元々下にべたっとしているやつでした。基本的には、みんなこのきちんとした最低保障がどれぐらいあるかという商品設計を国民に知らせないといけないと思っています。
 
阿部: 8万円という根拠は、さっき言った生活保護の額よりはちゃんと掛けた分の額がいくことになるだろうと。それから、生活保障で言われる受託費とかを除いた最低生活部分について東京都が8万円ということだったので、そこにおいてあるんです。
 
工藤: なるほど。年金に関しては、後1つです。今、現在は2004年の年金改革をベースにして動いています。基礎年金の2分の1を国庫負担で負担する、それからマクロ経済スライドが動いていませんよね。この現実に関して社民党はどうしますか。つまり、この現実は、高齢者に対する、給付を抑制しないために、若い世代に全て転嫁してますよね。この状態を、社民党さんとしてはどう判断するのでしょうか。
 
阿部: 今の方式は賦課方式ですよね、要するに若い人からいただいて、それを高齢者に入れていく。この方式は、人口構成から見ても無理なので、若い人たちは、自分の働いた分で確実に積み上げていき、足りない部分をきちんと保障しますという移行が必要です。その移行期にあって、現状で8万円以下の年金の方については、移行期でも補填していくというやり方をとっていく。
 
工藤: つまり、高齢者の給付は減らさないというわけですね。現状の高齢者の給付については、経済がどうであれ前年より下がることはありません。だから、過剰給付になってしまっているわけです。マクロ経済スライドが機能していないから。
 
阿部: 一応、デフレで、下げるところを下げていないからということですか。
 
工藤: そうですね。つまり、現実的にその部分は誰かが負担するから成り立っているわけです。助け合っているわけでしょ。
 
阿部: だって、年金というのは世代間扶養ですから。
 
工藤: でも、今、年金の世代間扶養は難しいとおっしゃいましたよね。
 
阿部: これからに向けてね。だから、制度設計については、今2つの理由で難しいのです。高齢者が増えていくだけじゃなくて、若い人の働き方で、正規と非正規の差が著しくなっていて、非正規の方が年金保険料を払えないのですよ。こっちのほうの問題が大きいと思っています。それは、年金制度への信頼もあるけれど、収入がないのですから。
 
工藤: ただ、今の2つの話でどうしても聞かないといけないのは、財政についても、年金についてもそうですが、この話は今の問題として課題解決をしないと、将来世代にそのツケをまわすということを、放任するということになってしまいますよ。
 
阿部: それは移行期ですから。でも、放任ではありませんよ。今、もっとも緊急にやらなければいけないことは、年金の空洞化の問題です。そうやって、世代間対立をあおることが大事ではなくて。若い人たち自身が将来困るのですから。20歳だってすぐに60歳になるんですよ。今の若い人たちの三無の神器、無年金、医療保険も無い、失業保険も無い。
 
工藤: そこの貧困のところをきちんとやらなければいけないと。であれば、社民党はそこの貧困のところについて、政策パッケージをちゃんと提示して、これぐらい財源が必要だという形を世に問うて、それで勝負をすればいいのではないですか。このマニフェスト、確かに、言葉では貧困とありますが、そういう風な体系的な政策はここで示されていないですよ。
 
阿部: そこに鋭く、集中するべきだというご指摘はその通りかもしれません。特に、雇用の問題で、実は今言った3ついずれも雇用についてです。無年金、医療保険が無い、失業保険が無いというのは、働く現場で生じていることです。それを、そういう風に読んでいただくと、仕事というところで、派遣法の改正から、あるいは雇用の平等とかわかりにくいかもね。
 
工藤: これでは、やっぱり本当のことを多くの国民に説明して、支持を仰ぐというプロセスはちょっと違うような気がします。あなた達はわからなくていい。私たちはこう思っているのだというのは非常にまずいじゃないですか。
 
阿部: そんなことはない。そういう言い方は、いくらインタビュアーでもちょっとよろしくないと思います。書き方の工夫がないというご指摘だと思いますから、それは受け止めます。私達が、一番訴えたいことは、この項立てでもわかっていただけるかと思うけれど、平和・人権と書いたのは、連立離脱の原因となった基地問題を一番に出し、二番目に仕事と書いたのは、仕事と雇用の問題、4番目が、子ども、若者、女性と書いたのは、若い人たちの働き方についても非常に問題が多かろうということで、そういう筋立てになっています。
 
工藤: その筋立てのところに非常に魅力があるということを理解してほしいわけでしょ。
 
阿部: そうね。
 
工藤: 僕達は、もっと具体的な政策体系を示していただいたほうが良いよ、といっています。最後に、農業です。農業の政策をみて、あまりにも詳しくてびっくりしました。課題認識に関しても、担い手の問題、水田農業の高齢化の問題についてもかなりきちんと理解していますし、生産調整の廃止という話をしていますよね。一方で、そのプロセスにおいて直接支払いをやり、コメの価格を維持する話をしていますよね。そうなってくると、どちらのほうを向いているのかよくわかりません。つまり、生産者なのか消費者なのか、つまり、消費者からみれば、確かに生産調整をやめて、その中で競争が行われ、品質のいい物が安くなって、渡ったほうがいいですよね。でも、そのプロセスがあまりにも急激だったら困るので、そのプロセスにおいて色んなお金を出すということは理解できます。そうであるなら、いつごろのめどで、どのぐらいをめどに、高い米と税金の投入という点で、負担をしないといけないということを説明したほうが、ここまで体系的な政策論を立てているのに、一番重要なところがわかりにくいと思ったのですが、いかがでしょうか。他の政党はもっとひどいので、それを相対的じゃなくてどうでしょうか。
 
阿部: 農業政策は社会党の時代から力を入れてきた分野です。そして、減反政策はずっと反対をしていたところです。今後、生産は増やしたほうがいいと思っています。それは、正直言って、輸出という分野についても、日本の米の品質や、安全性からみればこれから可能性はあると思います。ただ、最大の輸出国は中国になるでしょうが、これは中国との間の様々な外交的な問題が一方でありますから、何らかの改善をしていきながら、輸出できる米、というものが確立すれば、減反という政策から切り替えてもいいと思っています。
 
工藤: そうすると、米の価格が下がってきますよね。
 
阿部: 一概に全部が下がるとかではなくて、品質に見合った価格に階層化していくのではないでしょうか。
 
工藤: 最終的なゴールを目指しているのですね。これは、かなり自民党や民主党の選択的生産調整よりは、かなり進んでいますよね。
 
阿部: さっき言った、エネルギーと食糧というのは、国家の安全保障ですから、絶対に自給は高めないといけない。ただ、自給だけやっても、国の人口は減っていく。だから減反かというとそうではない。いい物をより共有していける国際関係を築く。私達は、東アジア共同体ということを提案していますが、そこには経済的な問題、それから、食料のお互いの輸出入ということも、安全性を担保した上で、前向きに提案します。
 
工藤: すると、マニフェストでは、米の価格は下げないとの記述がありますが。
 
阿部: 一概に下げないということではなくて、やはり品質によってグレードは出てくると思います。
 
工藤: そこのところの財源負担とか、診療報酬のところも非常にわかりにくかったのですが、それは全くだめな政党もあるわけですよ、それから見ると言及していますから。でも、色んなことを見ると、支出がかなり増えるマニフェストですよね。
 
阿部: 私は、さっき消費税論議よりも、景気回復だといったのは、とにかく担税力、税を納める能力をみんなにもってもらわないと、どうしようもないと思っています。その上で、消費税も含めて、あっていいと思っています。ただ、今の税の構造をみてみると、法人税もがた減り、累進度を下げたのもありますが、所得税もかなり減ってきて、結果的に消費税だけになったら、実は担えないわけです。前、基幹税は所得税と法人税でした。そして、高齢化社会になるから、消費税に頼らないといけないのは事実です。しかし、ここばかりに頼ると、ここが非常に高い税率にならざるを得ません。
 
工藤: 今、非常によくわかりました。ただ、一つだけわかりやすさということで言えば、政策を全て並べない、今は景気回復をやりますと。でも、そこには、年金、診療報酬、色んなことでお金を使うことが並んでいますので、工程表をつくって、今はこれ、来年はこれという風にしないと、単にカネだけ必要だけど、財源はわからないとなってしまっていますよ。
 
阿部: それはいい案ですね。ここからは景気回復、ここからはそれが持続できるか、そこから本格的に財政再建とか。
 
工藤: そこの間に、年金の制度設計とかをどこにいれていくのかとか、そういう風に説明しないといけないと思います。ぜひ、そういう風にやってもらえればと思います。
 
阿部: ありがとうございます。農業政策をほめていただいて、みんな喜ぶと思います。後、環境に配慮した農業というものは、補助を出してもやっていくべきだと思います。
 
工藤: 阿部さんの話を聞くとそうなんだけど、マニフェストにちゃんと書いて、国民にちゃんと説明してください。よろしくお願いします。
 
阿部: ありがとうございました。