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9党政調会長にマニフェストを問う「結局、何を約束するのですか」【たちあがれ日本:与謝野馨共同代表】 印刷 Eメール
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工藤: 与謝野先生こんにちは。今回、マニフェストという言葉を使っていないのですが、それはどうしてなんですか。

与謝野: 所詮イタリア語を借りてきた話で、いかにももっともらしく聞こえるけど、マニフェストというのは自分の心情を明らかにするとか、明白にするということです。言った以上はやらなければならないというのは公約であれ、マニフェストであれ、党首の演説であれ、政治にとっては大事なことです。予算のことをいうのは嫌なんだけれども、いろんな約束をして、結局できませんでしたごめんなさい、ということは、政治の世界ではあんまり通用しないやりかたなのです。

工藤: ただ、こういう風な形でこれをできなかったとか、説明はしないとダメですよね。そういうことをしていないことも問題ですよね。

与謝野: 2つ必要だと思います。1つは約束を実現するために全力を尽くしたかどうか。2つ目は実現できない明白な理由はあるかどうか。その2つを説明してもらわないと、やったかやらないかわからない、できなかった理由も言わないというのでは、不誠実ですね。

工藤: 私たちが言っているマニフェスト型政治というのは国民に向かい合う政治なんですよ。だから、今の流れはあまりよくないなと思っています。次にたちあがれ日本についてなのですが、僕は政策で一番重要なのは課題認識だと思っています。まさに日本が直面して政治が取り組まなければいけない課題は何なのか。それをどう改善するのか。たちあがれ日本として取り組まなければいけない課題認識というものを話してもらえますか。

与謝野: 悪い例からいうと、課題認識として民主党は政権を取った直後、物事を決める手順が間違っているから間違ったことになっていると言って、手順のことばかり問題にした。しかし、その手順が課題ではないんですよね。課題は日本の国民の生活とか、安全とか安心とかをこれからも支えていくために、この国にとってやらなきゃいけないことは何なのか。そういう切り口から入っていかないと正解にはたどり着けないと思います。1つは大きな意味での国力、国力と言うのは経済力も入っているし、それから財政の健全性も入っているし、国民の意欲というものも入っているし、よその国との関係も入っている。抽象的にこれを全部国力と仮に言ったとします。これは全体として少しずつ落ちてきているんじゃないか、という認識を我々は持っているわけです。国力を上げろと漠然に言ってもだめなので、国力を構成する一つひとつの要素を取り上げて、その要素を強くしていくという作業をやらないといけない。強い経済といった場合に、経済というのはどういう要素でなりったっているかっていえば、1つはよその国との関係における経済。国民が消費生活をする、需要を作るっていう意味での国内経済と2つある。分けて考えた方がわかりやすいのですが、海外での経済活動で一番重要なのは一言でいえば国際競争力の強さなんです。これは品質であり、アフターサービスであり、新規性でありいろんな要素で成り立っている。それから国内の経済に関して言えば、新しい需要はあるのか。需要が飽和している日本の経済をどう打開するのかという問題。それらを全部合わせた問題としては、人口が減っていくということもありますが、それより深刻なのは、働く人の人口が減っていくという問題があるわけです。これは日本の定年制の問題、それから女性という貴重な労働力の問題。そういうものをトータルで考えて、日本の経済に必要な労働力、知的水準の高い労働力をどうやって確保するのかというと、もう少し皆に長めに働いてもらうことが必要になってきます。それから女性も子育てが終わったら、持っている知識や経験を公の場で力を発揮してもらうなど、色んなことが考えられるわけです。それから財政の問題の課題は何か、社会福祉の課題は何か、要素、要素に分解してやっていかないといけないと思っています。

工藤: 今の話は非常によくわかるのですが、麻生政権時、与謝野さんが安心社会実現のために色々とやっていましたよね。その時も社会保障、消費税を含めたいろんな議論していましたし、案も出していました。あの時の議論と今のたちあがれ日本の政策はほぼ同じですか。

与謝野: 思想は同じです。ただ安心社会実現会議の時はもちろん社会保障のこともありましたが、雇用を中心とした安心社会を作るということでした。雇用を中心とした安心社会というのにはいくつかの柱があって、1つは失業率を改善すること。完全雇用ということは理想なのですが、完全雇用に近いところに雇用の状態を持っていくということです。それから日本の終身雇用というシステムは、人々の安心というものに多大な貢献をしたわけです。しかし世界と競争するようになってからすべての会社が終身雇用というわけにはいかなくなったという現実があります。そういう中で雇用に関する安心をどうやって高めるのか、という問題に挑戦していかなければいけないという事情がある。それから、雇用というところから外れたグループに対するバックアップを社会全体としてどうやって用意するのか。怠けている人にまで安心は与えられないけど、働く意欲のある人、雇用の場を求めている人に安心を与える。基本は雇用を確保するということなのだけれど、雇用の場から外れた人にもバックアップをし、再訓練をする。そういう雇用を中心とした安心社会を作ろうということが我々のメインテーマですね。

工藤: すると課題としては、今、おっしゃったように人口減少と高齢化。その中で雇用も含めた安心できる仕組みを作るということがアジェンダになるということですよね。これ見ると、それにプラスアルファで財政再建の話をかなり明確になっています。例えば、菅政権の中期財政フレームで一般歳出規模を今年のものと3年間同じにする。それから国債の発行額を3年間同じにするという話がありましたよね。これと同じですか。

与謝野: ほとんど同じです。

工藤: ただ基礎の年が違いますよね。これ去年ですよね。

与謝野: うちは88兆でやってます。民主党の政権は倹約しているみたいなこと言いながら、あれもやりたいこれもやりたいと言って財政がむしろ膨張してしまった。我々は専門家だからすぐわかるのですが、借金の残高が指数関数的に増えてしまうことを発散というのですが、たぶん今年は発散元年になってしまう。これは止めないといけません。止めるというのは我々の世代のために止めるのではなくて、後の世代に借金だけ残して我々はあの世に行くというわけにはいかないということです。やはり将来世代に責任を持つということは、我々みんなの責任だろうと思っています。それから財政が悪くなると色んな副作用が起きるわけです。例えば糖尿病になると目が悪くなったり、血管がぼろぼろになったりするように、財政が悪くなると経済も悪くなるし、社会保障も悪くなる。それから家のローンを借りている人にも被害が及びます。会社の経営も大変になる。色んな副作用が起きてくるので、その副作用を起こさないために大元の財政を許す限りの範囲で、最大限に健全化の方向に持っていくということが必要です。なぜ私が「許す範囲」という言葉を使うかといえば、税制改正をやって経済が倒れてしまうとこれもまた困る。経済に与える影響は最小限にとどめられるという範囲の中で、最大限の税制改正をやるということが求められていると思います。

工藤: ということは、これは3年間でGDP対比の赤字を半減していくということですよね。そのために消費税を12年度には3%、15年度には段階的に7%に上げていくということですね。

与謝野: そうではなくて、まず3%上げてショックがあるだろうと。ショックがあるからそのうち1%は所得税減税に使って2%収入。だけどそれでは済まないので、ショックの段階を超えた後、時期ははっきりしていませんが、さらに4%から7%ぐらいの消費税の上げが必要でしょうということを申し上げているわけです。

工藤: それから一般歳出規模については、88.5兆円でキャップをかけるということですよね。

与謝野: そうです。ただ、上限をかけても中をよく見ると、社会保障費の増加を別のところで削減しないといけない。結構大変な作業です。社会保障の伸びはだいたい年に1兆円ぐらいですから、それを公共事業とかほかの一般歳出とか公務員の給料とか、いろんなことで1兆円を賄っていかなければならない。大変だけど、それをやらないといけない。民主党が言うように無駄がどこかにあるからそれを削減すれば、1兆円が出てくるよということではないんです。

工藤: 3年間で財政再建のプログラムを動かそうという話をしていますよね。昔、与謝野さんがやられていたときはデフレの解消があって、その状況を見ながら消費税の発動をするという縛りが少しあったじゃないですか。状況が変わったと判断すればいいんですか。

与謝野: これは法律になっているわけですが、「デフレ」という言葉を使っていません。経済を見ながら、というやや抽象的な言葉で書いています。現状では、家計は物価がさがった方が生活しやすいわけですが、会社の方はデフレだと売り上げが伸びないと、借金を返すのが大変になってしまう。そうすると、給与に響いてきてしまうので、結局家計にも影響が出てきてしまう。ところがデフレの原因というのは、演説では日銀と協力しながらデフレを克服しますとか盛んに演説していますが、日銀に頼んでもデフレなんて解消しません。デフレの主な原因の1つは国内の需要の不足。だから新規事業を起こさないといけないという問題。それと日本でモノを作っても、中国で同じ物を作ると人件費の分だけ価格が安くなるわけです。だから日本で作ったものと中国で作ったものを同時にポンと置くと、中国の人件費が安い、元が不当に安いというのがもろに効いてきて、どうしても価格が下がってしまうわけです。これがデフレの原因の1つなんです。日本の国内の需給ギャップ、海外からくるデフレの要因の両方を解決しないといけないのでそんなに簡単ではありません。

工藤: そうすると、確かに、たちあがれ日本の政策はかなりわかりやすい。ただ、工程で見ると財政再建の3年の縛りの方が強いですよね。強い経済というのは3年で何かをやるというよりももっと中長期的な形ですよね。ということは財政再建を優先されているという判断でよろしいのでしょうか。

与謝野: 一言で強い経済といった場合に、バブルの時みたいのタクシーもつかまえられなくなって、銀座で高い酒を飲んでいるというイメージではありません。強い経済というのは先ほど申し上げたように2通りに分けて、日本で作った品物は海外に輸出しらよく売れて、なかなかよそが真似できない。日本が輸出するプラントは相当よくできているけど、値段でも負けない。そういう品質でも新規性でも値段でも負けないということです。

工藤: ということは、経済の構造も変えていかないとダメですね。

与謝野: 社長が号令をかけてすぐどうにかなるような話ではありません。やはり基礎的な研究、それから各会社で研究開発にお金をかける。会社がお金をかけた時には税制がバックアップする、というような分野。それから、大学生、大学院生が勉強しないとダメです。だって中国の学生もインドの学生も、韓国の学生も日本の学生よりずっと勉強しているわけです。だから、強い経済といっても、つよい経済を構成する教育の水準、一人ひとりの学生の努力、研究者の努力、そういう総合力で強い経済というものがあるわけです。

工藤: するとほかの政党のマニフェスト見ると3年間、景気対策に集中しないといけないとか、無駄を削減しないといけないとかいう話ですよね。これとは違いますよね。

与謝野: ですから、無駄を排除するというのは聞こえがいいんですよ。ところが、無駄というのは極めて主観的なものです。お父さんが会社の帰りにそこらで焼酎一杯を飲むとします。お母さんからすれば、帰ってきてから飲めばいいじゃないかと。でもお父さんにしてみれば、会社でいじめられて家に帰ってきて奥さんに叱られて、途中で一杯飲むっていうのは決して無駄ではないわけですよ。そのお父さんを叱るお母さんは、通信販売で高い化粧品を買っている。お父さんにすればいくら高い化粧品使っても無駄だろうとなるわけです。

工藤: 最後の質問です。今こういう政策を実現したいと思っていると。ただ選挙結果も踏まえるのですが、結局これを実現するために、政治の世界の中でどういう取り組みをしようと思っていますか。

与謝野: この選挙が終わったら、できれば、何か(政策課題)を中心に政界再編をやったらいいと思うんですよ。たぶん、民主党も過半数はなかなか取れないのではないかと思います。過半数をとるとやりたい放題やるから、それは止めた方がいいと。国民のために、参議院は良識の府としてブレーキをかけたり、アクセルを踏んだりするようになっていた方がいいんじゃないかと思っています。その中で、健全な政界再編をやらないといけないんじゃないかと思います。

工藤: 軸は何ですか。

与謝野: 軸は経済の活性化とか、財政再建とかになると思いますよ。明らかに民主党の中でも軸ができてきてしまっている。例えば自民党の中でも上げ潮派というのがいて、経済がバンバンうまくいくのだという嘘ばっかりついている。民主党も4%経済成長だって言っていますが、そんなものができたらノーベル賞あげますよ。

工藤: つまり、今度の選挙だけでなく、その次のドラマがこれから始まるとみているわけですね。

与謝野: そうだと思いますね。

工藤: 今日はどうもありがとうございました。

与謝野: ありがとうございました。