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高齢者医療 印刷 Eメール
評価基準 評点
現時点の到達点についての実績評価(40点) 形式要件(20点) 10
実質要件(20点) 5
実行過程(30点) 10
説明責任(30点) 3
合計(100点) 28

評価の視点

   第1の視点は、年金財政と共通する。高齢者医療制度の財源は、現役の健康保険料を原資とした後期高齢者支援金、前期高齢者納付金、および、税によって大部分が賄われている。こうした現役の健康保険料、および、税に依存する財政構造が、少子高齢化が進み、低成長経済へ移行するなかで、果たして持続可能なのかということである。高齢者医療制度改革は、まず、少子高齢化問題として捉えられなければならない。
   第2の視点は、保険者、すなわち責任主体の明確化である。08年4月にスタートした後期高齢者医療制度の運営主体は、都道府県でもなければ、市町村でもない都道府県単位の広域連合である。被保険者の健康管理や医療資源の効率配分などで給付抑制を図り、他方、保険料徴収にもきちんと責任を持つ主体の明確化が不可欠である。
   加えて、第3の視点は、公平性の確保である。高齢者の保険料負担は現役に比べ極端に軽い。これは、後期高齢者医療制度、および、年金受給者が国保に加入した場合の保険料算出に当たって、「年金収入-公的年金等控除」が用いられているためである。同じ負担能力であれば同じ負担をする水平的公平の原則からすれば、明らかに、現役と高齢者との間で公平性が損なわれている。
 

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実績評価

<形式要件>
   2009年衆院選マニフェストでは、年齢で差別する後期高齢者医療制度廃止がうたわれており、2010年マニフェストでもそれが踏襲されている。廃止後の新制度は2013年度からスタートとされている。
   09年11月、長妻昭厚生労働大臣(当時)主催によって、厚生労働省に高齢者医療制度改革会が設けられ、2010年12月、同会議は「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」を公表した。最終とりまとめは、改革の工程を2013年まで(第1段階)と2018年まで(第2段階)の2つに分け、第1段階を後期高齢者医療制度廃止にかかわる部分、第2段階を国保再編にかかわる部分と位置付けている。
   第1段階は、後期高齢者の加入する制度を老人保健制度時代に戻すこと、すなわち、大部分の後期高齢者は市町村国保に加入すること、その上で、後期高齢者に関しては、財政運営を都道府県単位で行うことが骨子である。老人保健制度と後期高齢者医療制度を足して2で割ったような内容であり、もともと老人保健制度と後期高齢者医療制度が大枠において大差なかったことを考えれば、見るべき点はあまりない。
   第2段階は、国保再編であり、国保の置かれた現状を考えると、実質要件、説明責任の項で述べるように、極めて重要な内容を含んでいる。こうした「最終とりまとめ」の内容の是非はともかく、マニフェス通りに2013年度に新制度をスタートさせるとなれば、約2年間の準備が必要であるとされており、「最終とりまとめ」に基づく法案成立は、来年早々遅くとも半ばであることが必要である。
   もっとも、民主党の高齢者医療制度改革WGから、「最終とりまとめ」のうち、高齢者の負担増にかかわる部分に反対があることなどもあり、法案提出の目途は立っていない。なお、負担増(70歳~74歳の窓口負担を1割から2割とする)とはいっても、それは、08年4月の高齢者医療制度発足時に、高齢者の批判を受けて、当時の与党が補正予算を組んで手当てしたものであり、もともとが過剰ともいえる負担軽減策を元に戻すに過ぎない。

<実質要件>
   年金改革と異なり、高齢者医療制度改革は、コンスタントに議論が行われ、「中間まとめ」でとどまることなく、「最終まとめ」にまで至ったこと、議事が公開され、議事録や会議資料のHPへのアップが迅速であったことなど評価される。もっとも、これは、従来型の厚生労働省における審議会形式で行われたからともいえ、政治主導、国家戦略局構想を前面に出してきた民主党政権にとっては、皮肉な結果でもある。
   さて、課題認識として、民主党の、後期高齢者医療制度は、高齢者を差別しているという認識自体がそもそも間違っている。高齢者の保険料は、前期と後期高齢者とも、とりわけ後期高齢者に関しては、2008年4月の制度発足後、応益部分に9割~8.5割軽減、所得割部分に5割軽減が設けられたこともあり、現役層に比べると極めて低水準に抑えられている。それが成り立っている背景には、高齢者医療制度は、現役健保からの支援金、一般会計からの支出金で財源の大部分が賄われていることによる。
こうして、そもそも政治による間違った現状認識によってスタートしたのが、「高齢者医療制度改革会議」であり、同会議の主題は、叙々に、高齢者医療制度廃止から、国保再編を議論する場へとシフトしていった。「差別」というエモーショナルなプロパガンダとともに、後期高齢者医療制度廃止と、腹案もないまま政治が振り上げた拳を下すのに、厚生労働省や出席する有識者が付き合いつつ、会議のテーマを、より議論のしがいのある国保再編へとシフトしていったように見える。
   シフトされた主題である国保再編自体、極めて重要であるものの、他方、高齢者医療制度改革会議で、国保再編が扱われるというのは、国民の目からみて分かりにくいことは否めない。本来、明確に「国保再編会議」として、議論が仕切りなおされるべきであり、その方が、国民の合意が得やすいのではないだろうか。

 

実行過程

   後期高齢者医療制度改革会議の議論は、情報の透明性では、高い評価が与えられる。もっとも、議論の進められ方は、一般の国民にとって分かりにくい。国民の深い共感がなければ、改革の達成は難しいと思われる。
   その理由は、まず、後期高齢者医療制度が高齢者の差別であるという認識自体が、間違っているからである。「差別」という用語を用いるのであれば、むしろ、若年層の方が差別されているといっても良い。次に、会議の主題が、叙々に国保再編へとシフトしているからである。国保再編自体は、極めて重要なテーマであり、本来、正面から「国保再編」と打ち出して議論すべきであろう。そうした打ち出しをするのは、政治の役割であろう。
   さらに、制度自体の分かりにくさや、税制を除外して議論していることもあげられる。厚生労働省の会議では、公費負担ということばがしばしば用いられる。高齢者医療制度改革会議も例外ではない。しかし、公費負担とはいっても、それは、納税者の負担する税でしかありえない。
   本来、医療制度改革は、税と一体的に議論すべきであり、公費負担ではなく、具体的な税目と税率で議論されるべきである。そもそも、議論の舞台設定として、年金改革の議論は国家戦略室でスタートし、他方、高齢者医療制度改革会議は、厚生労働省の審議会形式でスタートしており、ともに、税と社会保険料を原資としておりながら、どのような原則で、会議体が分かれたのかが明確ではない。

 

説明責任

   「差別」という言葉では、客観的な現状分析になりえない。今一度、後期高齢者医療制度とその前身である老人保健制度の比較をはじめとし、冷静な分かりやすいことばで、後期高齢者医療制度のメリット、デメリットが国民に示されるべきであろう。
   年金と高齢者医療に共通して言えるのは、リーダーがこれらの問題に関して、明確にコミットすることである。年金も高齢者医療も、わが国のトップマターである。菅直人首相自らが、これらの制度の抱える問題、民主党政権としての認識、改革工程などについて、明確な意思表示をし、さらに、議員の責任者を定めることが重要である。民主党政権には、良くも悪くも族議員がおらず、1つの政策マターをとことん追究する議員が見当たらない。それが、政策の先行きに対する国民の不安にもつながっている。与野党協議を求めるのであれば、なおさら、責任体制の確立は必須である。

 

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