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評価基準 評点
現時点の到達点についての実績評価(40点) 形式要件(20点) 10
実質要件(20点) 5
実行過程(30点) 10
説明責任(30点) 0
合計(100点) 25

評価の視点

   医療政策の論点は、(1)医師不足対策、(2)増大する医療ニーズに対する財源措置(診療報酬の増額)、(3)新型インフルエンザや肝炎、予防接種、がん対策など、(4)医療を新たな成長分野と位置づけるライフ・イノベーションの4点に分かれる。
(1)-(3)は2009年の衆議院選挙におけるマニフェストで打ち出した項目であり、鳩山政権時代から一貫して取り組んでいる。(4)は菅政権が打ち出した公約である。
 

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実績評価

   医師不足対策に関しては、民主党は「(10年間で)医学部定員を1.5倍に増員すること」を掲げてきた。本来なら、毎年400名の増員である。しかしながら、2011年度の増員は87人にとどまった。文科省で、医師増員の方法を見直す検討会が立ち上がったが、先行きは不透明である。
   財源措置については、鳩山政権時代に10年ぶりの診療報酬の増額を達成した。また、医療費の内訳を決める中医協の人事を政治主導で一新し、従来の開業医重視から急性期病院重視に方向転換した。この結果、経営難に喘いでいた中核病院は一息つき、2009年の9月から2010年の9月にかけて医療従事者の雇用が38万人も増加した。この点については高く評価できるが、これは鳩山政権時代からの取り組みの結果であって、菅政権自らが力を入れて取り組んだ実績ではない。菅政権では、2009年の総選挙で掲げられていた「高額療養費制度の見直し」は参議院選挙のマニフェストから削除され、2011年度の予算編成でも見送られている。
   新型インフルエンザ対策については、水際対策・ワクチン接種・行動計画の見直しを進めたが、あまり成果はあがっていない。例えば、新型インフルエンザワクチンを法定接種化せず、予算措置での対応に留まった。また、全国民へのワクチン提供体制も確保されていない。
   予防接種については、子宮頸がんワクチンやヒブワクチンなどの接種費用を公費負担することが補正予算に盛り込まれ、また、来年度予算にも計上予定であり、高く評価できる。ただ、これは単年度の財政措置であり、本来は法律や政省令を改正し、法定接種化しなければならない。この点については、目途がたっていない。
   2011年度の予算編成では、政権交代時に廃止をうたった地域医療再生基金などの補助金の復活が目立つ。国民ではなく、業界団体を配慮した結果であろう。
   ライフ・イノベーションについては、医療ツーリズムなどを掲げているが、本来、やるべきは規制緩和。中医協の人事以外は、めぼしい業績がない。混合診療などの官による価格統制、総合科学技術会議に代表される審議会改革には、一切手が付けられていない。官邸主導で医療イノベーション室を設置するようだが、既存の組織を整理しなければ屋上屋を重ねる結果になりかねない。

実行過程

   医師不足については、文科省が中心となって対策を推進している。問題は厚労省との連携が悪い事である。文科省は医学部定員の増員、さらに医学部の新設まで念頭においているようだが、厚労省は出来るだけ、医学部定員を増やさないように対応しているようにみえる。こうした縦割り行政の弊害について首相自らが針路を示した形跡はみられず、医師不足問題については、官邸のリーダーシップが不足していると言わざるを得ない。
   財源措置については、消費税増税などの抜本的な議論が必要であるが、参院選敗北以降、全く議論は進んでいない。医師である櫻井充氏が財務副大臣に就任し、ワクチン問題などの懸案事項に風穴をあけたことは評価できる。
   一方、新型インフルエンザ対策などは、官邸と厚労省の調整が不十分である。例えば、検疫などについては、警察と厚労省では見解が異なって当然である。強いリーダーシップをもった政治家が不在のため、省庁間の縦割りの弊害が出ている。
   ライフ・イノベーションも全く同様である。官僚に丸投げしているため、各省庁の意向に忖度した面白みがないものとなっている。この領域は国際競争が激しく、これでは勝負にならない。
 

説明責任

   医療政策についての国民への説明は、ほとんどなされていない。先に述べた「高額療養制度の見直し」については、衆院選マニフェストにおいては「高額療養費制度に関し、治療が長期にわたる患者の負担軽減を図る」としていたが、十分な説明もないままに2011年度の予算編成でも計上が見送られている。
   こうした政権の対応は、これは自民党最後の厚労大臣舛添要一氏とは対照的である。政治家の説明責任とは、畢竟、政治家個人のメディア力に負うところが多い。菅政権で医療を担当する藤村副大臣、岡本政務官の認知度は低く、彼らに説明責任を求めるのは酷であろう。医療政策はその決定が直接的に多くの国民に影響を与える分野の一つであるために、民主党が政治主導を謳うのであれば、他分野以上に配慮した上で、適材適所の人事が必要である。

 

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